mixiで親しくさせていただいている方から、2004年春20代の若さで天国へと旅立たれた娘さんのホームページを紹介していただきました。
アイゼンメンジャー症候群という心室中隔欠損に肺高血圧を伴った原因不明の難病を持って生を受け、その病気と共に大きくなられた方でした。
有効な治療法はなく、唯一の道である心肺同時移植を行っても5年生存率は低いという予後の大変厳しい病気だったそうです。
シオンというハンドルネームを持つ彼女は生前、そのような状況下思いやりあふれ、明るく、しっかりした生を全うされたことがその手作りホームページを通して伝わってきて、胸があつくなる同時に切なさで一杯になりました。
亡くなる2ヶ月ほど前には次のような文章を残されています。
「妊娠・出産に関しては、命に関わる事。妊娠しても胎児が育たず流産するケースが殆どで、万一順調に育ったとしても、未熟児や、出産時に大量出血を起す危険性、無事出産しても急激に病状が進行し命を縮める結果になるのは必死らしい。
また、中絶も可也の危険が伴う為無理。
勿論、万が一命を授かるような事になれば、中絶する気など毛頭ない」
お母様によればそんなすてきな彼女をしっかり支えてくださるフィアンセもいらして、ご両親共々あふれる愛に支えられ、そして彼女からのあふれる愛で周りの人々を幸せにしてらしたのに・・・。
精一杯生き、突然逝った彼女のことを思うとき、私たちは何ともったいない雑な生き方をいているのか、と唖然とします。
家庭内暴力の末、事件を起こした青少年たちの事件調書を読むと、揃って現在の不本意な自分があるのは親のせい、と言います。
ご自分の病気をしっかり受け止め、自分のものとし、そして周りへの気配りを忘れず、いつも生き生きと短い人生を駆け抜けたシオンちゃんのことを上記の青少年たちに是非知ってほしいと思います。
http://syon25.com/
さて、本日は米原万里氏『打ちのめされるようなすごい本』をご紹介します。
著者米原万里氏はゴルバチョフやエリツィンなどが彼女を名指しするほどのロシア語通訳の第一人者であり、ロシア語通訳協会会長として有名な方ですね。
その文章力は衆目の一致するところで、『オリガ・モリソヴナの反語法』、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』、読売文学賞受賞作『不実な美女か貞淑な醜女か』など魅力的な著書が何冊かあります。
本書は、2006年5月56歳で卵巣癌の転移で他界する直前までの約300冊の書評がぎっしり詰まった宝石箱のような本です。
前半は週刊文春に連載されていた「私の読書日記」、後半は1995年から2005年までの書評140編が収録されています。
驚くべきは読書量の多さ、そして読書の幅の広さです。
マスコミなどの風説に流されることなく、ご自分の世界観を通しての語り口は小気味がいいほどです。
彼女の書評を通して特に強く感じたことは、ずばり作者に対する先入観のなさです。
その作者が文学史上、または社会的にどのように評価されているか、というようなことは彼女にとっては何の価値もない、と感じさせるようなきっぱりとした書評に感動を覚えました。
前半の「私の読書日記」の最後の3編には絶筆となった転移癌の闘病記が収められていて、様々癌治療に対するご自身の体験を通しての冷静沈着な分析の行間から見える切なる生への願いがぐんぐんと読み手である私の胸に伝わってきました。
それでもよく見かけるような涙を誘う内容ではなく、最後まで感傷に流されない怜悧な躍動感あふれる文章で、書評の元となった本よりも時にははるかに魅力的な書評を提供してくださった彼女のご冥福をお祈りしたいと思います。
私を含めた本好きな人々にとって、本との出合いの幅を大きく広げてくれるすばらしい本でした。
アイゼンメンジャー症候群という心室中隔欠損に肺高血圧を伴った原因不明の難病を持って生を受け、その病気と共に大きくなられた方でした。
有効な治療法はなく、唯一の道である心肺同時移植を行っても5年生存率は低いという予後の大変厳しい病気だったそうです。
シオンというハンドルネームを持つ彼女は生前、そのような状況下思いやりあふれ、明るく、しっかりした生を全うされたことがその手作りホームページを通して伝わってきて、胸があつくなる同時に切なさで一杯になりました。
亡くなる2ヶ月ほど前には次のような文章を残されています。
「妊娠・出産に関しては、命に関わる事。妊娠しても胎児が育たず流産するケースが殆どで、万一順調に育ったとしても、未熟児や、出産時に大量出血を起す危険性、無事出産しても急激に病状が進行し命を縮める結果になるのは必死らしい。
また、中絶も可也の危険が伴う為無理。
勿論、万が一命を授かるような事になれば、中絶する気など毛頭ない」
お母様によればそんなすてきな彼女をしっかり支えてくださるフィアンセもいらして、ご両親共々あふれる愛に支えられ、そして彼女からのあふれる愛で周りの人々を幸せにしてらしたのに・・・。
精一杯生き、突然逝った彼女のことを思うとき、私たちは何ともったいない雑な生き方をいているのか、と唖然とします。
家庭内暴力の末、事件を起こした青少年たちの事件調書を読むと、揃って現在の不本意な自分があるのは親のせい、と言います。
ご自分の病気をしっかり受け止め、自分のものとし、そして周りへの気配りを忘れず、いつも生き生きと短い人生を駆け抜けたシオンちゃんのことを上記の青少年たちに是非知ってほしいと思います。
http://syon25.com/
さて、本日は米原万里氏『打ちのめされるようなすごい本』をご紹介します。

著者米原万里氏はゴルバチョフやエリツィンなどが彼女を名指しするほどのロシア語通訳の第一人者であり、ロシア語通訳協会会長として有名な方ですね。
その文章力は衆目の一致するところで、『オリガ・モリソヴナの反語法』、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』、読売文学賞受賞作『不実な美女か貞淑な醜女か』など魅力的な著書が何冊かあります。
本書は、2006年5月56歳で卵巣癌の転移で他界する直前までの約300冊の書評がぎっしり詰まった宝石箱のような本です。
前半は週刊文春に連載されていた「私の読書日記」、後半は1995年から2005年までの書評140編が収録されています。
驚くべきは読書量の多さ、そして読書の幅の広さです。
マスコミなどの風説に流されることなく、ご自分の世界観を通しての語り口は小気味がいいほどです。
彼女の書評を通して特に強く感じたことは、ずばり作者に対する先入観のなさです。
その作者が文学史上、または社会的にどのように評価されているか、というようなことは彼女にとっては何の価値もない、と感じさせるようなきっぱりとした書評に感動を覚えました。
前半の「私の読書日記」の最後の3編には絶筆となった転移癌の闘病記が収められていて、様々癌治療に対するご自身の体験を通しての冷静沈着な分析の行間から見える切なる生への願いがぐんぐんと読み手である私の胸に伝わってきました。
それでもよく見かけるような涙を誘う内容ではなく、最後まで感傷に流されない怜悧な躍動感あふれる文章で、書評の元となった本よりも時にははるかに魅力的な書評を提供してくださった彼女のご冥福をお祈りしたいと思います。
私を含めた本好きな人々にとって、本との出合いの幅を大きく広げてくれるすばらしい本でした。