
※ベランダから見た夕焼け
知人に最高級品といわれるウーロン茶をもらいました。

それにしても一見レンガのような塊で・・・本場中国では一旦圧縮した茶葉を削って飲むというのは、数年前旅行に行ったとき入ったお茶専門店で体験していますが、黒い塊を前に手が出ず・・・
しばらく放置して、やっと意を決して削りました~。
削る間期待した芳醇な香りもしないし、本当に高級なのかどうか・・・悲しいかなチャン語に不不不案内なものでわからず・・・首を傾げながら削った茶葉を一掴み急須に入れて味わってみたところ、すごく味わい深くおいしい!!
削り甲斐がありました(*^。^*)

本書は何度か読み返した作品ですが、最後に読んだのが2ヶ月ほど前。
ブログ友のトコさんのブログの読書録に書いていらっしゃったのを通して思い出し、まだレビューを書いていなかったので記憶を遡って書いてみようと思い立ちました。
トコさんの『赤い人』のレビューはこちら → ★
吉村フリークの私はほとんどの作品を読んでいますが、このブログにアップしていない作品が多々あり、追々アップしていきたいと思っています。
さて本書レビューに戻ります。
「赤い囚衣の男たちが石狩川上流に押送されたのは明治14年のことだった。
国策に沿ってかれらに課せられた死の重労働。
鉄丸・鎖につながれた囚徒たちの労役で原野が切り開かれていく。
北海道開拓史の暗部に横たわる集治監の歴史。
死を賭して脱走を試みる囚人たちと看守たちの、敵意にみちた命がけのドラマ」
本書は明治14年の樺戸集治監設置から大正8年の廃止まで約40年に及ぶ北海道監獄史を、その建設に関わった囚人たちを中心に描いた克明な記録小説です。
全国隈なく歩き、埋もれた資料を弛まぬ努力で発掘、それを基盤に事実を踏まえて精緻をモットーとした小説に仕上げるという吉村作品の特徴が隅々に表れた優れたドキュメンタリー作品といえます。
私事ですが、内地から屯田兵として北海道にわたった経歴を持つ夫の祖父に与えられたという開拓地に近い場所が舞台だけに、もちろん本書の主役ともいうべき囚人たちの筆舌に尽くしがたい過酷な労働と屯田兵の開拓では比較になりませんが、会ったこともない義祖父や夫の父親の兄弟などの苦労の足跡を辿る思いで興味深く読みました。
内地の囚人たちが送り込まれた樺戸郡月形町は当時は札幌から北東に約20キロ離れた人里離れた石狩川沿いの人跡未踏の極寒の森林で、そこに今で言う刑務所-当時の呼び名で集治監-や道路の建設を目的に目を背けたくなるほどの苛酷な衣食住と労働を強いられた囚人たちの日常に強い憤りを感じたというのが正直な感想です。
自らを監禁する牢屋の建設を満足な食料も衣服も与えられず文字通り命がけでやらされる囚人たち、極寒期には凍傷で手足をなくすもの、栄養失調で命果てる囚人が続出、いきり立った囚人たちと看守たちとの激しい摩擦の中で空しい逃亡を企てる囚人も出るのは必然といえますが、捕まれば厳しい制裁を受け、なお抵抗するものに対しては見せしめのため切り刻むという人を人とも思わぬ扱いはいかに囚人といえども許される範疇を超えていると思わせる事実がこれでもかと突きつけられて胸を締め付けられる読後感でした。
このように囚人たちを主に描いているものの、主役らしい人は登場せず、ほとんど言葉も発しない、そんな抑えた筆致に返って凄みが感じられる文章、唯一彼らが発した言葉といえば、極寒の地への護送の末、味噌汁を提供されたときに発した「極楽」という言葉。
現在の傲慢な境遇に疑いもせずどっぷりと漬かっている自分が恥ずかしくなりました。
今はサラリーマンの憧れの転勤地として名前の挙がる札幌を中心とする北海道のイメージですが、このような苛酷な開拓の歴史の上に成り立っていることに衝撃を受ける作品でした。
是非どうぞ!