VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2018年10月


昨日から夫が少々風邪気味。

熱はないようだけど喉が少し痛いという。

洗面所で何度もうがいをしていたからそうではないかと思っていたけど。


それだけの症状なのにすでに重病人の体。


まこと大げさと心のなかで呟く。。。


胃腸とは何の関係もないのだけれど、やわらかいもの好きの夫のために里芋の煮物やカラスガレイのムニエル、それに不調時の定番のおかゆ・・・体調がすぐれないとすぐ怒りっぽく不機嫌になる夫に忖度して・・・

日々の忖度は我が家では必須アイテム(ーー;)


五人兄弟の末っ子の夫、真綿に包まれたように育ったとも思えないのですが、真綿に包まれる扱いが大好き・・・「いいかげんにしろ」と心で呟く。


もうすぐ我が家の最後(だと思う)のお祝いイベントが控えているので、それまでにどうぞ治りますように。






さて今回も○○のひとつ覚えのごとく本城雅人氏。


まだ多くの人に知られていないのか出版社の努力が足りないのか、図書館で比較的簡単に借りられる著者の作品群。


私のなかでは数年前の池井戸潤氏以来のブームなんですけどね。


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本城雅人著『監督の問題』


「プロ野球を引退したばかりの元スラッガー、宇恵康彦。
彼が就任したのは連続最下位の新興チーム「新潟アイビス」の監督だった。
上を見れば、短気ですぐに監督をクビにする若きオーナー。
下を見れば、キャンプ中に若手を引き連れ朝帰りするベテラン投手。
仲間であるはずのコーチたちにも諍いが……
問題だらけの球団にルーキー監督が挑む!」


第38回吉川英治新人文学賞に輝いた『ミッドナイト・ジャーナル』受賞後の第一作。


新人監督を主人公の「野球小説」。


関西系のノリ満載のコミカルな作品となっています。


大変面白く読了しました(^.^)


設立4年目、万年最下位の新潟アイビスを舞台にペナントレースを描いた作品。


現役時代四番バッターとして鳴らした宇恵康彦、41歳。

引退して1年、コーチも経験しないまま弱小球団アイビスの監督にと請われた宇恵。


気の短い野球オンチのワンマンオーナーの下、前任の監督2人が立て続けに1年でクビになったといういわくつきの球団。


就任したものの、選手と監督の立場の違いに戸惑ったり、自己中心的なエースややる気のない選手たちへの扱いなど問題山積の中で始まったキャンプ、オープン戦、そしてペナントレース。


西も東もわからない新人監督らしく試行錯誤、周囲の声に素直に耳を傾け、離れて暮らす妻との電話を拠りどころに少しずつ監督らしくなっていく様子が描かれていて微笑ましい。


サラリーマンに置き換えても中間管理職の悲哀を描いて秀作となっています。



宇恵監督を現実の誰かに当てはめながら読むと楽しさ倍増。


読者の方々にはそれぞれのイメージがあると思いますが・・・


関西弁の吉本風・・・ということで現在は野球解説者として活躍されている金村義明氏をイメージ。


他に挙げた候補者では金本氏か星野氏。


でもお二方ともご自分を「わし」という下町風な印象が薄く・・・。


ぴったりだと思うのですが、いかがでしょうか?

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立待ちて居待ちて寝待つ月の夜を人恋ふごとく思うてゐたり

月に並々ならぬ興味をもったのは短歌を始めてから・・・

どちらかというと人間の内面の方へと関心が流れていた人生前半。


それが尾を曳いて・・というかさまざまな経験を経ても人間の本質は変わらないのか・・

いまだに花鳥風月に焦点を定めた自然詠は苦手分野です。


本はやたら読むけど、日本独特の情緒ある言葉は身につかず今に至っています。


Webの短歌教室の師のご指導をお願いした4年ほど前の時点で旧仮名という壁が立ちはだかって四苦八苦していた数年を経て半年くらい前から新仮名にチャレンジし始めています。


今はまだ過渡期で投稿歌は旧仮名で出詠、地元の歌会では新仮名で出詠している段階。


どちらもそれぞれの長所があって中央歌壇の歌人の方たちの中には年齢とは関係なく新仮名で詠まれる方もたくさんいらっしゃいます。


今日は旧仮名の気分。





さて今回は林真理子氏著『我らがパラダイス』をご紹介します。


「突然終わりを告げる、平穏な日々。
「貧者の逆転劇」の結末は―東京・広尾の高級介護付きマンション「セブンスター・タウン」の受付係・細川邦子(48歳)、看護師の田代朝子(54歳)、ダイニングで働く丹羽さつき(52歳)…
それぞれの家庭内で深刻な介護問題を抱える3人は、困窮していく我が身と、裕福な施設の入居者たちとの想像を絶する“格差”を前に、一世一代の勝負に出る!」


東京・広尾の高級介護付きマンション「セブンスター・タウン」を舞台の物語。


主人公の3人・・・細川邦子(48歳)、田代朝子(54歳)、丹羽さつき(52歳)


細川邦子の事情・・・
父・滋(82)の面倒をみるという約束の下、兄夫婦に実家を明け渡したのに父のぼけがはじまった途端、兄嫁が介護を放棄、家出。
結果、夫や義母の冷たい視線を浴びながら父の介護に奮闘する日々。

田代朝子の事情・・・
看護師の仕事を辞めて寝たきりの母・チヅ(78)の介護中に、リストラされた弟・慎一が転がり込んできたため母の年金と自分の蓄えで賄っていた家計は逼迫。
再び看護師の職を求めて「セブンスター・タウン」で働きはじめる。

丹羽さつきの事情・・・
独身のまま、同居する元気な両親と暮らしていたが、父があっけなくがん死。
老いがにわかに進む母。


それぞれに老いた親の介護という最優先問題を抱えた3人がセレブご用達の「セブンスター・タウン」で出会うところから物語がスタート。


前半部分は筆力のある著者には珍しく平坦な筆致で「セブンスター・タウン」のセレブ老人たちや主人公たちの背景が描かれていて、面白みの欠ける文章の連なりでしたが、後半に来て、ドドドとドタバタ喜劇と見紛う劇場型へとなだれ込んで・・・


これはこれであまりにも奇想天外で読む気を削がれてしまいました。


しかし昨今の新聞やネットなどで挙げられている貧困老人の記事を通して感じていた「格差」についての言及や介護問題に特化した内容に惹かれて最後まで読み通すことができたという作品。


著者の作品にしては少々破綻した筋立てではありますが、興味ある方はどうぞ。


ある登場人物の言葉・・・
「親のみじめさはいつか私たちにくるみじめさ…」

この言葉を身に染みて感じるのはたいてい親を見送ったあと・・・

いま私は痛切に感じています。

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追憶はままごと遊びのおちやわんに五歳のわたしが盛る〈赤まんま〉

〈終活〉という語がやたら目につくこの頃。


引越しが多かった我が家は移動の度に大量のものを処分してきたので比較的すっきりしていますが、それでも少しずつ増えて・・・を繰り返しています。

購買欲も残っているし。


数十年前の薬の袋まで捨てない人だった亡母を反面教師としてか〈捨てる人〉となっている私。


捨てすぎて困ることも多々あります。


古い手紙も思い出に残るものを除いて処分したし、写真も同じく整理してスリムに。


今は近々の3冊の連用日記をどうしようかと思案中。


子どもたちや孫のアスカの折々の手紙など大切なものは〈たからばこ〉という箱にまとめていますが、私だけの大切なものなので、私が消えるときは共に消したい・・・うまくいくかどうかわからないけど。


昨年亡くなった姉は随分前、五十代から〈尊厳死協会〉の会員になっていましたが、寝たきりの介護生活に入ってからは誤嚥を繰り返したため医師を含め周囲の話し合いで胃瘻にしていました。


若い頃はあんなに自然死を強く望んでいたのに・・・。


本人が意思表示できなくなってからの周囲の決定は度々議論の俎上に上っているところ。



エンディングノートを用意せねば。







本日は佐々木譲氏著『真昼の雷管』のご紹介です。


「精密工具の万引き。
硝安の窃盗事件。
消えた電気雷管。
3つの事件がつながったとき、急浮上する真夏の爆破計画。
誰が、いつ、どの瞬間に?
刻限に向けて、チーム佐伯が警官の覚悟を見せる!大ベストセラー警察小説」





道警シリーズ最新版!

『笑う警官』『警察庁から来た男』『警官の紋章』『巡査の休日』『密売人』『人質』『憂いなき街』 

そして本書・・・第8弾となります。



佐伯警部補以下お馴染みのメンバーが今回も勢揃い。


札幌の小さな個人営業の園芸店から水耕栽培用追肥に用いる〈硝酸アンモニウム〉30kgが盗まれるという事件発生。


〈硝酸アンモニウム〉は爆薬製造に使われることもあるということで色めきたつ。


刑事三課の佐伯と新宮が捜査開始。




一方、生安の少年係の小島百合は老舗煙管店で工具を万引きした少年を保護したものの警察署から逃げられてしまいます。


見方によっては取るに足らない小さな事件と思われるこの2つの事件が思わぬ経路で1人の人物像に辿り着きます。



JR北海道の組織ぐるみの保線記録の改ざんの犠牲になり解雇された梶本裕一と母親からネグレクトされた少年・水野大樹の出会いが切ない。



大きな組織の改ざんという渦に巻き込まれた末、犠牲を強いられ、その後の再就職への道も阻まれてしまう・・・



権力ある者が生き残るために切り捨てられるのはいつも弱者・・・という絵に描いたような図式はそこにもここにも。


こうして人生に行き詰った梶本。


JRへの復讐のため爆発物を仕掛けその後自死するという計画を少年を通して知った道警メンバーが爆破阻止のタイムリミットに向け息づまるような戦いを展開。


間に合うことはわかっているのにドキドキが止まらない。


この緊迫感!


佐伯宏一警部補、小島百合巡査部長、津久井卓巡査部長、新宮昌樹刑事、そして長正寺武史警部。


オールメンバー勢ぞろい。


最後に佐伯と小島の大人の関係も相変わらず・・・佐伯の朝食を作るまでには進展していますが、その後は・・・??


道警シリーズ第九弾が待たれます。

半年ほど前TVで紹介されたのをきっかけにブレイクした本。


デイヴィッド・S・キダー氏&ノア・D・オッペンハイム氏著小林朋則氏訳『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』


その後新聞でも大々的に広告を打っていて気になっていました。


★★★ニューヨークタイムズベストセラー★★★

シリーズ累計100万部

アメリカで470,000部刊行の大人気な定番本が、ついに邦訳!

1日1ページ5分読むだけで1年後、世界基準の知性が身につく!

(月)歴史・(火)文学・(水)芸術・(木)科学・(金)音楽・(土)哲学・(日)宗教の7分野から、
頭脳を刺激し、教養を高める知識を365日分収録!

すべての知的好奇心の探究者へおくる本。

もっと知りたいこと、見てみたいもの、行きたい場所など興味が広がり人生が豊かになる!
毎日1ページずつ読んでいくのが楽しみになる!

これ1冊読めば、「知らなかった! 」で恥ずかしい思いをもうしない!



そうだ、世界の教養のない娘に送ろう!


と思い立って娘に聞いたところ「1日1ページ読むだけで教養が身につくなら」としぶしぶ乗ってきたので送ったのが数ヶ月前。


以来、「教養のないお母さんにももってこい・・・というかこんな面白くない1ページ誰かと共有しないと読めない」ということで毎日娘から1ページ分が写メでラインに送られてきています。


夫はそっち系の教養はわずかながらあるので除外。


ひたすら真夜中に1ページを読み合っては互いにひと言ずつコメントを入れ合って読んだ証とする毎日。


なんともワクワクしない内容。


「世界の教養」と銘打っていますが、優れた民族と自認するアングロサクソン系の教養が集中。


初版は1920年代というからいかにも古い。

その後改訂を繰り返しているらしいけど。


まだ読了という志半ば、ちょうど5ヶ月くらい・・・先が長い・・・ふぅっ。


宗教系哲学系が非常に多い・・・ユダヤ教、キリスト教、イスラム教・・・


中でも旧約聖書の創世記の物語に出てくる神。


どう見ても傲慢としかいいようのない仕業の数々にふたりで神を罵倒・・・すみません


〈ノアの箱舟〉編では大水のとき自分以外誰を乗せるかで盛り上がり・・・神の指示は受けない!と。


いままでかなり読んだけど朝起きたら素通りしている知識。


〈知識〉って定着するから〈知識〉っていえると思うけど・・・素通りするのは単なる字づら??


かろうじて覚えているのは「無知の知」で有名なギリシャ哲学の祖といわれているソクラテスからのアラアラの流れ。

タレス→ソクラテス→プラトン→アリストテレス→→デカルト→→カント・・・??・・・こんな流れでいいのかな?


よかったことは1ページの中の記事に出てくる興味を拾い上げてお互いに調べてみるという作業をするときがあって・・・例えばバッハについての記事があれば、Youtubeで「メサイア」を聴いてみたり・・・。


これがなかなかおもしろい。


やはり薄学の私たちにとっては手強い知識本。


これからも日々延々続くと思うとちょっと憂鬱・・・


2500円という高価な本ゆえ無駄にはできないという気持ちとちょっぴりの興味で・・・娘とともにがんばろう!

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ガマズミの実
テレビを観ていたら〈救急車の現状と課題〉というのをやっていて・・・


受け入れ先の病院に拒否されることが重なっての救急患者のたらい回しの結果落とさなくてもいい命を落とすということのある一方、緊急性のない患者がタクシー代わりに使用する例が後を絶たずという。


私たちの周りを見回しても気軽に救急車を呼ぶ人々はいないように感じますが、やむなく救急病院に駆け込むにはやはり救急車が有利というのはよく耳にします。


数年前、腹痛のため夫の運転で夜間の救急病院を受診したとき、救急車で運ばれた患者さん優先のため3時間待ちになるので別の病院を探して行くようにと指示されたことがあります。


えっ? 別の病院を探すのも患者サイド?とびっくりしたことがありますが、夫が付き添ってくれていたので携帯で連絡をしてくれて幸運にも別の病院がOKを出してくれ、急遽そちらへ。


緊急を要する症状だったらしく検査を重ねて夜中2時に緊急手術となりました。


放置していると数時間で腸が壊死して切り取らなければならなかったところ、

危うくセーフ。


最初飛び込んだ総合病院は救急の充実を謳っているわりに評判がよくなかったので、結果的に拒否されて別の病院に行ってラッキーだったかも!



その昔、一度だけ救急車を呼んだことがあります。

一歳を迎えた次男。


それまで病院にかかったことがなかった次男が夕方より少し風邪気味だなとは思っていたのですが・・・


無事寝かしつけた深夜、同じ部屋に置いていたベビーベッドに静かに寝ていた次男にただならぬ異変を感じて(母ならではの無音の受信??)・・・慌ててベッドを覗いたら・・・

熱性痙攣の真っ最中。


泣き声もなくしずかにずぅ~と痙攣している次男。


慌てて夫を起こして救急車を呼んだのが深夜2時。


救急車で運ばれる間も病院に着いてからも痙攣やまず・・・救急隊員の方がこれほど長い痙攣だと治まったあと後遺症が起こる可能性があるでしょうと。


結局1時間ほどたってようやく治まりました。


その後幸い脳に後遺症もなく、熱性痙攣も起こさなかったのが僥倖だったという我が家の出来事。


度が過ぎたワンパクで保育園時代から頭を下げ通しだったのが後遺症といえば後遺症かもしれません。


夜中、次男を抱えて外で待っているときの救急車の到着の遅かったこと!!


深夜に救急車のサイレンを聞くと思い出します。




垣谷美雨氏著『あなたのゼイ肉、落とします』


「ダイエットは運動と食事制限だけではない。
大庭小萬里はマスコミには一切登場しない謎の女性だが、彼女の個別指導を受ければ、誰もが痩せられるという。
どうやら、身体だけでなく「心のゼイ肉」を落とすことも大事なようだ……。
身も心も軽くなる、読んで痩せるダイエット小説」


ブログ友のIさんがご紹介されていた著者の『嫁をやめる日』がおもしろそうだったので図書館で検索したところ貸出し中だったので諦めて・・・本書を借りてきました。


いままで著者の作品は未読だと思っていましたが、数年前『七十歳死亡法案可決』を読んでいたことが判明・・・読後感がイマイチだったので忘れていました。 
 

著者について・・・

1959年兵庫県生まれ
2005年『竜巻ガール』で第27回小説推理新人賞受賞
2008年『リセット』
2010年『結婚相手は抽選で』
2012年『七十歳死亡法案、可決』
2013年『夫のカノジョ』
2013年『あなたの人生、片付けます』
2013年『子育てはもう卒業します』
2017年『嫁をやめる日』
2018年『老後の資金がありません』  など多数

                  
著者の経歴をググっていると・・・
どうやら本書は『あなたの人生片付けます』の対・・・姉妹版というのが判明。

これを先に読めばよかったのかな?


『あなたの人生片付けます』の主人公は姉・大庭十萬里
『あなたのゼイ肉、落とします』の主人公は妹・大庭小萬里


さて大庭小萬里が主人公の本書に移って・・・

本書には4篇の短篇が収録されています。

ケース1 園田乃梨子49歳・・・主婦と仕事に頑張っている女性
ケース2 錦小路小菊18歳・・・零落した元華族の女子大生
ケース3 吉田知也32歳・・・事故で記憶喪失になったサラリーマン
ケース4 前田悠太10歳・・・母子家庭の小学生


共通するのは登場人物が太っていることで自信喪失していること。


どのケースにも大庭小萬里が救いの手を差し延べて、それぞれの心の奥に潜んでいる問題点を炙り出し、考え方の方向転換を図り、光のある人生へと導くというもの。


スリム礼賛のような社会の風潮を通して太っていること=怠惰である、という認識に自ら蝕まれている太った人々の心の在り方に焦点を当てて前向きな人生を取り戻させる・・・というのが大庭小萬里の手法。


生れてこの方太った経験がないので、皆目太った人の悩みがわからない・・・というかふっくらしている人が羨ましいばかりの私。


というわけで体はスリムですが、心のゼイ肉はうんとついているお年頃なので、小萬里さんのカウンセリングを受けたらもっとすっきりするかも。


この歳で他力本願はよしな、という声も聞こえる気がしますが(ーー;)


気軽に読める一冊でした。

大阪・中之島の国立国際美術館で開催されているプーシキン展が14日までというので絵画同好会メンバー7名で行ってきました。

久しぶりの大阪。


ずっと岡山にいてたまに都会に出ると喧騒にクラクラします。


以前都会に住んでいたときは若さがあったので喧騒をもろともしませんでしたが通行人のあまりの速足に驚くことしきり。


梅田のグランヴィアでひとまずランチしたあと、美術館へ。

    

モスクワのプーシキン美術館所蔵の17世紀から20世紀のフランスの風景画65点。


時代の流れに沿って、神話の物語や古代への憧憬、田園やパリの風景などが展示されています。


ロラン、ブーシェ、コロー、ルノワール、ブラマンク、セザンヌ、ゴーガン、ルソー、ピカソなど著名な名画が並ぶ中、今回の目玉は初来日となるモネの〈草上の昼食〉。


1862年から1863年にマネによって描かれた代表作〈水浴〉にヒントを得て1866年にモネが描いたもの。

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byマネ

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byモネ
(Wikiよりお借りしました)

マネの〈水浴〉は1863年のサロン(官展)に出品したものの、「現実の裸体の女性」を描いたことが「不道徳」とされ落選したという経緯があります。


その後マネの作品のオマージュとして描いたモネの〈草上の昼食〉を意識したマネは1867年に当初〈水浴〉としていた題名を〈草上の昼食〉と改題したという逸話があります。


またセザンヌは1870年頃にマネへの対抗として〈草上の昼食〉を描き、ピカソは1960年頃にマネの当作品にピカソ自身の解釈を込めた〈草上の昼食〉を描いたそうです。
ということは〈草上の昼食〉はマネ、モネ、セザンヌ、ピカソの5つある??


名を馳せた画家同士の張り合い、真似し合いがおもしろい(^.^)


さてプーシキン美術館展に出品されているモネの〈草上の昼食〉について・・・

モネは〈草上の昼食〉を未完成の段階で12年間手元に置いていたところ、1878年、家賃未払いのためアルジャントゥユの家主に差し押さえられてしまいます。

その後何とか取り戻した絵は湿気のために相当の損傷をきたしていたので、モネは仕方なく画面を分断し損傷部分を破棄した結果、現存するのは左側断片と中央断片。


今回プーシキン美術館展に出品されているモネ〈草上の昼食〉は、未完で終わった大作のための最終下絵として描き始められたものと考えられているそうです。

一方、サインと年記が書き込まれていることから、大作制作の放棄後に手を入れて完成作に仕上げたとも考えられているということでした。


モネの代表作として有名な一連の睡蓮の絵を手がけはじめたのは〈草上の昼食〉からほぼ20年後セーヌ川沿いのジヴェルニーに移り住み、睡蓮の池のある「水の庭」を整えていった1898年頃―モネ60歳ごろ―からだそうです。





さて今回は本城雅人氏著『シューメーカーの足音』 のレビューです。


「この世には、靴を見てからその人間の価値を決める世界がある。
斎藤良一は、紳士靴の名店が軒を連ねるロンドンのジャーミン・ストリートで注文靴のサロン兼工房を経営する靴職人。
彼が作る靴は、英国靴の伝統を守りながらも斬新なデザインに仕上げることで人気を博していた。
さらなる成功を目指し、計略を巡らせる斎藤。
狙うは、「英国王室御用達」の称号。
だが、そんな斎藤の野望を阻む若者がいた。
日本で靴の修理屋を営む榎本智哉。
二人の因縁は、十三年前にまでさかのぼる―」


『スカウト・デイズ』以来自分の中でブームになっている本城雅人氏の作品。

『マルセイユ・ルーレット』『トリダシ』 、『ミッドナイトジャーナル』、 、『サイレントステップ』『慧眼 スカウトデイズ』と読み継いできて・・・


本書は今までのスポーツ系とまったく分野が違うのにびっくり。


ロンドンの繁華街ジャーミン通りでビスポークの靴店「S&C グッドマン」を構える主人公・斎藤良一と、彼に恨みを持つ若い日本の靴職人・榎本智哉の物語がミステリー仕立てで展開します。


ビスポークとは大辞林によると服や靴を注文によって作ること、また、注文によって作った服や靴のことだそうです。

つまりオーダーメードまたはオーダーメードによる製品。


ちょっと横道ですが、いま話題の貴乃花の息子さんもロンドンで修行後靴職人としてデビューされていますよね。


前半は主人公・斎藤良一のロンドンで靴職人としての地位を確立するまでの成功譚や英国紳士に認められた一流の靴職人としての靴作りの工程などが延々と続きますが、中盤になって徐々にミステリー様相に展開していきます。


エリートとして第一線にいる野心家の斉藤良一と父を間接的に死に追いやった斉藤への復讐に燃える榎本智哉。


このように書くと判官贔屓は榎本へと傾くと思いますが、なかなかどうして・・・


最後まで息つく間もない攻防戦に手に汗を握って・・・。


興味ある方は手にとって読んでみてください。


良質のミステリーとしても、ビスポークの靴に関する諸々の知識を得るという点でもおススメです。

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