
夫は寒がり
私は暑がり
体感温度がここまでというほど差があるのでなかなか折り合いのつけられない夏と冬。
いままさに激突の夏に突入。
寝室を同じくしているので困ってしまう。
ここに引っ越してベッドの位置を決めるとき、私の主張はなぜだか受け入れられず風通しのよい窓側が夫のベッドとなった6年前。
どうしても窓側にしたい何かが夫にあったのか・・・。
その横に入り口もあるので、出入りしやすいと思ったのか・・・。
よくわからないけど、窓の真上にあるエアコンの冷気の角度まで指摘して奥側のベッドが私に最適という。
結局風の通らない奥が私のベッド位置となりました。
世の中は強く主張するもの勝ち・・・結婚以来のわが家の図式も同じ。
まあいいやとついついのみ込んでしまう私を事なかれ主義と周りは言うけど・・・私は何でも平和におさめたい。
折衷案として最近ちょくちょく別の部屋に避難しています。

「地震列島日本に暮らす我々はいかに自然と向き合うべきか――。
災害に対する備えの大切さ、科学と政治の役割、日本人の自然観など、いまなお多くの示唆を与える寺田寅彦の名随筆を編んだ傑作選。
解説/編・山折哲雄」
私の中の寺田寅彦氏といえば・・・
熊本の第五高等学校生だったとき、英語教師として赴任した夏目漱石と出会い俳句を中心とする文学の師と仰ぎ、その後東京帝国大学生となって上京してからは漱石主宰の俳句結社の同人で、漱石の自宅で開かれていた「木曜会」の主力取り巻きメンバーの一人として生涯漱石を慕った門下生。
『吾輩は猫である』の水島寒月や『三四郎』の野々宮宗八のモデルともなった人として認識。
しかし・・・本職は著名な地震学者。
本書はそんな著者の本職からの真摯なアプローチ。
9篇からなる随筆ですが、どれも自然災害に関するもの。
関東大震災や室戸台風の甚大な被害を受けたのちの昭和8年から昭和10年にかけて発表されたもののようです。
随筆の腕もすばらしい。
その鋭い考察は、地震列島に生きる私たちへ、今なお新鮮な衝撃を与え続けている。日本固有の自然風土と科学技術のあり方を問う「日本人の自然観」、災害に対する備えの大切さを説く「天災と国防」、科学を政治の血肉にしなければ日本の発展はないと訴える「政治と科学」ほか、日本人への深い提言が詰まった傑作選
長い時を経て日本列島に築かれた文明の本質を自然科学と人文学の両面から明らかにした名著です。
「文明が発展すると過去の災害被害を忘れてしまう」
「自然は過去の習慣に忠実である。
地震や津波は新思想の流行等には一切構わず、頑固に、執念深くやってくるのである」
「科学の法則とは畢竟『自然の覚え書き』である。
自然ほど伝統に忠実なものはないのである」
当時でさえ江戸時代の地震の記憶を忘れ、海沿いに家を建ててしまったために甚大な被害を出した明治三陸地震を初め、関東大震災、昭和三陸地震を通してよりよい防災のあり方を指摘している本書。
文明が進むほど天災による被害は拡大する傾向があるということを踏まえて日ごろから備えをしっかりしなければならないと説く著者がもし福島第一原発での惨状を目にしていたらどのように思ったか・・・
人間の愚かさにきっと怒りを通り越して呆れておられることでしょう。
地形的にも日本は地震や火山の噴火、台風などの抗いようのない天災が周期的に起こることを前提として生きていかなくてはならないということを本書を通してあらためて思います。
「天災は忘れた頃にやってくる」
驚くほど現在の日本の現状にフィットする名著です。
一読を。