VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2013年05月

買い物があったので、車検のためディーラーに行く夫に同行しました。


営業所で代車に乗り換えたのち、買い物に行きマンションに帰り、エントランスを抜けるための鍵を取り出そうとバッグを探せど見つからず・・・いつものように車のドアポケットに置きっぱなしだったことにやっと気づきました。


頼みの綱の夫は、というと何の躊躇もなく家と車の鍵のついたキーホールダーごと営業所に預けてきたというではありませんか。


お互いのミスなので責め合うこともできず、すごすご営業所に引き返し、それぞれの鍵を回収してきました^_^;

とんだボケ夫婦で営業の人も苦笑していたような






さて今日は次原悦子氏著『踏み切りに消えたナオ』をご紹介します。


「子捨て、差別、貧困、いじめ、ホームレス……。
あらゆる悲劇を背負って日本に生まれた一人の青年ナオミチ。
その十九歳の短い生涯に、壮絶なまでに無償の愛を注いだ女性経営者による慟哭の手記」


著者の次原悦子氏は中田英寿さんや北島康介さん、為末大さん、杉山愛さんなどトップアスリートをマネージメントする会社・サニーサイドアップの代表取締役社長、知る人ぞ知る有名な方だそうですが、私は不案内で全く知りませんでした。


本書はよくも悪くも見城氏率いるザ・幻冬舎刊行という感じの作品でしたが、読み手を挽きつけるセンセーショナルな構成の割には心に深く食んで問題意識が喚起される作品になっています。



会社の事業の一環として児童施設に行って小さかったナオと出会い、頑なだったナオとの辛抱強い交流を通して次第に心をほぐしていき養子縁組をしようと悪戦苦闘しながらも叶えられなかった当時25歳だった若き著者の一途さと本気が伝わってきてただただ感服。


この世の苛酷を幼い肩に背負って生まれてきたようなナオの自死するまでの19年間の人生とはいったい何だったんだろうと突き詰めると運命だったという言葉で片付けることを承知しない自分がいますが、ならば解決策はあるのか、と問われれば返す言葉が見つかりません。


出稼ぎに来ていたフィリピン人と日本人のハーフとして生を受けたナオミチ。


人は生きようによっては自らの人生を開拓することができるというのは一握りの真実であろうかと思いますが、一方貧困などの生活苦に喘ぐ問題意識の低い親から生まれた子どもがどのように人生を切り開けるのか。


ナオの19年はそんな荒々しい波に翻弄された年月だったと思います。


音信不通になったナオを探して10年目にやっと会ってからの著者とナオの2ヶ月間はナオにとって著者の愛情を確認して確認して確認した日月だったというのが次々起こす問題行動を通して伝わってきます。


行方不明だった10年間で警察沙汰になり新聞に掲載されるほどのひどいいじめを受けたり、16歳でホームレスになったりの過酷な人生の中でも著者を初め、救いの手を差し伸べてくれた大人たちがいたことにわずかな救いを見出した読者もたくさんいらしたのではないでしょうか。



「師走の夕刻、中央線の踏切。遮断機をくぐり、つながったままの携帯電話を足元に置くと、彼は両手を広げ、迫り来る上り快速電車の前に立ちはだかった」


「十年ぶりにようやく会えたナオミチは、スラリと背の高い青年になっていた。
再会を喜んだのも束の間、これから先、私がどんなに探しても、もう二度と彼に会うことは叶わない」


置き去りにされたつながったままの携帯電話の先にいた著者の慟哭が聞こえるような作品でした。

昨年9月に宿替えして以来、ほとんど何もなかったベランダに少しずつ緑が増えています。ff4d9a52.jpg



南のベランダに夫がセットしたゴーヤが細々とツルを伸ばしています。


引越しを見越して植えなかった昨年を除いて毎年ゴーヤを育てているので急な成長はまだまだ先と楽しみ♪



今朝カーテンを開けると東のベランダに植えた朝顔が一輪、生まれたての花びらを太陽の方に向けて力いっぱい咲いていました。 0e62d8ec.jpg



まだ葉っぱも満足に増えてなくて何の後ろ盾もないのに精一杯のエネルギーで咲いた様子が何とも健気で愛しい。


「天上の青(へブンリーブルー)」


濃紺でもスカイブルーでもない青がすてきです。


「天上の青」といえば、すぐ思い浮かぶのが曽野綾子氏の唯一の犯罪小説のタイトル。


宗教色の濃い、というより深い内容で忘れられない作品のひとつでした。



『天上の青』のレビューはこちら




さて今回は藤原伊織氏著『遊戯』をご紹介します。


「ネット上に対戦ゲームで出会った男と女。
正体不明の男に監視されながら、二人は奇妙に繋がり合っていく。
著者が闘病中も書き続けた表題作と、遺作となった中編『オルゴール』を収録」



本書は連作短編集となっていますが、5篇を著したところで逝去されたといういわくつきの作品・・・いうまでもなく明確な終章のない尻切れトンボ作品です。



しかし亡くなる直前までの作品としてはそれまでの藤原伊織のカラーそのものを保ったという意味で精度の高い作品となっていますので、伊織ファンにとっては存分に著者を味わえるのではないでしょうか。



のちに死因となる食道がんが2005年に発見されて以後も創作を続け、『シリウスの道』や『ダナウ』を発表、2007年の死亡直前まで雑誌に連載し続けたという著者。


しかもそれらの作品には死の影が見当たらない、全盛期の伊織氏そのものの生活臭の薄い都会的な雰囲気漂う作品となっていることに驚きます。



本書の主人公はオンラインのビリヤードの対戦を通じて知り合った本間透と浅川みのりという男女。


著者は、2人の主人公がビリヤード対戦中のちょっとしたチャットでの会話をきっかけにリアルに出会ってお互いに通じ合うものを感じ、本間が20歳のみのりに30歳の現在まで封印していた父親による虐待という歪な過去を語るという奇想天外な初対面を用意したのち、それぞれの日常をそれそれの視点で描きながら、少しずつ物語を交わらせていくという構成をとっています。


それぞれの人物設定がいかにも藤原伊織氏好みという感じ・・・苛酷な過去から未だに抜け出せず睡眠薬なしでは平穏な夜を迎えられないという内に静かな怒りを秘めた本間と20歳でありながら老成したような早熟な感性を持つ180cmという女性には珍しい長身のみのり。


しかも屈折した本間を丸ごと受け止めるみのりの間でまだ明確な恋愛関係には発展せず。


著者好みの2人の造形を見ただけで「こんなのあり?」という内なる声を発しそうですが、2人の周りに出没する自転車に乗った謎の男と、その男によるものと思われるストーキングやハッキングなどを複線として散りばめながらハードボイルドに発展しそうな伊織風色づけをして読者を誘導しているという感じでしたが、著者の死によってそれらの収束がなされないまま出版社の意向で刊行となったようです。


従って本書に納得のラストはなく著者特有の雰囲気のみが頼みの綱という作品。


それでも藤原伊織に浸りたいという方はどうぞ。

先日テレビで「天満天神繁昌亭」ができるまでのドキュメンタリー番組が放映されていました。

上方落語協会の悲願というべき長年の夢が実現したのが2006年。   


人力車に乗って天満宮付近をパレードした桂文枝師匠(当時桂三枝)の達成感と期待感に満ちたお顔が印象に残っています。


枝雀が生きていたらぁ・・・と残念に思いつつ是非行きたいと思いながらもう7年。



同じ大阪・日本橋には、昨年橋下市長から補助金の減額を言い渡されて物議を醸し出している文楽の国立文楽劇場がありますが関心も乏しく…何を隠そう、人形浄瑠璃の何たるかもわからなくてひたすらお笑い系に流れている私^_^;


先だって友人2人が人形浄瑠璃を鑑賞しに行ったときでさえ、これが繁昌亭だったら何をさておいても行くのに…と思っていました


ところが・・・時を置かず、本日読了した作品を通して文楽のたった「い」の字を知っただけなのに鑑賞したい気持ちがもくもくと湧いてきて・・・一瞬読むのが遅かった!と後悔しきり^_^;


旅行でも経験済みですけど特に知識薄のものに対しては事前勉強しておけば魅力が倍々増するんですよね。



実体験では大学時代に一度だけ鑑賞しましたが、覚えているのは演目の作家さんが近松門左衛門だったことだけ^_^;


今日ご紹介する作品は文楽における事前勉強の点でも最強の入門書です。



三浦しをん氏著『仏果を得ず』

「高校の修学旅行で人形浄瑠璃・文楽を観劇した健は、義太夫を語る大夫のエネルギーに圧倒されその虜になる。
以来、義太夫を極めるため、傍からはバカに見えるほどの情熱を傾ける中、ある女性に恋をする。芸か恋か。悩む健は、人を愛することで義太夫の肝をつかんでいく―。
若手大夫の成長を描く青春小説の傑作」   


本書は「小説推理」に連載したものに加筆修正して2007年に単行本化したもの。


文楽の若手大夫・健(たける)を主人公の文楽を肝とした見事な成長譚。


「文楽」という言葉の由来は操り人形浄瑠璃専門の劇場の名だったのが、現在では伝統芸能である人形劇の人形浄瑠璃を指すようになったそうです。


「文楽は男性によって演じられる。 太夫、三味線、人形遣いで成り立つ三位一体の演芸である。
客席の上手側に張りだした演奏用の場所を『床』と呼び、回転式の盆に乗って現れた太夫と三味線弾きが、ここで浄瑠璃を演奏する。
対して人形のことを『手摺』と呼ぶが、これは人形遣いの腰から下が隠れる板のことを手摺ということから」  (Wikipediaより)

主人公の職歴である「大夫」とは人形たちの動きに合わせて情景やセリフなどを浄瑠璃語りをする人。


主人公・健は高校の授業として文楽を鑑賞したのがきっかけで研修生として文楽への第一歩を踏み出します。


同じ伝統芸能である歌舞伎が例外を除いて親子で代々名跡を継ぐ世襲制が濃い世界に比して、文楽の世界はより実力で将来が左右される世界。


そんな文楽にかける30歳の健の文字通り文楽に淫しながら恋にも苦悩する青春物語。


何より主人公・健の造形が見事!


若者らしい一途さで文楽修行に邁進する健が生き生きと、そしてすがすがしく描かれていて著者の筆力に脱帽です。


ただほんの小さな苦言ですけど健の恋の成り行きや周辺の造形にちょっぴり共感が持てなかったのが気になったくらい。


さすが上代文学・伝承文学研究者・三浦佑之氏を父に持つ著者ならでは…といったら著者に叱られるやも…お父上とは無関係かもしれない取材力のすばらしさと構成力、文章力に合わせて脱帽。



主人公の日常を通して、文楽の世界を構成するピラミッドの頂点に立つ人間国宝の大先輩の力量のすごさ、大夫とタッグを組む三味線奏者の密度の濃い関係、大夫と三味線と人形遣いの三位一体の関係性、そして大夫が語る浄瑠璃の世界観などがさりげなく語られていて、知らず知らず深遠な文楽の魅力に嵌められた読者も多かったのではないでしょうか。



タイトルの「仏果を得ず」の意味を探りつつ読みましたが、最終章でやっと出てきました。


人気演目である「仮名手本忠臣蔵」のクライマックス“六段目・勘平の腹切り”の場面。


ご存知でない方は本書をお読みいただくとして前後を省略して簡素に説明すると…

原郷右衛門の「思へば思へばこの金は、縞の財布の紫摩黄金。仏果を得よ」という投げつけるような言葉に対し、瀕死の早野勘平が最後の力を振り絞って絶叫する言葉「ヤア仏果とは穢らわし。死なぬ死なぬ。魂ぱくこの土に止まって、敵討ちの御供する!」から来ています。


持てる渾身の力で勘平と同化し勘平を語る健大夫の心の叫びがこの作品の底を流れるテーマ$タイトルに繋がっていきます。

「金色に輝く仏果なんかいるものか。 成仏なんか絶対にしない。
生きて生きて生き抜く。 俺が求めるものはあの世にはない。
俺の欲するものを仏が与えてくれるはずがない」


文楽の楽屋を取材した著者のエッセイ『あやつられ文楽鑑賞』も読んでみたいと思います。

「振り込め詐欺」にかわるものとして警視庁が全国から募集していた名称で、「母さん助けて詐欺」が最優秀賞に輝いたそうです。 40e51e25.jpg



他に「ニセ電話詐欺」「親心利用詐欺」が優秀作品として選ばれたそうですけど、コピーライターなどの作るキャッチコピーと比べて何だかなあという気がしますが、かといってこれぞといった案があるわけではなく、示唆としては小林製薬に相談すればいいのではということくらい^_^;

実は小林製薬の数々の家庭薬のネーミングのファンなんです(*^。^*)


警察との追いかけっこで敵も手口をどんどん進化させているようで、相変わらず被害件数は増加しているそうですが、自分としては誰がこんな見え透いた手口に引っかかるのかしらと不思議ですが、家族に言わせれば最も引っかかりやすいNo1が私なんだそうです


詐欺ニュースが流れる度に厳しく注意を受ける私。


今まで詐欺に遭ったこともなければ信じている人に騙されたこともないのにどうしてこんな理不尽な注意を受けるのか。


どうやら「信じやすい」というのが唯一の不安を掻き立てる根拠…だそうです^_^;


私の子どもたちはまず家の固定電話にはかけてこないのでその時点でいくら鈍感な私でもピンとくるだろうけど、かかってきたら騙されたふりしてしばらく詐欺団を弄んでやりたいと今から策を練っています。





本日の本は佐野洋子氏著『役にたたない日々』です。


「『68歳は閑である。 バアさんが何をしようと注目する人は居ない。淋しい? 冗談ではない。
この先長くないと思うと天衣無縫に生きたい、思ってはならぬ事を思いたい』
友人とともに料理をし、家族を思いながら、韓流や漢詩に身をこがす。
人生の名言がゴロゴロ転がっているエッセイ集」


2010年11月逝去 享年72歳 代表作『100万回生きたねこ』


詩人・谷川俊太郎氏の3番目の妻として6年を共にしたあと離婚されたことでも有名です。



以前ブログでアップした『シズコさん』と同時期に発表した2003年~2008年までの身辺雑感日記を文庫化したもの。



全篇、何の飾りもない直截的な言葉で物事の本質(とご自身が思っていること)を直視して著す潔さといったら!


「役にたたない日々」というタイトルそのままの怠惰な日々雑感を「それがどうした」と不特定多数の観客に向かって開き直る潔さを通して、彼女が長年うつ病を患っていたなんてミスマッチのような感じを受けますが、ほんとうはきっととても繊細な人なんだろうな。


「私はわかった。人と付き合うより自分と折り合う事が一番難しいのだ。
私は自分と折り合えなかったのだ。 六十年くらい。
私は自分と一番絶交したいのだ。
あヽこういうのが精神病なのだ」


大胆かつストレートな表現で著す人間観察記録は自分の心の奥を見透かされたようで思わずドキッとしながらもクスッと笑える場面がてんこ盛り(*^。^*)



自分の中に見栄を発見したときの様子の描写には思わず納得のうなずき。


「私の見栄ってこういう表れ方をするのか。
しかし見栄というものは世間がないと生まれないものである。
あれ程私の一生、自分は世間になるまいと腹を固くふんばって来たのに、自分の中に世間が埋蔵されていたのだ。 困ったことだ。 私の肝は世間に負けた」


人と比べて劣等感を抱く、逆に優越感を抱く、どれも人間として当たり前の性情ですが、これに世間の目云々が加わってますますがんじがらめになる自分がこの文章に集約されているようで何と居心地が悪いこと。



死の原因となった乳がんのための切除の次の日、病院から67歩で帰れる自宅に毎日タバコを吸いに帰っていた彼女に乳がんの骨転移が見つかったときの話がまた豪快です。


「私はラッキーだった。 担当医がいい男だったからだ。
阿部寛の膝から下をちょん切った様な、それに医者じゃないみたいにいばらない。
いつも笑顔で、私、週一度が楽しみになった。
七十パパアでもいい男が好きで何が悪い」


そしてその阿部寛もどきの担当医に聞きます。

「あと何年もちますか」

「ホスピスを入れて二年位かな」

「いくらかかりますか死ぬまで」

「一千万」

「わかりました。抗ガン剤はやめて下さい。延命もやめて下さい。
なるべく普通の生活が出来るようにして下さい」


内心90歳まで生きたらどうしようと思っていた著者は病院からの帰り、年金代わりの貯金をはたいて一台のジャガーを買います。

「ジャガーに乗った瞬間、シートがしっかりと彼女を受け止めてくれて、あなたを守ってあげるよと言っているみたいだった。
乗っていると、クルマに対する心からの信頼が自然にわきあがって来た。
『あー私はこういう信頼感を与えてくれる男を一生さがしていたのだ』という思いがこみ上げてきた。
けれど、あと二年しか生きられないのだから、もう、そんな男に巡り会う可能性はない、そう思うと、がっかりした。
でも・・・最後に乗るクルマがジャガーかよ、運がいいよナア」


余命告知にはもう1つすばらしいオマケ ― 十数年苦しんでいたうつ病が消えた ―がついて人生が急に充実したそうです。


キュープラー・ロス氏の著書『死ぬ瞬間』に記されている死を受容するまでの5段階を一足飛びに飛び越えて5段階目の「受容」に行った著者。


いいなあ、私は著者ほど肝が据わってないけど、死の告知を受けたら「否認」「怒り「取引」「抑うつ」「受容」の5段階プロセスを飛び級でやすらかな受容に一気にいけるといいな。


著者と同じく役にたたない日々を送っている私もがんばりたい。


「この先長くないと思うと天衣無縫に生きたい、思ってはならないことを思いたい」



ご冥福をお祈りいたします。

久しぶりに会った友人Kさんと話していて会話に出てきた共時性=シンクロニシティ。


Kさんはお土産にくれた彼女の愛読書2冊が物語っているように三次元の世界を体感したりなど身の回りで起きる目に見えない精神世界の現象に非常に敏感で、対極的に鈍感な私はついていき難いこともしばしば。


その分野に愚鈍な私がタイムリーにシンクロニシティといえばいえなくないことを味わったので何だか今回は肯いてしまいました。


急に暖かくなって直射日光を避ける意味でも薄手のパーカーがほしいな、とここ数日通販を見ていたところ、共通の友人のお見舞いのために病院に集った友人のひとりが着ていたパーカーに目が留まってこんなのがほしいなと思ってジロジロ眺めていました。


ところがお見舞いを終えて自宅に帰ったところ、長男のお嫁さんから母の日プレゼントが届いていて開けてみると何と!同じ(ような)パーカーが!!!9aa19cca.jpg



これをシンクロニシティといわずして何という!?

ということであえなくユングとKさんに降参したのでした。


プレゼントといえば、娘のところからスコーンやクロケット、ハンバーグの冷凍詰め合わせ、そして最後に一日遅れで届いたのが送り主不明の桂枝雀のDVD全集。


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いくら送り主の項を見ても名前が見つからず、amexで決済しているようなのできっと次男だろうと思ってメールしても返信なし…まあ勤務中でしょうけど^_^;


次男といえば先日旅行先の京都から大量のお土産を送ってくれていてそれが母の日のプレゼントと認識していたので嬉しい申し訳なさでした(*^。^*)

大好きな枝雀、CDは義姉にダビングしてもらって持っていますがDVDはなお嬉しい、とばかりに送り主不明の品の包装を剥がしセット、毎日の楽しみが増えました。



さて本日は篠田節子氏著『家鳴り』のご紹介です。

「ありふれた日常の裏側で増殖し、出口を求めて蠢く幻想の行き着く果ては…。
巨大地震が引き起こす食糧危機、老女の心の中で育まれた介護ロボットへの偏愛、摂食障害のために限りなく肥満していく女、豚の世話だけに熱中する孤独な少年の心の爆発―。抑圧された情念が臨界まで膨れ上がり、過剰な暴力となって襲いかかる瞬間を描いた戦慄の七篇」


前述のシンクロニシティと分野的には似たような超常現象というかホラー現象を扱った7篇の小品が詰まった作品。


自分自身の読書嗜好には合わない作品集ですが、近未来にもしかしたら起こるかもしれないと思わせつ問題を上手にホラー的に味付けしていて著者の力量を感じさせる作品ではありました。



◆巨大地震が首都圏を襲った結果、食糧を求めて大挙して押しかけてきた都会人によって荒らされる田舎の人々の恐怖を描いた「幻の穀物危機」

近い将来起こりうるといわれている首都圏を巻き込む巨大地震の結果のシュミレーション的な作品として注目すべき内容。

本能をむき出しにした人間の業をデフォルメしているものの似たような経験は阪神淡路大震災で経験しているので、極限の人間の本質にうなずかざるを得ない作品でした。



◆夫の義母を介護する嫁と介護される義母の両方の視点から、きれいごとではない介護の実態に迫った「操作手」

痴呆症の義母を献身的に介護する理想的な嫁でありながら、重荷から解放されたいという二心が一瞬芽生える様子やその微妙な心を捉える義母の様子など、日常に潜む人間の善悪の機微を上手く描写していて感服します。



◆飼っていた愛犬が死んでから徐々に精神のバランスを失い摂食障害になっていった妻に自ら手をかけた食事を提供し続けて極限まで肥満させる夫を描いた表題作「家鳴り」

心の拠りどころにしていた愛犬を失った子のない妻が徐々に拒食から過食へと移行する様子とそれを愛情という名の下に手を貸し加速を促していく夫もまた精神が蝕まれていて恐ろしい作品となっています。



好みは別にしてどの作品も日常と遊離した非現実的な事象と片付けることのできないテーマを扱っていて、無意識の心の奥の襞を描くことが巧みな作家さんです。

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夏日のような陽気だった一昨日、お茶をお呼ばれしに吉備高原の銭本宅を訪問しました。


道中道路に沿った鮮やかな桜の緑を抜けると今度は白やピンクのさつきが1時間ほどのドライブに楽しみを倍加してくれます。


zensanというハンドルネームで多くの人々から慕われていた銭本さんはネットから離れて久しいながらとてもお元気で出迎えてくださり楽しいひと時を過ごしました。


久しぶりに戦後の急激な思想の転換を迫られた体験などzensanからお聞きしてとても有意義でした。


写真は銭ママお手製のハーブ入りシフォンケーキ、すごくおいしかったです(*^。^*)


訪問のもうひとつの目的は、母が亡くなってあと納骨前に分骨していた小さな骨片を入れて手元に置く意向で陶芸家である娘さん・眞理ちゃんに依頼していた手元供養の小さな骨壷の見本がいくつかできたので見せていただくこと。


今年早々に旅立たれたご主人のお骨も手元に置きたいとのことで仲間のTさんも他の仲間とごいっしょ。


いくつか趣きの異なった作品を見せていただいて気に入ったのが写真の骨壷。918af645.jpg


両手にすっぽり包み込めるまあるいフォルムが何とも優しく心和む形、色合いもとてもすてきに仕上がっていて嬉しい(*^。^*)


そして写真の本はzensanの元勤務先・毎日新聞社史上下2巻と、広島の地で同じ小学校に在籍した縁で交流を結ばれた韓国のひとりの男性の数奇な半生のドキュメンタリー作品。f8653fdb.jpg



活字好きな私にお勧めと貸してくださいましたが、もっぱら寝てエンタメ本を読むという低レベルの自堕落読書人に果たして読めるかどうか…。


姿勢を正して…というか寝ては手に持てない重さ^_^;…少しずつ読んでみようと思っています。





渡辺容子氏著『ターニング・ポイント』


「乱歩賞受賞作『左手に告げるなかれ』の八木薔子が帰ってきた!
欲と憎悪、金と名声、女達のタブーを八木が暴く!
極上ミステリ5連作」


著者は会社勤務を経てジュニア小説作家~大人向けの小説に転身
1992年『売る女、脱ぐ女』で小説現代新人賞
1996年『左手に告げるなかれ』で江戸川乱歩賞をそれぞれ受賞
1998年『無制限』
1999年『斃れし者に水を』『流さるる石のごとく』
2001年『薔薇恋』
2011年『エグゼクティブ・プロテクション』
2012年『ターニング・ポイント―ボディーガード八木薔子』


著者の作品はほとんど読んでいますが、アップしているのは『左手に告げるなかれ』『薔薇恋』の2作品のみ。



本書は江戸川乱歩賞受賞作『左手に告げるなかれ』で鮮烈デビューした八木薔子の保安士から身辺警護員に転身する過程を描いた連作短編集。



時系列でいうと『左手に告げるなかれ』から『エグゼクティブ・プロテクション』の間の八木薔子の現在、そして将来のちょっぴり楽しみな恋の行く末が想像できて…八木薔子ファンの私には単純に覗き見的な面白い作品でした~。


5つの短篇が掲載されていますが、「右手に秋風」と「去年の福袋」の2作では保安士としての八木薔子、「サボテン」では保安士を育成する教官としての八木薔子、そして表題作の「ターニング・ポイント」では教官になって3年目の八木薔子が描かれています。


そしてその2年後、警備部第二警護課に異動、要人警護に配置換えされ、ある事件に巻き込まれたアイドルグループの一員の警備に当たる38歳の八木薔子が描かれているのが「バックステージ」。


大手証券会社在籍中に起こした社内不倫の末、相手の妻に慰謝料を払って退職した数年後その妻が殺されるという事件に巻き込まれ容疑者となり社会的信用その他をすべて失い、保安士へと転身した八木の根性の座った保安士ぶりもさることながら、何かと目をかけてくれる上司の坂東指令長のキャラクターも魅力的で読ませます。


保安士になりたての頃は、7年間の不倫の果ての散々の騒動を経験していながら相手が身につけていた紳士用オー・デ・コロンの匂いに相手への未練が募っていた甘ちゃん八木も、保安士という職業を通して心身ともにたくましく成長、そして「ターニング・ポイント」では学生時代の憧れの人・反町と偶然再会、「バックステージ」ではついに恋人同士になった様子が垣間見られて殊の外嬉しい♪


さて次作の『エグゼクティブ・プロテクション』では会社からの出向命令でアメリカ最大の警備会社に籍を移しての八木の活躍が見られそうで、今からワクワクしています。



余談ですが、『左手に告げるなかれ』は随分前に映像化し、主人公・八木薔子を先日軽度の心筋梗塞で舞台を降板して話題の宝塚出身の天海祐希さんが演じていらっしゃったのを記憶しています。

役柄にとてもフィットしていて、これからもシリーズとしてやってほしいと思ったことでした。


早くお元気になって復帰されることを期待しています。

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