VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2011年07月

私が若かった頃「サイラス・マーナー」といえば守銭奴の代名詞として使われていました。


イギリスの女流作家・ジョージ・エリオットの生み出した同名小説の主人公の名前ですが、「あの人サイラスマーナーみたい」といえば大方の人に通じていました。


もっとも『サイラス・マーナー』の主人公・マーナーは親友に裏切られた上いわれなき窃盗の疑いをかけられ、婚約者にも去られたのがきっかけで人間不信に陥りただ金を貯めるのを生きがいにしている男でしたが、ある小さな女の子との出会いを通して真実の愛情に目覚め人間性を取り戻した愛すべき人柄です。


このサイラス・マーナーと比べて根っからの非人間的な金の亡者の代名詞として名を馳せているのが「シャイロック」。


シェイクスピアの『ヴェニスの商人』に強欲なユダヤ人の金貸しとして出てくる登場人物です。


このシャイロックは人肉を担保に取ったり、駆け落ちした娘の安否より彼女の持ち逃げした財産の行方を心配するほどの呆れた強欲人間として描かれています。


もしかしたらユダヤ人の悪評はこんなところからもプラスされているのかもしれませんね。



そのシャイロックをタイトルに借りた小説をご紹介したいと思います。



池井戸潤氏著『シャイロックの子供たち』


いつもいつも池井戸氏ですみませんm(__)m



「ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。
女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪…!?
“たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績…事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。
銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作群像劇」



中小企業や潰れそうな町工場がひしめく地域にある東京第一銀行・長原支店を舞台に、地位や役職の違う行員たちが1つの短篇形式の物語の主人公としてそれぞれの物語を紡ぎながら並行して途中で生じた1つの事件が大きな犯罪へとつながっていく過程をオムニバス形式で描いて秀作です。



入れ替わり出てくる登場人物が一読では掴みきれず、私としては珍しく続けて再読した作品でしたが、著者の自信作というだけあってディープなおもしろさのある作品でした。



「シャイロックの子供たち」という暗喩的なタイトルに惹かれた読者も多かったと思いますが私もその1人、お金に人生そのものを左右される銀行員を指しているのではないでしょうか。



高卒という乙種採用で副支店長までのし上がり支店長への夢を持つ古川、投資信託の売り上げを伸ばせず叱責の末古川に殴られた小山、国際畑への転身を希望しながら融資成績を上げられず日々苦戦する友野、努力が空回りしてことごとく実績を挙げられない業務課の遠藤に比べ自他共に認めるエースの滝野―それら行員たちの奮闘の日々のある日、行内で起こった100万円紛失事件に端を発したところからこの作品の生々しいミステリ性が発揮されてきます。



読み始めは行員一人一人の行員人生を活写している短篇の集まりかと見紛いますが、終わってみれば銀行の深い闇を描いた1つのミステリ小説として完結しているという構成にひねりの効いた作品になっています。

しかも結末部分は読者の想像にお任せ・・・というような。


ラストの締めだけを取り上げると不燃焼的な読後感を持たれる読者の方もいらっしゃると想像しますが、前&中盤部分の銀行業務の生々しさと厳しさ、家庭生活までもがそれに振り回される行員の人間模様をたっぷりと堪能できた作品でした。


どこの企業でもノルマに追われるのは似たり寄ったりだと思いますが、直接お金を扱っているだけにそこにクッションがなくよりシビアなものを要求されるのが銀行員でしょうか。


ある融資先の中小企業の社長の言葉がそのシビアな企業性を的確に表わしていて心に溜まった一文でした。

「銀行は晴れた日には傘を差し出し、雨が降れば傘を取り上げるところだとよく言われる」

社会の景気にもろに左右される銀行と企業、バブル期には企業側が不必要な余剰資金まで貸して貸して貸し倒し、バブルがはじけて企業の内実が悪化するやいなや貸し渋り、貸し剥がすという銀行を表わしているなぁと妙に感心しました。

携帯やパソコンのメールが発達したことでどんどん手書きで手紙を書く機会が少なくなりましたね。


字にも文章にも自信のない私もその例に漏れませんが、昔は今は亡き義母や義姉などに折に触れて手紙を書いていたのを思い出します。


手紙のうちでも特に儀礼的な文章が苦手というか、気候の挨拶その他美辞麗句のストックが乏しいので夫が現役の頃のお歳暮やお中元のお礼ハガキを書くのがとてもいやでした。


今でもお礼状を出すときの取り澄ました時候の挨拶などすごく苦手です。



今日ご紹介する作品の中でお礼状や挨拶文に対して共感できる1文を見つけて我が意を得たりと嬉しくなりました。



佐藤愛子氏著『お徳用 愛子の詰め合わせ』



「どこから読んでも面白い、佐藤愛子の縦横なエッセイ・対談集。
有名・無名、死亡・生存を問わぬユニークな交友録、身辺雑記から皇室への思い、さらには対談から往復書簡までを収録した、本当にお得な1冊!」



愛子ちゃんのさまざまなエッセイ、対談、往復書簡を詰め合わせたまさに楽しみのアラカルトがぎっしり。



今は亡き遠藤周作氏や中山あい子氏、上坂冬子氏との思い出を語る「私の交友録・忘れ得ぬ人たち」や、勝目梓氏、津村節子氏、小沢昭一氏、故上坂冬子氏、藤原正彦氏、北杜夫氏との対談、さらに野坂昭如氏との往復書簡が収録されていて肩の力を抜きたいときの読物としてはお徳用な1冊です。



冒頭に挙げた手紙に関して

「・・・手紙は特定の相手に向かって書くものであるから、一応、礼儀常識というものを頭に置かなければならない。
礼儀正しい人には礼儀正しく、常識家には常識的に、それを頭に置くとどうしても通りいっぺんの文章になってしまい、そうならないようにと考えると、これは小説やエッセイよりも骨が折れるのである・・・
ある社長さんから、『金の虎』が送られてきた時などは全く困った。
『――金の虎!こんなものどこへ飾れというんだ!』と家中で怒っているのに、『この度は創業×十周年、誠におめでとうございます。社長さま、寅年ゆえの虎の置物。その眩いばかりの金の輝きに、御社のご繁栄が偲ばれます』とは恥ずかしくてとてもスラスラとは書けないのである・・・
手紙の冒頭の挨拶など、どうでもいいのだ。あってもいいしなくてもいい。文章が美しく凝った表現でなければならないということもない。正直言うと私なんぞはそういう手紙は苦手である。自然な心が自然に流露していれば、挨拶など無用なのだ。無用の方がいい」


まさにその通り!と拍手ですが、さりとて浮世のしがらみではそうもいかず先ほども形式てんこ盛りのお中元のお礼状を書いて出しました^^;



もうひとつ、北杜夫氏が考案したという「いろいろに使える万能ハガキ」、これ最高です!


「賀春。 暑中。 季節の変わり目。 寒中お見舞。
祝〈悼〉。 御誕生。 合格。 落第。 御成婚。 御別居。 御離婚。
一層の御健勝をお祈り致します」


上記の文面にその時々の語句をカッコや○で囲み、さらに余白に蛙が寝ている絵があり、その布団に「臥床中」とあるそうですが、北氏の人徳ゆえ、こういうハガキを何年も通用させることができると結んでいます。



また心を打たれて大切にしている手紙として87歳の読者という老人ホームにいる老婆からのたどたどしい手紙の紹介があり、今までにもらった沢山の手紙の中で一番大事な素晴しい手紙だと思っている旨記していらっしゃいます。



これを読んで思い出したのは夫が30代の頃、商売上かわいがっていただいていた大手代理店の会長が夫が送ったお中元へのお礼状としてくださったハガキです。


当時脳梗塞の後遺症で右手が不自由と聞いていたので、まさか会長ご本人からお礼状が来るとは思いもかけなかった上、文面を見て不自由な手をもろともせず書いてくださったその気持ちというか姿勢に感動して今も大切にしています。




横道に逸れましたが佐藤氏の作品は別としてその人柄が大好きな1ファンとして佐藤氏の実直な性格そのままの会話や対談相手もそれぞれの個性がにじみ出ていておもしろく読めました。


よかったらどうぞ。

なでしこジャパンに沸き立つ日本で今度はゴルフの宮里藍ちゃんのフランス・エビアンマスターズでの優勝という吉報が入りました


もう何度観たかわからないほどのなでしこジャパンの決勝戦なのに、観るたびにハラハラ感と感動でハイライトを観ている毎日。


夫はスポーツと名のつくもの全般に強い関心がありテレビやネット、新聞などを駆使して堪能しているのでそれに感化されて私もかなり詳しくなっています。


今はインターネットで刻一刻と試合状況がわかるので昨夜は遅くまで藍ちゃんの試合状況をチェックしていました。



長い低迷期があっただけに前向きな姿勢を失わず着々と上向きに努力している藍ちゃんにエールを送りたいです。





さて今回は笹本稜平氏著『恋する組長』をご紹介します。


著者の作品は簡単な経歴とともにこのブログでも『時の渚』 と『許さざる者』の2作品をアップしていますのでよかったら見てください。



「“おれ”は、東西の指定広域暴力団と地場の組織が鎬を削る街に事務所を開く私立探偵。やくざと警察の間で綱渡りしつつ、泡銭を掠め取る日々だ。
泣く子も黙る組長からは愛犬探しを、強面の悪徳刑事からは妻の浮気調査を押しつけられて…。
しょぼい仕事かと思えば、その先には、思いがけない事件が待ち受けていた!
ユーモラスで洒脱な、ネオ探偵小説の快作」



関東系傘下の山藤組、関西系傘下の 猪熊、そして地場の橋爪組という3つの暴力団がシノギを削るS市で今にも潰れそうな探偵事務所を開業、主な顧客はそのスジの者たちという「おれ」がこの作品の主人公の6つの連作短編集。



裏街道の住人たちとの交流を頼みの依頼で食いつなぐ日々、組長に依頼されての愛犬の行方探しやヤクザ顔負けの警官からの愛妻に関する浮気調査など、最初はショボいと思われた案件を探るうち殺人事件に出くわしたりなどの珍騒動の日々を軽妙な会話とともに描いたコミカルな仕上がりになっています。



ルパン三世風の漫画にしたらきっとおもしろいだろうなと思わせる軽妙なノリの連作短篇集、後ろ暗いヤクザや警官、そしてたった1人の社員である電話番の女の子との会話とそれに対する主人公の心のうちでのつっこみが妙におもしろい一品でした。

少し前、我が家の自家用車がリコールの対象となったので部品を交換する旨お知らせが届きました。

何でも同車種のクラッチハブに不具合が見つかりリコールの対象となったようです。

部品交換は半日で終わり現在も、そして交換前も機嫌よく動いています。


我が家の車は日産車ですが、アメリカに端を発したトヨタの大規模リコールが世間を騒がせたのは記憶に新しく、トヨタは自社の責任を否定しながらもリコールを発表、結果的にアメリカ運輸省道路交通安全局が電子系統には異常がなく、事故のほとんどが運転者の人為的なミスによるものであると報告しましたが、それまでのアメリカでのトヨタ叩きのすさまじさは株価にも影響、一連のリコールに掛かった費用は1000億円にも上ると発表されました。



自動車業界のリコールといえばすぐ思い浮かぶのは三菱自動車のリコール隠しですが、2000年と2004年と二度に渡っての大規模なリコール隠しによって役員らの逮捕者も出るに及んで一挙に市場の信頼を失い、筆頭株主であるダイムラー・クライスラーが財政的支援を打ち切ったこともあり、堅牢に守られていた旧財閥系の信頼も地に落ち、現在も危機的な状態が続いているのは主婦の私でさえ記憶にあります。



今回はその三菱自動車リコール隠しをモチーフにした小説のご紹介です。



池井戸潤氏著『空飛ぶタイヤ』



私の中で、今まで読んだ一連の池井戸氏の著書の中でダントツ1位に挙げられる読み応えある内容、文句なしに★5つ。



初出2005年4月から2006年9月まで「月刊J-novel」に掲載されたものを文庫化したものです。



「トレーラーの走行中に外れたタイヤは凶器と化し、通りがかりの母子を襲った。
タイヤが飛んだ原因は『整備不良』なのか、それとも…。
自動車会社、銀行、警察、週刊誌記者、被害者の家族…事故に関わった人それぞれの思惑と苦悩。そして『容疑者』と目された運送会社の社長が、家族・仲間とともにたったひとつの事故の真相に迫る、
果てなき試練と格闘の数か月」



著者は先ごろ『下町ロケット』で見事第145回直木賞を受賞され一躍脚光を浴びましたが、直木賞にノミネートされること過去に2度、本書も第28回吉川英治文学新人賞&第136回直木賞候補となりながら受賞を逃したという経緯があります。



過去にノミネートされた氏の作品は選考委員によってその「文学性」に疑問を投げかけられたということですが、ならば過去の受賞作が文学的な味わいがあるかといえば首を傾げる作品目白押しという感じもします。



これらを追求していくと「文学とは何か」という迷路に入ってしまいますが、文学の芳香性の高い作品とは主に文章そのものを指すのだとしたら本書を筆頭に一連の池井戸作品は該当しないような気がしますが、さまざまな立場の人間を描いて感動を呼ぶ作品であるというだけではダメなのでしょうか。


今回の『下町ロケット』が受賞に至った経緯について、選考委員の伊集院静氏は池井戸氏の一貫した小説に対する姿勢とそれが著者の信じる文学であろうという点で受賞の運びとなったことを挙げていらっしゃいますが、『下町ロケット』が直木賞にふさわしく『空飛ぶロケット』が不適切であるという線引きには疑問を感じました。



話が逸脱してしまいましたが、本書は著者が書いた初めての「企業小説」で、執筆の原動力になったのは社会的に問題となった旧財閥系の自動車会社のリコール隠しという企業倫理も悖る横暴と驕りに対する怒りだそうですが、到底許しがたい企業の論理とそれに翻弄される平凡な男の戦いという骨子を決めたのちは主人公を筆頭に登場人物たちがプロットを逸脱してどんどん動きだしたそうです。


そして70人もの人々が登場する群像劇ともいえる本書から著者は「ひとを書く」という小説の根幹を学び、登場人物たちひとりひとりに対してひととしての敬意を払うことを教えてもらったと締めくくっていらっしゃいます。


このように著者の思い入れの深い今回の主人公は小さな運送会社の二代目社長・赤松徳郎。



彼が経営する運送会社のトレーラーが荷物を積んで走行中にタイヤが脱輪して通りがかりの母子に直撃、母親が死亡するという悲劇からこの長い物語がスタートします。


その死亡事故の原因を巡ってトレーラーの製造主の大手自動車メーカー・ホープ自動車の主張する「運送会社の整備不良」と、赤松社長の「部品の構造欠陥ではないか」という主張の対立が本書の大きな主軸になっています。



巨大財閥系自動車メーカーVS弱小企業主を柱に、巨大ピラミッド型の権力構図の下、リコール隠しを日常化して立場を守る役員に反旗を翻す社内の一部の社員や、同財閥系列銀行のお家事情に翻弄される融資係、リコール隠しのスクープを追う週刊誌記者、死亡事故の原因を赤松運送の整備不良と決め付ける警察など、周囲を囲むさまざまな憶測や思惑がやがて疑惑につながり、真実に突き当たるまでのそれぞれの立場の人間のこころを丹念に描いた過程は文句なしに群像劇の一級品といえるのではないでしょうか。



そして倒産と背中合わせ、八方ふさがりの弱い立場の主人公の主張が人生を賭した決意の行動によって徐々に周囲の人々の心を掴んでいく過程、そしてついにその主張が真実であると認められた瞬間!、フィクションとわかっていながらあふれる感動で胸がいっぱいになりました。



巨大企業にのみ込まれ正しいと思われる行動も意見も海の藻屑と消え行くのが大半だと思われる現実社会で、この結末は単なる絵空事といえばそれまでですが、非力な個人でも思いもよらぬ力で正義を貫けることもあるという可能性を信じさせてもらえた貴重な作品でした。


まさにすばらしい人間ドラマを描いた作品といえると思います。

是非どうぞ!

先日夫の郷里・舞鶴に帰省した際、兄嫁からお土産にと手渡されたのが「万願寺とうがらし」と「塩麹」。


万願寺とうがらしは最近でこそ当地のスーパーなどでもよく見かけるようになりましたが、舞鶴の万願寺という地域特産の京野菜です。


時期になると荷物の中に万願寺を入れて送ってくれること度々なので我が家ではよく登場する定番の夏野菜のひとつですが、岡山ではまだ知名度が低いようです。



たくさん食べるには縦半分に切って中の種を取り除き、少量のオリーブオイルで軽く焦げ目がつく程度に焼き、しょうゆ&みりん&酒を回し入れて炒り煮した上にかつおぶしを大量に入れて混ぜるのが我が家の定番。ec900187.jpg




今体調不良が続いていて料理への意欲がいまひとつですが、せっかくのお土産をムダにできないのでがんばって作りました。


今回小さめの万願寺があったのでロースターでそのまま焼いてしょうゆと甘みと七味とうがらしを入れたタレにつけて食べたら好評でした。
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先日舞鶴の小料理屋さんで食べたのは軽く焼いた万願寺を田楽みそで和えていてそれもおいしかったです。


また万願寺とナスの味噌炒めもごはんのおかずの一品になります。



ビタミンCの含有量はピーマンよりかなり多いそうなので1度見かけたら食べてみてください。



もう1つの珍しいお土産は今ブームの「塩麹」、兄嫁の手作りです。


NHKの「あさイチ」やはなまるマーケットで料理に使うだけで格段においしくなる魔法の調味として作り方などが紹介されていたそうで、今注目を浴びている万能調味料。


―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
◆材料
・麹(乾燥タイプ)・・・200g 
・塩・・・60g お好みの塩でOK
・水・・・300cc

◆作り方
1 乾燥麹(200g)を細かくほぐしてボウルに入れ、塩(60g)を加え、全体になじませるように混ぜたら、水(300cc)を加えて、さらにさっくりと混ぜ合わせる。

2 1を大きめの密閉容器(タッパー)に移して表面を平らにならしたら、
ゆるくフタを閉めて常温に置く。(2~3日に1度かき混ぜてください。)
※気温が暖かくなる時期は発酵が進んで、麹と水が分離することがあるので1日1回混ぜるとよいそうです。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――

「塩麹」のレシピについてはこちらをどうぞ →
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早速ベランダのキュウリを利用してキャベツと青ジソで即席漬けを作ってみました。


私自身はお漬物全般が苦手で食べませんが、夫によると味はまろやかな塩味であっさりしたおいしさだそうです。







さて本日は中島らも氏著『らも咄』をご紹介します。


先日本箱を整理していたら20年前に娘がクリスマスにプレゼントしてくれた本書が出てきたので久しぶりに再読しました。



2004年に神戸の飲食店の階段から転落、脳挫傷で意識が戻らずついに亡くなるというまことに彼らしい最期を遂げたことは有名ですが、アルコールや大麻などに耽溺を繰り返す破滅型とはいえ文章や対談を通して見え隠れする暖かい人間性が大好きでファンでした。



このブログでも4作品をアップしていますので、よかったら読んでください →


本書は中島らも氏による創作上方落語集、彼独特のシニカルな視点での笑い中心の14篇の創作落語の小咄が語り口調で載っています。



お腹の底から笑いたいという読者の方には期待外れかもしれませんが、じっくりした笑い満載の作品集です。



うどんの激戦区である関西で舌の肥えた客によって淘汰されたまずいうどん店が集まる「うどんの墓場」に迷い込んだ男の悲劇を題材の小咄や知ったかぶりの男と阿呆の壮絶な舌戦、タコ焼きに異常なこだわりとプライドを持つ店主にひどい目にあった客の仕返しの顛末など、決して派手ではないらもワールド独特のおかしみがじんわりと心に沁みます。


こうしてときどき無性にらも氏のあったかさが懐かしくなるんですよね~。

夫の長姉の一周忌法要のため京都・舞鶴に行ってきました。


一泊の予定で出発日の前夜喪服などの用意をしておいて、出発日の午前中に何軒かの用事を済ませそのまま高速に乗り夕方ホテルに着いたところまでは順調。


チェックインのため車中から荷物を出す段になって夫が何やら慌てている様子。


どうやら前夜目立つところに掛けていた喪服一式入ったガーメントバッグを忘れてきてしまったらしい。


Yシャツだけはバッグに入れていたようですがネクタイも黒靴下も黒ベルトもなく頭を抱えることしきり。


あ~あ、失敗が私でなくてよかった!


ホテルに着いてすぐに喪主である甥っ子に電話していましたが、黒ネクタイだけは用意できるからそれで大丈夫、気にしないで、と言われていましたが、黒ネクタイに薄茶の綿パンではな~と落ち着かない様子。


当日の朝になって今度は背恰好の似通った在鶴の次兄に電話して黒ズボンがあれば持ってきてほしいと依頼。



結果的には甥っ子が夫と同じくらいのサイズの友人から喪服を借りてくれていてどうにか事なきを得たんですけど、夫の忘れ物は今に始まったことではなく、若い頃から電車の網棚に置いてそのまま手ぶらで下りたりなど枚挙に暇がありません。


極めつけは神戸から東京に転勤するとき、神戸から引っ越しトラックを見送りそのまま新大阪まで快速で行き、新大阪から新幹線で東京へという道順で乗った神戸からの快速電車の網棚に引越し荷物に入れられない大切な貴重品を詰め込んだボストンバッグを置き忘れたまま新大阪で下車、新幹線に乗り換えようとふと夫の手元を見ると手ぶらなのにびっくり!


慌てて駅の忘れ物窓口に飛び込んで事情を話し、網棚を調べてもらったところ無事だったのでほっと胸を撫で下ろしました。


おかげでその電車が折り返して帰ってくるのを京都駅で待ちうけなければならず、したがって予定の新幹線にも乗れずその晩は京都に泊まることを余儀なくされるという大番狂わせでした^^;


そんなことがあったら以後気をつけると思いきや、そのあとも電車の網棚に荷物を上げることを繰り返し、姉と同行した際、手元に置いておくという姉の荷物を無理矢理網棚に上げそのまま忘れたり・・・まあ見上げた根性といおうか・・・人には厳しく自分にはめっぽう甘い夫・・・このブログを見ないことをいいことにちょっとワルクチを!




さて皆さんも飽き飽きでしょうがここしばらくお許し願って、またまた池井戸氏です。


池井戸潤氏著『最終退行』




「都市銀行の中でも『負け組』といわれる東京第一銀行の副支店長・蓮沼鶏二は、締め付けを図る本部と、不況に苦しむ取引先や現場行員との板挟みに遭っていた。
一方、かつての頭取はバブル期の放漫経営の責任をもとらず会長として院政を敷き、なおも私腹を肥やそうとしている。
リストラされた行員が意趣返しに罠を仕掛けるが、蓮沼はその攻防から大がかりな不正の匂いをかぎつけ、ついに反旗を翻す。
日本型金融システムの崩壊を背景に、サラリーマン社会の構造的欠陥を浮き彫りにする長編ミステリ」



次々読んでいるとどれも似たり寄ったりの銀行を舞台の勧善懲悪の物語ということがわかります(今更?と呆れられているでしょうが)が本書もご多聞に漏れず銀行を背景にした作品ですが、今回は銀行内部にとどまらない大きな舞台をテーマの異色銀行ミステリーといえます。


元来の銀行内部での抗争や中小企業への貸し剥がしなどに加え、戦後GHQによって管理されたといわれている第二次大戦中日本軍が占領地から強奪した財宝を巡るトレジャー・ハンターの暗躍を絡めた従来より少し複雑な物語となっていて焦点が定まらず読みづらい面がありました。



本書でのヒーローはペイオフ解禁で預金流出に歯止めがかからず、今や完全な「負け組」となった東京第一銀行・羽田支店の副支店長・蓮沼鶏二、40才。


上昇志向が異常に強く現場に弱い支店長によって強引な貸し剥がしの結果自殺に追いやった町工場の経営者への責任転嫁や積み重なった仕事への重圧、家族の無理解などの軋轢の中で社内不倫が唯一の心の慰めになっている蓮沼があるきっかけから銀行のドンといわれる会長の暗い企みを知り行員としての生命を投げ打って暴いていく過程が巧みに描かれています。


タイトルに使われている「最終退行」というのは銀行内の用語で日々の業務を遂行する行員のうち最終まで行内に居残り仕事をしてのち、行内を見回りキーを掛けて退出するということを表わしています。


本書の主人公である蓮沼にあらゆる業務が集結し、副支店長という肩書きながらいつも最終退行キーを預かるところからのタイトルであろうと思われます。


大藪春彦賞候補にもなったというだけあって冒険小説的な要素もありその分野が好きな読者には興味深い内容だと思いますが、私には今ひとつという感じで今回も★3.5でした。

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