昨日は強行軍の一日。
新大阪に着いて地下鉄に乗り換え、難波でお目当ての「なんばグランド花月」へ。
「なんば吉本テレビ通り」の猥雑な活気に満ちた雰囲気は相変わらずで懐かしく、久しぶりに笑いをもらえると思うと気持ちが浮き立ちます。
早めのお昼を近くの「がんこ寿司」本店で済ませ、いざ劇場へ。

[漫才・落語]中田カウス・ボタン/月亭八方/宮川大助・花子/Wヤング/海原やすよ ともこ/中川家/テンダラー
[新喜劇]すっちー/池乃めだか/Mr.オクレ/浅香あき恵/他
私の密かなお目当ては人気急上昇中のテンダラー、漫才のトップに演じ笑いを誘います。
そしてトリの大御所中田カウス・ボタンまで次々上記の方々が舞台に上がり爆笑ネタで盛り上がりました!
中でも宮川大助・花子の夫婦おもしろネタは健在でピカイチ喝采を受けていらっしゃいました~。
ああおもろかった!!というのがシンプルな感想!
次は「大阪市立美術館」の「こども展」。
パリ・オランジュリー美術館で開催された展覧会“Les enfants modèles”(「モデルとなった子どもたち」と「模範的な子どもたち」のダブルネーミング)を日本向けに再構成したもの。
モネ、ルノワール、ルソー、マティス、ピカソを始めとする18~20世紀の主にフランスで活躍した画家たち47人による86点の作品が出展されていました。
漫才から美術鑑賞という全く雰囲気の対照的な会場へ流れて・・・。
広大な天王寺公園内にあるこの美術館は正直言って利用者にとってあまり親切とはいえない所といった印象を受けました。
建物自体が古いせいか、会場が狭く、最近の美術館には多く見られるソファもなく、ただ早く鑑賞して早く出てくれという感じ(――;)
肝心の「こどもたち」は天使のようにかわいいのもあれば、ルソーを代表するこどもの雰囲気から逸脱したようなのもあり、というもの。

ルノワールは自身の子どものみならず、交流の深かった印象派の女流画家ベルト・モリゾの娘、ジュリー・マネの8歳の猫を抱く姿を描いています。

ルソーの作品は、彼が生涯に描いたと確認されている4枚の子どもの絵のうちの1点となる、たいへん貴重なものです。

大好きなセザンヌの描いた子どもの絵。
というわけで、一通り入場料金分だけは観て、次は「あべのハルカス」。
どこまでミーハーな一行といわれそうですが、今年3月に全面開業した日本一高いビルを見ることなしに帰れないということで、美術館から徒歩2分の「あべのハルカス」に。
〈ハルカス〉の高き階より見はるかす幾内の街並は驟雨にけぶりて


地上60階建て、高さ300mで日本で最も高い超高層ビルであると同時に、日本初のスーパートール(300m以上、世界基準超高層ビル)だそうです。
何でも日本一には弱い^_^;
日本国内の構造物としては東京スカイツリー(634m)、東京タワー(332.6m)に次ぐ3番目だそうですけど・・・ね。
なおビル名称の「ハルカス」は平安時代に書かれた『伊勢物語』の第九十五段「いかで物ごしに対面して、おぼつかなく思ひつめたること、すこしはるかさん」という一節から採られたそうな。
「ハルカス」→「晴るかす」には「人の心を晴れ晴れとさせる」という意味があるそうです。
気候条件さえよければ北方に京都から六甲山系、西方に明石海峡大橋から淡路島、東方に生駒山系、南方に金剛山系や関西国際空港などを一望できるという展望台に上がりましたが、あいにくの悪天候で残念でした。
メンバー8人の中には晴れ女がいたはずなのに。



自宅に辿り着いたら夜の10時、シャワーを浴び即効で休みました。
さて本日は佐々木譲氏著『地層捜査』のご紹介です。
SNSで親しくさせていただいているUNIさんご紹介の作品。
佐々木譲氏のファンである私は作品のほとんどを網羅しているつもりでしたが、これは未読、本書に続くシリーズの『代官山コールドケース』も未読なので楽しみです。
「警察小説の巨匠の放つ新シリーズ、開幕!
時効撤廃を受けて設立された『特命捜査対策室』。
たった一人の捜査員・水戸部は退職刑事を相棒に未解決事件の深層へ切り込んでゆく」
公訴時効の廃止を受けて再捜査となった15年前の老女殺人事件の真相を追って、年若い水戸部刑事が元刑事・加納相談員の助けを借りて過去の荒木町に踏み入っていく過程が綿密に描かれています。
最近は各種警察小説がたくさん刊行されていますが、率直に言って久しぶりに地に足の着いた誠実な警察モノを読んだという感想です。
著者の佐々木譲氏はこのシリーズを執筆された動機について次のように語っていらっしゃいます。
「このところ、警察小説、刑事モノ小説や映画が格段に多くなりました。
それだけに、今回は多くの警察小説で描かれているような設定の逆を行ってやろう、型をどんどん壊していこう、と思っていました。
『バディもの』については、たとえば若い刑事と年老いたベテラン刑事がいい師弟関係を築きながら事件解決に迫ることが多い。
もちろんよくできた作品であれば問題はないけれど、ときに鼻につく感じがします。
じゃあ、2人は組むけれど、最初から対立していて、互いに出し抜いてやろう、と思いながら事件解決に進んでいく、そんな新しい形を考えてみたんです」
「バディ」である2人の捜査員は著者が記されているようにかなりの距離感をもって事件の真相に迫るという絶妙且つ新鮮なアプローチを維持しています。
当時の荒木町を全く知らない水戸部刑事と荒木町を知り尽くしている加納相談員という親子ほどの年の差のあるコンビ。
加納は長い時間をかけて築いてきた人間関係の引き出しを駆使して手がかりを探し、水戸部はデータベースや最新の科学捜査などを取り入れながら捜査を進めていきます。
どちらの人間性も違いこそあれ魅力的で物語を牽引する原動力になっていますが、著者は直接的にそれを描くのではなく、何気ない会話にお互いの思考の違いを忍ばせて人間性を炙り出しています。
また本書の魅力は新旧の新宿・荒木町一帯の街の陰影を綿密な地層捜査を通して浮き彫りにしているところにもあるのではないでしょうか。
江戸時代には美濃国藩主・松平摂津の守の屋敷があり、明治時代にはその跡地や屋敷内にあった池の存在が景勝地として知られるようになり風情ある花街として一世を風靡したそうです。
どの街にもある生活の歴史の記録と貧富の差、それらを描いた充実の過去遡行譚。
本書の見開きに荒木町周辺の地図があり、2人の捜査員の足取りに合わせてその地図を辿りながら物語を読み進めるという作業も楽しく、機会があるなら1度、その狭いエリアを探索してみたいとさえ思えました。
どんな分野の小説においても徹底的に資料を読み、取材を重ねる著者ならではの秀作!
最後の最後になりましたが、水戸部刑事らが過去に溶け込むようにして街を歩き続け見つけ出した事件の真相は、といえば・・・。
人情を重視する加納と、あくまでも情を抑えて法律に従うことを重視する水戸部の対立の結果は読者の想像に委ねて物語の幕が閉じます。
警察モノの興味ある方もそうでない方もぜひどうぞ!
新大阪に着いて地下鉄に乗り換え、難波でお目当ての「なんばグランド花月」へ。
「なんば吉本テレビ通り」の猥雑な活気に満ちた雰囲気は相変わらずで懐かしく、久しぶりに笑いをもらえると思うと気持ちが浮き立ちます。
早めのお昼を近くの「がんこ寿司」本店で済ませ、いざ劇場へ。

[漫才・落語]中田カウス・ボタン/月亭八方/宮川大助・花子/Wヤング/海原やすよ ともこ/中川家/テンダラー
[新喜劇]すっちー/池乃めだか/Mr.オクレ/浅香あき恵/他
私の密かなお目当ては人気急上昇中のテンダラー、漫才のトップに演じ笑いを誘います。
そしてトリの大御所中田カウス・ボタンまで次々上記の方々が舞台に上がり爆笑ネタで盛り上がりました!
中でも宮川大助・花子の夫婦おもしろネタは健在でピカイチ喝采を受けていらっしゃいました~。
ああおもろかった!!というのがシンプルな感想!
次は「大阪市立美術館」の「こども展」。

パリ・オランジュリー美術館で開催された展覧会“Les enfants modèles”(「モデルとなった子どもたち」と「模範的な子どもたち」のダブルネーミング)を日本向けに再構成したもの。
モネ、ルノワール、ルソー、マティス、ピカソを始めとする18~20世紀の主にフランスで活躍した画家たち47人による86点の作品が出展されていました。
漫才から美術鑑賞という全く雰囲気の対照的な会場へ流れて・・・。
広大な天王寺公園内にあるこの美術館は正直言って利用者にとってあまり親切とはいえない所といった印象を受けました。
建物自体が古いせいか、会場が狭く、最近の美術館には多く見られるソファもなく、ただ早く鑑賞して早く出てくれという感じ(――;)
肝心の「こどもたち」は天使のようにかわいいのもあれば、ルソーを代表するこどもの雰囲気から逸脱したようなのもあり、というもの。

ルノワールは自身の子どものみならず、交流の深かった印象派の女流画家ベルト・モリゾの娘、ジュリー・マネの8歳の猫を抱く姿を描いています。

ルソーの作品は、彼が生涯に描いたと確認されている4枚の子どもの絵のうちの1点となる、たいへん貴重なものです。

大好きなセザンヌの描いた子どもの絵。
というわけで、一通り入場料金分だけは観て、次は「あべのハルカス」。
どこまでミーハーな一行といわれそうですが、今年3月に全面開業した日本一高いビルを見ることなしに帰れないということで、美術館から徒歩2分の「あべのハルカス」に。
〈ハルカス〉の高き階より見はるかす幾内の街並は驟雨にけぶりて


地上60階建て、高さ300mで日本で最も高い超高層ビルであると同時に、日本初のスーパートール(300m以上、世界基準超高層ビル)だそうです。
何でも日本一には弱い^_^;
日本国内の構造物としては東京スカイツリー(634m)、東京タワー(332.6m)に次ぐ3番目だそうですけど・・・ね。
なおビル名称の「ハルカス」は平安時代に書かれた『伊勢物語』の第九十五段「いかで物ごしに対面して、おぼつかなく思ひつめたること、すこしはるかさん」という一節から採られたそうな。
「ハルカス」→「晴るかす」には「人の心を晴れ晴れとさせる」という意味があるそうです。
気候条件さえよければ北方に京都から六甲山系、西方に明石海峡大橋から淡路島、東方に生駒山系、南方に金剛山系や関西国際空港などを一望できるという展望台に上がりましたが、あいにくの悪天候で残念でした。
メンバー8人の中には晴れ女がいたはずなのに。



自宅に辿り着いたら夜の10時、シャワーを浴び即効で休みました。

SNSで親しくさせていただいているUNIさんご紹介の作品。
佐々木譲氏のファンである私は作品のほとんどを網羅しているつもりでしたが、これは未読、本書に続くシリーズの『代官山コールドケース』も未読なので楽しみです。
「警察小説の巨匠の放つ新シリーズ、開幕!
時効撤廃を受けて設立された『特命捜査対策室』。
たった一人の捜査員・水戸部は退職刑事を相棒に未解決事件の深層へ切り込んでゆく」
公訴時効の廃止を受けて再捜査となった15年前の老女殺人事件の真相を追って、年若い水戸部刑事が元刑事・加納相談員の助けを借りて過去の荒木町に踏み入っていく過程が綿密に描かれています。
最近は各種警察小説がたくさん刊行されていますが、率直に言って久しぶりに地に足の着いた誠実な警察モノを読んだという感想です。
著者の佐々木譲氏はこのシリーズを執筆された動機について次のように語っていらっしゃいます。
「このところ、警察小説、刑事モノ小説や映画が格段に多くなりました。
それだけに、今回は多くの警察小説で描かれているような設定の逆を行ってやろう、型をどんどん壊していこう、と思っていました。
『バディもの』については、たとえば若い刑事と年老いたベテラン刑事がいい師弟関係を築きながら事件解決に迫ることが多い。
もちろんよくできた作品であれば問題はないけれど、ときに鼻につく感じがします。
じゃあ、2人は組むけれど、最初から対立していて、互いに出し抜いてやろう、と思いながら事件解決に進んでいく、そんな新しい形を考えてみたんです」
「バディ」である2人の捜査員は著者が記されているようにかなりの距離感をもって事件の真相に迫るという絶妙且つ新鮮なアプローチを維持しています。
当時の荒木町を全く知らない水戸部刑事と荒木町を知り尽くしている加納相談員という親子ほどの年の差のあるコンビ。
加納は長い時間をかけて築いてきた人間関係の引き出しを駆使して手がかりを探し、水戸部はデータベースや最新の科学捜査などを取り入れながら捜査を進めていきます。
どちらの人間性も違いこそあれ魅力的で物語を牽引する原動力になっていますが、著者は直接的にそれを描くのではなく、何気ない会話にお互いの思考の違いを忍ばせて人間性を炙り出しています。
また本書の魅力は新旧の新宿・荒木町一帯の街の陰影を綿密な地層捜査を通して浮き彫りにしているところにもあるのではないでしょうか。
江戸時代には美濃国藩主・松平摂津の守の屋敷があり、明治時代にはその跡地や屋敷内にあった池の存在が景勝地として知られるようになり風情ある花街として一世を風靡したそうです。
どの街にもある生活の歴史の記録と貧富の差、それらを描いた充実の過去遡行譚。
本書の見開きに荒木町周辺の地図があり、2人の捜査員の足取りに合わせてその地図を辿りながら物語を読み進めるという作業も楽しく、機会があるなら1度、その狭いエリアを探索してみたいとさえ思えました。
どんな分野の小説においても徹底的に資料を読み、取材を重ねる著者ならではの秀作!
最後の最後になりましたが、水戸部刑事らが過去に溶け込むようにして街を歩き続け見つけ出した事件の真相は、といえば・・・。
人情を重視する加納と、あくまでも情を抑えて法律に従うことを重視する水戸部の対立の結果は読者の想像に委ねて物語の幕が閉じます。
警察モノの興味ある方もそうでない方もぜひどうぞ!