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ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2008年02月

「品格」本が大流行ですね。

辞書によると「人や物に感じられる気高さや上品さ。品位」だそうですが、では「品格」と「品位」の違いはどうでしょうか。

「品格」は節操、見識などの立派さや人間性を指し、「品位」は育ちのよさや社会的地位の高さを指すそうです。

「品格」本のさきがけとなったのは1998年に発売された詩人松永伍一氏著『老いの品格』
だそうですが、その後2005年に発売された数学者藤原正彦氏著『国家の品格』でブームを不動のものにしました。

2006年には川北義則氏著『男の品格』、岬龍一郎氏著『日本人の品格』、木村貢氏による『総理の品格』、そして本日ご紹介する坂東眞理子氏著『女性の品格』へと続きます。

その後もブームの継続を狙って『企業の品格』『父親の品格』『恋の品格』、『親の品格』というふうに何番煎じかわからないくらいの「品格」本にうんざりされている読者の方も少なくないのではないでしょうか。


さて、本日のレビュー『女性の品格』の著者の経歴に簡単に触れてみます。

東京大学卒業後、1969年総理府入省
内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事等を経て、1998年女性初の総領事(オーストラリア・ブリスベン)
2001年内閣府初代男女共同参画局長
2004年昭和女子大学教授を経て、昭和女子大学副学長、同大学女性文化研究所長


非の打ちどころのないすばらしい経歴の持ち主です。

私生活ではよき妻、よき母として今日に至っていらっしゃるようです。



さて、本書は簡単にいえばそんな優等生の書かれた一般論的な常識の羅列です。


著者は本書を書こうと思った理由を「はじめに」で3つ挙げていらっしゃいます。

第一は現代の社会における女性の生き方、役割が大きく変わり、伝統的な道徳が通用しなくなったにもかかわらず、新しい基準が確立せず、混乱が見られること

第二は女性の社会進出が進んだ現在、男性と同じような権力志向、拝金志向になってはならないと思う点

第三は現代は家庭の幸せだけを考えていればよいのではなく、地球レベルの品格ある生き方が求められるということ・・・だそうです。


こんなに爆発的に売れている本なので一味違う奥行きのある本を期待していましたが残念!

これが2006年に一大ブームを巻き起こした本!?

★礼状が書ける ★約束をきちんと守る ★型どおりの挨拶ができる ★長い人間関係を大切にする ★流行に飛びつかない ★贅肉をつけない ★花の名前を知っている ★思い出の品を大切にする ★無料のものをもらわない ★得意料理をもつ ★人に擦り寄らない ★プライバシーは詮索しない ★よいことは隠れてする ★愛されるより愛する女性になる ★恋はすぐに打ち明けない ★品格ある男性を育てる


本書を読んで、すばらしい、実行しなければ、とやる気になられた女性がいるということが驚きです。


無料のティッシュなどをもらったり、デパ地下で試食するのは品格に問題あり、と指摘していらっしゃいますが、私はどちらも実行している一般的な主婦、寒風の中アルバイトでティッシュを配っている若い女性に対して出されたティッシュを拒否するのも何だか品格以前の人間性の問題のような気もします。


平凡な人間から見ると、上から目線で実情にそぐわない型どおりのことをきれいにまとめているように思うのは僻みでしょうか。


言葉遣いは悪いけど情のある女性や、無料のティッシュをもらって助かったと素直に喜ぶ人、試食品をほおばっておいしいねって言える人、スーパーの特価品目がけて突進して少ない家計をやりくりする人、井戸端会議に興じてストレスを発散する人、これらみんな可愛く魅力的だと思うのは私だけでしょうか。

あまりに画一的なハウツー本に素直になれないへそ曲がりの自分が露出してしまいました。

ふきのとうのうた
                    作詞 さだまさし
ふきのとうが 咲いたよ
春は もうそこまで
君の笑顔に 似ているね
水辺で 輝いたよ

僕を忘れちゃ いやだよ
季節が 過ぎても
時々でいいから 少し
思い出してね



雪の話題が各地で聞える2月ですが、春はもうそこまでやってきています。

今日も実家の庭の枯葉の間に蕗のとうが顔を覗かせていました。

スーパーで買ったタラの芽とこごみと蕗のとうで天ぷらを揚げて、塩少々で食べました。

濃厚な早春の甘さと苦味が口いっぱいに広がって、春の尻尾を掴んだような幸せな気持ちになることができました。


さて、今日はジェフリー・ディーヴァー著の初の短編集『クリスマス・プレゼント』をご紹介したいと思います。

ディーヴァーといえばご存知リンカーン・ライムシリーズの代表作『ボーン・コレクター』がデンゼル・ワシントン主演で映画化され大ブレイクしましたね。

権威あるエドガー賞最優秀ペイパーバック賞にノミネートされた1988年著の『汚れた街のシンデレラ』を皮切りに、1994年には『眠れぬイヴのために』、1995年『静寂の叫び』、1997年『ボーン・コレクター』で本格派ミステリー作家としての地位を確立しましたね。


ちなみにリンカーン・ライムシリーズには他に『コフィン・ダンサー』『エンプティ・チェア』『石の猿』『魔術師』『十二番目のカード』『ウォッチメイカー』と続々上梓されています。


シリーズもの、ノンシリーズものも含めてスケールの大きな展開、しっかりした骨子で文句なしに読者を魅了している長編の数々ですが、今回ご紹介する初の短編集がこれまたすばらしい出来です。


16篇の収録作品の中のリンカーン・ライム登場の1篇“THE CHRISTMAS PRESENT”がそのまま邦訳のタイトルになったようですが、原題は“TWISTED”、こちらのタイトルの方がこの短編の内容にフィットするような気もします。


あの「ディーヴァー」が書く以上はすんなり終わるはずがない、という確信に似た信頼感で物語の冒頭から読み手を期待させ、そして必ず最後に原題の示唆するひねりを入れてきっちり読者を満足させる、これが16作全部に盛り込まれている、そんな短編集です。


少年時代からエラリー・クイーンやアルフレッド・ヒッチコックなどの短編小説の熱心な読者だったディーヴァーは初めて短編を書く機会を与えられたときのことをまえがきで書いていらっしゃいます。

「意外にも短編を書くのは、このうえなく楽しい作業だった・・・
短編小説の醍醐味は、ジェットコースターみたいな波乱万丈のストーリー展開ではない。
短編小説は、たとえるなら、狙撃手の放った銃弾だ。
速くてショッキングなものだ。
そこでは、善を悪として、悪をさらなる悪として、そして何より痛快なことには、究極の善を究極の悪として描くことさえできる」

このようにしてエンディングで見事に欺かれた読者の反応を楽しむことに集中した結果かどうか、すばらしいどんでん返しの16篇が紡がれたというわけです。


★夫ジョナサンがいない人生を考えただけで悲しみでいっぱいになるマリッサの心の中の驚くべき企みを描いた「ジョナサンがいない」

★ドラッグストアを襲って人質の客ウェラーと逃亡した犯人ジャックをネゴシエーター顔負けの説得術で翻弄するウェラーとジャックの運命のどんでん返しを描いた「ウィークエンダー」

★生まれながらの美貌に恵まれたスーパーモデルが選んだ究極のストーカー撃退法を描いた「ビューティフル」

★同じ高校の同窓生で保安官助手となったエドとボズの前に現れたかつてのいじめられっ子のネイトの密かな企みを描いた「見解」

★仕事の重圧からのストレスを解放するため週末の釣りを楽しみにしているエリートサラリーマンを描いた「釣り日和」

★リンカーン・ライムシリーズ初の短編「クリスマス・プレゼント」は意外な展開を見せる失踪事件にリンカーン・ライムとアメリア・サックスのタックを組んだ推理が冴えわたります。

★最後の「ひざまずく兵士」は、手塩にかけた純真な娘につきまとうストーカーを殺して服役した父親を襲ったある恐ろしい妄想を描いて秀作です。  


多くを書けばこれから読まれるみなさんの楽しみを奪うことになるのでこのくらいでストップします。

あとは読んでのお楽しみ!

日本三大奇祭の1つに数えられている岡山県西大寺会陽が無事に終わりました。

永正年間(1504年~1521年)、お寺で配られる護符にすばらしいご利益があると評判になり民衆が殺到したために、投げ与えたことが始まりとされています。

争奪戦が激化するにつれて、紙ではちぎれてしまうことから、室町時代の1510年当時の住職忠阿上人が牛玉を木に巻き付けた宝木に代え今日の木札に至って、呼び名も「真木」から現在の「宝木」と呼ばれるようになったそうです。

この時初めて会陽(春の意の「陽」に会う)と名付けられたといいます。

1959年には岡山県により重要無形民族文化財に指定されました。


2月の第3土曜日、午後11時ごろから境内に集まった裸の男性たちが水垢離で体を清めて押し合いをしながら先手観音と牛玉所大権現を詣でます。

夜12時になると皆が本堂に集まり、すべての明かりが消され御福窓から宝木が投げ入れられます。

クライマックスの宝木の争奪戦を制してうまく手に入れた者は福男と呼ばれ、その年の幸福が約束されるという言い伝えがあります。

昨年は20年ぶりに参加者が死亡するという事故があったため、今年は安全に万全の注意が払われたようですが、裸男9000人が争奪戦を繰り広げ、2グループが無事に宝木を獲得しました。


ちなみに日本三大奇祭は西大寺会陽のほか、岩手の黒石寺蘇民祭と大阪の四天王寺どやどやを指すそうです。

岡山では西大寺会陽が終われば本格的な春が訪れるといわれています。

名のみだけでない春が待たれる毎日です。



さて今回は五十嵐貴久氏著『交渉人』をご紹介します。


デビュー作『リカ』で第2回ホラーサスペンス大賞を受賞、

他に高校生の青春を描いた『1985年の奇跡』や『2005年のロケットボーイズ』、

世相を反映した事件を描いた『交渉人』や『TVJ』、『FAKE』、

時代物『安政五年の大脱走』、『相棒』など、それぞれタイプの異なるさまざまな分野に挑戦し続けていらっしゃいます。


本書の主人公は39歳の警視正、特殊捜査班一課課長兼係長代理石田修平、ネゴシエーター(交渉人)の本場であるアメリカFBIで研修を受けたキャリア組。

その石田を講師として交渉術訓練に抜擢されて参加し、優等の成績で卒業した生徒であるやはりキャリア組の遠野麻衣子が脇を固めて事件が展開します。


ここに登場するネゴシエーターとは人質救出作戦においての犯人との交渉に関する訓練教育を受け、専門的知識・技能を有している警察官を指します。

元々FBIが始めた「人質救出プログラム」がさきがけとなって、人質篭城事件の平和的解決に貢献しているということです。

日本では2005年から専門職としての交渉人が置かれているそうです。


さて本書ではコンビニを襲って現金を盗んで逃亡の末病院に立てこもった3人組の強盗に対し、交渉の役目を担って送り込まれた石田との間で息詰る交渉が繰り広げられます。

このように、この作品の中核をなすのは「犯罪者との交渉術」ですが、これが絵に描いたような教科書どおりのステレオタイプの展開で進むあたりに失望した読者も多かったのではないでしょうか。

前半部分の展開はスピード感を感じさせるものでしたが、私自身物語半ばにして著者が意図するラストが予想できた上、最大の見せ場ともいうべき犯行の動機に説得力がまったく感じられなかったことはとても残念です。

前半部分では主人公を補佐する女性警察官遠野麻衣子の石田に対する思慕を含めたからみつく視線が読者である私にとって非常に煩わしく、女性蔑視とお叱りを受けることを覚悟で言えば、からみの役目が女性でなく若い男性の警察官だったらまた別の雰囲気になっていたのではないかと思いました。


また終盤部分にきて、事件の締めに大活躍を見せる遠野麻衣子の不自然な力量に少なからず違和感を覚えてしまいました。

ただそれらを差し引いて、交渉術に関する基礎中の基礎を知ることができた点では興味深い本でした。

2、3日前電子レンジを使用していたら、途中でキ~ンといういやな高音を発してストップしてしまいました。

ムンクが叫べばあのような音域かと思うばかりの雄叫び!

あとは押せど叩けどもう甦ってくれません。(当たり前?)


思えば妻子もいやがる夫の単身赴任に文句も言わず付き添って各地を回ってかれこれ齢15年、恩義あるオーブンレンジなのに、大した感謝もせず乱暴に扱ったわが身が一瞬省みられたのも束の間、前々からほしかった魅力的な新機種を買う絶好のチャンスではないか、という不遜な考えが頭を占領しました。

一応夫の手前修理を提案したものの、やはり買った方がいいという結論に達し(有無を言わさず導いて)、それから暇に任せてオンラインショップを渡り歩いてオーブンレンジの売れ筋&低価格ランキングを見たり、口コミを読んだりしています。


で、ネットの海を彷徨っていると決まって感じることを今回もまた感じてしまいました。

あまりの情報の多さに私の脳では処理しきれなくなって、最後にはもうどうでもよくなってしまうのです。

当初はある機種に狙いを定めていたのに、各社夥しい新機種のしのぎにいつの間にか巻き込まれ目移り甚だしく、訳がわからなくなってきました。

だいたいこういう経過を辿って購入意欲がなくなってしまうのが常ですが、今回は必需品と化しているので何とかしなければ。

というわけで明日は量販店の店員さんに判断してもらいに行ってきます。



さて本日は浅田次郎氏著『プリズンホテル1 夏』をご紹介したいと思います。

1951年生まれの浅田氏は『地下鉄に乗って』で第16回吉川英治文学新人賞、

1997年『鉄道員』で第117回直木賞、

2000年『壬生義士伝』で第13回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞していらっしゃいます。


このブログでも『極道放浪記1 殺られてたまるか』、『姫椿』、『勇気凛々ルリの色 福音に付いて』をご紹介していますので、よかったら見てください。
    http://yaplog.jp/ashy_ashy/category_7/

本書は「プリズンホテル」シリーズ夏・秋・冬・春4巻のうちの初巻です。

1巻ずつで読みきりになっていますが、最終巻の「春シリーズ」はすべての物語のまとめ的な内容になっています。


売れっ子の極道小説作家木戸孝之介のたった1人の身内であるヤクザの大親分の仲蔵オジがオーナーとなった温泉リゾートホテル「奥湯元あじさいホテル」― 人呼んで「プリズンホテル」 ― を舞台に、熱血ホテルマン、天才シェフ、元ヒットマンのバーテン、小指のない番頭、タガログ語を話す仲居たちなどの登場人物に加え、客として現れた心中志願の一家、離婚届をバッグに忍ばせた妻とリタイアしたばかりの夫、そして甥の木戸孝之介とその愛人の清子など・・・任侠御用達の不思議なホテルに集うワケありの人々が繰り広げる笑いと涙の人情悲喜劇です。


ワケありの過去を持つ人々の何と含蓄のある言葉の数々!

逆にワケなしののっぺらぼう人生なんて、なんぼのものかと感じさせる物語になっています。


強いていえば、著者とリンクする主人公仕立ての極道小説家木戸孝之介の人間性がいちばん見劣りするような構成で「夏」は終わります。


作家さんが好んで描く教訓的なあざとさが最終章の「春」までほとんど感じられないよい仕上がりになっています。

最終章の「春」にはそんなあざとさがどっと押し寄せますが、それでもそんなあざとさも心地よいとばかりに全編不思議に癒されるのです。

心が疲れたときには当ホテルへどうぞ!

ニュースで、札幌医大病院の高度救命救急センターで7名の患者が多剤耐性緑膿菌に感染して死亡したとの発表がありましたね。

アメリカでは20年ほど前から院内感染の重要性を認識し、国を挙げて真剣に取り組んでいるそうですが、日本では実態把握に取り組み始めてまだ10年もたっていないそうです。


フレミングによって発見された最初の抗生物質ペニシリンはアオカビから作られたことは有名ですね。

最初は天然由来の微生物によって作られていた抗生物質も医学の進歩とともに工的に合成されたものが多くなってきているそうです。


抗菌剤である抗生物質の発見により人類が恐怖の細菌感染を克服することができるようになったのはすばらしいことですが、一方あまりの濫用が多くの抗生物質に耐性を示すといわれる黄色ブドウ球菌などの多剤耐性菌の出現を生んでいます。

院内感染では2006年の埼玉医科大学病院での発生が有名ですが、菌と菌との追いかけっこはこれからも続きそうですね。


日本では全国津々浦々、ウィルスの感染症であるかぜに罹患した患者に安易に抗生物質が処方されます。

日本呼吸器学界が発表したガイドラインには安易な抗生物質の処方を控えるべきだとの項目があるらしいですが、一向に改善されないのは製薬会社との関係に大きな問題があるような気もします。


前置きが長くなりましたが、沖縄旅行から帰ってかぜを引いて発熱した私が受診した開業医はよほどのことがないかぎり、抗生物質は出されません。

漢方治療にも診療を広げていらっしゃる先生で、今回もお茶にして飲む漢方薬と解熱剤を処方されただけです。

熱がしばらく続きましたが、マクロファージやT細胞、B細胞など自然の免疫体がウィルスに闘いを挑んでくれたお陰で、余分な薬を服用することなく元気になることができました!(^^)!


さて本日は石田衣良氏による短編小説『1ポンドの悲しみ』をご紹介したいと思います。

体調不良のときのベッドのお供は短編小説に限るという持論の私は今回をチャンスとばかり、積読本の中から短編ばかりセレクトして読みふけりました、それも軽いものばかり。


石田氏といえば1997年オール読物推理小説新人賞受賞作『池袋ウエストゲートパーク』で一躍脚光を浴びましたね。

テレビでもドラマ化され話題になりました。

2003年には『4TEENフォーティーン』で第129回直木賞

2006年『眠れぬ真珠』で第13回島清恋愛文学賞をそれぞれ受賞していらっしゃいます。

氏の作品ではその『4TEENフォーティーン』ほか、神戸児童殺傷事件をヒントに書き上げたといわれる『うつくしい子ども』、今回の『1ポンドの悲しみ』が私の読書歴です。

本書はもう1つの短編集『スローグッドバイ』と対で語られることが多く、20代の恋愛を描いた『スローグッドバイ』に対して、『1ポンドの悲しみ』は30代の恋愛が描かれています。


私は恋愛物は好んでは読みませんが、友人から回ってきた本として手元にありました。

「恋はときどき残酷で、だけどとても優しい。
10の想いのかたちを描いた、ショートストーリー集」と銘打った様々なかたちの恋愛、というか恋ごころを都会的なタッチで描いています。


都会に咲く花々の魅力を熟知していなければできない職業コピーライターとしての顔を持つ東京生まれの石田氏ならではの都会派おしゃれな恋愛話。


★同棲しながらなかなか結婚に踏み切れないカップルに訪れたきっかけを描いた「ふたりの名前」

★他人の幸せプランに奔走するあまり、自分自身の幸せまで手が届かないウェディングプランナー由紀の前に現れた恋を描いた「誰かのウェディング」

★予期せぬ束の間の恋に揺れる主婦の微妙な心を描いた「十一月のつぼみ」

★相手を探す目的でやってくるシングルバーで出会った女性によって女性観が変わる女性経験豊かなサラリーマンを描いた「スローガール」

★数百キロ離れて暮らす恋人同士の束の間の逢瀬を描いた表題作「1ポンドの悲しみ」


これら10編のどこにでもある小さな恋の物語に著者の手で美しいラッピングが施されて読者の元に届けられたときには洗練された都会の物語に変身している、というような著者の小粋な手法をお楽しみください。

    












石垣島を拠点に家族で離島巡りをしてきました。

この時期の石垣島は15℃から18℃、天候が安定せず旅行中ずっと小雨でした。

予定していた最南端の波照間島は波浪が荒く欠航となりましたが、西表島、由布島、竹富島には無事に行くことができました。

このコースは10年以上前にも回ったことがありますが、島の様子もほとんど変化なくその素朴さに胸を打たれます。

特に西表島から由布島まで400メートルほどの浅瀬を渡る水牛車。

多くて16名の観光客を運ぶ水牛にはそれぞれに名前がついています。

私たちを運んでくれた「ごろう」は御者の古老が三線を奏でながら島唄を唄うときはゆっくりのペースで、唄い終われば速足で目的地へ向かいます。

これが生を受けた役目とばかり真っ黒なつぶらな瞳で黙々と万力の力を出して島から島を往復する姿はあまりにも健気で、水牛車に乗るたびに申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

苦しいことや辛いこと、人にした親切など、それとなく周りに知らしめている私の卑小さが鑑みられてうなだれるばかりです。

アピールする行為の愚かさを今回も水牛から学びました。

我が家の周りで出会う犬や猫などにもいつも学んでいるのですが、なかなか矯正されない私です。



さて今回はパトリシア・コーンウェル著相原真理子訳『異邦人』をご紹介したいと思います。

ご存知検視官シリーズ第15弾、原題は‘Book of the Dead’、どういう経路で『異邦人』になったのか・・・今回は邦題の方が内容を表しているようですが。

もう買わない、との決心も書店の店頭に並んでいるのを見た直後に脆くもくずれ、今回も旅行のお供に購入してしまいました。

今回の舞台はサウスカロライナのチャールストン、第12弾『黒蝿』でスカーペッタはリッチモンドの検視局長を辞め、法病理学のコンサルタントとして居を構えています。

姪のルーシーは私的捜査機関「ラストプリシンクト」を主宰、秘書ローズもリッチモンド市警を辞めたマリーノもスカーペッタの要請を受けてチャールストンへ定住します。

そのチャールストンを起点にイタリアのローマで起きた惨殺事件解明の要請を受けたスカーペッタを軸に、いろんな人間模様が展開します。

ボストンのハーヴァード大学付属機関のマクリーン病院で法心理学者として活躍している恋人ベントンとの微妙な齟齬、

そのベントンから婚約指輪を贈られたことから嫉妬に心が壊れてしまったマリーノ、

長年信頼して共にしてきた秘書ローズを襲った深刻な病、これら何重もの苦難に立ち向かうスカーペッタに仕事への余力が残されているのか不思議なほどですが、今回も各所に散りばめられた伏線と思しき暗示のかけらを見事にはめ込んで事件は終盤へ突入します。

事件の中核である犯人「サンドマン」の生い立ちが信じられない状態で物語に出てくる主要人物にリンクしていくのも今までとほぼ同じパターンです。

現在愛を育んでいるベントンも過去9作目で死亡、11作目で状況が明らかになるという経緯からみても、「信じられない」展開に戸惑う読者は私だけではないのではないでしょうか。


検視官シリーズを読んでいつも感じることは単純な私たち読者にとてつもなく無理な設定を据え、緻密なプロットを散りばめ、最新テクノロジーを駆使しての捜査テクニックで私たちを翻弄するパターンが見えてしまいます。

これはトマス・ハリスの『ハンニバル』あたりからも顕著に見られた設定であるように感じました。


信じられなくもあちこちに無関係に浮遊していた欠片が最終章でつながりを見せ、一挙にりっぱなパズル板となるというパターンに今回も「やっぱり」感を拭えませんでした。

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