高松の友人宅に長逗留していてブログがお留守になっていました。
5泊6日
途中愛媛・松山の道後温泉に一泊。
ちょうど台風ツインズの襲来の只中だったので行きのフェリーが不安でしたが揺れも感じないまま難なく到着。
一泊二日の道後温泉行きでは往復とも台風の影響で小雨が続いていて、特に帰りは一部の高速道路が遮断されて地道を5時間も走ったのが予想外でした。
道後ではセキ美術館と正岡子規記念博物館を訪れました。
夫の油彩画仲間の方に図録を見せていただいてから機会があれば訪れたいと思っていたセキ美術館。
思ったより小規模でやや贅沢な民家といった門構え。
地元の美術愛好家である関宏成氏によって平成9年に開館、明治から昭和の巨匠による近現代日本の日本画・洋画、そしてロダンの大理石彫刻「ファウナ(森の妖精)」を核にした版画作品等のコレクションが収蔵されていて季節ごとに展示替えが行われているそうです。
私たちが来館したときは「愛媛ゆかりの画家たち展」が開かれていて16人の著名な画家の作品が展示されていました。
そして大きな期待を持って来館した正岡子規記念博物館。
先日逝去された天野祐吉氏が名誉館長をされていたところです。
館内に天野氏の追悼展示のようなものがあるかなと期待して見回しましたが全くなし。
正岡子規の幼少から死去までの歴史が細かく展示されていて、その中にはあった夏目漱石や秋山真之との地元での交流、河東碧梧桐や高浜虚子、伊藤左千夫や長塚節など俳句や短歌を通しての交流などが詳しく記され、子規の生涯を知ることができる工夫がありとても興味深く見て回りました。











命日を「へちま忌」と呼ばれる元となった3句。
亡くなる数時間前に詠まれたものだそうです。
糸瓜咲いて 痰のつまりし 仏かな
痰一斗 糸瓜の水も 間にあはず
をととひの へちまの水も 取らざりき
「陰暦8月15日の満月の夜にヘチマからとった水を飲むと痰が切れる」という言い伝えにヒントを得たといわれています。
34歳と11ヶ月、短いけれど凝縮した生涯だったのですね。
さて本日はyom yom編集部編『作家の放課後』のご紹介です。
「人間だから、得手不得手はある。
出来ない、やりたくないと決め付けて、今まで目を背けてきたこともある。
大人になった今だからこそ、勇気を出してチャレンジしてみようじゃない!
現代を代表する人気作家が、時に及び腰になりながらも、持ち前の情熱と根性で登山や断食など未経験の分野に挑む。
その貴重な体験を克明に記した、雑誌『yom yom』連載の爆笑エッセイアンソロジー」
「小説新潮」の別冊yom yomに企画連載されたもので、著名な作家が様々なことにチャレンジしてそれを自らレポートするという前代未聞の爆笑企画となっています。
新分野に挑まれた作家さんたちは22名。
畠中恵、酒井順子、西加奈子、万城目学、辛酸なめ子、有吉玉青、山本文緒、中島京子、谷村志穂、角田光代、森絵都、森見登美彦、斎藤由香、及川賢治、小池昌代、大森望、辻村深月、豊崎由美、乃南アサ、青山七恵、朝井リョウ、岸本佐知子(敬称省略)
そして挑んだ対象は次の通り。
「今様お江戸散歩」(畠中恵):落語家・柳家三三による江戸案内と寄席体験
「初めての古書店街」(酒井順子):南陀楼綾繁さんの案内による早稲田・神保町の古書店巡り体験
「占いいかがでしょう」(西加奈子):三人の占い師による占い体験
「高みをめざす」(万城目学):ロッククライミング体験
「お茶会女修業」(辛酸なめ子):お茶席体験
「本は有機的工芸品だった」(有吉玉青):自分の本の革装丁体験
「一週間で瘦せなきゃ日記」(山本文緒):淡路島の日本で唯一の医学的断食療法の断食同情体験
「ハリとルーシーとトリパラータイラ」(中島京子):鍼灸、ルーシーダットン、アーユルヴェーダ体験
「もってのほか、おもいのほか」(谷村志穂):割烹道の師範コース体験
「そなえよつねに。」(角田光代):ボーイスカウト体験
「タイル工場の謎」(森絵都):多治見市のタイル工場見学体験
「この文章を読んでも富士山に登りたくなりません」(森見登美彦):富士登山体験
「マカと坐禅の不思議な関係」(斎藤由香):玄侑宗久先生のもとで座禅体験
「本はどこからやってくる?」(及川賢治・100%ORANGE):製本工場見学と製本制作体験
「まど・みちおさんの大きな耳」(小池昌代):まどみちおさんへのインタビュー体験
「〈一箱古本市〉雇われ店長体験記」(大森望):不忍ブックストリート・一箱古本市出店体験
「メンクイのすゝめ」(辻村深月):戸隠で蕎麦打ちと蕎麦三昧体験
「バカの海へ」(豊崎由美):作家の朝倉かすみさんと共に海釣り体験
「おっとっと」(乃南アサ):ろくろで酒器作りの陶芸体験
「浴衣と私の新しい歴史」(青山七恵):手縫いの浴衣作りと着付けマスター体験
「職人たちの戦国」(朝井リョウ):NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」エキストラ出演体験
「マイ椅子を作る」(岸本佐知子):木工所で丸椅子制作体験
爆笑とはいかないまでもかなり笑える話満載、それぞれの作家さんたちの新分野への本気の取り組みを通して表の顔以外の素顔が垣間見えて興味深い作品でした。
中でも期待を裏切らない面白さといったらお茶席体験をレポートした辛酸なめ子氏の文章。
一部ご紹介します。
「・・・数人で茶碗を共有しているので思う存分飲めないのが心残りです。
茶碗は高価なのに、回し飲みするのは貧乏臭い感じがして、お茶という文化が高尚なのか庶民的なのかわからなくなってきました。
『濃茶』の茶席はお辞儀する回数が多く、土下座している気分で、ますます貴族なのか下民なのかわかりません・・・
『お茶』は、ただの礼儀作法ではなく、精神的な駆け引きを学べる場だと実感しました。
最初は控えめに謙遜して相手を油断させ、気づいたら主導権を握っている…やはり嫁入り前に習っておくのがベストです」
さすが辛酸なめ子氏!
畏まった周囲をなめ子流観察眼で見渡す様子を想像すると思わず笑えました。
一篇一篇が非常に短い文章なのでベッドで読むには最適です。

5泊6日
途中愛媛・松山の道後温泉に一泊。
ちょうど台風ツインズの襲来の只中だったので行きのフェリーが不安でしたが揺れも感じないまま難なく到着。
一泊二日の道後温泉行きでは往復とも台風の影響で小雨が続いていて、特に帰りは一部の高速道路が遮断されて地道を5時間も走ったのが予想外でした。
道後ではセキ美術館と正岡子規記念博物館を訪れました。

思ったより小規模でやや贅沢な民家といった門構え。
地元の美術愛好家である関宏成氏によって平成9年に開館、明治から昭和の巨匠による近現代日本の日本画・洋画、そしてロダンの大理石彫刻「ファウナ(森の妖精)」を核にした版画作品等のコレクションが収蔵されていて季節ごとに展示替えが行われているそうです。
私たちが来館したときは「愛媛ゆかりの画家たち展」が開かれていて16人の著名な画家の作品が展示されていました。
そして大きな期待を持って来館した正岡子規記念博物館。
先日逝去された天野祐吉氏が名誉館長をされていたところです。
館内に天野氏の追悼展示のようなものがあるかなと期待して見回しましたが全くなし。
正岡子規の幼少から死去までの歴史が細かく展示されていて、その中にはあった夏目漱石や秋山真之との地元での交流、河東碧梧桐や高浜虚子、伊藤左千夫や長塚節など俳句や短歌を通しての交流などが詳しく記され、子規の生涯を知ることができる工夫がありとても興味深く見て回りました。












命日を「へちま忌」と呼ばれる元となった3句。
亡くなる数時間前に詠まれたものだそうです。
糸瓜咲いて 痰のつまりし 仏かな
痰一斗 糸瓜の水も 間にあはず
をととひの へちまの水も 取らざりき
「陰暦8月15日の満月の夜にヘチマからとった水を飲むと痰が切れる」という言い伝えにヒントを得たといわれています。
34歳と11ヶ月、短いけれど凝縮した生涯だったのですね。

「人間だから、得手不得手はある。
出来ない、やりたくないと決め付けて、今まで目を背けてきたこともある。
大人になった今だからこそ、勇気を出してチャレンジしてみようじゃない!
現代を代表する人気作家が、時に及び腰になりながらも、持ち前の情熱と根性で登山や断食など未経験の分野に挑む。
その貴重な体験を克明に記した、雑誌『yom yom』連載の爆笑エッセイアンソロジー」
「小説新潮」の別冊yom yomに企画連載されたもので、著名な作家が様々なことにチャレンジしてそれを自らレポートするという前代未聞の爆笑企画となっています。
新分野に挑まれた作家さんたちは22名。
畠中恵、酒井順子、西加奈子、万城目学、辛酸なめ子、有吉玉青、山本文緒、中島京子、谷村志穂、角田光代、森絵都、森見登美彦、斎藤由香、及川賢治、小池昌代、大森望、辻村深月、豊崎由美、乃南アサ、青山七恵、朝井リョウ、岸本佐知子(敬称省略)
そして挑んだ対象は次の通り。
「今様お江戸散歩」(畠中恵):落語家・柳家三三による江戸案内と寄席体験
「初めての古書店街」(酒井順子):南陀楼綾繁さんの案内による早稲田・神保町の古書店巡り体験
「占いいかがでしょう」(西加奈子):三人の占い師による占い体験
「高みをめざす」(万城目学):ロッククライミング体験
「お茶会女修業」(辛酸なめ子):お茶席体験
「本は有機的工芸品だった」(有吉玉青):自分の本の革装丁体験
「一週間で瘦せなきゃ日記」(山本文緒):淡路島の日本で唯一の医学的断食療法の断食同情体験
「ハリとルーシーとトリパラータイラ」(中島京子):鍼灸、ルーシーダットン、アーユルヴェーダ体験
「もってのほか、おもいのほか」(谷村志穂):割烹道の師範コース体験
「そなえよつねに。」(角田光代):ボーイスカウト体験
「タイル工場の謎」(森絵都):多治見市のタイル工場見学体験
「この文章を読んでも富士山に登りたくなりません」(森見登美彦):富士登山体験
「マカと坐禅の不思議な関係」(斎藤由香):玄侑宗久先生のもとで座禅体験
「本はどこからやってくる?」(及川賢治・100%ORANGE):製本工場見学と製本制作体験
「まど・みちおさんの大きな耳」(小池昌代):まどみちおさんへのインタビュー体験
「〈一箱古本市〉雇われ店長体験記」(大森望):不忍ブックストリート・一箱古本市出店体験
「メンクイのすゝめ」(辻村深月):戸隠で蕎麦打ちと蕎麦三昧体験
「バカの海へ」(豊崎由美):作家の朝倉かすみさんと共に海釣り体験
「おっとっと」(乃南アサ):ろくろで酒器作りの陶芸体験
「浴衣と私の新しい歴史」(青山七恵):手縫いの浴衣作りと着付けマスター体験
「職人たちの戦国」(朝井リョウ):NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」エキストラ出演体験
「マイ椅子を作る」(岸本佐知子):木工所で丸椅子制作体験
爆笑とはいかないまでもかなり笑える話満載、それぞれの作家さんたちの新分野への本気の取り組みを通して表の顔以外の素顔が垣間見えて興味深い作品でした。
中でも期待を裏切らない面白さといったらお茶席体験をレポートした辛酸なめ子氏の文章。
一部ご紹介します。
「・・・数人で茶碗を共有しているので思う存分飲めないのが心残りです。
茶碗は高価なのに、回し飲みするのは貧乏臭い感じがして、お茶という文化が高尚なのか庶民的なのかわからなくなってきました。
『濃茶』の茶席はお辞儀する回数が多く、土下座している気分で、ますます貴族なのか下民なのかわかりません・・・
『お茶』は、ただの礼儀作法ではなく、精神的な駆け引きを学べる場だと実感しました。
最初は控えめに謙遜して相手を油断させ、気づいたら主導権を握っている…やはり嫁入り前に習っておくのがベストです」
さすが辛酸なめ子氏!
畏まった周囲をなめ子流観察眼で見渡す様子を想像すると思わず笑えました。
一篇一篇が非常に短い文章なのでベッドで読むには最適です。