VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2018年02月

家事の中で好きなのはおかずを作ること。

というより他の家事はあまりやる気が起こらない・・・。


週に2日、服薬の副作用の吐き気が治まったら猛然と料理をするのがここ数年のルーティンとなっています。


野菜を大量に買ってきて茹でたり、切ったり、冷凍したりを繰り返してかなりの種類の下処理をしてストックが増えたら心が豊かになります。


新聞やTV、SNSに上げられた料理などを目にしたら・・・自分に作れそうなら即行作る。


でも凝った料理は最初から除外・・・手軽にできそうなものばかり・・・珍しいスパイスなどを使った目新しくスマートなものはお手上げですが、、、そうして次々作っては出していると夫が途中でいいかげんにしろというような態度を示すのがお定まり・・・常日頃作りすぎを戒められるのです。


食べたいと思えること

作りたいと思えること

それを愉しみに食べてくれる人がいること


この三要素が揃うことが奇跡と受け止める年になったのだなぁと。



今日作ったのはほうれん草のピーナッツ和え・山芋めんたい・茎わかめと平天の炒め煮・もやしのナムル・牡蠣の時雨煮。

たいてい野菜がメイン、これに今日はカラスガレイのムニエル。


牡蠣の時雨煮は昨日知人から風邪の妙薬と聞いて・・・即行作りました(^.^)


生食用牡蠣・・・200g

しょうが・・・3カケほどせん切り

A酒・・・大1 ・ しょうゆ・・・大2 ・ みりん・・・大2 ・ 砂糖・・・大1

�@牡蠣は塩で洗いキッチンペーパーで拭いておく

�A鍋に牡蠣と酒大1を入れて炒り煮して牡蠣がふっくらしたら取り出しておく

�B牡蠣を取り出した鍋にAとしょうがを入れしばらく煮て再び牡蠣を鍋に戻し煮汁がなくなるまで煮詰めて完成

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密閉容器に入れて毎日3粒ほどしょうがと一緒に食べれば免疫力アップだそうです。





さて今回は村田沙耶香氏著『コンビニ人間』のレビューを少し。 


「36歳未婚女性、古倉恵子。
大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。
これまで彼氏なし。
日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。
ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。
「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。
第155回芥川賞受賞」



著者について

1978年千葉県生まれ
玉川大学文学部芸術学科芸術文化コース卒業
2003年『授乳』で第46回群像新人文学賞優秀賞受賞
2009年『ギンイロノウタ』で第22回三島由紀夫賞候補
2009年『ギンイロノウタ』で第31回野間文芸新人賞受賞
2010年『星が吸う水』で第23回三島由紀夫賞候補
2012年『タダイマトビラ』で第25回三島由紀夫賞候補
2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞受賞
2014年『殺人出産』で第14回センス・オブ・ジェンダー賞少子化対策特別賞受賞
2016年『コンビニ人間』で第155回芥川龍之介賞受賞


「コンビニという小さな世界を題材にしながら、小説の面白さの全てが詰まっている。
十年以上選考委員を務めてきて、候補作を読んで笑ったのは初めてだった」(山田詠美氏)

「この十年、現代をここまで描いた受賞作は無い」(村上龍)

「テーマやコンセプトやタイトルやキャラだけで成立していて、言葉のオーラも心理描写も無い。
風俗小説としてのリアリティはあるが、同業者(他の作家たち)によって乗り越えられるべき、能天気なディストピア像である」(島田雅彦)



40歳独身の著者、執筆の傍ら現在もコンビニでアルバイトをしているということでも話題になりましたね。

「何かトラブルがあったりしたら考えるつもりでいるんですが、今は温かく迎えていただけているので続けるつもりです。
やっぱり、リズムが大きいですね。
(コンビニで働いているのは)自分の本当に平凡な日常って感じがして、落ち着くんだと思います。
平和な一日、小説を書く一日、として」


ほとんど主人公と等身大の著者ならではのリアリティのあるコンビニ業務のつれづれが描かれていて興味深く読みました。


36歳独身、恋愛経験はなく大学時代から18年間コンビニのアルバイトを続けている古倉恵子。


公園で死んでいた小鳥を「お父さんが好きだから焼き鳥にして食べよう」と言って周囲を驚かせたり、男子たちのケンカを止めるのにスコップで殴って止めて両親や教師から異常者扱いされたことがきっかけで自分が思ったことを行動に表したり発言したりすることをやめてしまった恵子。


常に世間一般の「普通とは?」「正常とは?」という問いを内包しながら自分を世間一般に合わせて生きてきた恵子。

そんな彼女が自分らしく生きられる場所・・・コンビニの完全なマニュアルに沿って店員として生きているときだけ「世界の正常な部品としての自分が誕生した」という実感を得ることができたという。


本書を通して社会の縮図を突きつけられたようでした。


マジョリティとマイノリティ。


必然的に多数派が優勢の世界。


政治の世界もさることながら性的嗜好においても、ものの見方においても。



私も過去に何度か子どもたちに「普通」を押し付けて「普通って何?}と反発されたことがありますが、突き詰めれば「普通」ってなんだろう?と思えます。


「皆が足並みを揃えていないと駄目なんだ。
何で三十代半ばなのにバイトなのか。
何で一回も恋愛をしたことがないのか。
性行為の有無まで平然と聞いてくる。
『ああ、風俗は数に入れないでくださいね』なんてことまで、笑いながら言うんだ、あいつらは!
誰にも迷惑をかけていないのに、ただ、少数派だというだけで、皆が僕の人生を簡単に強姦する」

恵子のコンビニに入ってきたバイトの新人・白羽の言葉。


白羽の中に自分と同質のものを見た恵子はやがて奇妙な同居を始めますが・・・


主人公を流行の病例で表すと、アスベルガー症候群とか自閉症とかいう型にはまりそうですが・・・

私個人の感想ではバラエティに富んだ人間のひとりだと思うのだけれど。


世間の枠からちょっと外れた人間の生き難さ・・・当の本人は快適とはいえないまでも自分らしく生きているにもかかわらず、周囲は常識的なティピカルな鋳型にはめようとやっきになっている・・・その距離感にユーモアを感じた作品でもありました。

祝:羽生選手&宇野選手!!

日本中が沸きました!

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足の怪我で約4ヶ月ぶりの復帰戦となるオリンピックの舞台で羽生結弦選手がショートプログラム&フリーともに完全復活。

自己ベストにはわずかながら及ばなかったものの2位の宇野昌磨選手を約10点引き離して金メダル。


テクニカルな面だけでなくその精神力の強靭さに驚きを隠せません。


演技前、目を閉じて胸の前で十字を切るという祈りのような動作がなんとも崇高でしびれますが、実際は「士」の形を描いていて、「ジャンプの回転軸と両肩を平行に保つ意識を確認するためのおまじない」というのを知りました。


特殊なマスクで心肺機能を高める訓練をしているそうですが、それでも喘息の発作に悩まされることもあるとか。


目に見えない努力の大きさに驚嘆です。


銀メダルの宇野昌磨選手の頭をヨシヨシしたり、ワンコみたい、と言うのも和みます。


そして当地から出場の田中刑事選手。


初めての大舞台で18位に終りましたが、次が楽しみです。


田中選手は私のブロ友の花オクラさんかつて習っておられた中国語の先生の息子さん。


彼自身は日本生まれの日本育ちだそうですが、お母さんは台湾の方、お父さんは日本人で倉敷で少林寺拳法の道場を開いていらっしゃるそうです。


浅からぬ縁、応援しています!!






さて本日は岩木一麻氏著『がん消滅の罠 完全寛解の謎』のご紹介です。  


「治るはずのないがんは、なぜ消滅したのかー余命半年の宣告を受けたがん患者が、生命保険の生前給付金を受け取ると、その直後、病巣がきれいに消え去ってしまうー。
連続して起きるがん消失事件は奇跡か、陰謀か。
医師・夏目とがん研究者・羽島が謎に挑む!
医療本格ミステリー!
2017年第15回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作」

著者について
1976年埼玉県生まれ 
神戸大学大学院自然科学研究科修了
国立がん研究センター、放射線医学総合研究所で研究に従事
現在、医療系出版社に勤務


「このミス」大賞受賞作というのに惹かれて読了。


史上最高レベルの医療本格ミステリー。
こんなとんでもない謎を正面に掲げるとは前代未聞、大胆不敵。 (大森望)

まったく見当のつかない真相。
謎の設定がとにかく素晴らしい。 (香山二三郎)


最前線でがん治療に当たる医療現場が抱える今日的問題をテーマに、圧倒的ディテールで描く医学ミステリー。 (茶木則雄)

この小説の「売り」は「がん消失」の驚くべき企みとその真相だ。 (吉野仁)


日本がんセンター呼吸器内科の医師・夏目が生命保険会社勤務の友人・森川から、不正受給の可能性があると指摘を受けたことを発端に驚愕の筋立ての物語がスタートします。


夏目から余命半年の宣告を受けた肺腺がん患者がリビングニーズ特約で生前給付金3千万円を受け取った後も生存、その後に病巣が綺麗に消え去ったというまるで魔法のような症例が続出。


単なる偶然か、それとも新手の保険金詐欺か?


森川から指摘を受けた夏目ががんセンター勤務の友人・羽島と独自の調査を始めます。


浮かび上がったのががんの早期発見と独自の治療法でがんを完全寛解に導くとして社会的に名だたる有力者の間で評判の湾岸医療センター。


その理事長がかつて夏目が敬愛していた恩師・西條だったことに驚く夏目と羽島。


「医師にはできず、医師でなければできず、そしてどんな医師にも成し遂げられなかったこと」という謎の言葉を残して夏目の前から忽然と姿を消していた西條。


こうしたストーリーで展開する物語。


果たして緻密なエビデンスの下、余命宣告した末期がん患者が完全寛解するのか、それも自分が宣告した患者4名中4名までも。


加えて転移が稀ながんが特定の患者のケースのみ再発しているという事実。


卓越した医師の手によってそのような形でがん細胞を消したり増やしたりできるものなのか?


こういった医学の分野に切り込んだ大胆不敵な医学ミステリーとなっています。



「チーム・パチスタ」シリーズで華々しいデビューを飾った海堂尊氏を彷彿とさせながら、本書の構想はもっと大胆。


ミステリなので当然犯人がいて動機は提示されていますが、多くの人を巻き込んだこの壮大な計画に見合う動機なのかという疑問が残りましたが、がん消滅という世界中の医学者の希求を題材にした勇気に敬意を表したいと思います。

先月夫が術後の予後を診ていただいていた医師から卒業という言葉をいただきました。

3度目のがんから5年経過した日。


六十歳過ぎてから転移ではない単独のがんに3度罹患した夫ですが、3度目は口腔内の歯骨に出来たがんでした。


このブログでも書いたことがありますが、長年親知らずに悩まされていて、やっと抜く決心をしてかかりつけの大学病院の口腔歯科で抜歯してもらったあとに発見されたのでした。


一般の開業医だったらそのまま抜いて終わりとなっていたはずでしたが、たまたま抜歯してくださった医師が抜いた歯の組織に少し肥厚が見られたので、念のためにと検査に出したことが始まり。


あとに「なぜ組織検査に出そうと思われたのですか?」と聞いたところ「自分でもどうしてだかわかりません。
顕著な肥厚ではなかったし、まさかがん組織が発見されるとは思いませんでしたが、一応念のためと思って」と語られた医師。


この医師からがんの組織が見つかったとの一本の電話で錯乱の日々が始まりました。


CTやPET、あらゆる検査の結果、手術という選択肢を提示されたのですが・・・


その内容があまりにも苛酷で、当の夫はもとより私もたじろいでしまいました。


その間子どもたちと手分けして他の治療を探りましたが、2度目の食道がんで限度いっぱい放射線を浴びているので却下などなど・・・担当医師に紹介状をいくつか書いてもらいがんセンターなど当たりましたが、やはり手術が適切だろうという結論。


患部が口腔内なので手術後のQOLの困難さを考えると、手術に踏み切れない夫にそれでもやってほしいと言えない状況のなか、夫から「もう手術はしたくない、しなくていいか」と問われました。


ちょうど帰ってきていた娘と、大手術のあと助かったとしても顔の形が変わり、しゃべるのも困難、食事も困難な状態で生きていたくないだろうという結論に達し、「もういいよ」と言うと、夫はやっとその夜眠ることができたという経緯があります。


その後様々な紆余曲折があり、セカンドオピニオンに訪れたある医師の後押しで手術に踏み切り、最小のリスクだけで生還できたのは医師に恵まれたのとひたすら夫の運がよかったからだと思います。


退院後しばらくは食事療法が大変でしたが、今ではそんなことも思い出になるほど、食事に制限がありません。


夫の口腔内には骨の代わりをするプレートが入っていて、そのために細かな不便はあるようですが、まずまずの社会生活を送れていることに家族で深く感謝しています。

検診を終えたる夫のこゑ届き祈りは瞬時に感謝となりぬ

そして5年が経過して卒業、感無量です。


喉元過ぎたら忘れてしまうのも悪い癖ですが。



こんなことを書いたのは今回アップする作品に喚起されたから。



インフルエンザ読書No.6

二宮敦人氏著『最後の医者は桜を見上げて君を想う』



「発売から大好評! 13万部突破!
本読み書店員が選ぶ「感動小説」第1位!
自分の余命を知った時、あなたならどうしますか?
死を肯定する医者×生に賭ける医者
対立する二人の医者と患者の最後の日々――
衝撃と感動の医療ドラマ!」



主人公は2人の医師。


患者の命を救うことに執念を燃やし、最後の最後まで奇跡を信じて戦うことをあきらめない外科医・福原雅和。

片や治る見込みのない患者に「あなたは死を選ぶ権利がある」とアドバイスする医師・桐子修司。


この2人の両極端な考え方をする医師と大学医学部で同期だったもう1人の医師・音山晴夫が交わりながら展開する物語。


とてもとても重い作品で、死ぬ事について何度も何度も考えさせられました。
その中で最後の最後に一粒だけ用意されていた小さな希望に私は自然に涙を流していました
(TSUTAYA 三軒茶屋店 栗俣様)

医者達が織りなす「生」についての物語は考えさせられる部分が多く、ラストは涙が止まりませんでした。
(オリオン書房 ノルテ店 澤村様)

死の恐怖が安らぎと受容に変わったとき、本当に生きる意味とは何なのか、迷いながらも最後まで戦い抜いた患者、医師達に涙があふれました。
(伊吉書院 類家店 上道様)

「死」を透かして見えてくる「生きる」ことの真の意味。
死が怖れから安らぎに変わる瞬間をあなたは知るでしょう。
(東郷倶楽部 代表 医師 東郷清児)

難治がんや難病に罹患した患者に余命を告げる医師。


データに裏づけされているとはいえ「余命」という言葉自体を生身の医師が告げるというのは神の領域を侵していることになるのではないか、と時々考えます。


余命どおりに亡くなる人もいれば、余命をはるかに超えて生を授かっている人もいて、命には人間の手を超えた神秘な世界があるような気がしている昨今。


本書は「余命」宣告を挟んで対極の考え方をする医師2人の物語。


確かにこれ以上苛酷な治療を強いることが患者の心身を蝕み、結果的に余命を削ってしまう症例も多々あることは否めませんが、究極の決断は患者本人にしかできないことも事実です。


何が正しいか、というのは人が亡くなったあとでしかわからない・・・もしかしたら亡くなったあとでも永久にわからないかもしれない。


人は2つの人生を同時に選択して生きることができないから。


本書は生に対する対極の考え方の医師2人を登場させて、ラストでそれをうまくまとめるという難しい技にチャレンジしていますが、けっこう苦しい結末。


延命のため最大限の処置を提供する医師vs患者の最後の尊厳を守って医学的な治療を施さない医師。


この2人の考え方を交わらせることに苦心のあとがみられるラスト。


無理矢理感のあるまとめ方。


へそ曲がりな私は出回っている感動のポップほどには感動はしませんでした。


ライトノベル的な要素のある作品、感動を押し出すあまり上滑りの感が否めませんでした。


しかし、一部の医師を除いて大半の医師は患者の命を前にそれぞれの方法で最大限の試行錯誤をしているのだなあとしみじみ思いました。


夫に関わってくださった医師は本当に尊敬に値するすばらしい医師でした。

3週間ぶりに卓球をしてきました。


インフルエンザ自体はワクチンを接種していたせいか、比較的早くに治まったのですが、週一で服用している免疫抑制剤の副作用の吐き気が今回は長く続いて気力体力が奪われて身動きが取れませんでした。


インフルエンザの治療薬が免疫抑制剤と相まってなんらかの化学変化を起こしたのか・・・無知な頭の中で疑問符がクルクル。


そんなこんな不調からやっと快復して・・・スポーツというには軽すぎるかもしれませんが久しぶりに体を動かせてさわやかでした(^.^)





今日ご紹介する作品もインフルエンザの床で読んだ本、たしかNo.5・・・もうどうでもいいけど。


奥田英朗氏著『向田理髪店』 


「次々起こるから騒ぎ。
過疎の町は、一歩入れば案外にぎやか。
北海道の寂れてしまった炭鉱町。
息子の将来のこと。
年老いた親のこと──。
通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。
心配性の理髪店主人の住む北の町で起こる出来事は、他人事ではありません。
可笑しくて身にしみて心がほぐれる物語」



かつて炭鉱で栄えた町・北海道苫沢町を舞台の6話からなる連作短篇集。

以前財政破綻したという北海道中央部にある架空の苫沢町。

きっと夕張市がモデル。


かつては町に10軒あった理髪店もいまでは2軒のみ、そのうちの1軒の店主が本書の主人公・向田康彦53歳。


28歳の時札幌からUターンして父の跡を継いで以来四半世紀を寂れゆく町とともに生活しています。


冬ともなれば豪雪のため日常の生活はストップしてしまうという過疎化に悩む小さな苫沢町を巡る6話のドタバタ劇が何とも温かい。



主人公が形容する「沈んでいく船」にも船なりの暮らしがあり、喜びも悲しみもある。



そんな小さな田舎町ならではの密度の濃い人間関係がいい味を醸し出していて、今見失いつつある古きよき時代の風景を彷彿とさせます。



跡継ぎ問題、嫁問題、地域おこし問題など現代の日本の地方都市が持っている悩める現状を著者お得意のコミカルなユーモアで包んだ秀作。


あったか奥田ワールド、ぜひどうぞ!

石牟礼道子さんの訃報が届きました。


十数年前から患うパーキンソン病の悪化により九十歳で永眠。


人間の極限的惨苦を描破した『苦海浄土』で水俣病を告発し、豊穣な前近代に取って代わった近代社会の矛盾を問い、自然と共生する人間のあり方を小説や詩歌の主題に据えた偉大な作家。


つい最近米本浩二氏著『評伝 石牟礼道子―渚に立つひと―』をポストしたばかりでした。


心からご冥福をお祈りいたします。




さて今回もインフルエンザの床での読書No.4。

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『島尾敏雄・ミホ 共立する文学 敏雄生誕100年・ミホ没後10年記念総特集』


「日本文学史上の傑作「死の棘」の作家・島尾敏雄と、『狂うひと』に描かれたその妻・島尾ミホの関係を描く総特集。
敏雄の短篇、ミホの日録、エッセイ、対談・鼎談のほか、吉増剛造インタヴュー、研究・論考などを収録」





島尾敏雄
島尾ミホ
書き下ろしエッセイ
“死の棘”の影で
研究/論考
対談/鼎談
島尾ミホをめぐる映像世界


病の床で読むには何とも重い内容。


どのページを開いてもミホ氏の怨念が立ち上がってくるような・・・。


手持ちの作品がだんだん底をついてきたので仕方なく飛ばし読み。


全頁に散らばっている島尾一家または敏雄氏とミホ氏のはじける笑顔満載の写真にとめどない違和感を感じてしまいました。

どの写真をとっても幸せな家族の肖像というようなショット群。


『死の棘』のあと妻ミホ氏とともに東京からミホの故郷の島に生活を移してからの幾多の写真は何を物語っているのか?

穏やかで平穏な日常がこのようにいとも簡単に戻ってくるものだろうか?


そんな疑問が渦巻きました。


というのもどこかでご夫妻の長男でカメラマンの伸三氏の文章を通して『死の棘』以降の生活が島尾敏雄と子どもたちにとって写真に写っているような輝けるものではなかったというのを度々目にしていたことがあるせいかもしれません。


本書の中で興味深かったのが先ごろ亡くなられた石牟礼道子氏とミホ氏の対談。


その中で石牟礼氏が『死の棘』の中に漂うユーモアを感じとられた旨を語られたのを受け取ってミホ氏が呼応するように、この作品の中にユーモアを感じていただいてとても嬉しい、と言われていたのにも驚いてしまいました。


奄美群島の加計呂麻島の島長で祭事を司る「ノロ」の家系に生まれ、巫女後継者と目されたミホ氏とともに水俣の渚で生と死を見つけ続けた石牟礼氏にも巫女のような資質があるのは周知の事実ではありますが、限りないノンフィクションといわれている『死の棘』の中にユーモアを見出すことができる人がどれくらいいるでしょうか。


伸三氏が母ミホ氏について、彼女は崇められなければ生きていけなかった人というようなことを書いておられましたが、夫も娘も彼女の支配下で生の幕を閉じたと想像するとなんだか哀れです。


とはいえ、読者が遠くから眺めるだけでは夫婦家族関係の真実はわからない、というのも真実なので、独断的なレビューはこの辺で。

インフルエンザ以来しばらくぶりの外出、水彩画教室に行きました。


水彩をはじめてもうすぐ丸2年。


デッサンしても形にならず、まして彩色するなんて・・・と恐る恐るやっていましたが、最近は描くことにやっと慣れた感じ。


今までの総決算というほどでもないのですが、所属する教室が順番にカルチャーセンターの壁面に展示するという慣わしがあり、今日から2週間仲間とともに私の水彩画も展示されています。


孫にも衣裳という諺通り、私の作品も額の中ですまし顔をしているのがおかしくて密かに笑ってしまいました。


やっと彩色して第一歩のスタート。



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アメリカ合衆国の田園風景を描いて有名になったアメリカの国民的画家・グランマ・モーゼスが絵筆を握ったのはなんと75歳からというので、私も可能性がゼロではありませんが、やる気と持久力、センスにおいてはとんと自信がないので、いつまで続くか・・・と内心葛藤しています(ーー;)





さてインフルエンザ読書No.3です。


深町秋生氏著『ドッグ・メーカ 警視庁人事一課監察係 黒滝誠治』  

「黒滝誠治警部補、非合法な手段を辞さず、数々の事件を解決してきた元凄腕刑事。
現在は人事一課に所属している。
ひと月前、赤坂署の悪徳刑事を内偵中の同僚が何者かに殺害された。
黒滝は、希代の“寝業師”白幡警務部長、美しくも苛烈なキャリア相馬美貴の命を受け、捜査を開始する。
その行く手は修羅道へと繋がっていた。
猛毒を以て巨悪を倒す。
最も危険な監察が警察小説の新たな扉を開く」


著者について
1975年山形県生まれ
2003年『小説自殺マニュアル』
2004年『果てしなき渇き』で第3回「このミステリーがすごい!」大賞受賞
他に「組織犯罪対策課八神瑛子シリーズ」など


「このミス」大賞受賞作『果てしなき渇き』を読んで以来、久しぶりの著者。


ブロ友のUNIさんに勧められてamazonで購入していた積読本。


警察モノが大好きで多読していますが、かなりなハードボイルド。


黒川博行氏の大阪府警シリーズなどと同じくノワール的な匂い満載の警察小説。


マル暴などの組織犯罪対策部や公安といった闇の世界で活動する刑事が主人公の小説は数々ありますが、本書は警察のなかの人事である監察官が主人公。


警察という同じ組織内の腐敗の浄化のための監察官・・・このように書くと清廉潔白のクリーンなイメージを連想しますが、主人公を筆頭にまわりは組織に絡め取られた魑魅魍魎の輩ばかり。


主人公は目的のためなら手段を選ばず・・・あらゆる手法で情報提供者に鎖を絡め飼いならして密告者に仕立てていくという押しも押されもしないドッグ・メーカーと呼ばれる男。


刑事ながら裏街道を知り尽くした男。


しかし悪に立ち向かう情熱は人一倍。

その主人公を補佐するキャリア組の女性警察官僚のキャラも立って、繰り広げられる活劇も見せ場です。


途中こんなことありえないと思いながらページを捲る手が止まらない作品。


ぜひどうぞ!

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