11月6日の松葉ガニの解禁を待って、友人と3人で兵庫県の本場・香住のカニ宿でフルコースを食してきました。
ズワイガニのうち、兵庫県北部、京都府北部、鳥取県で水揚げされるものが松葉ガニという名称で呼ばれています。
ちなみに福井県で水揚げされるものが有名な越前ガニです。
それぞれの場所で水揚げされるカニには一匹ずつタグがついていますが、各漁港によって色を変えていてどこの漁港の水揚げかを識別できるようになっています。
いわゆるカニの血統書のようなもの。
香住の松葉ガニのタグは緑色。
私たちが行った日の朝まで2日ほど悪天候で相当海が荒れて水揚げが難しかったのではと想像しながら食べたカニのうち少々水っぽかったものがあったので、もしやロシア産の冷凍が混ざっていたのではないかという悪い想像が私たちの頭を駆け巡りましたが、ひとまず満腹しました~。
今回は提供されませんでしたが、好みでいえばメスの勢子蟹がいちばん好きです。
地方によって「せいこ蟹」「こっぺ蟹」「香箱」など呼び名もいろいろですが、少し前までは山陰でしか見られなかった勢子蟹が最近は岡山でもたくさん見られるようになり簡単に買うことができるようになりました。
でもカニを食するにはある程度の体力が必要、かぜなどで心身が弱っているときには食べられませんね。
主婦である私はB級食材に安心感があり、キャビア、フォアグラ、トリュフ、マツタケやふぐは名前を聞いただけで拒否反応を起こす貧乏性の体質ですが、カニは大好きなので自分の都合だけで無理やりB級の仲間入りさせて納得しています。
でも一生の終わりに食べたいものは、と聞かれれば、カニではなく塩じゃけか梅干しに炊き立てごはんと答えます。
さて本日は私にとって初めての作家さんです。
谷村志穂氏著『余命』
図書館で物色中、返却されたばかりの文庫の中にありました。
「がんと闘い生を勝ち取るか、子供を産み命を託すか。余命を決めるのは自分-。
妊娠と同時にがんが再発した女性医師の下した壮絶な決断とはーー。
命あるものすべてを抱きしめたくなる感動長篇」
今年2月に同名のタイトルで松雪泰子を主演に、夫役に椎名桔平を配して映画化され反響を呼んだそうです。
ちなみにイメージとして松雪泰子は適役。
結婚10年目で初めて妊娠した38歳の外科医・百田滴が主人公。
妊娠がわかった直後に14年前に治癒したはずの乳がんの再発を自己診断で認め、治療か出産かの2者選択の岐路をひとりで乗り越えて出産するというストーリー。
主人公の強靭さと話題性のあるがん&余命、そして新しい命誕生という共感されやすい主題を盛り込んで美しい物語に仕上げているようですが、読後感は「ちょっと待って」という感じ。
見開きに作品の内容に関係ある古今東西の思想家などの箴言や聖書からの言葉を引用するというのが外国文学から流行りだし、日本でも引用文を載せた作品が多くみられるようになりましたが、本書でもマラキ書からの引用文が引かれていました。
「わたしはあなたたちを愛してきたと 主は言われる。
しかし、あなたたちは言う。
どのように愛を示してくださったのか、と」
最初にこの言葉を見て、読了後また戻ってみましたが、自分の違和感が拭い去れず、逆に自分の浅読みを突きつけられたような気分にすらなりました。
そして、次にページには「ある夫婦の物語である」という一文が記されています。
これにまた大きな違和感!
あらすじの詳細は省きますが、本書は「夫婦の物語」というより「主人公自身の物語」というのにふさわしいと感じたのは私だけでしょうか。
主人公の母性からなる孤独で雄々しい決断の結果、大きく人生の転換の必要性を迫られる結果になった夫はあとづけの副産物のような、そんな気がしました。
いったんは夫や友人たちの存在を表面的には拒否しながら、夫や周囲の助けなしでは子どもとの余命を過ごしえない状況を真実の夫婦の物語、そして大いなる母性のすばらしい物語として終結させたのがどうにも腑に落ちませんでした。
ズワイガニのうち、兵庫県北部、京都府北部、鳥取県で水揚げされるものが松葉ガニという名称で呼ばれています。
ちなみに福井県で水揚げされるものが有名な越前ガニです。
それぞれの場所で水揚げされるカニには一匹ずつタグがついていますが、各漁港によって色を変えていてどこの漁港の水揚げかを識別できるようになっています。
いわゆるカニの血統書のようなもの。
香住の松葉ガニのタグは緑色。

私たちが行った日の朝まで2日ほど悪天候で相当海が荒れて水揚げが難しかったのではと想像しながら食べたカニのうち少々水っぽかったものがあったので、もしやロシア産の冷凍が混ざっていたのではないかという悪い想像が私たちの頭を駆け巡りましたが、ひとまず満腹しました~。
今回は提供されませんでしたが、好みでいえばメスの勢子蟹がいちばん好きです。
地方によって「せいこ蟹」「こっぺ蟹」「香箱」など呼び名もいろいろですが、少し前までは山陰でしか見られなかった勢子蟹が最近は岡山でもたくさん見られるようになり簡単に買うことができるようになりました。
でもカニを食するにはある程度の体力が必要、かぜなどで心身が弱っているときには食べられませんね。
主婦である私はB級食材に安心感があり、キャビア、フォアグラ、トリュフ、マツタケやふぐは名前を聞いただけで拒否反応を起こす貧乏性の体質ですが、カニは大好きなので自分の都合だけで無理やりB級の仲間入りさせて納得しています。
でも一生の終わりに食べたいものは、と聞かれれば、カニではなく塩じゃけか梅干しに炊き立てごはんと答えます。

谷村志穂氏著『余命』
図書館で物色中、返却されたばかりの文庫の中にありました。
「がんと闘い生を勝ち取るか、子供を産み命を託すか。余命を決めるのは自分-。
妊娠と同時にがんが再発した女性医師の下した壮絶な決断とはーー。
命あるものすべてを抱きしめたくなる感動長篇」
今年2月に同名のタイトルで松雪泰子を主演に、夫役に椎名桔平を配して映画化され反響を呼んだそうです。
ちなみにイメージとして松雪泰子は適役。
結婚10年目で初めて妊娠した38歳の外科医・百田滴が主人公。
妊娠がわかった直後に14年前に治癒したはずの乳がんの再発を自己診断で認め、治療か出産かの2者選択の岐路をひとりで乗り越えて出産するというストーリー。
主人公の強靭さと話題性のあるがん&余命、そして新しい命誕生という共感されやすい主題を盛り込んで美しい物語に仕上げているようですが、読後感は「ちょっと待って」という感じ。
見開きに作品の内容に関係ある古今東西の思想家などの箴言や聖書からの言葉を引用するというのが外国文学から流行りだし、日本でも引用文を載せた作品が多くみられるようになりましたが、本書でもマラキ書からの引用文が引かれていました。
「わたしはあなたたちを愛してきたと 主は言われる。
しかし、あなたたちは言う。
どのように愛を示してくださったのか、と」
最初にこの言葉を見て、読了後また戻ってみましたが、自分の違和感が拭い去れず、逆に自分の浅読みを突きつけられたような気分にすらなりました。
そして、次にページには「ある夫婦の物語である」という一文が記されています。
これにまた大きな違和感!
あらすじの詳細は省きますが、本書は「夫婦の物語」というより「主人公自身の物語」というのにふさわしいと感じたのは私だけでしょうか。
主人公の母性からなる孤独で雄々しい決断の結果、大きく人生の転換の必要性を迫られる結果になった夫はあとづけの副産物のような、そんな気がしました。
いったんは夫や友人たちの存在を表面的には拒否しながら、夫や周囲の助けなしでは子どもとの余命を過ごしえない状況を真実の夫婦の物語、そして大いなる母性のすばらしい物語として終結させたのがどうにも腑に落ちませんでした。