VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2011年06月

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当地に落ち着くまで全国を転々としたので行く先々で銀行口座を開くことを余儀なくされ、主要都市銀行だけで3つに加え郵便局に口座がありましたが、当地で再就職した夫の勤務先の関係で中国銀行に1つ、計5つ、これらそれぞれに夫と私名義の口座があり、シンプルに過ごす生活スタンスにあまりにも反するので昨年大分整理しました。


長かった神戸時代、住まいの近くにあった旧三和銀行で開いた口座をその後も持ち続けて現在に至っていますが、その三和銀行も東海銀行と合併してUFJ銀行となり、2005年には東京三菱銀行と合併して現在の三菱東京UFJ銀行という長~い名前の三大メガバンクの1つになってすっかり雰囲気も変わってしまいました。


神戸・岡本にあった旧三和銀行支店でいつも店内で案内してくださる初老の銀行員の方の雰囲気がとてもよく私も彼のファンのひとりとして退職されるとき小さな花束を差し上げた思い出があります。



私のような一般の利用者は給与振込みや引き落とし、普通や定期預金で利用するのがほとんどで、最近は証券会社と同じように投資信託や債権などの商品の売り込みなどに接するくらいですが、ときたま新聞などで大企業の倒産記事などに出くわすと銀行の存在が大きくクローズアップされて銀行の役割の大きさを学んだりします。



先ごろ美術館やインターフェロン、トレハロースでおなじみの地元の超優良企業だと認識していた林原グループの1500億円の負債と粉飾が明らかになってメインバンクの中国銀行の奮闘虚しく会社更生法による再建の道を選ばざるを得なかったqことは新聞の経済欄などに大きく取り上げられたのでご存知の方も多いと思います。


結果長年のなれあいで粉飾を見逃したとして中国銀行の頭取が引責辞職したという経緯があります。



前述の三和銀行を退職された行員の方は一般の銀行員とは一線を画した「庶務行員」という名前の役職だったのだと知ったのは今日ご紹介する作品を読んだ先日のこと。



池井戸潤氏著『仇敵』



先日アップした『鉄の骨』がたいへん文章力がしっかりして読み応えがあったのですっかり池井戸ファンになった私はその後何回かに分けてamazonで彼の著書を7冊も購入してしまいました^^;



旧三菱銀行のバンカーであった著者ならではの細部にわたっての銀行内部の描写が不案内の私にとって大変興味深く、久しぶり新しいおもちゃを与えられた子どものようなワクワク感で読んでいます(^^)



なのでこれからのレビューは池井戸氏一辺倒になるかもしれません。



「幹部行員の裏金工作を追及した恋窪商太郎は、謂れなき罪を着せられメガバンクを辞職
エリートから地方銀行の庶務行員となるが、人生の豊かさを知る。だが、
元ライバルからの電話が再び運命を揺るがす―。
不正を知った男は謎の死を迎え、恋窪は“仇敵”への復讐を誓う。
乱歩賞作家、渾身の連作ミステリー」



メガバンクの企画部の次長職というエリート街道まっしぐらだった1年前、幹部行員の裏金工作を追及したかどで謂われなき罪を着せられ辞職に追い込まれ、地方銀行の庶務工員となった42歳の恋窪商太郎が主人公の連作短篇。


それぞれの短篇はあることがきっかけで恋窪の秘めた実力を知ったその地方銀行の若手行員の松木が恋窪に相談をもちかけ解決していくという連作になっていますが、それらの問題点を掘り下げ処理していくうちにかつて自分に謂われなき罪を押し付けた仇敵に行き着き終局へ向かうという構成になっています。


途中殺人が起こったりしながら水戸黄門のドラマにみられるような勧善懲悪のラストが予定調和的に用意されていてそんなバカなと思うこともなきにしもあらずですが・・・そこは銀行員を長く経験された著者ならではの現場のリアリティを織り交ぜた自然の流れの筋書きで読者を魅了してくれます。


庶務行員の恋窪を何かと頼りにする入行3年目の松木が恋窪を通して稟議書や決算書の取り組み方や見方を学びながら成長していく様子がこの連作に付加されていて私も松木の学びに添って銀行というものの奥深さというか闇を学ぶことができた貴重な1冊でした。


お勧めです!



連日の猛暑、体が対応するだけでも大変な毎日になりましたね。


ついこの間までは東日本の状況から節電するぞ!という意気込みだったのに早くも腰砕け、一昨日からエアコン始動しています。


5月の連休明け、恒例のゴーヤ植えの準備でホームセンターに行ったところ昨年まではたくさんの種類のゴーヤの苗が所狭しと並んでいてどれを選ぶか迷ったほどだったのに今年は選ぶどころか、2本の苗しかありませんでした。


私と同じ目的で買いにこられていた人々も戸惑っている様子。


お店の人に聞いたところずっと入荷待ちだとか。


節電が重要テーマの東京周辺の住民が緑のカーテンで少しでも節電を、ということで都会でゴーヤの苗の買占めブームが起こっているそうです。


その後何度かホームセンターに足を運びましたが入荷する様子もないので今年は2本の苗で勝負していますが、すでに緑のカーテンの役目としてはなかなかのものです。



エアコンの効いた室内から眺めるなんて不届き千万という感じですが、緑が目に優しく癒されています。




さて今日は小池真理子氏著『無伴奏』です。



「その果てに待つものを知らず、私はあなたを求めた――。
多感な響子は偶然に出会った渉に強く惹かれるが、相手の不可解な態度に翻弄される。
渉に影のように寄り添う友人の祐之介と、その恋人エマ。
彼らの共有する秘密の匂いが響子を苛み、不安を孕んで漂う四角形のような関係は、遂に悲劇へと疾走しはじめる。
濃密な性の気配、甘美なまでの死の予感。
『恋』『欲望』へと連なる傑作ロマン」



舞台は学園紛争やデモ盛んな1960年代の杜の都・仙台。


若かりし頃の著者と等身大の17歳の主人公・野間響子と東北大の学生・堂本渉21歳の危うい恋の物語。



危機感のない凡庸な日常から何の根拠も持たずただひたすら脱皮したいとあせっていた日々は、言い換えれば今にも折れそうな繊細な精神とともに薄っぺらな反体制=自己の証のような軽薄さを合わせ持つ青春時代の特権といえるのではないでしょうか。



年齢は著者より少し年長ですが、作品の時代背景は自分の青春時代と同色で、お互い過ごした場所は異なりますが甘酸っぱい懐かしさを誘う作品でした。



青春とは何とキザで鼻持ちならない自己表現の場だったのだろうというのがこの作品を通しての思いですが、反面そういった青春の危うさが今の自分には抱きしめたいほど愛おしく感じられて切なくなりました。



作品の内容から逸脱してしまいましたが、現実に仙台市にあったというバロック音楽の喫茶店「無伴奏」を舞台に運命的に出会った男女4人のそれぞれのカップルの行く末が主人公・響子の目を通して語られていくのですが、当時としては衝撃的な愛の形と結末が思い切った筆致で描かれていて私たち読者にとって小池真理子氏の予定調和的な予感が外れない作品となっています。



著者の作品は非日常のオカルティックなものが主流を占めていると思いますが、本書は純粋な恋愛小説です。



ある編集者との打ち合わせで彼が自分と同時代に仙台に住んでいたことを知り、当時の町並みや学園紛争の話、学生たちの通っていた喫茶店の名前、当時流行っていた本や音楽について盛り上がった一夜が著者の本作執筆の強い動機になったという本書、書いている間中楽しくてずっと書き続けていたいと思った思い入れの深い作品であったと「あとがき」に著者ご自身が書いていらっしゃいます。



余談ですがこの後『恋』、『欲望』と続く小池真理子氏の三部作が出来上がり、前者の『恋』で1995年に直木賞、後者の『欲望』で1998年に島清恋愛文学賞を受賞されました。

先日婚活をテーマの番組を観ていたら最近囲碁を打つ若い女性がうなぎのぼりに増えているというニュースをやっていました。

ひと括りに名づけるのが好きなマスコミ関係によってかそんな彼女たちは「囲碁ガール」と呼ばれているそうです。


「森ガール」や「山ガール」、「歴女」などがマスコミに度々登場してつい名前を覚えてしまいましたが、今回は「囲碁ガール」。


その「ガール」たちの逞しさは趣味で囲碁を覚えるだけでなく今までほとんど男性社会だった囲碁の世界でこれぞという男性を探すのがお目当てだとか。


すでにある都会の囲碁クラブでは何組ものカップルが成立して結婚した例もあるそうです。



夫は若い頃から今に至るまで囲碁が下手の横好きで在職時代から囲碁クラブに所属して定期的に打っていますが、今のクラブでも熟年の女性が1人いる以外全員男性だそうです。



こんな色彩的にも冴えない男集団にこれからどんどん若い女性が参加したら男性は張り切るのではないでしょうか。


夫の場合ちょっと時遅かりしですが^^;



写真は参加している囲碁クラブで毎年催されるリーグ戦で先日優勝した夫。   0eb6da8e.jpg




貧しいクラブなので中身は2000円の商品券。






さて本日は北杜夫氏著『奇病連盟』をご紹介します。



随分古い作品ですが、最近笑い本を求めてネット検索していたら本書に何度もヒットしたのでamazonで購入しました。



「歩き始める4歩目ごとにピョコリピョコリとのびあがる奇癖の主・ピョコリ氏こと山高武平。37歳にもなって独身、うるさい古風な母親と二人暮らしのさえないサラリーマンの彼が『奇病連盟』にスカウトされた。
次々と彼を襲う奇妙きてれつな体験と遅すぎるロマンスを著者独特のユーモアで描かれた作品」



笑いを期待していた私には期待外れでしたが、古きよき昭和のつつましいサラリーマンの日常が著者の独特の目線で描かれていて心温まる作品になって不思議に癒されます。



「奇病」というより「奇癖」の持ち主である主人公・山高武平の人物設定に著者の「あるがままの自分を受け入れて自然体で生きること」という生きる上での大切なスタンスが込められていて共感を呼びます。



自分の奇癖に悩んでいた武平がその奇癖も含めての自分であるという考えに気づいていく過程が「奇病連盟」の他のメンバーの逸話を交えながら語られていて、気がつけばいつの間にか物語自体が「小団円」に落ち着いているという好ましい内
容。


著者ご自身が長年躁鬱病を患って躁病と鬱病をあるローテーションで繰り返すというのを度々エッセイなどで拝見しているせいか弱い立場の人々を擁護するような柔らかな眼差しが感じられる作品でした。


最近不調なので実家の片付けもパスして家でダラダラと過ごしています。


これほどのマイナスのスパイラルに入ったのは何年かぶりでやる気の指標であるブログ更新もいい加減です。


寝ながら読書は惰性の習慣で続けていますが、読む本読む本があまり興味を惹くものがなく合間に図書館で借りた「いじわるばあさん」や「エプロンおばさん」で凌いでいます。


それにしても感心するのは長谷川町子さんの何と世相を見る目の確かなこと!


生涯独身だったということですが、家族間の機微にも精通していてユーモアのセンス抜群、そして何よりも頭を捻らなくともすっと入ってくるわかりやすさがすごいですね。


朝日新聞土曜日版で昭和の世相にリンクした「サザエさん」の特集をやっていますが、その時代その時代の世相を先取りして生き生きと表現しているマンガのテクニックもさることながら幅広い知識には目をみはるものがあります。


改めて長谷川町子さんの偉大さに感服しています。



そんな中、久しぶりに毎晩読むのが楽しみな本に出合いました。



池井戸潤氏著『鉄の骨』


1年ほど前、SNSで親しくしていただいているUNIさんの日記で紹介されていた作品、レビューがとても興味惹かれるものだったので是非読みたくて図書館に行く度検索していましたが在庫に巡り合えず、先日やっと借りることができました。


図書館の予約に縛られるのがいやなのでついつい自然に任せてしまうので人気本はこんなにかかるのです。



著者は大学卒業後三菱銀行入行を経てコンサルタントとして独立
1998年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞受賞
2006年『空飛ぶタイヤ』で第28回吉川英治文学新人賞候補&第136回直木賞候補
2008年『オレたち花のバブル組』で第22回山本周五郎賞候補
2009年『鉄の骨』で第142回直木賞候補&第31回吉川英治文学新人賞受賞
2010年『下町ロケット』で第24回山本周五郎賞候補   その他著書多数



「談合。
謎の日本的システムを問う感動大作!
建設現場から“花の談合課”へ。
若きゼネコンマン富島平太は、会社倒産の危機に役立てるか。
大物フィクサーとの出会いの真相は――この一番札だけは、譲れない」



主人公は建設部門と土木部門を有する中堅ゼネコン一松組に入って4年目の富島平太。


ある日突然の社命で建設現場から業務課への異動を命じられるところから物語がスタートします。


別名・談合課と呼ばれている業務課は大型入札に関する談合の駆け引きを一手に引き受けるのが業務内容。



逮捕者を出して新聞ダネになるゼネコンの「談合」については犯罪であるという認識はあるものの深い知識のなかった私も、同じくゼネコンの社員でありながらゼネコンの光の当たる現場に生きがいを見出した4年目の駆け出し・富島平太と共に「談合」というゼネコンの深い闇のトバ口で右往左往しながら王道でない社会のシステムを学んでいくという作品。



「談合」の何たるかも知らない真っ白な平太を主人公に据え、徐々に建前だけではどうにもならない建築業界の裏を知らせていくという著者の企みの結果、私のような通り一遍の知識しかなかった読者にも大変取っつき易い作品となっているのではないでしょうか。


経済市場が開放されている日本では私企業の発注する工事などに関しての業者間の入札は自由競争であるという認識ですが、この場合でも業者間の利潤を均すという目的で業者同士の談合は多かれ少なかれあるのはいうまでもありません。


ここで問題になっているのは官公庁工事における談合の可否。


「昔と違って、いまはどこのゼネコンにも余裕がない。談合は利益の分配システムというより、生命維持装置といったほうが実体に合致している気がする」


美しい正義感でいえばゼネコンの談合体質は不正という名の社会悪であると思いますが、本書ではその談合を不正と認めつつ「必要悪」という中途半端な表現で受け入れざるを得ない建設業界の深い苦悩がさまざまな立場の登場人物を通して描かれていて秀逸です。


コンプライアンスなど通り一遍の耳障りのいい正義を表わす言葉で飾られた企業理念と現実との深いギャップをこれでもかと知らしめているところもこの作品のポイント。


海千山千の建設業界の登場人物たちとその間で右往左往する若造・平太との対比、経営悪化の一松建設とそのメインバンクである白水銀行の微妙な関係など、読ませどころ満載。


そして圧巻は談合という裏世界に君臨するフィクサーと大手ゼネコン、一松組を代表する常務の三様の複雑な思惑が火花を散らす終盤での胸のすくような大逆転劇が著者の手で用意されていてストーリーテラーの底力を見せつけられるというもの。


是非どうぞ!

最近新聞などで「傾聴ボランティア」という言葉をよく見かけます。

自治体としては9年前船橋市がスタートしたのが初めてだそうです。

同市の場合、福祉サービス公社の40時間の講習を受け、会話の内容には守秘義務が課せられるというのがボランティアの最低条件だそうです。


船橋市のような公的サービスだけでなく有料の話し相手サービスの一例を挙げると、「聞き上手倶楽部」は電話で話を聞いてもらうだけで10分千円の料金がかかるというもの。


戦後の急激な復興の結果、住まいの形状も激変し個人主義的暮らしの追求の結果大家族制が崩れ老人から若者まで孤独の下の生活を強いられている人々が増えて続けているという日本の現状に目をつけたようなこれらの事業は雨後の竹の子のように全国で増えているそうです。 



電話相談の先駆けといわれる「いのちの電話」は1950年代にオーストラリアの小さな教会で始まり、日本でも一部のキリスト者によって1969年に発意され、今では社会福祉法人の認可を受けて全国へ広がって今日に至っています。


「いのちの電話」の例を挙げれば2年間の様々な研修のあと適任と認定された人にのみ相談員の資格が与えられますが、その後も指導者の方々のもとでの定期的な研修を積みながら電話を傾聴します。



「いのちの電話」の相談員を10年していた経験を通して「傾聴」の難しさをいやというほど経験した私は次々生まれているという有料電話サービスでそのような細心のトレーニングがなされているのかという疑問が拭えません。


私自身ラインの向こう側にいるコーラー(相談者)の長い沈黙に耐え切れなかったことやほんの一言三言交わしただけでコーラーに電話を切られたことも数え切れないほど。


そして別の角度からみると、果たして傾聴のみに徹するのがコーラーにとってベストなのかという疑問が私の中であります。


人生の岐路に立ってさまざまな助言や情報の中からその1つを選択するのは自分自身であるのはよく理解していますが、翻って私自身がコーラーなら信頼する相談相手に選択肢を提供してほしいし、自分ならどれを選択するかという示唆を与えてほしいとの思いもあるからです。


自分自身を分析してみると、プライベートに人から相談されたときその悩める問題を打破する道はないかと真剣に考えて最大限の努力でいくつかの具体的な選択肢を提供する傾向があります。


「傾聴」とは真反対の行為で自分が示唆したために受けた人がそれを選択し結果的に悔いることもあるという危険性を孕んでいるということを踏まえてもなお、いまだに自分の中で傾聴のみのキャッチボールに明確な答えが出ません。



世間ではそんな行為はおせっかいとか触らぬ神に祟りなしなどの言葉で批判するし、私自身反省することも数多くありましたが、少なくとも結果を恐れるあまり自分を安全圏に置いて傍観するよりおせっかいを選んでしまう自分を変えられないでいます。




さて本日は湊かなえ氏著『Nのために』をご紹介します。


『告白』 『少女』 『贖罪』に次ぐ第4作目。


「大学一年生の秋、杉下希美は運命的な出会いをする。
台風による床上浸水によって、同じアパートの安藤望・西崎真人と親しくなったのだ。
努力家の安藤と、小説家志望の西崎。
それぞれに屈折とトラウマ、そして夢を抱く三人はやがてある計画に手を染めた。
すべては『N』のために──」



ある夫婦の殺人事件で幕があがり、現場にいた4人の関係者の証言によってその夫婦との関係が明らかになる前半部が終わると、登場人物それぞれの独白が目まぐるしく交代して続き、それぞれの過去との関連性が明らかになるという構成になっています。


全員が頭文字Nで始まる名前を持つ登場人物の相関関係が各々の側から語られ、それに並行してそれぞれの過去のトラウマに触れるといういくつもの伏線が周到に用意されているというもの。


殺人事件を巡って登場人物たち全員がそれぞれ大切に思っていたNのために行動したというのがこの物語の核になるのでしょうが、あまりの冗長なモノローグのために肝心の我が身を犠牲にしてもNを守りたいという真摯さが感じられず共感に乏しい感を受けました。


このような構成をドキドキしながら読み進める読者もいると思いますが、最近饒舌かつ複雑な登場人物の背景語りが苦手になっているので途中から早く終わらないかなと思いながらやっと惰性で読了しました。


『告白』はおもしろく読みましたが、続く『少女』『贖罪』は辟易感があとに残る読後感で、あまり肌の合わない作家さんだなあと思っていたのについ本書を図書館で見つけて手にとってしまいました。



とにかくここしばらく自分の中で★★★★以上の作品に出合わないのが残念です。

これは受け入れ側である自分の心身のコンディションとも関係があると思いますが。


思わず笑いを誘うような、もっといえば爆笑できる作品を求めています。


どなたか推薦してくださいませんか。

ソユーズ打ち上げが成功しました!


幼い頃観た「ウルトラセブン」とアポロ11号で宇宙に憧れ、東大卒業後外科医として勤務しながらも夢を諦めず、13年前宇宙飛行士候補としてスタート、その間搭乗機会を逃しながらずっと腐らず諦めず弛みない努力の結果ソユーズ搭乗を掴んだ古川聡さん。


ちなみにウチの長男も幼い頃ウルトラマンや仮面ライダーに命を賭けて風呂敷のマントを翻してショッカーと日夜戦って地球の平和を守ってくれていたんですけど残念ながら・・・今は平凡なサラリーマンで地を這った生活をしています^^;


47歳で叶った夢の背景には決して諦めずコツコツ目標に向かって積み重ねのたくさんの努力があったそうです。


そんな古川さんとソユーズというのがぴったりという感じで嬉しいです。


日本実験棟「きぼう」の維持管理のほか、抗がん効果が期待される物質の結晶実験などを担当されるそうですが、古川さんのはじけるような笑顔のおすそ分けをもらって私も勇気を与えられました。




「幸運を作るというのは、つまり、条件を自ら作ることである」

「偶然しか信じぬ者は、下ごしらえをする者を笑う。
 下ごしらえをする者は、なにも気にしなくていい」

「なにか新しいものを手にするには、新しいことを自らしなくてはならぬ」

「運と幸運は、まったく別のものなんだ」




古川さんの生き方にぴったりのメッセージがいっぱい詰まった本が今日の作品です。


アレックス・ロビラ&フェルナンド・トリアス・デ・ベス氏著『グッドラック』



「それは五十四年ぶりの運命の再会だった―。
公園のベンチで幼なじみのジムと隣り合わせたマックスは、仕事も、財産も、すべてを失い変わり果てた友人に、祖父から聞かされた『魅惑の森』の物語をかたった。
奇蹟のラストへ、七日間の旅が始まる」


マーケティングとビジネスが専門でMBAホルダーでもあるというロビラとベスの共著という形をとった作品です。


「ビジネスの啓蒙書」または「哲学書」とカテゴライズされていますが、その枠を超え、大人から子どもまで読める魅力的な内容になっています。


物語の導入部分で幼馴染のジムとマックスー人生で負の部分と勝の部分をそれぞれ背負った男-の再会があり、現在日の当たった場所にいるマックスが打ちひしがれたジムにある寓話を語るという構成になっています。


その寓話の登場人物である2人の騎士も光と影のごとき対比として描かれ、成功と不成功を分けた2人の来し方の差異が何によるものであるかというのを静かに掘り下げて示唆しています。


幸運は神が授けるものではなく平素からの弛まない努力によって地道な下ごしらえした者に与えられるというメッセージ。



穿った読み方をすれば、万人にあるという幸運というものを掴むチャンスですが見回せば地道に努力してもなおかつ掴めない人々が多い世の中。


またチャンスを逃すばかりでなく幸せに背を向けて自ら破滅へと惹かれていく人々もいます。


それでもなお素直に「幸運は誰にでも手にできるチャンスがある」と信じたくなる、そんな作品です。


夢のある未来を背負った子どもたちに是非読んでもらいたいと思いました。

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