VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2016年10月

寒暖差が激しい毎日です。

ラニーニャが連続して連れてきた台風も一段落。

玄関のドアを開けると向かいの家の庭に植えられている金木犀の香りが一気に流れてきて、やっと秋の深まりが感じられる頃となりました。


先日、当地の笠岡湾の干拓地の一千万本のコスモスを見にいきましたが、一部は枯れかかっていました。

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いままでの来し道すべてが夢のやう一千万本のコスモスの波
この干拓地は9ヘクタールという広大な土地を利用して春は菜の花、次にポピー、夏はひまわり、そして秋はコスモス、と四季折々の花が植えられています。


ここのコスモスは日本原種で、濃淡ピンクと白のほか、花びらに縁取りがあるもの。


メキシコ原種のキバナコスモスはないので、地平線が見えないほど見渡すかぎりの花々が海からの風に揺れる様はなんとも儚げですてきです。



さて話題は変わって・・・

一昨日スーパーで鶏レバーが値引きして売られていたので、ブロ友のしおんさんに以前教えていただいていた甘辛煮を作ろうと思い、1�`買って帰りました。


帰宅後レシピを探せど探せど見つからず・・・ついにしおんさんにコメントでお聞きしました。


そして昨日、無事に作りました。


冷蔵庫でしばらく保存できるので、貧血予防にもなり、しばらく楽しめます。

―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ――
「鶏レバー甘辛煮」

下拵え: 鶏レバーは洗わず、白い脂肪は切り捨てる。
心臓は切り離して半分に切り、ひも状の血の塊は捨てる。
レバーは一口大に切る。
ショウガは千切り。
調味料:醤油:酒+みりん=1:1 これに砂糖を加える
すべての材料を鍋に入れてひたひたくらいの分量の調味料を入れる。
落し蓋をして時間をかけて煮詰める。
出来上がりは焦げる寸前、煮汁が煮詰まるまで煮ると、レバーがコリコリになって 臭みが消える。

―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ――

以上がしおんさんのレシピの要約です。

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ご飯のお供に最高なのでぜひ作ってみてくださいね。






さて今回は佐々木譲氏著『砂の街路図』をご紹介します。 


「まったく新しい『家族ミステリー』が誕生!
知られたくない、でも忘れられない過去がある――。
直木賞作家・佐々木譲が放つ会心の野心作にして、まったく新しい『家族ミステリー』が誕生しました。

なぜ父は幼い自分を捨てて失踪し、死んでしまったのか――。
母の四十九日を終えた岩崎俊也は、両親が青春時代を過ごした北海道の運河町へと旅立つ。
二十年前、父はこの運河町で溺死してしまった。
遺品となった1枚の古いモノクロ写真には、家族に決して見せたことのない笑顔が写っていた。
事故の直前まで飲んでいた硝子町酒房の店主によれば、同じ法科大学漕艇部員だった彼の妻の密葬に参加するために滞在していたという。
さらに父の後輩からは、昭和44年に漕艇部内で起きたある事件を機に、陽気だった父の人柄が激変してしまったことを知る。
父は事件に関係していたのだろうか?
家族にさえ隠し続けていた苦悩とは?
『知らないほうがいいこともある』・・・・・・死の真相に近づくにつれ、胸の内に膨らむ想い。
果たして、父の過去を暴く権利が、ぼくにあるのだろうか……。
ぬぐいきれない恥辱と罪悪感。
嘘よりも哀しい、沈黙の真相とは!?
――家族は、ミステリーに満ちている」


主人公は32歳の東京の高校の国語教師・岩崎俊也。

2ヵ月前に亡くなった母の遺品に20年前に亡くなった父に関するものを見つけたことをきっかけに、父の死の真相を知るため北海道の運河町を訪れます。

「なぜ父は、幼かった自分と母とを捨てこの街で溺死したのか?」


舞台となっている郡府は著者の想像上のものですが、小樽を連想させるような街。

著者の形容を借りれば「品のいい老嬢」のような「時間が止まった」ような街。


そこの大学を卒業後、堅実なサラリーマン、そしてよき家庭人として東京で暮らしていた父親がある日突然、理由も告げず運河町に行き、不審な死を遂げます。


その謎解きが主題、主人公はわずかな手がかりをもとに、当時のことを知る人々を訪ね、ついに真相に到達するというのが簡単なあらすじ。


著者・佐々木譲氏はご存知のように警察小説で名を馳せたベストセラー作家。


「まったく新しい『家族ミステリー』が誕生!」と銘打っていますが、ミステリーと呼ぶには少し無理があるような。


本書の見返しには舞台となった運河町の街路図が印刷されていて、このブログでもご紹介した『地層捜査』や『代官山コールドケース』の小型版というような地図を頼りの追跡というかたちを採っています。


文字を覚え、本を読むようになった幼い頃から地図が大好きで、図版として物語の舞台となった場所の地図があるとそれだけでわくわくしたという著者。

テーマやプロットを練るごく初期の段階で、それを言語化するよりもまず舞台となる地図を描くというのが著者の物語構築の手順だそうです。


本書もご多聞に洩れず地図の細部を描き、地名を構想することで、エピソードひとつひとつの「降臨」を促したものだそうですが、あまりにも狭い場所の地図なので、必要性があったかどうか・・・という疑問は残りました。


何度か地図を見返しはしましたが、いままでとはかなり趣きの異なった地味な筋立ての上、主人公の追い求めた真相が取ってつけたようなものだったので、淡々と読み終わりました。

幼なじみの友と3人で秋の蒜山高原に1泊の旅。

岡山から山陽自動車道、中国自動車道、米子自動車道を乗り継いで蒜山高原へ。


高原の気温は低いとはいえ、紅葉にはいま少し早く、ホテルの前の欅や楓が美しく色づいていた以外はもう少しという感じでした。

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楽しみにしていた蒜山大根も道の駅で聞けば、11月下旬の出荷から甘くなるとのことで断念しました。


ホテルの夜は卓球とカラオケ・・・他の泊り客に私たちのような遊び人はいないらしく、ホテルのスタッフにはしたなさを言い訳しながら・・・楽しみました。

簡単なスケッチの用意をしていきましたが一切鉛筆を持たず、短歌も放棄して・・・。


次の日には今回の目的のひとつ、事前に友人に教えてもらっていた蕎麦処を探して探して探してやっと辿り着き、堪能しました。


広大な野山に囲まれてポツンとあるログハウス風の店主手づくりのお店。

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店主が2年がかりで建てたそうです。

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隣接する広い畑にはそばが刈り取られた跡があり、そこら中に飛んできたそばの種から小さなそばが雑草と見紛うように散らばって生えていました。
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さて本日はマーク・プライヤー氏著『古書店主』のレビューを少し。


「露天の古書店が並ぶパリのセーヌ河岸。
そこでアメリカ大使館の外交保安部長ヒューゴーは、年配の店主マックスから古書を二冊買った。
だが悪漢がマックスを船で連れ去ってしまう。
ヒューゴーは警察に通報するが、担当の刑事は消極的だった。
やむなく彼は調査を始め、マックスがナチ・ハンターだったことを知る。
さらに別の古書店主たちにも次々と異変が起き、やがて驚愕の事実が! 
有名な作品の古書を絡めて描く極上の小説」


枕元本が底をついて夫の枕元から寄り抜いた一冊。


主人公は妻に逃げられた元FBI捜査官、現在駐仏アメリカ大使館外交部保安部長のヒューゴー。


セーヌ河岸に店舗を持つ古書露天商・ブキニストから2冊の古書を買った縁で友人となったその古書店主がヒューゴーの目の前で何者かに拉致されてしまうところから物語がスタート。


アメリカ大使館員という自らの立場を気にしつつも自ら事件の解明に乗り出すヒューゴー。


拉致の原因はナチ・ハンターだったという古書店主にあるのか、自分が購入した稀覯本にあるのか、次々に明るみに出る謎のてんこ盛り。


ジョン・ダニングを思い出させるようなタイトルで期待感をもって読みましたが、物語が徐々に壮大化して、その割には終結がお粗末という感じでした。


ちょっと間口を広げすぎたかな?


そんな中、しみじみ味わったのはパリの描写。


それも華やかなパリではなく、薄曇の空に覆われたパリの裏街の寂れたカフェやセーヌ湖畔沿いに並んだささやかな古書を扱う露天の店々。


一度もパリには行ったことはありませんが、そぞろ歩きをしてみたいなと思いました。

水彩を始めて数ヶ月、次の期の更新となり、どうしようか、、と迷いましたが、周りの勧めもあり、もう少し続けてみようということになりました。


短歌中心の日々に水彩が入り込む隙間があまりなく、教室での習作とときどきのいたずら描き程度。


次男に送ってもらっている小春の写メからベストショット(親バカの私がかわいいと思う選りすぐりの写真)を選んで描いたり、食卓の上のポットを描いたり、という程度。

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デッサンしても、さて、色を塗る段になるとどうしたらいいか、勇気が出ません。

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次の期で少しは見られるような絵が描けるようになるかな。





さて本日は黒川博行氏著『繚乱』をご紹介します。 


「ともに大阪府警を追われた、かつてのマル暴担コンビ、堀内と伊達。
競売専門の不動産会社に調査員として働く伊達は、ある日、出張で訪れた東京で、かつての相棒でいまは無職の堀内を同業に誘い、二人は大阪に戻る。
調査物件は敷地900坪の巨大パチンコ店『ニューパルテノン』。
だが調べるほどに、裏で極道や半堅気、警察OBらが寄ってたかって食いものにしている実態が浮かぶ。
『パルテノンは金の生る木や』、気づいた二人は…。
策略と暴力がからみあい、腐れのスパイラルはノンストップで奈落に向かう。
名コンビ復活。
ふたたび、大阪を縦横無尽に疾駆する。
黒川警察小説の真骨頂」


前作『悪果』に続く「誠やんも堀やん」コンビが本書でも暴れまわります。


先日大阪の千日前で黒川氏原作の「後妻業の女」を観たばかり、しばらく黒川ワールドにどっぷり浸かって食傷気味となりました。


時系列的には『悪果』から1年もたたず・・・


一昨年、大阪府警今里署を依願退職、妻と離婚して愛人の杏子と東京で暮らしている堀内。


その堀内を刑事時代のバディ・伊達が訪ねてくるところから物語がスタート。


昨年付き合っていた新地のクラブのホステスのヒモに刺されるという失態を冒し、懲戒免職となり、競売屋の調査員となった伊達。


そのヤクザ顔負けの元刑事2人が、警察のバッジなしで再びコンビを組み、裏街道に巣食う男たちを締め上げるというのが簡単なあらすじ。


2人の大阪弁の掛け合いが内容的にはえげつなさ満載なのに妙にコミカルで読者を飽きさせないテクニックはさすが。


著者の人気の「疫病神」シリーズでおなじみのお店とかホテルとか内藤医院も登場したり、と黒川ファンへのサービスも忘れず。


それにしてもこの2人の行動するところ、次から次へとよくもこれだけ種々の悪人が登場すると呆れるばかりですが、全体を彩る関西特有のおかしみを味わっていただけたらと思います。

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幸先のよき旅なるか車窓より見えし富士山の威風堂々
多忙な娘が仕事の合間を縫って休暇をとるというので、久しぶりの親子3人旅を強行しました。

といっても2泊3日。

オズモールの温泉サイトで予約してくれたお仕着せのラクチン旅。

熱海の露天風呂つき和洋室。
   

娘が支払ってくれましたが、聞けばすごく高価。

とにかく元を取らなくちゃということで露天風呂好きの夫はチェックインからチェックアウトまで計7回、私たちは5回。

こんなに数をこなしたことは初めてでした^_^;






翌日は新大阪まで戻って、なんばに泊まり、「なんばグランド花月」に。

娘は初めてだそうですが、私たちは4回目。

かまいたち、ヒューマン中村、Wヤング、まるむし商店、西川のりお&上方よしお、オール阪神&巨人、桂文珍という顔ぶれ。

お笑いに詳しくない方たちはご存知ないかもしれませんが、いずれも吉本の人気芸人さんたち。

事前にチケット購入しておけばよかったのですが、行き当たりばったりの旅だった上、ウィークデーだから当日券が買えると高をくくっていたところ立見席しかなかったので、仕方なく次の公演まで待つことに。

ぽっかり空いた3時間をどないしましょと途方に暮れながら千日前を歩いていたら、ちょうど小さな映画館に黒川博行氏原作の『後妻業の女』がかかっていて、ラッキーなことにその空白の3時間を埋める時間帯だったので入りました。

ダブル主演の大竹しのぶ&豊川悦司の演技力のすごいこと!

あまりの内容のすさまじさに圧倒されて、終ったあとのお笑いがかすんでしまいました。

漫才を堪能したあと、慌しく東と西へ別れて旅を終えたのでした。






さて今回は佐々木譲氏著『代官山コールドケース』のご紹介です。


「川崎で起きた殺人事件の現場に遺されたDNAが指し示すのは、十八年前に代官山で起きたカフェ店員殺人事件の“冤罪”の可能性……。
公訴時効撤廃を受け、再捜査の対象となった難事件に、特命捜査対策室のエース・水戸部をはじめとした刑事たちが挑んでいく警察小説新シリーズの第二弾。
あの街にまだ緑深き同潤会アパートがあったころ、少女の夢と希望を踏みにじった犯人の痕跡が徐々に浮かび上がっていくさまは、まさに警察小説、捜査小説の白眉。
刑事たちの息遣いが胸に響く、傑作長編ミステリ」


前作『地層捜査』に続く「特別捜査対策室シリーズ」第2弾が本書です。 


前作では特別捜査対策室の水戸部刑事と元刑事・加納相談員のコンビでの活躍でしたが、本書は水戸部刑事と捜査一課女性刑事・朝香とのコンビ。


川崎で起きた強姦殺人事件での捜査中、遺留品のDNAが17年前に代官山で発生した「代官山女店員殺害事件」の現場のものと一致したことで、17年前の被疑者死亡で解決した事件の再捜査を命じられた水戸部と朝香。


警視庁と神奈川県警の互いに反目しあう中、当時警視庁が下した判断が間違いであったということが、神奈川県警によって白日の下に晒されるかもしれないという状況の下、警視庁の威信をかけ、神奈川県警に先駆けて犯人を逮捕するよう警視庁上層部から特命を受けます。


17年前に地下鉄サリン事件が起きていたために十分な捜査員を投じることができなかったという警視庁の裏事情もあり、加害者として決めた男の変死によって、一応の決着としたという経緯。


秘密裏に再捜査することを余儀なくされた水戸部と朝香。


17年前の記録の詳細な分析から始まり、関係者への聞き取り、科警研の力を借りての証拠物の点検といった地道な捜査を通じて徐々に犯人に迫っていく過程にどんどん惹き込まれました。


ぜひとも水戸部を主人公にシリーズ化してほしい作品となりました。

ノーベル医学・生理学賞受賞という嬉しいニュースが飛び込んできました。

東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏。

細胞が不要になったたんぱく質などを分解する「オートファジー」と呼ばれる仕組みを解明されたそうです。


「オートファジー」は細胞に核のあるすべての生物が持つもので、細胞の中で正しく機能しなくなったたんぱく質などを、異常を起こす前に取り除く役割や、栄養が足りないときにたんぱく質を分解して新しいたんぱく質やエネルギーを作り出す役割を果たしているそう・・・書きながらよくわかりませんが(ーー;)


大隅氏は酵母の細胞を使って「オートファジー」の仕組みの解明に取り組み、平成5年にこの仕組みを制御している遺伝子を世界で初めて発見されたそうです。


オートファジーの遺伝子が正常に機能していないといわれるパーキンソン病などの神経の病気の一部の予防法や治療法の開発につながることが期待されるもの。


医学は私たちの想像をはるかに超えて日々進歩しているのですね。


友人にもパーキンソン病初期の人がいるので、希望の光が見えてきて嬉しいです。



一方、ノーベル生理医学賞候補として最有力視されていた京都大学客員教授の本庶佑氏。


私はずっと以前持病で漢方療法を取り入れていた病院の医師を中心とした勉強会で本庶氏の論理について少し聞きかじっていたので本庶氏に注目していたのですが、今回は残念でした。

来年こそは!


本庶氏の研究成果は免疫にブレーキをかける役割を持つタンパク質「PD1(プログラム細胞死1)」を見つけられたこと。

この働きを制御してがんを治療できることを明らかにし、全く新しいがん免疫療法の道を切り開かれました。

その研究を基に開発された抗がん剤「オプジーボ」は最初はメラノーマなどの皮膚がんの薬として小野薬品から販売されましたが現在は肺ガンにも適用が広がりました。


その「オプジーボ」で肺の腫瘍の著しい縮小を体験していらっしゃるSNSの友人Kさん。

後期高齢者とは思えないお茶目でチャーミングな方。


そのKさんから、「『報道ステーション』に出演するので観てください」という嬉しいお電話をいただきました。

早速その夜、夢の治療薬「オプジーボ」で著しく快復された肺がん患者さんとして大阪成人病センター呼吸器内科医師の今村主任部長とともに出演されているお元気で溌剌とした姿を拝見して感無量でした。

Kさん、ほんとうによかったですね!


3割負担の若い人にとってはとてつもない高価な薬の上、効果のある人とない人との差が著しいという難点もあり、それらは今後の課題と思いますが、裾野が広がり、望む多くの人が使えるようになり、そして快癒に向かわれますように、と祈らずにはいられません。





さて本日は浅田次郎氏著『真夜中の喝采 きんぴか�B』をご紹介します。


「草壁明夫が殺された。
広橋をスケープゴートにした大物政治家・山内龍三の悪行を報道した、あの気鋭のジャーナリストが……。
訃報を耳にした広橋は凍りつき、草壁に伝え忘れたセリフを口にするために立ち上がる。
一方、ピスケンと軍曹は、ヤクザと悪徳政治家が自己弁護と保身に走るなか、正義の暴走を敢行する。
三悪漢の破天荒な物語、ひとまず完結!」


久しぶりの浅田氏のピカレスク系^_^

ここのところ深刻な作品が続いたのでお口直しに。

ご存知「きんぴか」シリーズの最終巻。

『三人の悪党 きんぴか�@』、『血まみれのマリア きんぴか�A』から本書へと続きます。


広橋、ピスケン、軍曹という超個性的&破天荒な三人の悪漢が、本当の悪と戦う胸のすくピカレスク。


「一杯のうどんかけ」「真夜中の喝采」「裏町の聖者」「チェスト!軍曹」「バイバイ・バディ」の5編からなります。


「一杯のかけそば」のパロディとして描かれた「一杯のうどんかけ」は貧困を武器に商売を行う家族の物語。


「真夜中の喝采」は、政界と暴力団との癒着を果敢に暴いたジャーナリスト・草壁明夫の無残な死体を見て三人が犯人と思しき暴力団に落とし前をつけるため奔走する物語。


「裏町の聖者」は、広橋の前妻の現在の夫である医師の現代版赤ひげ物語。


それぞれ現代にマッチしない時代遅れのような一本気の男たちがそれが正義と思ったことへ向かって一直線に進む物語。


著者特有のパロディがあちこちに散りばめられていて、なんとも痛快な軽い人情劇。


興味ある方は3篇続けて読まれることをお勧めします。

最近映画鑑賞続きです。

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」


脚本家としてハリウッド黄金期に第一線で活躍していたが冷戦の影響による赤狩りの標的となり、下院非米活動委員会への協力を拒んだために投獄されてしまったトランボ。


釈放された後もハリウッドでの居場所を失ったトランボは、偽名を使用して「ローマの休日」などの名作を世に送りだし、アカデミー賞を2度も受賞するというあらすじ。


日本でも戦前共産党員であったプロレタリア作家・小林多喜二が治安維持法で逮捕されたのち特高の拷問で虐殺された1933年の事件がすぐ浮かびますが、これは自由の国を標榜するアメリカ合衆国で実際にあった話。


以下は映画好きのSNS友の花オクラさんのSNSに掲載された日記から許可を得て転載させていただいた感想です。

とても巧くまとめられています。 

―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ――

1947年

ハリウッドの売れっ子脚本家ダルトン・トランボは妻クレオと3人の子供に囲まれロサンゼルス郊外の優雅な家で幸せな日々を送っている。
しかしソ連との冷戦のさなか赤狩りの矛先はハリウッドに向けられ、以前から労働問題などに熱心に取り組んでいたトランボはアメリカの理想を守るため”映画同盟”に参加。

HUAC(下院非米活動委員会)のやり玉に挙げられ議会からの召喚状が届き公聴会で尋問され、公然と反発したとトランボは議会侮辱罪で訴追される。国家の転覆をもくろんだ破壊分子のレッテルを張られてハリウッドの仕事を失う。

トランボは確かに弱者の側に立つ共産主義者ではあるけれど、決して破壊的でもなく過激でもなく、社会の不平等を憎む愛国者だった。ハリウッドの仕事を失ったトランボ一家の生活はたちまち貧困に・・。

妻のダイアン・レインや3人の子供がすごくいい。60年前の古き良きアメリカ?の家庭だろうか。
知的でオロオロしない妻をダイアン・レインが好演している。

1950年 裁判で有罪になり刑務所へ。共産主義者を排除するため標的になった監督や脚本家10人はハリウッド・テンと呼ばれ様々な苦難に追い込まれる。あるものは議会での尋問に抗しきれなかったり、名声を失いたくないため転向、後々まで良心に苦しんだり〜〜。

1951年出所したトランボは家族や仲間のため猛然と行動を開始する。表に名前を出さず、次々脚本を書く。もともと力のある脚本家。B級映画専門のもうかればいいという会社の脚本を取り干されているなかまのぶんも仕事を取る。

寝る間もなく、家族も巻き込み家庭崩壊にもなりそう。ジョン・ウエイやロナルド・レーガンはHUACの最先端。人気コラムニストもトランボが名前を変えて脚本を書いていると責め立てる。

そんな中で少しづつこれはおかしい・・と行動を起こす映画人が出てくる。好い脚本がほしい!いい映画が撮りたい・・。「スパルタカス」のカーク・ダグラス ポールニューマン主演の「栄光への脱出」の監督など。

トランボの才能を高く評価し政治的な圧力をはねのけて脚本を依頼してきたハリウッドの仲間たち。

トランボはしなやかで、したたかでウェイスキー片手に襲ってくる敵を”さーこい!”と待ち構えている何とも素敵なおじさんです。

機会があったら見てください。

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さて今日は篠田節子氏著『コミュニティ』です。

「欲望、妬み…、
ふとしたきっかけで、自分の中に潜む闇が表出し、人生が思わぬ方向に転がりはじめる。
日常を突き詰めて、あぶり出される恐怖、奇妙さ、甘美を多彩に紡ぐ短編集。
不況のあおりをうけて、引越した団地での人間関係の濃さに戸惑う家族を描く表題作『コミュニティ』、大人の恋愛の切なさを美しく綴る『夜のジンファンデル』などデビュー当時から約10年間に発表された秀作を収録」


単行本『夜のジンファンデル』を文庫化する際に他の短篇5篇とともにまとめて改題したのが本書です。


★エリート意識の強いサラリーマンの主人公が寄らば大樹と頼っていた上司の失墜を機に閑職に飛ばさた挙句、あるきっかけでとんでもない状況に陥ってしまう「永久保存」


★同窓会で再会し、妻子あることを知りながら不倫に発展していったエリートの女が別れの代償に譲られた別荘で起こったオカルティックな出来事を描いた「絆」


★お互い家族ぐるみで付き合う間柄の中年の男女。
あるきっかけで一線を越えそうで越えなかった一夜を共有したふたりの物語。
時を経て、妻の友人という主人公に「好きだよ、ずっと。何年も前から、今も、この先も」という言葉を残して外国で還らぬ人となった男への思いを描く「夜のジンファンデル」


★全盛期であった「団地」を舞台に、リストラで団地住まいを余儀なくされた夫婦が団地族の団結の背後に隠された秘密に取り込まれていく過程を描く「コミュニティ」


美しい恋愛をテーマの「夜のジンファンデル」以外、幻想的といえば響きはいいのですが、なんともオカルティック、、私の苦手とする分野でした。

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