VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2013年11月

以前は市販の白神酵母を使って発酵させていたパン作り、最近はレーズンやヨーグルトから酵母をおこして使っています。

室温が高い頃は放っておいても短期間で発酵していましたが、急に寒くなって以来発酵にかなりの日数がかかるようになって・・・いろんな場所に移動する容器。

夜から朝にかけては冷蔵庫の上に置いたり

昼は太陽が入るリビングのガラス戸の前で日向ぼっこさせたり

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日が沈んでからはエアコンの熱の影響があるところに置いたり

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1週間ほどかかってやっとブクブクと発酵してきました~。


その後あれやこれやの行程を経て元種を作り焼いたのが今日の食パン。
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発酵に使ったレーズンも捨てるのがもったいないので入れています。










本日は堀江敏幸氏著『なずな』のご紹介です。

「私は守っているのではなく、守られているのだ、この子に。
ひょんなことから授かった生後2ヶ月の『なずな』。
かけがえのない日々とかけがえのない人々を描く待望の長編“保育”小説。
2012年 第23回伊藤整文学賞」


小説家、フランス文学者、早稲田大学教授の著者の簡単な経歴は以下の通り。

1999年『おぱらぱん』で第12回三島由紀夫賞
2001年『熊の敷石』で第124回芥川龍之介賞
2003年『スタンス・ドット』で第29回川端康成文学賞
2004年『雪沼とその周辺』で第8回木捷平文学賞&第40回谷崎潤一郎賞
2006年『河岸忘日抄』で第57回読売文学賞
2010年『正弦曲線』で第61回読売文学賞 随筆・紀行賞
2012年『なずなで第23回伊藤整文学賞
2013年『振り子で言葉を探るように』で第11回毎日書評賞

いやぁ~、すごい受賞歴!

私にとって本書が著者の初めての作品ですけど、上記の作品群を見ると本書は著者の作品の中でも異色といえるのではないでしょうか。


弟夫婦の突然の入院で生後2ヶ月の姪・なずなを預かることになった44歳独身男性の主人公・菱山秀一となずなとの右往左往&孤軍奮闘の育児物語。


こんなふうに書けばいま流行の「イクメン小説」という言葉が浮かびますが、そういった内容をはるかに超えたとても優しく清々しい物語でした。


地方の日報新聞記者である「私」は社主の配慮で在宅ワークに切り替えてもらいながら育児書片手に恐る恐るミルクをあげオムツを替える毎日。


慣れない日常で疲れが蓄積されながらも休むことが許されないまったなしの育児の様子を通して自分の子育て時代が思い出されてたくさんの共感とあったかい充実感が得られた作品でした。


独身の仕事オンリーの生活では決して得ることができなかった人々との温かい交流という宝物をなずなを通して知った主人公。

新聞記者としての仕事面でもなずなを通して今まで見えなかった角度の問題が見えてくるようになった主人公。


なずなをベビーカーに乗せて出かける取材先で出会う人々の人間性がなずなという小さな存在を通してどんどんよくなっていく様子も胸に迫ります。

無心の幼子の存在感のすごさ!


さまざまな表情で喃語を発するなずなは読者の私にもかけがいのない存在として心を暖めてくれます。


ところどころで引用される詩もまたタイムリーに雰囲気作りをしてくれます。

ああ
手に すくいたい
 
そのまま 手に
たたえて いたい
 
小さな空が おりてきて
ほほずりするのを まって
それから そっと
もとに かえしたい (まどみちお氏作)


なずなの命を預かるのはこの自分1人という実感を肌で感じながらも、周囲の優しい人々の優しい手や気持ちを助けに毎日ミルクをあげてオムツを替える・・・大きな事件も山場もない、たったそれだけの地味な設定の日々を描いただけの物語なのに・・・心に灯った温かい灯を抱きしめたい・・・そんな気持ちになるしみじみと優しい作品でした。

是非どうぞ!!

先日黒部の旅の前、東京の娘宅に前泊しました。

久しぶりの上京で会いたい人や行きたい場所が特別にあったんですけど、予定目白押しの短時間の滞在だったので涙をのみました。

こう書くと何だか世界のImportant Parsonみたいでカッコいい感じ、実態はヨレヨレの高齢者予備軍ですけど。


その貴重な一日を利用して早稲田にあるお寺に行き、両親の納骨堂で久しぶりに父母と対面してきました。

母の死をきっかけに父のお墓を廃棄、改葬の手続きを踏んで2人のお骨をそちらに移したのです。


我が家は子どもたちが全員東京在住、将来的に移動する予定がないという事情を踏まえて父母の納骨堂と将来の自分たち夫婦の棲家もまとめて購入したので末永いお付き合いとなる予定。


昨今は家族の形が多様化するとともにお墓の形態も多種多様、選択の幅も広がりました。


墓地を買い墓石を建てて埋葬、家族が四季折々に墓参するという従来の形の継続が少子化や大家族制の崩壊、一人っ子同士の結婚などが増えるにつれて、だんだんに難しくなっているというのが現状です。


荒れるに任せた墓地を想像すると忍びない・・・そんなこんなで子どもたちの近くに死後住むことに。


今の段階でも上京して近くに住むことを折りに触れて誘う子どもたちですが、できるだけ当地で羽を伸ばして楽しみたい、というのが珍しく一致した夫と私の意見です。


話がどんどんどんどん逸れましたが、墓参のあと娘と代官山にある評判の「オトナTSUTAYA」に行きました。

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噂を聞いていて前から行きたかったところ。

約15万冊の書籍・雑誌、約13万枚のレンタルCD、約8万タイトルの映画があるといいます。

興味に惹かれて書物のタイトルを見て回るだけで一日仕事なので、日の当たる窓辺の場所を選んで席を確保、それぞれ目についた本を選んで読みました。


で速読の私は結果的に大雑把ではありますが一冊読了したのが本日ご紹介する本です。



岸恵子氏著『わりなき恋』


「フランス人の夫を飛行機事故で失った未亡人で日本とパリを行き来するドキュメンタリー作家・伊奈笙子(69歳)は2005年春に成田からパリに向かう航空機のファースクラス席でたまたま隣に座った妻子のある大企業の専務取締役・九鬼健太(58歳)と出会いそれから6年にわたる激しい恋が始まる。 
しかし 日本の男は一時的にしか亡命できずいつか母国へ戻りたがるものと気付いた伊奈笙子は妻と子供の元へ帰すために九鬼健太と別れる」


「女優岸恵子(80)が、後期高齢者を迎える女性の恋愛と性に迫った小説」という幻冬舎独特のセンセーショナルなキャッチコピーが新聞紙上で踊っていた作品。

図書館で借りたり、まして購入するという選択肢に入らない本だったので、おおざっぱなナナメ読み。


「女同士ってざっくばらんに性を語るときがあるんです。
“夫婦間がセックスレスで”とか“まだ体が疼くときがあるのよ”と外国に住む75歳のとても魅力的な友人が言ったり……
そんななか、人生の中で一つの大切な要素である性を描いてみたいと思う気持ちが湧いてきました」
と執筆の動機を語る著者。


小説という形態をとっていますがまるごと岸恵子氏の私小説のような…あくまで私の色メガネを通してですけど。


主人公の年齢的な問題もさることながら、主人公と恋人の置かれているシチュエーションがあまりにもセレブ&グローバル的な設定に一歩も二歩も引いてしまいました。


1980円と2000円の差に拘る自分の生活感とかけ離れた状況のセッティングを通して繰り広げられる知的な会話や濃厚な恋が非現実的で(自分にとって)共感部分の薄い読後感でした。


岸恵子といえば日仏を股にかけた世界的女優さんとして、一世を風靡した「君の名は」のヒロインとして、また日本エッセイストクラブ賞受賞作『ベラルーシの林檎』の著者として有名という以上のことは知りませんが、女優という職業を持つ人の作品としては構成力といい文章力といい充実した実力の持ち主であると思います。


しかし一方文章自体が説明的すぎるとか、主人公への感情移入が強く出すぎている感があるとか、そういったマイナーではありますが読み手にとっての重要ポイント部分が引っかかったのが読みづらかった一因かもしれません。


恋に年齢は不問であるといいますが、一主婦の平凡な生活をはるかに超えた次元の恋愛話に憧れを抱くというよりむしろ知的&物質的&地位的セレブリティの生活や思考ってこんななんだ、ふぅんという感想。


『わりなき恋』というタイトルは「道理のない恋」という意味と取れますが、主人公と恋人を知的階級に設定した時点で著者は世に出回っている官能小説とは一線を画した作品に仕上げたという矜持が感じられる逆説的なタイトルだった気がします。


「プラハの春」や「アラブの春」、東日本大震災と福島原発事故を巧みに取り入れながら、しかし不倫愛に付随する嫉妬や焦りを色濃く描いた作品、興味ある方はどうぞ。

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先日病院の待合で見ていた週刊誌にさまざまな「癖」のランキングが載っていました。

ランキング入りしていたのは「足を組む」「髪をさわる」「爪を噛む」「ひとりごと」「舌打ち」「ため息」「貧乏ゆすり」などなど。

これらは周りの人々を少なからず不愉快にする「癖」ですけど、いくつかは身に覚えがありそう。

私についていうと、自分では特に「癖」とは思っていないけど周りから指摘されたものに「鼻歌」といくつかの「口癖」があります。

ずっと前から苦しいなと思うとき「ため息」の代わりにエンドレスでメロディを口ずさむという代替を意識的にしていた時期から常態化してしまった「鼻歌」。

夏休みに来ていた孫のアスカからも指摘されました。

「○○はいつもラ♪ラ~♪って歌ってるね、何の歌?」

いくつかの「口癖」については先日も友人から指摘された「最高!」「すばらしいね~」。

安上がりのアントニオ猪木みたいですが、確かに嬉しいときなんかに安易に発しています^_^;

「『最高』がたくさんあっていいね」と友人。


夫はというとランキング内のいくつかの「癖」はいうまでもなく、「癖」に分類できるかどうかわからない特殊なものに「手荷物は必ず網棚に上げる癖」があります。


なぜこんな「癖」について言及するかというと、今まで数限りない置き忘れという失敗を重ねてきたからです。


最近でこそなりを潜めていますが、過去の失敗は枚挙に暇がないほど。


先日大阪に旅行されたブログ友が阪神デパートの写真をアップしていらっしゃるのを拝見して今から15年ほど前の最大の失敗を思い出しました。


それは転勤で神戸から東京へ移動したときのこと。

神戸での引越し作業を終えて、業者さんに任せられない諸々の大切な登記簿や銀行関係のものとホテル一泊用の着替えを詰めたバッグを持ってJR神戸線に乗り、戴き物の阪神デパートでのお仕立て券付きYシャツの生地を仕立ててもらうべく途中下車して阪神デパートに行きました。

阪神デパートの地下からの入り口に入ろうとしたとき、夫の手を見ると何と手ぶら

網棚に置く際、こんな大切なものを、と一瞬思いましたが反発を恐れて何も言わなかった私も甘かったと反省するも後の祭り。

それからの駅員の方々を巻き込んでの騒動はご想像ください。


結果的に網棚にそのままあって神様仏様!と脱力感謝しましたが、その電車が折り返して京都に着くのを待ち受けて荷物を受け取り、その夜は横浜のホテルをキャンセルして京都泊まり。

予定は狂いましたが、危機一髪のドタバタ劇が無事終了、引越荷物送り出し受け取り作業以上に疲労困憊した出来事でした。

それ以後も・・・もちろんどんな小さな荷物でも夫は網棚へ上げます(――;)



さて本日は内澤旬子氏著『おやじがき 絶滅危惧種中年男性図鑑 』をご紹介します。


「頭髪の欠損や腹部の脂肪は一律に忌み嫌われ、おやじ絶滅の危機が到来!
でも、こぎれいで健康でちょいワルな中年男子ばかりになったら、反対に息が詰まりませんか?
おやじサバイブを祈念しつつ、電車で、喫茶店で、路上で遭遇した、愛らしいおやじたちを克明にスケッチしたイラストルポ」


車中やコーヒー店、街角などで遭遇したおやじたちを観察&記録したイラスト集。


10年前に遊び心で作ったミニコミ誌が基になっている本書、好調な売れ行きのため、いろんな変遷を経て講談社から刊行されたのが本書です。


デフォルメしたイラスト画に著者のコメントが付いた爆笑本。

最初から最後までおやじイラストのオンパレード。

ナンセンスもここまで、という感じの一冊ですが、おやじへの温かい気持ちを感じさせる著者のコメントの笑いのツボが絶妙です。

イラストに登場するおやじたち個々に付けられたネーミングがまたおかしくももの哀しい。


著者はあとがきで次のように述べていらっしゃいます。

「目に見える老化がはじまったとて、人はすぐ老人になれないのです。
髪は抜けてもすぐに丸禿げにはならない。
静かに待つには長大すぎる時間をかけねば、皺だらけにも総白髪にもならない。
こんなに長いものだとは思わなかった。
このグロテスクとも言いたくなる長い時間、私たちは少しずつすり減る若さを、仮に捨てたくとも捨てることもできず、抱えて生きねばならない。
醜悪? いいえ、それはやはり愛しむべきものなのだと、思いを新たにしたのであります」


くだらないと思う人には超くだらない遊び心満載の1時間で読めてしまう処分本です。

食材偽装の話題で連日賑わっています。  2b6bbcf7.jpg


汚染問題や特別秘密保護法案などのニュースに比べればかわいいモンですけど偽装は許されません。

テレビをつけると多くの報道陣を前にスーツ姿のエライ人たちが土下座といかないまでも頭を垂れている映像が流れてきてまるでコメディを観ているよう(――;)

おもてなし世界一といわれていたリッツカールトンホテルも!

しかも阪急阪神ホテルズの傘下だったのですね。


信じられない世の中・・・というのは表向きで私の中ではさもありなんという感想。

ホテルやレストランのメニューを見るたびにあまりにも過剰な装飾語つきレシピに内心苦笑していました。

といっても自然派志向の強い私は心の中で「ホントかな??」などと突っ込みを入れながらも「無農薬有機野菜をつかったサラダ」だの「産地直送の無農薬新鮮野菜つけあわせ松坂牛ステーキ」(しかも特価)だのについついフラフラ傾いているのですけど。


夫の病気を契機に一時期「正食」なるものに没頭していた時期がありましたが、夫の拒否反応が強く半年ほどで退散したことがあります。


ずっと我が家の台所にグルタミン酸ソーダや白砂糖がなく、油はオリーブオイルのみというのも当時の名残といえばいえなくもありません。

今でもオーガニックという文字にめっぽう弱い私。


需要があっての供給。

なるべく安価で安全でしかもおいしいものが食べたいという欲深い消費者、私もです。


それにしても成形肉や牛脂注入加工肉・・・きっと今までおいしく食べていたんだろうな。

軟化剤や結着剤、添加物てんこ盛りの内容を想像すると身体の中が汚染されたような気分にもなりますが、それらを除いて食生活をするには大変な努力とお金がいることも理解しています。


以前読んだ相場英雄氏の著書『震える牛』に食肉業界の実情にからめて老廃牛の屑肉にモツや血液を混ぜて加工した成形肉の生産過程が詳しく描かれていて強烈なインパクトを感じましたが、物語の中だけでなく常態的に私たちも口に入れている可能性があるんですね。


それにしても相場氏の作品は現代の問題点をタイムリーに衝いていて上述の『震える牛』を含め、『血の轍』も大変読み応えがありました。


今回ご紹介する作品は『震える牛』上梓の前年に書かれたものです。


相場英雄氏著『双子の悪魔』

「大和新聞の菊田美奈子が詰める東京証券取引所に、レストランチェーン・西大后に対するTOB(株式公開買い付け)情報が入った。
報道により、西大后の株価は乱高下する。
だが、すべては違法な仕手戦により巨万の富を得ようとした金融ブローカーの罠。
魔の手はネットを通じて個人の資産にも向かう・・・・・。
マネー犯罪の深部をえぐる経済ミステリー!」


タイトルに使われている「双子の悪魔」というのは、IT用語で正しい入り口であるかのように振る舞ってユーザーを誘き出し、ユーザーに気づかせないようにクレジットカード情報やパスワードなどの個人情報を盗んだりする本物そっくりに作られたサイトのことを指すそうです。

先日、双子の悪魔に騙されて商品を購入しようとしたユーザーが続出しているというニュースが流れていましたね。


本書は以前は「株価操縦」というタイトルだったそうですが、なぜ「双子の悪魔」になったのか、後半部分に双子の悪魔関連の事象がありますが、前者の方が納得できる内容。


帯にキャッチコピー「マネー犯罪の深部をえぐる経済ミステリー」とありますが、偽の上場話やTOB情報を餌に巧妙に株価を裏から操り売買で利益を上げる詐欺集団のトップの切なくも壮大な復讐の物語というのがぴったり。


株式市場を舞台に相場を左右する偽のインサイダーネタを通しての操作やインターネットを使ったスキミングなどの手法とともに主人公の属する新聞社の内実、果てはレスリング界の内実がふんだんに盛り込まれていて、目まぐるしく展開する構成に最初は戸惑いを感じましたが、すぐに引き込まれてしまいました。


時事通信社の経済部記者として日銀、東京証券取引所を担当していたという著者ならではの濃い内容。


新聞業界、特に配達を請負う販売店の実状の厳しさと早朝から夕方雨の日も風の日も弛まず配達する配達員の努力や販売拡張を請負う人々の厳しい現実が胸を衝きました。


「編集だけが新聞を作る人ではない。
配送・配達する人たちがいて、新聞が読者に届く」


心して新聞を読みたいと思います。


在日三世として幼い頃から苦難の人生を歩み、人生の途上で新聞配達員として地道に働きながら独学でコツコツ知識を身につけたのち、裏の道で暗躍しながら復讐の機会をじっと狙っていたひとりの男の哀くも切ない物語・・・私の読後感です。

最後に付け加えると・・・最後半部分とエピローグを加えることで著者の隠し玉といえるものを読者にぶつけているようですが、これがなければ筋書きの通りがよかったのに、というのが正直な感想でした。

読み進む段階でありえない感を抱く箇所が多々ありましたが、構成のおもしろさにまぎれてページを捲る手が休まなかった最後に来てさすがこれは?という印象を受けた作品でした。

旅の記録�A

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                                    大観峰からの眺め

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第一日目は黒部湖&黒部ダムを見学後、ケーブルカーやロープウェイ、トンネルトロリーバスを乗り継いで一日目の宿がある室堂に到着しました。


立山にある「星空に近いホテル」といわれている日本一標高の高いホテル-2450m-の「立山ホテル」が一日目の宿。


周辺に剱山、真砂岳、大沙山、雄山などが連なる立山連峰に位置するホテル。


ホテルに着いて早々のフロントの方と次男との会話。

「ちょっとみくりヶ池など周辺を散歩してきます」

「それは・・・多分すぐ戻ってこられると思いますよ」


なるほど外に出ると辺りは雪・雪・雪、まぶしいほどの雪景色。

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サングラスが必要なくらい全部が真っ白、みくりヶ池も何もかもすべてが雪に埋まっていて方向もさっぱりわかりません。

これほどの雪は随分前米子の大山スキー場で体験して以来。

気温1度の中、2人でスニーカーを埋もれさせながら写真を撮り合ってすぐに退散。

でも雪国の室内って暖かいんですね。

部屋に入ると暖かいというより暑すぎたので、温度調節しようとリモコンを探せど見つからず、フロントに聞くとセントラルヒーティングでコントロールしているので暑ければ窓を開けてくださいとのこと。


4階の部屋の窓を開けると手の届くところまで雪が積もっていて、手ですくって頬に当てるとひんやりしてしばし陶酔・・・としばらく遊んでいたら手が悴んできたので窓を閉めました。

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こうして一日目の旅は終了。

あとから思い出すと、この豪雪の衝撃がいちばんインパクトの強い旅の思い出となりました。

なにしろ「晴れの国・岡山」からの旅人ですから。



二日目はホテルのある室堂を出発、高原バスや立山ケーブルカー、電車を乗り継いで宇奈月へまっしぐら。

二日目の宿がある宇奈月駅~欅平駅を往復している黒部渓谷トロッコ電車への乗車がいちばんの目的。

吉村昭氏の『高熱隧道』で描かれた黒三ダム建設のための資材運搬用トンネル工事はこの欅平を中心の難工事だったそうです。

昭和11年当時、資材運搬に黒部渓谷鉄道のトロッコ電車の使用が予定されていたそうですが、欅平より上流は非常に急峻なためトロッコ電車の力では上ることができないという理由で、欅平に高さ200 mの縦坑を掘削して内部にトロッコ運搬用のエレベーターを設置し、仙人谷まで隧道を掘削していく計画となりました。

建設工事は仙人谷 - 阿曽原の第一工区、阿曽原 - 志合谷の第二工区、志合谷 - 欅平の第三工区に分けられ、第二・第三工区では比較的順調に工事が進捗したが進みましたが、第一工区の阿曽原から仙人谷までの本坑工事において岩盤温度の上昇に継ぐ上昇で掘削に困難を極めた上、ダイナマイトの自然発火による暴発事故や激しい雪崩などで結果的に300人以上の犠牲者を出してトンネル工事が完成しました。

これらの経緯は上述の『高熱隧道』に詳しく記されていますので興味のある方はブログとともに吉村氏の原作を読んでいただけたらと思います。

さて終日小雨の中、富山が地元の女優・室井滋さんの音声ガイド付きのトロッコ電車で往復約3時間かけて渓谷を堪能しました~。

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往路は珍しさもあってか乗客のほとんどの方々(私も次男も)は身を乗り出して写真撮影に勤しみましたが、復路は大方が会話も少なく興味が尽きたという様子、次男はもちろんほとんど居眠り、けっこう長い復路でした(――;)


そして二日目の宿・「宇奈月ニューオータニホテル」へ。

夕食後、30分ほど軽く卓球をして温泉へ。

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富山県でいちばん広い大浴場と黒部清流が眼下に流れる露天風呂というのが自慢の宿。

湯質は無色透明の弱アルカリ性単純泉、昔からお肌にやさしい「美肌の湯」と言われてきたそうです。

そのあと売店を探索、それぞれお土産を物色、次男は地酒と白えび煎餅、私は富山名産の白えびの酢漬けを購入。



なぜか熊本のくまモンの「はちみつせっけん」が売られていたりして・・・くまモン大活躍です!


こうして明日の帰途を残して短い旅の最後の夜が終わりました。





さて今回は大沼紀子氏著『真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ』をご紹介したいと思います。


「都会の片隅に真夜中にだけ開く不思議なパン屋さんがあった。
オーナーの暮林、パン職人の弘基、居候女子高生の希実は、可愛いお客様による『焼きたてパン万引き事件』に端を発した、失踪騒動へと巻き込まれていく……。
順風満帆に生きられない困ったひとたちを、パン屋さんが救う!」


2013年4月~6月にかけてNHKテレビでドラマ化されたのでご存知の方も多いと思います。


書籍としては現在までに4巻刊行されていて、「まよパン」シリーズとしてベストセラーとなっているそうです。

著者の経歴は・・・
1975年、岐阜県生まれ。
2005年『ゆくとし くるとし』で坊っちゃん文学賞を受賞しデビュー。
2010年『ばら色タイムカプセル』
2011年『真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ』
2012年『真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒』
2012年『真夜中のパン屋さん 午前2時の転校生』
2013年『真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫』
最新刊『てのひらの父』


午後11時から午前5時まで開店という風変わりなパン屋「ブランジェリークレバヤシ」を舞台にした小説。


タイトルといい装丁といいライトノベルというイメージなので避けていましたが、旅の行き帰りの手持ち無沙汰を解消すべくキオスクで購入、読み進むうちライトなイメージがすっかり一掃されるほど登場人物たちが抱えているシリアスな問題を扱っていて想像に反して読み応えがありました。


児童虐待やネグレクト、いじめや性同一性障害、変態ストーカーなど、それぞれの登場人物たちの背景の重さは手に余るほどですが、それらに真っ向から立ち向かうのではなくさりげなく手を差し伸べる様子が描かれて胸にポゥッと小さな灯が灯る、そんな物語に仕上がっています。

店主と亡き妻の泣かせるエピソードや変態ストーカーとして自他共に認める男のじんわりするキメ台詞など、いろんな場面でいろんな登場人物が語る言葉が胸に落ちます。

「自分が救われたいから、人に手を差し伸べる」

10年ほど「いのちの電話」の相談員というボランティアをしていたとき、研修会のたびにボランティアとしての心構えを叩き込まれたのを思い出します。

自分のこころの平安のためにボランティアをするということを厳しく戒められていましたが、不肖な私はその厳しさに心の中で少々反発していました。

同じような考えを持つボランティア仲間と自分のこころの平穏を得るためという不純な動機でも人に手を差し伸べることはすごく大切!と認め合っては自己満足していたものです。


そんな葛藤があったボランティア時代ですが、まさに私が思っていた言葉が堂々としかも自然に語られていてすごく温かい気持ちになりました。

さまざまな意味で誰もが抱える喪失感や諦念を通して感じる後悔の念。

私も例外ではないので共感できること多々。

そんな心の闇にちょっぴり光を入れて温める、そんな人間同士の小さなつながりを描いていていい作品でした。

このところ旅行ラッシュです。


先月の青森旅行に続いて今回は黒部ダムを中心に立山周辺を旅してきました。


以前このブログでも書きましたが、次男が高校の頃自立したら黒部を旅しようとの約束が10数年を経て実行されました。

私の病気やサラリーマンになった次男の多忙などを理由に延び延びになっていた旅行。

一生で最初で最後の次男との2人旅・・・多分。


事前に吉村昭氏の『高熱隧道』を読んでいたので興味が深まっていました。


一般的に呼ばれている「黒部ダム」は映画「黒部の太陽」の舞台となった黒四ダム、『高熱隧道』の舞台となった黒三ダムとは異なっていて、今回の旅も黒四を中心の旅でしたが、二日目に宇奈月駅から欅平駅までの黒部渓谷トロッコ電車での経路が黒三への道となっていたので不十分ながら雰囲気を味わうことができました。


旅の記録のために行程表を記しておきます。

[一日目]
    特急あずさ        バス   関電ンネルトロリーバス   徒歩 
 新宿 ―――― 信濃大町 ―― 扇沢 ――――― 黒部ダム ―― 黒部湖駅
 
黒部ケーブルカー   立山ロープウェイ    立山トンネルトロリーバス
 ――――ーー 黒部平 ――――ーー 大観峰 ――――― 室堂

[二日目]
 高原バス      立山ケーブルカー  電車      電車
 室堂 ―――― 美女平 ―――― 立山駅 ――ー 寺田 ―― 宇奈月駅
                         
黒部渓谷トロッコ電車   黒部渓谷トロッコ電車
 ―――――ーー 欅平駅 ―――――ーー 宇奈月駅

[三日目]
  宇奈月駅 ―― 新魚津-魚津 ―― 金沢 ―― 京都 ―― 岡山


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今年は黒部ダム完成50周年ということで放水時期が終わっても観光客で賑わっていました。

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昭和31年10月からスタートしたトンネル工事は5月になって破砕帯に突き当たり、難工事の末7ヶ月かけて突破、8月に運転開始となったそうです。


破砕帯とは断層に沿って岩石が破壊された帯状の部分、大町トンネルの2600mの地点から約80mの部分で毎秒600リットルの地下水と大量の土砂が噴出したため掘削工事が困難を極め、結果的に171名の殉職者を出したという難工事が余儀なくされたという場所。

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黒四では「破砕帯」でしたが、黒三では有数の温泉地帯による「高熱」という自然の脅威との戦い、結果的にはどちらも尊い犠牲者を多数出しながら人間の知力・技術力が自然を制覇したということでしたが、現実には人間の力ではどうにもならない天災のニュースが流れない日がありません。


現に今もフィリピンの台風被害のすさまじい映像に胸が詰まります。



次男が高校を卒業した時点で離れて暮らして12年、このように一日中2人きりで過ごしたのは12年ぶり。


長期休みもほとんどなく働き蜂と化している次男の現在の姿と中高時代の姿が中々重なりませんが、家庭で躾けられなかったさまざまな社会の決め事が足らないなりにも身についている様子を見て、会社の上司の方々や先輩、同僚の方々の並ならぬ温かいご指導やご尽力があったこと感謝の気持ちでいっぱいです。


日頃の睡眠不足を補うためか暇さえあればどこでも居眠りしていましたが、旅行の間中荷物持ちや細かな気遣いをもらって楽しい旅行になりました、もちろん費用も彼持ち。


続きは次のブログで記したいと思います。




さて百田尚樹氏著『モンスター』のご紹介です。

「田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。
彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。
周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。
思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。
そのとき亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だったー」


新聞紙上や書店の店頭での積上げ本としての華々しい宣伝についつい負けて購入しました。


旅行用にもってこいの太さ(速読なので薄すぎるとすぐ読み終えてしまいます)なので東京行きの電車に持参。


『永遠の0』や『海賊と呼ばれた男』などで評価を得ていらっしゃる著者の作品ということで楽しみに読み始めましたが、あまりにも通俗的で内容が薄く、飛ばし読みを繰り返して車中で読了したあと、著者に失礼とは思いましたが処分してしまいました。


確かに人間の心理を抉った作品、美容整形業界に関しては著者の取材力を生かしたキメ細かな取材の跡が見られる作品ではありました。


表面的な美醜に特化してここまでデフォルメして描かれた勇気には頭が下がりますが、醜いがゆえの世間や両親からの疎まれ方のすさまじさがいかにも作為的すぎて読み手としては興ざめするほどでした。


若い女性の心に潜む美への追求はさまざまな媒体を通してある程度の理解はありますが、主人公の渇望のすごさを何と表現していいか。。。


彼女の視点を通してみる周囲の負の人間模様をこれでもかと描いて興味深いといえばいえなくもないでしょうけど、後味の悪い作品でした。

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