VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2017年06月

小林麻央さんが亡くなられましたね。

これほど多くの人々に愛されて祈られたのに、思いは届きませんでしたね。


海老蔵さんのことも麻央さんのこともファンというわけでもなく関心もなかったのに、これほど遠い存在の人に元気になってほしいと心から願ったのは初めてです。


愛する海老蔵さんやお母さん、お姉さん、そして何より小さな2人の子どもたちを遺して逝かなければならない気持ちはどんなだったのだろう。


人の命の理不尽な不公平を感じて切なくなります。



親しい人々との永劫の別れに慣れる日がくるのだろうか?


この頃よくこんなことを考えます。



麻央さんの海老蔵さんへの最期の言葉は「愛してる」だったそうです。


最期に言葉を発する機会を与えてもらえたら、、、感謝の言葉が言えたら嬉しいな、と。


勝海舟の最期の言葉は「コレデオシマイ」だったそうですが、言えなかった人々は墓碑という形で生前の心情を遺していますね・・・故人になりかわって親しい人たちが。


有名なのをいくつか・・・

小津安二郎氏の墓石には「無」

スタンダール:「生きた、書いた、愛した」

ヘミングウェイ:「起きることが出来なくてすまんな」

エミリー・ディキンソン:「呼び戻された」

カレン・カーペンター:「地上の星 天国の星」

アル・カポネ:「神よ、あわれみ給え」

ジョン・キーツ:「その名水に書かれた人ここに眠る」

カール・マルクス:「全国の労働者よ団結せよ。哲学者たちはただ世界をいろいろな風に解釈してきた。だが、世界を変革することこそが大事なのだ」

リルケ:「バラよおお清らかな矛盾たれが夢にもあらぬ眠りをあまたなる腕のかげに宿すよろこび」


シンプルに勝る最期の言葉や墓碑はなし・・と思います。






さて今日は大崎善生氏著『ロストデイズ』のレビューを少し。


「30半ばで娘を授かった西岡順一は、子供の誕生の喜びとは裏腹に、妻との関係がこのまま在り続けるのか不安を抱く。
妻との距離をつかめなくなった矢先、意に沿わぬ人事異動の命が。
アルコールに逃げる順一を、しかし、妻・由里子は静かに見守るだけだった。
そんなある日、大学時代の恩師で娘の名付け親でもある大島危篤の報が。
二人は急遽、教授夫妻の住むニースへ旅立った。
夫人の勧めで二人はさらにジェノヴァへと向かう。
旅の中で二人がたどり着いたものとは?
自分たちは人生の頂に近づいているのか、頂を過ぎこれからは下っていくのか?
切なく胸に染み入る至高の恋愛小説」


昨年映画の大ヒットで話題になった「聖の青春」の原作者。

ご自身も将棋に精通されていて、一時期「将棋世界」の編集長をされていました。

その時代に上梓された『聖の青春』がベストセラーとなり、続編というべき『将棋の子』を書かれたのち、小説家としてスタートされました。


このブログでも何作かアップしています。


今朝も新聞で久しぶりに大崎善生氏の名前を拝見。

公式戦29連勝の歴代新記録を樹立した将棋の史上最年少棋士・中学3年生の藤井聡太四段へのコメントが掲載されていて・・・。

恐るべき中学3年生!


昨年の映画に続き、藤井聡太君のお陰で将棋がすごい勢いでクローズアップされています。

将棋に関して何にも知らない私ですが、棋譜が読めたら楽しいだろうな、と思えます。


将棋人口がどんどん増えたらいいな。



さて本書に戻ります。


人生という坂道をいったんは妻と登り、親となり幸せを掴んだはずだったのに、ふと立ち止まったところで人生の意味を見出せなくなってどんどん下り坂を下りていくような虚無に苛まれながら過ごしていた西岡の視点から物語が展開していきます。


そんな西岡と妻に転機が訪れる物語。


著者の描く男性像のほとんどがこの主人公のように生き難い繊細さを持っていて、それは著者の内面にあるものが滲み出ているのだろうな、といつも感じながら読んでいます。


本書でも女性側の感じ方は置いてきぼりで、主人公の夫が高揚感や脱力感を独り占めしているという感じ。


著者の描く心象風景は美しく、読み応えはありますが、主人公のひとり相撲的な感情の起伏にちょっと辟易させられた内容でした。

このところマイナス要素てんこ盛りのいくつかの事象がわたしをアタックして・・・ノックアウト寸前で踏みとどまっています。

あいまいな表現はよしとしませんが・・・これしか書けない(――;)


悲しかったり、理不尽に憤ったり・・・


こんなときいつも思うのは、これは自分の精神力が試されているのだなぁと。


ストレスに強くならねば、を命題(大げさですけどね)にしています。


打ちのめされて内に篭るというのではなく、上手にやり過ごす・・・割とできると自負してはいるのですけど。



それといちばんいやな梅雨突入。


中医学でいうところの湿邪体質には大敵の季節。


これもうまくやり過ごせたらな~と。





さて本日は夫から借りたティーヴ・ハミルトン氏著『解錠師』です。


 「八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイクル。
だが彼には才能があった。
絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。
孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に……
非情な犯罪の世界に生きる少年の光と影を描き、MWA賞最優秀長篇賞、CWA賞スティール・ダガー賞など世界のミステリ賞を獲得した話題作。
日本でもこのミステリーがすごい! 2013海外編&週刊文春海外ミステリーベストテン海外部門第1位」


1998年『氷の闇を越えて』でアメリカ私立探偵作家クラブ共催ミステリ新人賞受賞
1999年『氷の闇を超えて』でシェイマス賞 新人賞&エドガー賞処女長編賞受賞、アンソニー賞新人賞ノミネート、バリー賞新人賞ノミネート
2001年『ウルフ・ムーンの夜』でバリー賞長編賞受賞
2003年『North of Nowhere』でアンソニー賞長編賞ノミネート、バリー賞長編賞ノミネート
2004年『Blood is the Sky』でアンソニー賞長編賞ノミネート、ガムシュー賞最優秀ミステリ賞受賞
2008年『Night Work』でCWAゴールド・ダガー賞ノミネート
2011年『解錠師』でエドガー賞長編賞受賞、アンソニー賞 長編賞ノミネート、CWAゴールド・ダガー賞ノミネート、バリー賞 長編賞ノミネート


堂々たる受賞&ノミネート歴です。

しかも専任ではなく、IBM本社に勤める兼業作家、妻と子ども2人の4人暮らしの中、執筆活動は家族の就寝後に行っているそうです。


さて金庫破りの天才少年の手記の形で語られる本書、原書でのタイトルは『The Lock Artist』、並外れた指の感覚でどんな鍵のロックも外すという主人公にちなんでつけられた題名。


現在獄中にいる緘黙症の主人公・マイクルが1991年、故郷ミシガン州のミルフォードで声を失うきっかけになった出来事ののち、故郷を出て悪の組織に入って犯罪の一端を担っていく経過を描いた物語。


二つの時間枠で交互に語られる手記の一つは現在の彼、そして片方は彼の鍵師としての修行の日々。


本書はミステリーというより、少年マイクルの人生の軌跡を描いた青春小説。


どんな錠も開けられるという特殊な才能を持つがゆえに犯罪組織の一員とならざるを得なかったマイクルですが、犯罪に加担しているという湿った感情を感じさせないところ、愛する恋人アメリアの存在もからませて、繊細に描いています。


異なった時間枠を巧みに交差させ、物語の収束へと導く手腕には敬服させられますが、果たしてこれがミステリー界での頂点エドガー賞長編賞受賞作品か、という疑問が残ります。


でもそういった小さな瑕疵は別として切ないけれど気楽に読める青春小説、お勧めです(^.^)

テレビをつけたり、新聞を開けば心穏やかでいられない日々。


「共謀罪」法案がトンデモスピードで成立したり、当地の加計学園の問題など。


昨日も朝日新聞の「声」欄に作家・赤川次郎氏の投書が掲載されていました。


5年前にも大阪府立和泉高校の教師の口元チェックの件や文楽批判を展開していた大阪府知事時代の橋下氏を批判した文を投稿されていた赤川氏。


今回は「共謀罪」の強行成立に対しての怒りの投書。


まったく同感の内容、アップしておきます。
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さて高殿円氏著『上流階級 富久丸百貨店外商部』です。  


「ノルマは月1500万円!? バイトからのたたきあげが外商部に!
お客様からのあらゆる要望に応える百貨店の外商部に、バイトからのたたき上げである鮫島静緒が配属された。
洋菓子部門などで成果を出してきた彼女だが、これまでとは違う世界に戸惑う。
退職を控えるカリスマ外交員に任された顧客との信頼関係を築けるのか!」


ファンタジー世界を舞台とするライトノベルでデビューされた著者。

「トッカン」シリーズでお仕事小説家としてもベストセラー作家の仲間入りを果たされています。


このブログでも『トッカンVS勤労商工会』『マル合の下僕』をアップしていますので、よかったら読んでください。


ちなみに「トッカン」とは・・・税金滞納者から問答無用で取り立てを行なう、みんなの嫌われ者―徴収官のなかでも特に悪質な事案を担当する特別国税徴収官の略です。


ついでに「マル合」とは・・・簡潔に言えば、論文指導ができる教員のことで、文部科学省教員組織審査において審査された教員のランクのことを指すそうです。



さて本書も著者のお仕事小説のひとつ。


各店100名ほどの部署で百貨店の売上の約3~4割を稼ぎ出すという実質百貨店の屋台骨である外商部が舞台。

主人公は富久丸百貨店外商部紅一点の新米・鮫島静緒、バツイチ アラフォー。


単なるアルバイトから百貨店の洋菓子部門でキャリアを積み重ね、洋菓子以外にも手がけたフロアリニューアルに斬新なアイディアを発揮し成功、晴れて正社員になったものの突然の人事異動で畑違いの男性ばかりの外商部に唯一の女性として配属されます。

物語はそこからスタート。


新米外商部員として悪戦苦闘しながら、徐々に一人前となる静緒の成長譚ともいえます。


伝説のカリスマ外商員・葉鳥士朗や血筋・毛並み・ルックス抜群の同僚・桝家修平など個性豊かな登場人物を配置して、夢の宝石箱といわれたデパートの奥の院のような外商の実態を活写。


阪神間の御用達である老舗・富久丸百貨店の外商部が抱えている阪神間の上流階級の生活が垣間見られてとても興味深いお仕事小説となっています。


長く神戸に住んでいたので、芦屋、夙川、苦楽園、園田など懐かしくも私とは無関係なハイソな地域が出てきて、その特殊な地域性もなんとなく理解できて、久しぶりに次が読みたいと思えるエンターテインメント満載の作品でした。


エンタメウエルカムといわれる方、ぜひどうぞ!

唐代の詩人・于武陵(うぶりょう)の詩「勧酒」は井伏鱒二氏の訳で有名です。

于武陵  勧 酒(酒をすすむ)

勧君金屈巵(君に勧む 金屈卮)
満酌不須辞(満酌 辞するを須いず)
花発多風雨(花発いて 風雨多し)
人生足別離(人生 別離足る)


井伏鱒二訳

コノサカヅキヲ受ケテクレ 
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ

この井伏鱒二の訳を受けて寺山修二がつくった詩、大好きな詩です。

「さよならだけが人生ならば」

さよならだけが人生ならば         
また来る春は何だろう 
はるかなはるかな地の果てに 
咲いている野の百合何だろう
       
さよならだけが人生ならば
めぐりあう日は何だろう
やさしいやさしい夕焼と
ふたりの愛は何だろう

さよならだけが人生ならば
建てたわが家は何だろう
さみしいさみしい平原に
ともす灯りは何だろう

さよならだけが人生ならば
人生なんていりません



「だいせんじがけだらなよさ」

さみしくなると言ってみる ひとりぼっちのおまじない
わかれた人の思い出を わすれるためのおまじない

だいせんじがけだらなよさ だいせんじがけだらなよさ

さかさに読むとあの人が おしえてくれた歌になる
さよならだけがじんせいだ さよならだけがじんせいだ







今日は柚月裕子氏著『朽ちないサクラ』のレビューを少し。

 
「米崎県警平井中央署生活安全課が被害届の受理を引き延ばし、慰安旅行に出かけた末に、ストーカー殺人を未然に防げなかったと、新聞にスクープされた。
県警広報広聴課で働いて4年、森口泉は、嫌な予感が頭から離れない。
親友の新聞記者、千佳が漏らしたのか?
『お願い、信じて』そして、千佳は殺された――。
県警広報課事務の私に、何ができる?
大藪春彦賞作家、異色の警察小説」




著者の作品のうち、このブログにアップしているのは『臨床真理』と『検事の使命』ですが、後者は『最後の証人』 、『検事の本懐』に続く「検事」シリーズの第三弾。
     

主人公の検事・佐方の造形が成功していてとても面白いシリーズとなっています。

ちなみに著者は『検事の本懐』で第25回山本周五郎賞候補、第15回大藪春彦賞をダブル受賞されています。  



著者が警察内部を舞台に物語を展開しているのが本書。


主人公は警察の事務職員である森川泉。


ある日、サツ回りの新聞記者である親友・千佳に警察内部のイベントを何気なく話したことを千佳がすっぱ抜いて記事にしたと誤解し千佳を責めた結果を遠因として千佳が殺害されたのではないか、と自分を責めた泉は、同期の警察官・磯川とともに千佳の殺人事件を追っていきます。


直属の上司の富樫や捜査一課の梶山などに接触しながら真相に迫っていく過程は警察小説としての体裁を保っておもしろかったのですが・・・


中盤辺りから後半にかけて公安警察やカルト教団が絡み始めて、物語の筋立てを複雑かつ上滑りに展開して、核になるものが分散してしまって、ラストがあれっと思うほど残念な〆になりました。


特に公安の闇の深さに特化するあまり、何とも浅さを露呈して、あり得ない展開になってしまった気がします。


「検事」シリーズに投入した力を再び発揮してもらいたいと期待しています。

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スモークツリー


目覚める寸前に見た夢か、起きてからも尾を曳いています。

昨夜、というより今朝の夢。

場所は神戸・三ノ宮。

なぜか囲碁会館を探して、見つからず焦っている夢。


夫は趣味が囲碁で囲碁クラブに多いときで週に2度対戦に行き、家でもネットでやるほど熱心ですが、私はまったく・・・。


ずっとずっと昔、夫に教えてもらったことがありますが、肝心の目の作り方がどうしてもわからず、目が理解できないと陣地も取れない、ということで早々に匙を投げられた経緯があります。



なぜ夢で囲碁会館を探していたかというと、これから対戦があるから。


時間に遅れてはまずい、と焦りは頂点に・・・


現実にすさまじい方向音痴の私が夢の中でも三ノ宮の昔知っていた路地から路地をさまよっていました。


そうこうするうち突然角を曲がったところで、長男が登場、囲碁会館への道順のヒントを私に授けるのですが、それがなんとも要領を得ないヒント。


いっとき助かったと思い、そのヒントに従って行けども行けども囲碁会館には辿り着けず、途中で窮地に立たされた気持ちになり、、そうだ、こんなに苦しいのだったらもう囲碁はやめればいいんだ、、と決心したところで目が覚めました。

なんだったのか???







さて本日は佐藤愛子氏著『犬たちへの詫び状』をご紹介します。


「理想の犬とは、尻尾はキリリと右に巻き、固い結び目のような薄茶色の肛門が凛々しく締っていること、これが一番大事である。
『怒りの佐藤』は大の動物好きだが、猫っかわいがりはしない。
犬は犬らしくあれ、を信条に、ひたすら自由放任。たとえそれを他人が、無芸大食、悪臭フンプン、放浪癖と非難しようともー痛快エッセイ集」


九十歳を過ぎて執筆された『九十歳。何がめでたい』『それでもこの世は悪くなかった』が立て続けにヒット、ただいま再ブレイク中の著者。


愛子さんの昔からのファンとしてはお元気そうで嬉しいかぎりです。


本書は今から15年以上前に文庫化された動物に関するエッセイ集です。

1 犬は犬らしく生きよ(“らしさ”の習性/タロウの過去/ポチ ほか)
2 犬の事件簿(姑根性/犬たちの春/タマなしタロウ ほか)
3 動物たちへの詫び状(熱涙/権べぇ騒動/アホと熊の話 ほか)


筋の通らないことは大嫌い。

「怒りの愛子」で知られる著者は大の犬好き、動物好きのようですが、著者独自の愛し方が世間一般に認められているものとちと違う・・・そのギャップが何ともおもしろく、著者のほほえましい人間性を再確認できる作品です。


束縛されるのが大嫌いな著者は飼い犬といえど鎖で縛るのが辛いゆえに庭に放し飼いにしていると、犬がしばしば庭の外に出てご近所から苦情を言われたり、自然のままがいいと去勢手術を躊躇っているうちにどんどん子犬が産まれ、貰い手を探すのに四苦八苦したり・・・。


雑種が好きで、気に入った犬はすべてポチと呼ぶことにしているという著者。


昨今のペットブームで、犬のくせに猫かわいがりされていい気になっている犬には、「犬は犬らしく生きよ!」と喝を入れ、過度の愛情をかけ、犬を擬人化して一喜一憂する飼い主にはもの申す! と著者。

耳が痛い(――;)


著者独特の犬への一過言は、北海道のポニーや牛、そして牝馬の種付けの際のアテ馬であるドサンコにまで及び、愛子さんの優しさがチラホラ顔を出します。


人生哲学に於いて常に少数派だという愛子さん、これからもますますお元気で少数派の正義を貫いてほしいと祈っています。

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