食べ合わせが悪かったのか、かぜ菌が入ったのか、ちょうど前後を入れて10日ほどお腹の調子がひどく、たまりかねて受診して点滴やら強力な下痢止めをもらってやっと治まりました。

かなり昔、生牡蠣にあたって寝込んだときの再来のような感じ。

もっとも10日ほどのうち2日ほどは寝込みましたが、あとはずっと夫の食事は作っていました。


吐き気はなかったので夫の食事やTVに映る食べ物すべてがおいしそうで、ず~っとおかゆとすりおろしりんごのみだったので、治ったら食べてやるぞ!と思っていたもののひとつ「お好み焼き」を早速今日の昼ごはんに作りました。





らもらに
さて今日は中島美代子氏著『らも 中島らもとの三十五年』のご紹介です。


「没後3年、初めて明かされる真実の中島らも。
泥酔し階段から転落、52歳にして急逝した鬼才・中島らも。
半生を共に生き、1番の理解者で、妻である著者が、出会いから死に到るまでの35年を語る」


本書は破滅型の奇才と謳われた作家中島らもと奥さんであるミーとの高校生のときの出会いかららもが亡くなるまでの35年の回想の物語です。


「『僕お酒飲んでるから、そんなに長生きしない。覚悟しといて』
ことあるごとにそう聞かされていたから、今こうして彼がベッドに横たわっていることは、ある意味、私にとって練習問題を繰り返して臨んだテストのようなものだった」
「『階段から転げ落ちて死ぬという、そんなトンマな死に方がいいな』
つきあいはじめた頃からのらもの口癖だ。
だから、彼は自分が願っていたとおりに死んでゆけて満足しているだろう。
そうだよね?らも」

予言どおりのように酩酊してバーの階段から転落して意識不明の脳挫傷となったらもに著者が語りかける場面から物語が始まります。


朝日新聞に連載していた「明るい悩み相談室」の回答を手がけていた頃からのファンだった私は平行して彼の多くの作品を読んできました。


アルコールや法規すれすれの薬物に耽溺し、アルコール依存症での壮絶な入院生活を題材の吉川英治文学新人賞受賞作『今夜、すべてのバーで』など多数、笑殺軍団リリパットアーミーを主宰されて活動していたことでも有名です。


ヘロインを吸引しながら上梓した『裸のランチ』で有名なウィリアム・バロウズの生き方を崇拝していたらもの作品などを通してある程度の乱脈ぶりは知っていたつもりでしたが、本書では想像以上のらもとミーとの結婚生活に触れて驚きを隠せませんでした。

ヒッピーの生活がどういうものか具体的には知りませんが、私の想像上のヒッピーの暮らし以上のものがそこにあって。

決められた型からちょっと逸脱した灘高生と奔放な娘との幼い恋愛の末の結婚生活は前半こそ微笑ましさがあったものの半ば過ぎると様相が様変わり。


子ども2人のいる家はさながら世の常識の規格から外れた人々の集まりとなり、シンナー、アルコール、咳止めシロップを常用しながらのスワッピングの場所と化していく様子には唖然とするばかり。


らもの不機嫌を見たくなくて、スワッピングの強要に応じるミーにも驚きを隠せませんが、そうして夫婦としてのバランスを必死で取っていたのでしょう。


後半の相当の部分を費やしているのがリリパットアーミーのパートナーかつ愛人であったわかぎゑふとらもとの出会いから別れまで。

文章全体かららもの妻としての矜持が窺えて、本書はらもが亡くなるずっと前より関係を絶ってしまっていたにもかかわらずわかぎゑふに読ませたいという目的で書かれたのではないかとふと思えるほど、ミーの中ではわかぎゑふとの関係性に未解決の部分がたくさんあったのではと思えるものがありました。

そして亡くなったらもにも。


高校時代は作家になりたかったというミーのこの作品、らもへの語りかけにはなかなか切ないものがありました。