VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

PVアクセスランキング にほんブログ村

2012年03月

02e794e6.jpg
  71bc57f2.jpg

先ごろ卓球メンバーの集まりで食事会に行きました。


一昔前はサラリーマン男性の専科だった忘年会、新年会、親睦会、打ち上げなどがバブル破綻を境に潤沢な交際費が削られるに従って夜の街に繰り出すサラリーマンの姿も一気に減り、入れ替わりのように何かにかこつけては集まって食べるしゃべるの女性たち、それも子育てを終えた熟年女性たちの姿が昼間の街に溢れています、といっても自分もその1人ですけど(~_~;)



先般問題になった「食べログ」などでググッた評判のお店に行ってみると、どこからこんなに湧き出したかと思うほどの女性の数!@@!



「汗みどろで働いている亭主を差し置いて、毎日こんなことしているのか」とたまに同伴する夫が呆れるほどの花盛り!


そんな夫の言葉にいまや「So what?」と居直る年齢に達している私ですが、津々浦々、おいしくて安いところは本当にみんなよく知っているんだなぁと自分のことはさておいて感心してしまいます。



というわけで男性2名、女性5名の卓球のメンバーで出向いた和食のお店、メンバーの1人の紹介でしたが、値段の割に味も品数もお店の雰囲気もサービスも満足できるものでした。



男性2人は果てしなく続くおしゃべりに呆れ顔でしたが。







さて本日は沼田まほかる氏著『九月が永遠に続けば』をご紹介します。



「高校生の一人息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。
愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。
息子の行方を必死に探すうちに見え隠れしてきた、雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が、佐知子の恐怖を増幅する。
悪夢のような時間の果てに、出口はあるのか――。
人の心の底まで続く深い闇、その暗さと異様な美しさをあらわに描いて読書界を震撼させたサスペンス長編」



書店の店頭に平積みされている著書を目にすれば今「まほかるブーム」が来ているのが実感できる、というか出版社が最も力を入れて売り出している作家の1人であることがわかります。




以前ブログ友であるトコさんが著者の他作品である『猫鳴り』のレビューを書いていらっしゃるのを拝見して気にかかっていた作家さんでした。



主婦、僧侶、会社経営などを経て56歳でデビューした異色の作家、本書は第5回ホラーサスペンス大賞を受賞した著者のデビュー作。



新潮文庫編集部によると、4年前に刊行されたものの2年以上初版2万部止まりだった文庫版を今年6月に他社の販促キャンペーンに歩調を合わせ、本の雑誌社の「おすすめ文庫王国2008」国内ミステリー部門第1位という実績をアピールする帯を付けたところわずか4ヶ月の間に15刷50万部に達したそうです。




ご自身もかなりグロテスクな内容の作品を描かれることで知られる選考委員・桐野夏生氏をして「圧倒された。作者は、いくら何でもここまでは、の躊躇いをさりげなく乗り超え、これでもか、これでもか、と濃密な人間関係を描いていく」と言わしめている本書。



とにかくハードな内容、登場人物のほとんどがトラウマやら秘密やらを抱え、二重にも三重にも絡み合った彼らの人間関係はさながら煉獄図のごとく、因果応報とはこの小説のためにあるのかというような縺れ合いが次々明るみに出てラストまで救いのない状態が続きます。



解説を受け持たれた千街晶之氏はこのような内容を称して「歪んだ愛と執着の大博覧会めいた様相を呈している」と記していらっしゃいますが、ぴったりの表現。



目を背けたいシーンも多々あり、かくも粘着質な内容なのに物語の全体像が知りたくて頁を繰る手が止まらないという点では文章力にものを言わせた魅力のある作品といえるでしょうが、あまりにも錯綜を求めすぎたラストは行き過ぎ感が強く大変胸に凭れました。




傾向が似た作品で読者を覗き見の地獄へ導く魅力を持ったものに湊かなえ氏の『告白』を思い浮かべますが、それよりまだ倫理観の禁忌の部分を軽く打ち破った感じでしょうか。



個人的には主人公の元夫の精神科医ともあるまじき常識を大きく超えた行動にはただ呆れるばかり、罪と罰の原点でもある彼の行動に対するフォローを著者が用意していない点にも大きな疑問が残りました。



ロジカルな筋道を超えた重い作品、興味ある方はどうぞ。

今日の天声人語に足尾銅山鉱毒事件についての勝海舟の言葉が載っていました。711f95e8.jpg



「文明の大仕掛けで山を掘りながら、その他の仕掛けはこれに伴わぬ…元が間違っている」



また鉱毒事件を告発し民衆の先頭で闘った田中正造の言葉。


「真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」



足尾銅山事件をはじめ日本の4大公害といわれる水俣病や第二水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそくなど人間の産業活動により排出される有害物質によって引き起こされたものに今回の原発事故が加わっていまや日本は世界中から注目を浴びています。



当地でも1950年代後半に中国山脈に位置する人形峠で「宝の山」と騒がれたウラン鉱石の発掘が行われましたが思った成果を挙げられず鉱山が閉鎖され地底から掘り出されたウラン鉱石と鉱石混じりの土砂が打ち捨てられたままになって20年ほど経過の後害が明らかになり完全撤去を求める住民と国の間で足尾や水俣と同様の軋轢が繰り返されています。


ウランは毒性が半分になるまでに45億年という歳月を要する毒物だということをしっかり踏まえて日本の今後を考えなければならないと思います。



「入っちゃならん、掘っちゃならん、いじくったら必ず祟りがある」というのは蒜山・人形峠付近の古くからの言い伝えだそうですが、自然と文明の折り合いの難しさを感じて身が引き締まります。




JICAの理事長を3月末で退任される緒方貞子さんが中東などの途上国への日本の原発輸出について個人的見解として述べていらっしゃることに強く共感します。


そもそも地震国である日本に原発を建設することの是非、日本ほど技術が進んでいる国で、しかも原爆を投与された広島、長崎の経験があり原子力に慎重なはずなのに事故が起こったことを踏まえて原発への理解が不十分だったことをしっかり認識し、太陽光、風、地熱など再生可能エネルギー供給のあり方を真剣に考え、そして自分の国ですらうまくできなかったものを途上国へ輸出していいものかを再考すべきであると。



日本を原発のない国にしてほしいと願います。





さて本日は葉室麟氏著『秋月記』をご紹介します。



「筑前の小藩・秋月藩で、専横を極める家老・宮崎織部への不満が高まっていた。
間小四郎は、志を同じくする仲間の藩士たちとともに糾弾に立ち上がり、本藩・福岡藩の援助を得てその排除に成功する。
藩政の刷新に情熱を傾けようとする小四郎だったが、家老失脚の背後には福岡藩の策謀があった。藩財政は破綻寸前にあり、いつしか仲間との絆も揺らぎ始めて、小四郎はひとり、捨て石となる決意を固めるが―。
いま最も注目を集める新鋭が放つ、いぶし銀の傑作」




時代は江戸末期、九州に実在した本藩の福岡藩と、支藩の秋月藩の水面下での熾烈な抗争の中、秋月家の家臣・間小四郎を主人公に、破綻寸前の秋月藩を救うため権勢を握って専横を振るう家老の失脚を願って同じ年代の7名の藩士たちと立ち上がり結果首尾よく成功したかにみえたもののかねてより秋月藩の乗っ取りを画策していた福岡藩の内政介入を許す結果となり、かつて心を合わせて戦った藩士たちとは疎遠になりやがて謀反の罪で拘束されるまでの40余年を描いて圧巻です。



主人公の小四郎のみならず、柔術に長けた海賀藤蔵やジェンナーに先駆けて日本で初めて種痘ワクチンなるものを考案した緒方春朔、福岡藩の伏影である姫野三弥、終生小四郎に想いを寄せる女性歌人・猷、荻生徂徠の古文辞学派の亀井南冥に師事する福岡藩の儒者・原古処など挙げれば切りがないほど多彩な登場人物の魅力が本書の読みどころでもあります。




玄界島への島流しを言い渡されても乱れずそれを受け入れ一糸の揺らぎも見せない小四郎の心情の片鱗が窺える言葉の数々。


「それがしは弱い人間でござった。その弱さに打ち克ちたいと思って生きて参った。
そのために一生があったようなものでござれば、これでやっと重い荷を下ろせ申す」


「正しいことを行えば、藩も人々の暮らしも良くなると思っていた。
しかし、あれも、なまけ心の一つだ。
皆が生きるために励むという大道を歩まねば、悪人を除いたからといって民百姓が豊かになるというものではない。
正しいことさえ行えば、というのは、努めることからの逃げ口上になる時があるのだ」




かつて藩を救うための正義と大上段に構え失脚させた家老・宮崎織部と同じ捨石の運命を従容と受け入れる矜持が静かな感動を呼びます。


その織部の小四郎に対する言葉も人間の本質を示唆して印象的です。


「山は山であることに迷わぬ。雲は雲であることを疑わぬ。
ひとだけが、おのれであることを迷い、疑う。それゆえ、風景を見ると心が落ち着くのだ。
おのれがおのれであることにためらうな。悪人と呼ばれたら、悪人であることを楽しめ。
それが、お前の役目なのだ」



最後に著者の言葉。


「勝てないとわかっていても、戦わねばならない時があります。秋月藩の男たちは、負けを覚悟して戦い、最後は敗れます。しかし、負けて終わりでなくその先に何かがあった。負けてもなお心が折れない男たち」を描いたという著者の力作に感服でした。

今では全国区になった神戸名物のイカナゴのくぎ煮ですが、漁期は2月下旬~3月下旬までのほんの短い期間しかなくくぎ煮にするのは幼魚で体長3~4cmほどのシンコで作ります。de0baec8.jpg



神戸に住んでいた頃は毎年作っていましたが、離れてからは垂水の親戚や友人が送ってくれるのを他力本願で楽しんできました。



先日近くのスーパーの店頭で垂水漁場のくぎ煮用シンコが安価で並んでいたので久しぶりに2kg購入しました。


くぎ煮用のたれをつくり土生姜の千切りとともに大鍋で沸騰させ、その中に洗って水分を切ったイカナゴを入れ手で団子状にならないようバラバラにばらけさせます。



それから数箇所穴を開けたアルミホイルで落し蓋をして煮ること1時間強、途中アクを取りながら強火から中火、弱火と火加減を調整しながら煮ますが、大切なポイントは煮汁がほとんどなくなるまで絶対箸やお玉でかき混ぜないこと。



弱々しいイカナゴがすぐ崩れてしまうのです。



うまく炊き上がったイカナゴは焦げ茶色で曲がっているのでそれが錆びたくぎを連想させるところから「釘煮」と呼ばれるようになったそうです。



神戸では「くぎ煮名人認定試験」なるものも出来ていて、各家庭で作られる様々な一味違うくぎ煮披露の場として応募も多いとか。



私が作ったのはごくオーソドックスなくぎ煮、炊きたてごはんに乗せて食べると食が進みます。




その調理中、換気扇強&開窓にもかかわらず、久しぶりに我が家の警報機が鳴り響きました。




最近1年ほどは少々のみりんやアルコールには反応せずおとなしくしてくれていたので、老齢化して機能が弱ったか、はたまた感知器自身のあまりのオーバーリアクションを反省したのかと思っていましたが、今回は大量のみりんと日本酒を使ったので弱った体に鞭打って騒いだのかもしれません。



というわけで毎回お定まりのコースで確認に駆けつけて来られた2名の警備員の方に平身低頭して終わりました。



敏感すぎる感知器に度々手を焼いています。






さて今回は黄文雄氏著『日本人だけが知らない 世界から絶賛される日本人』をご紹介します。



「各国軍の模範となった海軍軍人から、世界を驚かせた大冒険者、他国のために身命を賭し、今なお崇拝される人、さらにはパソコンのCPU、光ファイバーの発明者…日本人にはこんなにすごい人がいっぱい。
知られざる『世界を感動させた日本人』の実像に迫る」


1938年台湾生まれの著者・黄文雄氏は留学のため来日した後、刊行した『中国の没落』が大きな反響を呼んで評論家となり以後大の日本党として日本で活躍、100冊以上の著書を出版、2011年5月に発売された『日本人はなぜ世界から絶賛され続けるのか』の続編に位置します。



先日上京した折、手持ちの本を読了してしまって本屋に行った私に同行した次男がおもしろかったからと買ってくれた本、さほど期待せず開きましたが、読み始めるとページを捲る手が止められないほど作品上の実在の方々に魅せられて一気読みしてしまいました。



阪神大震災や今回の東日本大震災のニュースを通して我慢強さや道徳心、克己心、助け合う姿勢など健気な日本人の姿が世界中の人々に感動を与えたことは度々報じられていますが、それに先駆けること江戸時代の塙保己一を筆頭に本書に登場する先人の生き様はどう表現していいかわからないほどすばらしく、同じ日本人として誇らしい気持ちでいっぱいになりました。



少し長くなりますが、本書の目次を列挙してみます。


第1章 世界があこがれ続ける日本人
ヘレンケラーが人生の目標とした江戸時代の国学者 塙保己一
北京市民に神として敬慕された駐在武官 柴五郎
欧米海軍でもっとも尊敬されている潜水艇の艇長 佐久間勉
他人の不幸を見捨てることができない日本人の心情 山田寅次郎
ナチスから追われたユダヤ人を救った日本人たち 樋口季一郎

第2章 他国の発展に命をかけた日本人
支那革命に命を賭けた日本の志士たち 梅屋庄吉
中国に近代軍を創設した日本陸士出身の軍人たち 坂西利八郎
ビルマ独立運動を闘った日本人 鈴木敬司
インドシナ独立のために戦い死んでいった者たち 
「韓国の障害児の母」となった大和撫子 李方子(梨本宮方子)妃殿下

第3章 技術で世界を幸福にした日本人
「毒水蛮雨」台湾に上下水道を整備した日本人 浜野弥四郎
1930年に世界第3位のダムを建設した技術者 八田與一
アジアの飢饉を農業で救った日本人たち 磯永吉
台湾を人の住める島に変えた台湾医学界の「恩師」たち 堀内次雄
朝鮮に巨大な水力発電所をつくった「電気化学工業の父」 野口遵
破綻していた朝鮮の金融・財政を立て直した大蔵官僚 目賀田種太郎

第4章 前人未踏の冒険を成し遂げた日本人
ユーラシア大陸1万4000キロを単独走破した情報将校 福島安正
秘境・チベットに潜入を試みた若い求道僧たち 川口慧海
人跡未踏の台湾の山林を探検した博物学者 鹿野忠雄
単身モンゴルに渡り女子教育の先駆となった女性教師 河原操子
1614年日本船で初めて太平洋を横断した遣欧使節 支倉常長

第5章 世界の文化に貢献した日本人
西洋の数学を凌駕していた和算愛好家たちの頭脳 関孝和
400年ぶりに韓国にハングルを復活させた日本人たち 井上角五郎
台湾の民衆を覚醒させた「アジア近代教育の父」 伊沢修二
日本人の「殉国精神」を世界に知らしめた神風特攻隊 関行男
欧米で爆発的な人気を博した「禅の大師」 鈴木大拙
世界の文化を変えた発明者たち 井上祐輔



19世紀から20世紀にかけて中国、台湾、朝鮮などアジアの貧しい国々において、ある人は私財を投げ打ち、ある人は恵まれた日本での地位を投げ打ち、困難に立ち向かいそれぞれの国のインフラ整備や教育水準を向上させることに命を捧げた人々がいたこと、戦後の日本でこれら人々の功績は取り上げられることもなく忘れ去られているという日本の現状でいかに日本びいきとはいえ台湾人の著者が全世界の隅々から掘り起こしてくださった著者の功績は賞賛に値すると思います。



上に列挙している先人について私たちの中高校の教科書に登場する人はわずか、ほとんどは自分の記憶にない日本人であったことに驚くと共に恥ずかしくなります。



第1章から5章の中に登場する方々はどれもみな賞賛に値するすばらしい人々ですが、私が特に感銘を受けた数人をご紹介して終わりにしたいと思います。




◆第1章に登場する北京市民に神として敬慕された駐在武官 柴五郎

1900年の北清事変・義和団の乱において北京の諸外国公使館に対して行われた20万の義和団軍の攻撃を最後まで防いで北京市民にも神として敬慕されたのが、『北京龍城記』で知られる北京公使館付武官の柴五郎中佐です。

イギリスの義勇兵だったシンプソン氏は以下のように記していらっしゃいます。

「少なくとも500名の兵を必要とする王府の城壁を守るのに、わずか十数人の義勇兵しかいなかったが、日本軍は素晴らしい指揮官に恵まれた。
この小男はいつの間にか混乱を秩序へとまとめていた。
彼は部下を組織化し前線を強化した…
自分はこの男に傾倒してしまった。
自分はまもなく、彼の奴隷になってもいいと思うようになるであろう」


北京市民の老若男女が別れを惜しみ涙ぐんだといわれる彼の帰国後、明治天皇やイギリス・エドワード7世、イタリア・エマニエル皇帝、ペルーやスペインの皇帝、ロシア・ニコライ2世に謁見し最大の賛辞を得たにもかかわらず、回顧録には自らの功績は極力伏せ、功績を他者に譲るなどしていらっしゃるとは!



◆同じく第1章 欧米海軍でもっとも尊敬されている潜水艇の艇長 佐久間勉

日本が日露戦争中に決意し順次建造した潜水艇に潜水艇長として赴任した第6号潜水艇が潜航訓練中に岩国沖で事故で沈没して艇長以下14名の乗組員全員が死亡した事故に際し、乗組員全員が冷静沈着、自分の持ち場を離れずそのまま息絶えていた上、佐久間艇長が39ページにわたって詳細な遺書を遺していたことで日本全国を感動の嵐に巻き込みました。


遺書には必死に修理を行ったものの浮上することかなわず、自分の最後の使命として遺書を書き残すこと、この事故を潜水艇の継続的発展研究の前車の轍として鑑にしたいことなど、さらには天皇陛下へのお詫びだけでなく、部下の遺族への援助の依頼などが記されていました。


佐久間艇長の冷静沈着な事故処理と遺書は米、英、独などの国々にも伝えられ、各国の海軍士官教育に典範として用いられているうえ、アメリカの国会議事堂には今でも佐久間勉氏の遺書が掲載されているそうです。


「佐久間と乗組員たちは、個人の勇気を示しただけではなかった。
彼らは、日本海軍は死すべき運命にあるときにも、勇敢で平静を保てることを証明したのだ」オーストラリア紙ジ・エイジより


「佐久間の死は、旧い日本の厳粛な道徳、サムライの道、あるいは武士道を代表した」米国軍事専門家ハンソン・ボールドウィンより



◆第5章 日本人の「殉国精神」を世界に知らしめた神風特攻隊 関行男

神風特攻隊には数々の賛否があろうと思われますが、著者は9・11のアメリカ同時多発テロ以後の自爆テロと比較して、特攻とは国と国の間での純然たる戦闘行為であり、国際法に抵触するものでないものとし、反して自爆テロは異教徒に対する「怨」「仇」からくるもので、無辜の市民まで巻き込まれる逆襲に過ぎないと糾弾しています。


また『葉隠』の「死ぬことと見付けたり」という武士道精神以外にあらゆる難局をいさぎよく受けてたつこともその一つだと絶賛していらっしゃいます。


計算ずくの勝負、「孫呉兵法」でいう「廟算」とはまったく違うことを例に支那精神と大和魂の根本的な違いに言及、日本の殉国精神を賛美する文章が散りばめられています。


さらに日本人の名誉を重んじ「玉砕」をよしとする民族、自己犠牲の精神の根本こそ武士道精神ではないかと著者は締めくくっていらっしゃいます。



特攻隊に関しては現代において受け入れがたいものとして捉えられているのが大半ですが、日本人として共感できる部分を言い当てている次のベルナール・ミローの言葉を挙げて終わりたいと思います。


「たしかに私と西洋人は戦術的自殺行為などという観念を容認することができない。
しかしまた、日本のこれら特攻志願者の人間に、無感動のままでいることも到底できないでいる」

もうすぐ一回忌を迎える母のお骨を新宿・早稲田にあるお寺に納骨&法要するため上京していました。


子どもたち全員が東京方面に定住、岡山は私たちの代で終わりになるとの予測から母の生前から相談を重ねた末、岡山のお墓の移転を決め母の死後早稲田にあるお寺の納骨堂を購入していました。




最近は少子化が進み1人っ子の家庭や子どものいない家庭、生涯独身という男女も増えて生涯のスタイルが多様化するにつれて先祖代々のお墓を守る後継者に恵まれないケースも多く、永代供養を視野に入れた死後の埋葬の選択肢も増えています。



お骨の安置の仕方も従来の墓地から桜などの樹木の下に埋める樹木葬やお寺の納骨堂を利用したり、海や山への散骨など様々に選べる時代となりました。



大好きだった海に散骨してもらいたいという希望を持っていた夫の長兄は遺された家族によってその希望が叶えられました。



母の死をきっかけに多くのことを学び話し合った結果、夫と私は戒名を持たず無宗教でということで一致、宗派を超えて受け入れてくれるお寺を選択し私たちの死後も視野に入れてそのお寺の納骨堂を購入したという経緯です。



川崎の住まいも一昨年に売却して宿無しになった私たちのために子どもたちが予約してくれたホテルに連泊して納骨&法要のあとは集まって食事などを楽しみました。



私たちが滞在していた間中お天気が悪く、早稲田と、ホテルがあった白金台、娘の住まいの代官山や目黒、恵比寿あたりを食事などで往復しただけで久しぶりの東京滞在もあっという間に終わりましたが、子どもたちの尽力で母の死から続いていた懸案のイベントがこれでやっと一段落してほっとしています。





さて本日は短い旅の間に読了した本のご紹介です。



佐々木譲氏著『屈折率』

「仕事と恋に情熱を!不況に克つ企業小説
ヤリ手の元商社マン・安積啓二郎は、経営状態の思わしくない実家のガラス工場の社長となった。
工場売却を目論む彼だが、ガラス工芸作家・野見山透子との恋に落ち、ガラスの世界に魅せられていく。工場再建のために啓二郎が次々と打つ手とは?
モノ作りに人生の再起を懸けた男の勇姿を描く長編企業小説」

警察小説、サスペンス、バイク小説、冒険小説、歴史・時代小説など数え上げればキリがないほど様々な分野を対象の作品を描いていらっしゃる著者ですが、本書は企業小説とも恋愛小説とも分類できる長編です。


感じたままを正直に書くと企業再生物語に不倫モノを同じ分量でミックスしたような作品。



長引く不況の中、日本の緻密で精巧なモノ作りの技術力が見直されている昨今の構図がそのまま当てはまるような1999年の作、それら製造業の技術力が結集する東京・大田区の小さなガラス工場を舞台にワールドワイドで活躍していた有能な元商社マンがガラス工場再建に向けて、ハイテク製品向けの高品質ガラス製品を柱として海外進出を視野に入れた戦略を展開する中、夜間だけ工場の窯を借り受けてグラスアートを制作をしていた女性アーティストと恋愛関係になり彼女の影響でガラスへの思い入れが深くなるというストーリーですが、女性とのからみが執拗にこれでもかと展開されると共に肝心の工場再建ストーリーの内容が薄く散漫になり、主軸の企業小説という枠を大きく外れて安直な不倫小説となってしまった感があります。



ラストは再建に関して明るい希望を感じさせるところもありましたが、これも彼女との別れを中心に置いた描き方で従来の佐々木作品には珍しく何とも薄っぺらな読後感となったのは残念でした。

先日我が家で友人と夫と3人で昼食を食べているとき、何の話からか同性愛の話題になりました。



今は公にカミングアウトされる芸能人やスポーツ選手も増え、テレビにもそれらキャラで出演されているタレントさんたちも多く、一般人の感じ方も昔の閉鎖的な雰囲気から随分変化しています。



海外の小説を読んでいると刑務所に収監中、同性愛への洗礼を受ける囚人も多く、それがきっかけでゲイに開眼したというのもよく聞きます。



アメリカのサンフランシスコは総人口75万人のうち10万人がゲイとレズビアンといわれているのを読むと日本はまだまだという感があります。




ランチの話題としては何だかなあという感じですが、そんな話をしているとき、以前トム・ハンクス主演でアカデミー賞も受賞したゲイの弁護士の映画の記憶が蘇ってアウトラインを話したら友人がDVDを借りて観たいというのですが肝心のタイトルと共演者の黒人の俳優の名前がどうしても思い出せず四苦八苦。


モーガン・フリーマンより若い演技派・・・などと苦渋しているとき友人がやっと「もしかしてデンゼル・ワシントン!?」と思い出して一件落着。


さて次はタイトル・・・夫がネットでキーワードを入れて検索してやっとやっと「フィラデルフィア」と判明



たったこれだけの情報に3人プラスパソコンの協力がなければ出てこないとは!



この調子でいけば向かい合った3人の名前も出てこない時が近い将来到来しそうな予感に怯えますが、今のところはパズルが完成しただけですっきりした気分になりました。






さて今回は東野圭吾氏著『歪笑小説』をご紹介したいと思います。


「新人編集者が目の当たりにした、常識破りのあの手この手を連発する伝説の編集者。
自作のドラマ化話に舞い上がり、美人担当者に恋心を抱く、全く売れない若手作家。
出版社のゴルフコンペに初参加して大物作家に翻弄されるヒット作症候群の新鋭…俳優、読者、書店、家族を巻き込んで作家の身近は事件がいっぱい。
ブラックな笑い満載!
小説業界の内幕を描く連続ドラマ。
とっておきの文庫オリジナル」



1995年『怪笑小説』でスタート、1996年には『毒笑小説』、続いて2005年『黒笑小説』、そして2012年いきなり文庫で刊行、「笑小説」シリーズはこれ以上書けないところまで書いたのでこれで打ち止めと著者自筆で銘打っていらっしゃる本書、前の『黒笑小説』のパワーアップ版というべき出版業界のウラ話炸裂です。



作家の長者番付でも上位ランクインの常連、銀座で夜な夜な豪遊のウワサなど飛ぶ鳥も落とす勢いの著者、売れない時代があったとは信じられないほどの超流行作家ぶりですが、直木賞候補にノミネートされること5回、やっと6回目に『容疑者Xの献身』で念願の直木賞を受賞されたのですね。



その直木賞受賞作品が、古くはエラリー・クイーンを初め、ジョン・ル・カレ、2000年代にはメアリ・H・クラークやスー・グラフトンなど欧米の著名な作家が軒並み受賞していらっしゃるアメリカの名門文学賞のミステリ部門・エドガー賞の2012年度最優秀小説賞候補としてノミネートされて話題を呼んでいます。


ちなみに日本人作家では2004年に桐野夏生氏の『OUT』が候補になって以来の快挙。




さて本書ですが、さすが東野氏、好き嫌いは別として今までの分野と違うこのようなブラックユーモア的な作品を書かせても掴みどころはもちろん落としどころもきちんと掌握されているところ感嘆します。



もちろん文学性のある作品からは程遠いエンタメ小説の最たるものですが、虚実ないまぜであろう出版業界の、編集者と作家面々の丁々発止の攻防などを12の短篇でオムニバス形式で描いていて歪笑小説というタイトルぴったりの作品。



ひとつの作品が出来上がるまでの作家の悶絶や、商業誌に掲載された作品が単行本化されるまでのからくり、作品が映像化される道筋、売れっ子作家から原稿をもらうための必死の持ち上げ方など編集者側の苦労話などがてんこ盛りで本好きにはたまらない内容になっています。



中途半端にシリアスな作品より私は案外こんなお気楽ユーモア小説が好きなんです。


重い作品の合間のお口直しにどうぞ!

高松の友人の家に4泊で行ってきました。 ccfd9ed2.jpg



行き帰りは友人の車に同乗、5日間の滞在中外出は2度-カラオケとマッサージ-だけ、あとは家にこもって友人が作る手料理の補助をしたり縫い物をしたりの絵に描いたような究極のぐうたら生活を満喫。



料理が得意な友人が事前に5日間のメインの献立を立てて食材を用意してくれていたのでそれに合わせて「くうのむしゃべるねる」の徹底的な怠惰な日々、テレビはもちろんパソコンも開かずの原始生活、案外不便を感じないもんですね



三食分のディッシュだけは充実していて満足の食生活。



「ロールキャベツ」「あじのたたき」「ミョウガときゅうりの酢の物」「佐賀牛のミスジステーキ」「コロッケ」「ちらし寿司」「黄ニラ雑炊」「アボカドとクリームチーズのレモン和え」「フキノトウ味噌」「明太子バター」「わかめと焼き揚げの酢の物」「春菊のピーナツ和え」「きんぴら筍とほうれん草の卵とじ」、これらに「日替わり野菜サラダ」の食材が変化して毎回ついて・・まだまだありましたが忘れました・・・気軽に料理を作る友人の手から次々手品のようにおいしい料理が出てきます。




男性が3人集まっての共同生活ではこうはいかないと思える超健康野菜生活、男性の目から見たら何が楽しいのかという感じでしょうけど・・・友人には大変な負担をかけてしまいましたけどストレス解消の楽しい楽しい4日間、元気の素をもらって帰りました。





さて今日は児玉清氏著『負けるのは美しく』をご紹介します。



ブログ友が日記で紹介してくださったのを読んでAmazonで購入した1冊。



「おだやかな微笑みのむこうに、このような人生が!
俳優・児玉清が、母の死がきっかけで入った映画界、忘れ得ぬ監督や俳優たち、結婚、その後転身したテレビ界のこと、大好きな本、そして愛娘の闘病から死まで…初の回想記」



月刊誌「すばる」に2002年~2005年にかけて掲載されたエッセイ集をテーマごとに1章を1区切として5章までを一冊にしたのが本書、大学院進学直前の母堂の突然の死によって進学を諦め、就職までの一時的な腰掛けのつもりで入った俳優生活の現在に至るまでの悲喜交々の思い出とともに最愛の娘さんをスキルスがんで失った深い喪失と慟哭の前後を綴られたエッセイです。



映画の黄金末期時代から衰退期にかけて不遇な時代を過ごし、その後テレビ界へと転身してからは順調な滑り出し、著者の俳優としての顔は昔のドラマ「ありがとう」や最近の「HERO」を知っている程度、失礼を承知で言えば清潔感溢れるとはいえ画一的な演技で決して演技派とはいえない役者さんという認識でしたが、「アタックチャンス」もさることながら一番好きだったのはNHKの「週刊ブックレビュー」での児玉氏でした。



毎週ゲストを招いて本について語る番組ですが、本の虫である児玉氏の素の顔が見られる貴重な番組でした。



ゲストの本にまつわる話を目を輝かせて真摯に聞く態度はまるで純真な少年のようで、話題に出てくる本に対する感想はどれも好意的、肯定的で人間的な温かい人柄を感じさせました。




このように紳士然として温厚というイメージの児玉氏ですが、意外に理不尽なことを許せない反骨精神旺盛な性格であるというのを本書を通して知りました。



短気でへそ曲がりなご自身の性格を本書のタイトルの由来に引っかけて次のように言及していらっしゃいます。

「所詮、僕のスタイルを押し通そうとすれば、最後にはすべて喧嘩になり、暴発して限りがない。
ここで思い出されるのが、性格は運命だというヘラクレイトスの言葉だ。
なれば、どうせ負けるのなら、美しく負けよう・・・
すべては負け方にあり、負け方にこそ人間の心は現れる、と、しきりに思うことで、心が静まったのだ・・・」




何はともあれ最もこころに残ったのは第5章の「天国へ逝った娘」です。



幼子を遺し36年という短い生涯を駆け抜けていった娘さんの天国へ旅立つまでの6つのエピソードが綴られていて胸に迫る内容となっています。



各篇すべての冒頭を児玉氏ご自身が外国の小説などから選ばれた英文の名言で飾っていらっしゃいますが、中でも娘さんに言及したエピソードの2 篇につけた引用文を通して児玉氏の悲しみの深さが察せられて胸がいっぱいになりました。

Close your eyes and you can still see the smile - by Harlan Coben

There is no end of things in the heart -by Michael Connelly


最後に、「すべて焼滅した」という1篇について


児玉氏が娘さんの体験を通して医療に対して持たれた不信感によって精密検査を怠った末の手遅れガンで逝去されたという記事は何度か目にした記憶がありますが、この1篇で語られた内容には第三者の私ですらこの怒りをどこにもっていけばいいのか、というような内容でした。



「僕が怒りの声をあげなかったのは、それまで僕によくしてくれたことへの返礼の思いからであったが、なんとも釈然としないいやな気持がいつまでも心に残る中で、娘の供養といった心も働いて、ここにその経緯を記した次第だ。
患者の心、医師知らず、こうしたギャップは永遠に続くものなのだろうか」


娘さんの奈央子さん、児玉さん、お二方のご冥福を心よりお祈りします。

↑このページのトップヘ