VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2012年11月

今年も季節モノの到来!


知人から届いた渋柿を吊るしていたのがちょうど食べごろとなりました。
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まずは薄くスライスしてクリームチーズをのっけてみたところワインにぴったりの酒肴となりました(*^。^*)

残りは1つずつラップに包んで冷凍、これでお正月まで持ちそう。


それから夫の郷里・舞鶴から「セコガニ」が届きました!
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いわずとしれたズワイガニの雌のこと、地域により、せこがに(勢子蟹)、こうばこ(香箱)、こっぺがに、せいこなどとも呼ばれていて、雄のズワイガニに比べ大きさや甲羅のサイズはすごく小さく見劣りしますが、このおいしさは雄のズワイガニをかなり上回ると思っています。


ことしのかにの解禁日は11月6日でしたが、この親蟹は解禁日は雄と同じながら資源保護の目的で解禁期間が雄に比べたいへん短くなっています。


なので水揚げされるのは約2ヶ月間のみ。



最近はここ岡山の魚屋さんでもときどき見かけますが、未試の方、見かけたら一度召し上がってみてくださいね。




さて本日はパトリシア・ハイスミス氏著『11の物語』をご紹介したいと思います。


「たまたま台所にあったボウルに入っていた食用かたつむりを目にしたのがきっかけだった。
彼らの優雅かつなまめかしい振る舞いに魅せられたノッパート氏は、書斎でかたつむり飼育に励む。妻や友人たちの不評をよそに、かたつむりたちは次々と産卵し、その数を増やしてゆくが…
中年男の風変わりな趣味を描いた『かたつむり観察者』をはじめ、著者のデビュー作である『ヒロイン』など、忘れることを許されぬ物語11篇を収録」





パトリシア・ハイスミスの名前を知らない方でもルネ・クレマン監督、アラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」、そしてヒッチコック監督の「見知らぬ乗客」を観られた方は多いのではないでしょうか。


日本での翻訳には恵まれず「映画の原作作家」というイメージだったのが1990年代に河出文庫や扶桑社ミステリー文庫から未訳本が多数刊行されています。


「第三の男」の著者として名高いイギリスの作家・グレアム・グリーンはハイスミスの作風を称して英雄的な主人公や合理的な展開とは異なる不合理な展開や不安感がハイスミス作品の特徴である、と挙げていらっしゃいます。(以上Wikiより引用)



私自身は学生時代、授業の一環として短篇の一部を読んだことがある程度、上記の映画2作品の原作以外はほぼ未読です。



今回懐かしさに手に取った短編集、最近長い物語が読めないのでナイトキャップにいいかなと読み始めたところ・・・ナイトキャップどころか、のっけから不条理な気持ち悪さ、というか書き表しにくいいやな感覚にまとわりつかれて・・・やめればいいものを、それでも最後まで読了。



11の短篇はどれも不気味というか、普段は日常の活動に隠れて心の奥底に沈殿している人間の存在そのものへの不安を駆り立てるような作品の集まりというのが正直な印象。


特に「かたつむり観察者」と「クレイヴァリンク教授の新発見」はどちらもかたつむりを主題の物語ですが、あまりにもかたつむりの生態に迫っていて、これが何とも気持ち悪い作品、読後はかたつむりの通ったあとのぬめぬめした感触が体から消えないほど。


「ならばなんでギブアップしないの?」と言われること必至ですが、一応このブログに書くために^_^;


ハイスミスの作品傾向を自分なりに分析してみると・・・

平凡な日常が永遠に続くと思われていることが幻で、ちょっとした現実的な介在や変化を望む心のすきまに入り込んだ非日常に今まで営々と続いていた日常が脅かされることが人生において多々あるということを喚起してくれる作品ということになるでしょうか。


何だか無理矢理のこじつけですが

少し前久しぶりに友人たちと県北県南の紅葉を観がてら二泊三日の小旅行をしました。
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県北の湯郷温泉~和気・閑谷学校~牛窓に向けて。


中国山脈の紅葉は他の地域に比べ地味だといわれていますが、赤黄青のコントラストも鮮やかで堪能しました。


湯郷といえば「湯郷Belle」、2011 FIFA女子ワールドカップで大活躍、現在なでしこジャパンの主将を務めているMF宮間あや選手やGKの福元美穂選手が所属していて一躍有名になったチームの本拠地です。


選手たちは日中は地元企業でアルバイトしながら毎日午後4時ごろから地元の運動公園で練習するという日課、私たちが訪れた日も4時から姿が見られるということでしたが、残念ながら行き違いになりました。
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宮間選手は、私も以前泊まったことのある地元の有名温泉旅館「季譜の里」で清掃のアルバイトをしながらプレーしていたそうです。
写真奥に練習場があります。4be746c7.jpg





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帰り道寄った閑谷学校は江戸時代前期に岡山藩によって開かれた、他に例を見ない日本最古の庶民のための学校として有名。95d928a5.jpg


講堂が国宝に指定され、小斎・飲室・文庫・聖廟・閑谷神社・石塀など24棟が国の重要文化財に指定されています。
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また、中国山東省の孔子廟から種を持ち帰り移植された2本の巨大な楷の木が紅葉シーズンにはライトアップされとても美しく、私たちが訪れたときもたくさんの観光客で賑わっていました。


今年も友人たちと楽しい紅葉狩りができて幸せでした。





さて本日は阿川佐和子氏著『きりきりかんかん』をご紹介します。


「八年間続いたテレビの仕事もちょっと一休み。
いわゆる充電するはずだったのに今日はロンドン、明日は秋田。
どうしてこんなに忙しいんだろう…。
七十歳の誕生日を過ぎても一人で寝られない父君・弘之氏、ともにマッサージを初体験した檀ふみさん、愛すべきメダカ、ミジンコたちに囲まれたにぎやかな日々」


阿川氏、というより佐和子さん(とお呼びしたほうがぴったりの感じ)が1989年から1992年までキャスターを務めておられた「筑紫哲也ニュース23」時代に「週刊文春」に連載していたエッセイを文庫化したものが本書です。


現在では作家・エッセイストとしての地位も確立していらっしゃる佐和子さんの著書としてはかなり初期のもの。


文章的には多少物足りなさもあるものの、まだ手馴れないフレッシュな佐和子さんに会える作品です。


この直後ワシントンへ留学、帰国後はTBSの「放送特集」のキャスター、現在も続いている「ビートたけしのTVタックル」のレギュラー、1999年には壇ふみさんとの共著『ああ言えばこう食う』で講談社エッセイ賞を受賞、同年小説『ウメ子』で坪田譲治文学賞、2008年には「婚約のあとで」で島清恋愛文学賞を受賞されるなど多岐にわたっての活躍が続いています。



作家・阿川弘之氏の長女として有名ですが、飾らない好ましい人柄がエッセイなどからうかがわれて私も好きなエッセイストのおひとりです。


特に壇ふみさんとの3冊の共著は爆笑往復書簡として大ファン、次回作が待たれます。



さて本書のタイトル「きりきりかんかん」の由来は著書の説明によると、目を吊り上げてキリキリしている顔を表して「きりきり」、「かんかん」は言葉通り怒り頂点に達した顔の様子だそうです。



正義の味方・佐和子さんは常時世の中の理不尽なこと、今どきの若者、そしてドジな自分自身にも憤っているという日常、とても好感が持てます。


気楽に流し読みできる作品です。

先日次男が帰省した折、iPadを使いやすく設定してくれました。

そのうちの1つが私がお気に入りの曲を取り込んでメドレーで流れるようにしてくれたこと。


次男が帰京してから、早速聴こうと思っていじくっていたら突然ストックしていたたくさんの曲が一瞬で消えてしまいました^_^;


それから悪戦苦闘して捜すも捜すも見つからず・・・Where Are They?? 曲よ、カムバ~ック!!という状態が続いています。


パソコン暦はけっこう長いものの、こうなると皆目どうしていいやら・・・この次、彼が帰省するのはいつのことやら・・・途方にくれています。





さて本日は北杜夫氏著『マンボウ最後の大バクチ』のご紹介です。


「まさかの『老年躁病』が突然発症!杖にすがっての珍道中が始まった!ギャンブル行脚は、競馬、競艇、カジノに及び、一喜一憂の日々が続く。
しかしそれもつかの間の狂乱バブル。再び腰痛と鬱の後期高齢者に逆戻り…。
爆笑最新エッセイ集」


ちょうど1年前84歳で逝去されたどくとるマンボウこと北杜夫氏82歳のときのエッセイ集。
「新潮45」に連載されたギャンブル紀行シリーズ他手繰りよせられた思い出などの雑文で構成されています。


北氏といえば壮年期より躁うつ病を発症、長い鬱期と比較的短い躁期を繰り返すという病歴が知られていますが、本書を遡ること10年もの長期にわたって欝期にあった氏が2000年年末より急に躁期に入ったことにより、娘さんでありエッセイストの斎藤由香さんと「新潮45」の編集長である中瀬ゆかりさんとともに挑んだギャンブル行脚の旅模様をおもしろおかしく綴っていらっしゃいます。



躁期の北氏が過去に株の売買に入れあげて巨額の借金を負い、出版社や銀行、佐藤愛子氏を代表とする作家仲間から借金をしまくり自己破産に追い込まれたのは有名な話ですが、このギャンブル紀行はその当時のエネルギッシュな北氏を少しだけ髣髴とさせるような文章。


躁の勢いでバーに行ったときのこと。

「躁とギャンブルによって高揚させられていた私は、その次にわきにいるほっそりとした子の腿を撫でた。
誓って言うが、これまでの生涯私はそのような行為をしなかったし、しようとも思わなかった。するとその若い子は、『感じました!』 と言ってくれた。
それが見知らぬ白髪だらけの老人に対する世辞なのか、或いは現代っ子のあっけらかんなのかは分からない。
ともあれ、生れて初めて恥知らずの行為をし、おまけに『感じました!』と言われた私は感激してしまった」



全体を通して見え隠れする邪気のない人柄に好感が持てますが、なにしろ長く続いている躁うつ病の他、強度の腰痛などを抱えての長期にわたっている隠遁生活がうかがえるようなたどたどしい筆の運び、それがかえってほほえましく感じられました。


2009年に88歳で亡くなられた庄野潤三氏の『けい子ちゃんのゆかた』や『星に願いを』に代表されるような晩年のエッセイに共通するすべてを達観して子ども返りしたような穏やかな老後を感じさせる文章が印象的でした。

親しい仲間8人で仏像界のイケメン・阿修羅立像に会いに興福寺に行ってきました。
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創建1300年、今回は現在再建中の中金堂の北側の仮金堂の特別開扉ということで、本尊・釈迦如来像や左右の脇侍の薬王・薬上の両兄弟菩薩立像など間近でじっくり見ることができました。
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そして心は国宝館に急いで・・・いよいよあこがれの阿修羅像。

逸る気持ちを鎮めながら、静かな威厳の立ち姿の美しい像高520.5cmの千手観音菩薩像に圧倒され、個性豊かな十大弟子像に対面して、やっとやっと八部衆に。

目当ての阿修羅像は中ほど右よりにすっきりと立っていらっしゃいました。
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本来の古代インド神話の阿修羅王は帝釈天を敵に合戦を繰り返した荒々しい悪神といわれ、その容姿も醜悪な鬼神だったそうです。

興福寺のこの阿修羅像は、この悪神が釈迦の教えによって仏法の守護神となった姿で、眉根を寄せた苦悩の表情は、元の荒々しい醜悪な心が仏によって目ざめ愁眉を開きつつある顔だといわれているそうです。

男性とも女性とも特定されていませんが、私には少年期から青年期に至る途上の清冽な憂いを含んだ表情に見えました。

三面六臂の3つの顔はそれぞれ特徴がありますが、やはり中央の眉根を寄せ正面を見据えた顔が特に好きです。


写真は興福寺に行く前に食べたランチ。
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今回の奈良行きを計画してくれた友人がネットで評判の店を検索してくれて決めましたが、開店前から大勢の人が並んで待っているような人気店、運よく直前の予約で入れました。

他に数品写真を撮り損ないましたが、野菜オンリーの店。


ランチの後、猿沢の池を散策しながら興福寺までブラブラ歩いて行きました。
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散策日和のいい一日でした(*^。^*)






さて今日は高杉良氏著『小説 ザ・外資』をご紹介したいと思います。


先日土日一泊で帰省していた次男と図書館に行ったとき、チョイスしてくれた作品。


池井戸氏の作品で銀行系経済小説を読み漁って以来、経済小説の面白さに嵌っているので、証券系で興味深い作品がある?と証券会社に勤務する次男に聞いたところ、本書と『ハゲタカ』を紹介してくれたのでした。



どちらも外資系証券界を中心に描いた本で私の興味の対象とは少し外れますが、面白く読みました。




「東邦長期信用銀行を辞め、外資系金融機関に飛び込んだ西田健雄は信じられない不正の数々を目の当たりにする。合併の大型案件で他人のアイデアを横取りするのは序の口、違法なリベートや詐欺的商法まで横行する。強大な力の前には不良債権に喘ぐ邦銀などひとたまりもなく―。圧倒的な迫力が光る経済小説」



旧日本長期信用銀行と米系投資銀行のゴールドマン・サックスをイメージして書かれている本書。



小説仕立てとはいえ、綿密な取材の上での作品は著者ならではと思えるリアリティに溢れた作品。



現在は新生銀行となっている日本長期信用銀行が破綻してから再生する過程で登場したゴールドマン・サックスのあくどさがこれでもかと描かれていて、著者の外資嫌いがうなずける作品となっています。



本書は大きく分けて三部仕立てとなっています。


上述の新生銀行誕生物語はその第三部で詳しく描かれていますが、第一部は本書の主人公・西野健雄が破綻寸前の長銀からトラバーユした米国のダイアモンド・ブラザース(DB)で苦労して練り上げた合併話のトロフィーディール(大型案件)を上司とそのゴマすり部下に横取りされる話と、偶然早朝のセントラルパークでのジョギングで知り合ったグレース証券会長のマイケル・パターソンにグレース証券東京支社への入社を熱心に請われる話が並行して描かれています。



第二部は、請われて役員として入社した東京支店で扱っている「ヴィクトリア債」というものが、ハイリスク・ハイリターンのデリバティブの私募債であるにも関わらず、元本保証として大々的に売り出して日本企業から巨額の資金を集めていることを知った主人公が入社10日後同社を退職するまでの顛末。

その9ヶ月後にこのヴィクトリア債券が破綻し日本企業約70社、約1300億円の損失をもたらして経済界に混乱を巻き起こすことになります。



著者の筆を通して、拝金主義を貫くための強引な手法によって日本企業を傘下に入れるという外資、特にインベストメント・バンクのやり口が日本企業にとってハゲタカのような存在として描かれていますが、多分に著者の外資に対する感覚が描かせている感が窺えるものの大部分は事実なのではないでしょうか。


例えば長銀の再生のために外資が出した条件の1つ「瑕疵担保条項」に関して。

譲渡時以降に、貸出債権が20%以上不良債権化したら簿価で預金保険機構が買い取るというものだそうですが、現実にデパートのそごうが債権放棄を依頼して再起を図ったとき、この新生銀行のみが不良債権として簿価による買取を要求したそうですが、約1000億円という巨額のために世論に受け入れられず、結果的にそごうは民事再生法による再生に切り替えたといういきさつがあるそうです。


義理人情に裏打ちされた終身雇用制の日本企業もどんどんそういった情緒的志向の体制から脱却して現在に至っているようですが、まだまだ外資には及ばないのは私のような甘い人間が感じるに、あながち悪いとは言い切れないものがあるような気がします。


夫は終身雇用制のザ・日本企業に在籍していたので外資の苦労を知りませんが、外資系IT企業にいる娘を通してトップのアメリカ人役員たちの締め上げの厳しさを耳にするたび現在の働き盛りの人たちの苦労が偲ばれます。


どんな事象にも表裏があるという典型ではないでしょうか。

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