VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2012年09月

昼間の引越し作業の疲れを残さないように早くベッドに行くのを日課にしていますが、寝るのが待ち遠しいような本に巡り合えない日々が続いていて・・・


仕方なく娘の読みかけの本を横合いから拝借して読了。


昨年10月に惜しまれながら永眠されたスティーブ・ジョブズ氏の評伝。


マックを使ったことのない私でもアップル創設者のジョブズ氏の様々な破天荒なエピソードを掲載した記事は興味深く追っていました。



自宅のガレージからスタートしたアップル社の株式公開で巨額の富を手にして25歳でフォーブスの長者番付の載ったことや、常識を超えた立ち居振る舞いの結果自身が生み育てたアップル社から追放されたもののその11年後業績不振に陥っていた社に復帰、ライバルとされていたマイクロソフトとの資本連携に踏み切ったり社内のリストラを進めて業績を回復させたこと、暫定CEOに就任して以来基本給与として年1ドルしか受け取らず「年俸1ドルのCEO」と呼ばれていたこと、そして何といってもiPodやiPhone、iPadを通してアップル社の業務範囲を従来のパソコンからデジタル家電とメディア配信事業へと拡大させた業績の大きさとそれらによって世界を凌駕したことには驚くばかり!



桑原晃弥氏著『スティーブ・ジョブズ驚異の伝説―勇気と情熱が湧いてくる47のエピソード』


「電源のスイッチ? そんなものはいらない、取れ――。
2011年10月、アップル創設者である天才スティーブ・ジョブズが永眠した。
時代の変革者と称賛された一方で、独裁者とも呼ばれた彼にはどんな逸話があるのだろう?
本書では、アップル起業から逝去に至るまで、知られざるエピソードを一挙公開」


「マーケティングをしなかった」
「利益をしばしば無視した」
「見えない部分まで完璧を求めた」
「パワーポイントを嫌った」
「五大音楽レーベルを一人で口説いた」


「市場調査はいらない。
ベルは電話を発明する前に市場調査をしたか?」



上述のジョブズを世間評価の光の部分とすれば、陰の部分もたっぷり!


人間的な側面に目を転じて読むと頁を繰る毎にどんどんジョブズが嫌いになります。


特に私の怒りを誘ったのが1980年にアップル社が上場した際のエピソード。


ストックオプションで自社株を持っていた社員が一夜にして億万長者になったのに比して自社株を持たない社員も相当数いたという状況でのこと。


アップル社員や周囲の人たちをコミュニティの一員のように考えて彼らが株式上場の恩恵に与れないのは不公平だと考えていた共同経営者のウォズニアックが株式上場に先立ち希望者に一株5ドルという格安で2000株を譲る「ウォズ・プラン」をスタートさせて浮かばれなかった人々を喜ばせたのに反して、ジョブズは多くの株を持ちながら決して分け与えなかったといいます。



周囲をAプレーヤーだけで固め、限界を超えさせ、理想の製品を作り上げるまで絶対にギブアップしない。


字面を見れば事業家としてはこれ以上ないすばらしい情熱を持ち合わせた人間、方やジョブズを独裁者と呼び忌み嫌う人たちもいるという事実がありますが、「何も持たない若者でも世界を変えられる」という紛れないドリームを身をもって実現した人であるのに異論はありません。


見えない部分にまで完璧を求め、美しさを追求、どんな人でも簡単に使いこなせる・・・本書を読むとマック未経験者としては是非とも使ってみたいと思わせる、そんな作品でした。


そして本書読了した翌日のこと。


何というタイミングのよさという感じで次男よりちょっぴり早いビッグバースデープレゼントが届きました~!


これが噂のiPadです!!

文庫本を一回り大きくしたサイズ。
未だ普通の携帯しか持っていない私には夢のようなおもちゃ、フォームの美しさはもちろん、シンプルな使い勝手にびっくり、もちろん電源スイッチはありません!@@!

毎年私の誕生日&以前の母の日頃は急速に秋の気配が濃くなりながらもまだまだ秋には負けられませんと夏が最後の余力を振り絞って自己顕示するという端境期、いつも半袖で過ごしている記憶があります。0ea1e809.jpg




ここ4、5日朝夕の風の心地よさにほっとしていたら突然湿気を含んだ重い風がどんより停滞していたりと中途半端な状態に戸惑う毎日。



9月末の引越しに向けて今狭い我が家は大変なことになっています。


といっても1日のうち、ほんの短い時間いくつかのダンボールを作るのみですけど



そんな中欠勤中の娘がちょっとした病後療養をしている隙間だけは確保しなければならないので何だか妙な空間があって、しかも時間がゆったりと過ぎていくというアンバランスな状態で時が過ぎていきます。



しばらくレビューのアップも滞りがちですが、ナイトキャップ用の読書は欠かさず行っている毎日、アップ用積本(こういう造語があれば)は増える一方ですがアップする時間とエネルギーがないのが現状です。


というわけで今日は細々と1ヶ月ほど前に読んだ本のレビューを。



曽野綾子氏著『観月観世 或る世紀末の物語』


「会員制のテニス・クラブを経営する宇佐美は仕事の傍ら、観月観世の会を開いていた。
デザイナー、易者、ホテルマンなど、世代も職業も異なる者たちが集まるその会に、決まりごとはなく、ただ月を眺めながら酒を飲み交わして他愛もない話をする。
不幸にあった友人や海外で出会った女のこと。
真偽のほども分からない話を目当てに人々は満月の下に集う。
四半世紀にわたり書き続けられた人生の終盤を迎えつつある人間たちの魂の遊蕩を描く、大人のための連作短編集」




主催者・宇佐美の思いのまま満月の夜にだけ開く「観月観世の会」のメンバーは年齢も社会的地位も性別もまったく考慮に入れない数名の集まり、宇佐美の都合で毎月開かれたり何年も開かれなかったり。


月を愛でるという口実の下、質素な酒と肴を背景に真意のほどが定かでないメンバーが提供する話に耳を傾けその中からそれぞれの人生観を味わうという趣向になっています。



交わされる会話に決まりごとはなく、メンバーの友人の秘密だったり性に淫らなキリスト教国の話だったり異国の宮殿の話だったりと脈絡も規律も何もなし。



主人公・宇佐美は人生で起こる様々な出来事を達観する目を持っているという設定で過去にも著者が好んで小説に取り入れる人物像、宇佐美を通して語られる著者の人生観がいたるところに散りばめられています。



「宇佐美は誰の記憶の能力も信じなかった。
記憶だけでなく、誰のどんな能力も、信じたり、当てにしたり、それを利用して便利な思いをしようとは思わなかった。
当てにしなければ、裏切られることもなく、したがって怒る理由もないわけである」


「人生真剣にならないといつでも楽しいね。つまり不純が一番大切なんだよ」


会で話す内容は真実でも嘘でも問わないという会則の中で「常識のない人と外部へ喋りたがる人」は入れないという暗黙の了解の下での会話には主たる骨子もなければ結論もないのに読者である私を挽きつける曽野ワールドがゆったりと展開しています。


じっくりした滋味が味わえる作品、よかったらどうぞ

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