VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2019年12月

ブログ用

生と死は繋がれてゆく道の辺の落ち葉のうへに落ち葉重なり


 

少し前の12月15日に開催された山陽ロードレース。

我が家のマンション近くを走るコースなので、毎年応援しています。

12月山陽ロード
20山陽ロード
今年はMGCで優勝してオリンピック内定の地元・天満屋所属の前田穂南選手が走るので特に楽しみにしていました。

結果は2位。

1位はイギリスのシャーロットパデュー・・・前のめりで腕を大きく動かすフォームがエネルギーを消耗しそうな走法だったので失速するだろうなとの予想を裏切って最後まで1位キープでした。

3位は同じく天満屋の三宅紗蘭選手。

オリンピック候補といわれている天満屋の小原怜選手はスタートから振るわず28位でした。

③山陽ロード



子は来年1月26日の大阪国際3月8日の名古屋ウィメンズのレースで日本陸連の設定記録を上回り、なおかつ最速のタイムをマークした選手が3枠目を確保するそうです。

 

男子もMGCで優勝した中村匠吾選手と2位の服部勇馬選手が内定していてあと人枠。

先日の福岡国際では藤本拓選手が2位に入りましたが、タイムは2時間9分36秒で代表選考の条件となる「派遣設定記録」を切ることができかったので、来年の3月1日の東京、3月8日のびわ湖に持ち越されました。

誰も設定記録を超えられなかったMGC3位の大迫選手が代表になる仕組み。

年明けには全日本実業団の駅伝に続いて恒例の箱根駅伝もあり、マラソンや駅伝フリークには目が離せない時期が到来です。

 


さて本日はそんなマラソンにちなんだ作品です。

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倉阪鬼一郎氏著『永久のゼッケン 多摩川ブルーにほほえみを』
 


多摩川沿いのランニングコースでは、毎年、100キロを走るウルトラマラソンが開催される。                                             真鈴は、母親とともに50キロコースに挑戦することになった。              亡くなった父親が果たせなかった10回目のウルトラマラソン完走を、二人合わせて達成するため。                                          そして、10回目の完走者に贈られる、多摩川ブルーの永久ゼッケンを、心の中で手にするために―

 

多摩川ウルトラマラソンの100キロの部に毎年出走していた稲垣真鈴の父・滋は10回目の完走者に贈られるという多摩川ブルーの永久ゼッケンを目前に病気で死亡します

 


入院中
散歩途中に多摩川の川面を見ながら「あの水になって、戻ってくる」と言い半年後に逝った父への手向けとして、次のマラソンで、真鈴と母・かおりは2人で50キロに出走し、父の残りの1回分を2人で走る計画を立てます。

100キロ!!

 

42.195キロでも気の遠くなるような長さなのに!

 

 

この母娘の物語と並行して、この100キロマラソンに再起や余命短い友との約束をかけたランナーが登場。

 

 

世界選手権にも出場した日本のトップランナーだったにもかかわらず故障で挫折したランナー

余命宣告されたネットの友との約束を果たすために走ることを決心した手術を終えたばかりのランナー。

この多摩川ウルトラマラソンを主催する一家。

多摩川の土手を根城に生活している元ランナーのホームレス。

これら多彩な登場人物を絡めながら物語が進んでいきます。

 

駅伝やマラソンを主題の物語は三浦しをん氏をはじめ、堂場瞬一氏などの作品で楽しんできましたが、本書はウルトラマラソンという100キロマラソン。

なんと過酷と思うと息苦しさを感じますが、不思議と爽快感のあふれた内容でした。

最後はみんなハッピーになるのもいい(^^♪

よかったらどうぞ。

あと6日で今年も終わり。

年々歳々時の流れが速くなっているのには驚くばかりです。

物心ついたころから人の喜ぶことができたらいいなと思いながら、気がつけば何もなしえないままにここに来てしまった・・・

尊敬する中村哲氏がいつもおっしゃっていた「行動する人」とはほど遠い自分に失望するばかりです。

何一つ成し遂げざりし哀しみは例へば雲間の薄き昼月

 

先日の歌会で刷り上がったばかりの歌誌「樹林」20号がお目見え。

わたしは10号あたりからの途中参加でちょうど丸5年が過ぎました。

今回は記録のために出詠歌10首と小さなエッセイをアップしてレビューとします。

興味ない方はスルーしてくださいね。

 

樹林

『樹林
20号』

 
















「ガッツポーズ」
         

 

風そよぐ青田の中でハイタッチ別れし友のその後を知らず


単調なるひと日の終はり
UAEの友を訪ねるGoogle Earthに


ふん
りと綿のはなしべ開きそめ遥かな友と逢を約しぬ

 
遠来の友とひと日を語りて別れのハグのほのかにぬくし


転生を信
る友は来たる世でわたしを母に生まれたしと言


うたかたの夢のごときかルミナリエ友と語ら
あの朝のこと

 

ひさびさの友の手紙はももいろの紙に書かれて快癒の知らせ


 

堅き殻をまとの傍で心のもつれの解けるのを待つ

 

 

わが内の天秤ガタンと傾きぬ友の余命を知りたる刹那

 

 

無菌室のガラス隔てて向かひ合ひガッツポーズを交はしぬ 友と

 

 

 

エッセイ「思い出ごはん」


                      


先日古い手紙の整理をしていたら箱の底から四通の黄ばん

だ電報が出てきた。

 

「スシデキタ オイデコウ ハハ」

 

一年ほどの新婚生活を当地で過ごしていたとき、休日にな

ると度々届いた電報。


そんなに料理が得意ではなかった母の数少ない自慢料理が

ちらし寿司だった。

 

当地では魚介類がきらびやかに飾られた祭寿司が有名だが、

母のそれはそのときどきのあり合わせで作るささやかなもの。


でも味加減がとてもやさしくて家族みんなのダントツ一位

の母の人気料理だった。

 

仕事帰りの夫と待ち合わせて出かけた実家。

 

食卓の真ん中に大きな飯台がでんと居座っていて、その周り

を弟や姉一家が賑やかに囲んでいた団欒。

 

いまでは姪や甥以外みんな遠いところに旅立ってしまった。

 

もう半世紀以上前の、家に固定電話も車もなかった時代の

懐かしくも切ないわたしの思い出ごはん。

 

一膳のごはんゆ湯気がたちのぼる思ひ出のなかのあつたかごはん

 

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店店のモミの木きららに飾られて恋人たちの聖夜の近し

わたしにもあつたらいいなこんなにも表情豊かな〈小春〉のしつぽ


前の更新から思わぬ日数が開いてしまいました。

まもなくサポート期間が終わるのでWindows7からあまり評判の芳しくない10へのヴァージョンアップへと重い腰を上げて某店に。

持参したパソコンが相当年代物だったのでこの際、比較的新しい10搭載の中古パソコンを購入することに。

SSDを換装してもらったので導入しているセキュリティなど諸々も今まで通りに使えるようになったはずが・・・

持ち帰り繋いだところ無線のキーボードが打てない"(-""-)"

電池を入れ直してもだめ・・・

USBポートを差し替えても反応なし・・・

再起動してもだめ・・・ということで再度来店して今度は有線キーボードを購入。

これでやっと・・・とほっとしたのも束の間、今度はワード&エクセルが立ち上がらず( ;∀;)

我が家のワード&エクセルはMicrosoft office ではなくキングソフトが提供しているMicrosoft Office の格安互換ソフトWPS Officeなのでときどき10に反応しないことがあるという。

自分でやれないことはないと思いましたが、パソコン本体をお店に持ち込んでやっと使えるようにしてもらいました。

かれこれ2週間近くこんなことをしていて・・・その間、ブログはもちろん、日課の短歌も作らず。

パソコンがないとなんにもできない自分に驚くばかりです。

こんなに短歌を作らなかったのは初めて。

あんなに1日も休まず集中して学んで積み重ねていたのに・・・案外手離す時ってこんなんだなぁと実感。

今ブログや短歌をやめてもどうってことなさそう。

ただ本を読むことだけは欠かさず続けているのを思うと、読書は命なんだなあ。

一首も作らなかったというのは少々語弊があって部屋のあちこちに短歌の切れ端を書いたメモの残骸があるので、これからこれらを形あるものに整えなければ。

ピアノの練習はたくさんできたので簡単なレパートリーがいくつか増えたのが成果かな??

 

 

978-4-408-53650-7[1]


さて本日は
久坂部羊氏著『いつか、あなたも』のご紹介です。 

在宅医療専門クリニック看護師のわたし(中嶋享子)と新米医師の三沢、クリニック院長の一ノ瀬らが様々な患者本人と家族、病とその終焉、そして安楽死の問題にも向き合う。
カルテに書かれることのない医療小説、六つの物語

在宅での終末医療を描いた短編集。

在宅医療専門病院・あすなろクリニックを舞台にそこに勤務する看護師・中島京子の視線を通して在宅医療の実態をリアルに伝えています。

 

著者は外科医を出発点に老人医療の世界に身を置く現役の医師。

在宅医療に関わった13年の間に経験した実態をほぼ虚飾なしに書いていらっしゃるとのことです。

1955年大阪府生まれ                         
2003年『廃用身』でデビュー                     
2004年『破裂』                                 
2006年『無痛』                           
2008年『まず石を投げよ』                      
2010年『神の手』                          
2013年『悪医』で第3回日本医療小説大賞受賞                           2014年『芥川症』                          
2014年『いつか、あなたも』など

このブログでもいくつかご紹介していますが、すべて医学小説カテゴリーに入る作品のどれもデフォルメしたような医療現場を描いてグロテスクな内容が多く好みの作品群とはいえないというのが今までのわたしの感想でしたが、本書は一部を除いてしみじみ受け取れるものもありました。

実際の医療現場を描けばきれいごとでは済まないのでしょう。

本書に登場する患者さんたちのほとんどは死を迎える直前の状態にあります。

病苦と目前に迫った死への恐怖という現実のなかで患者本人はもちろん支える家族とともに医療従事者の苦悩も生半可ではないというのが伝わってきます。

一方その修羅場にあって、ここに登場する院長の一之瀬医師若い三沢医師、そして2人を補助する看護師たちの真摯さに救われる思いも抱きました。

ひとりひとりの死にひたむきに向き合いすぎると心身が壊れてしまうだろうというのは想像に難くありませんが、それでも一個の人間の唯一の死として扱ってほしいとわたしたちは医療従事者に向かって願う思いはあっけなくかわされたというのを経験した人も多いと思います。

本書では現代っ子の典型のような若い三沢医師の成長譚も見られてちょっと救われたり。

決して軽妙な内容ではありませんが、いま盛んに見直されている「自宅で最期を迎える」ことを視点に実態を垣間見るのもいいかもしれません。

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確信と思ひゐしことの揺らぎゐて山茱萸の実の赤きつぶつぶ


 

 

はや年賀状のシーズンとなりました。

 

昨年用意した2パターンの年賀状。

 

ひとつは年齢を区切りとして年賀状をやめるというお知らせ。

 

もうひとつはやめ難い知人友人たちへの従来どおりの年賀状。

 

なので今年は半分ほどに減った枚数。

 

毎年、賀状には夫の油彩画の作品を二枚ほどアップするのを恒例としているのでまずその選別から・・・やっと二枚選んで・・・簡単に仕上げました。

2019年水田に映る蒜山水田に映る蒜山三座
                          

2019年孔雀草孔雀草とカスミ草                           

                               

いつもはギリギリまで作成しないのですが、これからパソコンの0Sを7から10にバージョンアップしてもらうためにショップに入院させることになっているので早々にやっつけたのでした。

 

 

プラス今日はちょっと念入りな掃除もして・・・ちょっと疲れました。

 

 

夫がステーキを焼いてくれるというので今待っているところ・・・手が荒れた甲斐がありました(^.^)

 

 

 



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佐々木譲氏著『沈黙法廷』
  

独り暮らしの初老男性が絞殺死体で発見された。               捜査線上に浮上したのは家事代行業の地味な女性。            女の周辺では、複数の六十代男性の不審死が報じられ、疑惑は濃厚になっていく。女は、男たちから次々に金を引き出していたのか。             見え隠れする「中川綾子」という名前の謎とは。               逮捕後も一貫して無実を訴える彼女だが、なぜか突如、黙秘に転じた……。   判決の先まで目が離せない法廷小説の傑作

道警シリーズでおなじみの著者が挑んだ警察と法廷ミステリーの融合。

法廷を舞台の557ページに及ぶ大作です。

東京都北区赤羽の古い住宅地で他殺と見られる一人暮しの財産家の男性の死体が発見されることから物語がスタート。

その事件の前後に被害者宅に出入りしていた人々のなかで重要参考人として今回のヒロイン・山本美紀の名前があがります。

フリーの家事代行業をしている30歳の女性。

山本美紀の周辺捜査で浮かび上がった数々の疑惑・・・彼女がホームヘルパーとして関わった高齢の男性が連続不審死を遂げていることが判明。

この辺りから徐々に黒川博行氏の『後妻業』を思わせる展開となっていきます。

彼女は殺人犯なのか?

警察や検察、弁護士がそれぞれの視点で三つ巴の捜査を展開していきます。

警察内部の縄張り争いあり、敏腕弁護士の作戦あり、ある一時期彼女と関わって結婚を意識したことのある男性の登場あり、などでどんどん彼女の過去の行動が丸裸にされていく過程が緻密に描かれています。

彼女の絶対隠しておきたかったであろう恥ずかしい部分が徐々にあらわになる様子は、今のSNSで標的にされ丸裸にされる人々を投影していて恐ろしくなります。

後半部分を費やした刑事裁判風景はこの作品で著者がもっとも力を入れた部分であろうと想像できます。

複数の裁判員を絡めながら法廷の臨場感を出して読み応えがあります。

ほぼラスト近くまで有罪か無罪かは私たち読者に判別できないような描き方も巧み。

しかしちょっとラストが慌しすぎたかな・・・なんだか慌てて終結させたという感じ。

詳しくは書きませんが、著者らしくない違和感の残る終い方でした。

中村哲氏がアフガニスタン東部ジャララバード灌漑工事の現場に向かう移動中、撃たれたというニュース。

幸い意識はあり死に至らないというような一報に肩の力が抜けたのも束の間、死亡が伝えられました。

氏はわたしがもっとも尊敬するおひとり。

なんで?なんで?

大変なショックです。


NGO「ペシャワール会」
代表やピース・ジャパン・メディカル・サービスの総院長をされていた方。

若くしてパキスタンでハンセン病などの医療支援を開始


その後
アフガニスタンに活動の場を移し、医療や農業用水路の建設などに自ら汗をながして携わってこられました

「飢えや渇きは薬では治せない。100の診療所よりも1本の用水路が必要だ」

2003年からアフガニスタン東部「マルワリード用水路」の建設に携わり7年をかけて、全長25キロ超の用水路を完成させ、戦闘要員以外の生きる手立てのなかった貧しい現地の多くの若者を農業へと導きました。

「緑の大地計画」としてさらに農地を復活させるべく、活動を続けていたという。


その活動は国内外から注目されていて、
マグサイサイ賞菊池寛賞イーハトーブ賞などを受けていらっしゃいます。

また今年10月にはアフガニスタンのガニ大統領から名誉市民証を授与されたというニュースを覚えていらっしゃる方もあるでしょう


わたしは氏の井戸掘りなど治水活動その他に深く共鳴し、数年前からペシャワール会の会員になっていました。

ペシャワールの山野に育つ一玉のスイカとなれかしわたしの募金

なんということ!

タリバンは自分たち組織の関与はないといち早く声明文を出していますが、それならばIS?

なぜ殺されなければならなかったのか??

アフガンの貧しい人々にまっとうに生きる希望の道しるべの灯をともしつづけたひとだったのに・・・。

どんなに考えていもこの不条理の答が見つかりません。


今から
10年ほど前現地のペシャワール会で活動を共にしていた伊藤和也氏が武装グループに撃たれて亡くなられたときも「憤りと悲しみを友好と平和への意志に変え、今後も力を尽くすことを誓う」といわれていた言葉。


遺されたペシャワール会の方々も悲しみに暮れながらしっかりと中村氏の遺志を継ぐというメッセージを発信していらっしゃいます。


いまはただ宝物を失った悲しみと怒りでいっぱいです。


この
URLは中村氏が西日本新聞に寄稿された最後の記事です。

よかったらご覧ください。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/564486/


ご冥福をこころからお祈りします。

 

 

 

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益田ミリ氏著『五年前の忘れ物』
 



「女の人の中に入っているとき、温度わかりますか?」友人の結婚式の帰りに、偶然再会した元上司。                                         バーでのエロティックな会話の応酬のあと、終電を逃しタクシーに手を上げて……「五年前の忘れ物」
「結婚されているんですか?」ゴルフ練習場で出会った感じのいい男性に不意に訊かれ、恋人とうまくいっていないわたしの心は揺れる……「一羽だけの鳥かご」ほか、
「セックス日和」「デニッシュ」「とびら」など30代の女性を描く、新鮮な短篇集

 2007年から2012年にかけて「小説現代」ほかの月刊誌に書いた10篇の短篇を1冊にしたもの。

どれも30代の女性の微妙な心理の綾を描いていて興味深いものばかり。

 

前半は30代女性のセックス事情をクローズアップしていて、あまりに著者のイメージとかけ離れていてちょっとびっくり。

 

片思いや不倫などの只中の女心の切り取り方が大胆かつ陰湿で小気味よく、ミリさん思い切ってがんばって書いたな~という驚き。

 

過去に一方的に恋していて歯牙にもかけられていなかったスタイリッシュな男と再会した一夜の出来事を描いた表題作の展開の見事さ!

 

友人の結婚式出席後のドレスアップ姿の美しく変身した主人公が性的な会話を巧みに取り入れて男をその気にさせるテクニックを駆使し煽った挙句、じゃぁと別れるときのセリフの痛快さといったら!

 

知らない間にわがミリちゃんも腕を挙げていたのね・・・という感じ。



もちろん
10篇の中にはわたしが勝手に描いている今までのほんわかミリちゃんのイメージの片鱗もチラホラ。


「バリケン」もちょっとじんわりとしたいい小品でした。

公園の中の大きな池に集まる鳥たち・・・カワウ、カルガモ、コガモなどに混じってひときわグロテスクな七面鳥のようなバリケン。

いまだ職もなく一家のはぐれもののような主人公がわが身をバリケンに重ねる様子が切なく描かれていて胸に響く作品。


そして最後の「ニリンソウ」もとてもすてきな母子のお話。

ミリさんの家族構成はエッセイなどで見知っていて、とても温かい関係を結んでいる様子がうかがえるのでこの小品もミリさんとお母さんの等身大のように読むことができました。

前半はミリさんのイメージをはるかに超えての驚き、後半はしみじみと胸に沁みて・・・よかったです。

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ささやかな一日のしあはせキッチンに柚子の香りを立たせなどして


11月6日に解禁されたカニ漁。


ズワイガニの雄には水揚げ産地によっていろんな呼び名があります。

ズワイガニはロシアやカナダ産などもたくさん販売されていますが、京都から西側の主に日本海側で獲れるズワイガニを主に松葉ガニと呼ぶそう。

福井では越前ガニ、石川では加能ガニ、そして京都の超ブランドになっている間人ガニ。

 

これら雄の解禁は320日まで続きますが、二回りも三回りも小さい雌の親ガニの漁獲期間は自然保護のため、11月6日~12月31日までの約2ヵ月間。

 

贅沢品には拒否反応が出るわたしはすすんでフグやマツタケ、キャビア、フォアグラなど食べたいとは思いませんが、唯一の例外がカニ・・・特に親ガニが大好き。

 

「セイコ蟹」「セコ蟹」が通称ですが、夫の故郷近くの丹後地方では「こっぺ」と呼ばれて親しまれています。

 

また格式を重んじる金沢では「香箱蟹」と呼ばれていて、一段と高級そう。

 

松葉ガニの三分の一ほどの体に朱色の内子とプチプチした暗褐色の外子がぎっしり、かに味噌も詰まっています。

 

小さいのでカニ身はあまりありませんが、内子、外子ともに味が濃厚で食べ出したらとまらないほど。

 

最近は当地の魚屋さんでもときどき見かけて、運がよければ水揚げされた生を買えるので、昨日も散歩がてら2軒ほどはしごしたら、2軒目の魚屋さんにありました(^.^)

 

お酒のおともに茹でたてを夫と二杯ずつ・・・身をとるのに集中しすぎて疲れました~。

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ふぅ~堪能しました~。

 

 

 

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さて本日は
広川純氏著『一応の推定』のご紹介です。 

 

膳所駅で轢死した老人は事故死だったのか、それとも愛しい孫娘のための覚悟の自殺だったのか。                                         ベテラン保険調査員・村越の執念の調査行が、二転三転の末にたどり着いた真実とは?                                                  保険業界の裏側、臓器移植など、現代社会の問題点を見事に描き切った滋味溢れる長篇ミステリー。                                          13回松本清張賞受賞作


著者について

1946年京都府生まれ                                      1969年名城大学法学部卒業会社勤務を経て1986年に保険調査会社へ転職し88年に独立                                            2006年『一応の推定』で第十三回松本清張賞を受賞                   2010年『回廊の陰翳』が第1回京都本大賞第3位


松本清張賞受賞作
というのに惹かれて手に取った初読みの作家さん。

あまり話題になった記憶がなく、期待せずに読み始めましたが、すぐに惹き込まれて夜が待ち遠しくなったほど。

保険調査事務所の老調査員・村越務が主人公。

滋賀県長浜駅~兵庫県姫路駅を結ぶ京阪神間を走る新快速電車の停車駅・膳所駅のホームから転落した老人・原田勇治の死事故か故意の自殺か

損保会社の大手・グローバル損保の依頼で調査の白羽の矢がたてられたリタイアを間近に控えた村越。                      

長い経験と持ち前の粘り、そして人の微妙な心の襞を読むことのできる温厚な村越によって少しずつ少しずつ真実に迫っていく過程を描いて秀作。

 

 

タイトルとして採られた「一応の推定」は生命保険契約法で使われている文言だそう。

 


自殺そのものを直接かつ完全に立証することが困難な場合、典型的な自殺の状況が立証されればそれで足りること、すなわち、その証明が「一応確からしい」という程度のものでは足りないが、自殺でないとする全ての疑いを排除するものである必要はなく、明白で納得の得られるものであればそれで足りる

 

 

著者の保険調査員としての経歴を見ればなるほどとうなずけるほどの緻密な保険調査の裏表の描写力。

 

 

主題を含め登場人物や脇役もすべて地味な風合いの作品ではありますが、いぶし銀のような光をもった作品でした。


自分の勘に頼り、足でコツコツと地道な執念の捜査を続けて真実を追究するという松本清張氏の作品に度々登場する刑事を投影したような主人公の活躍する本書は、こういった点からも清張賞に相応しい作品でした。

惜しむらくは解決の糸口が主人公が遭遇した出来事によって喚起された偶発的なひらめきだったというのがラストへ向けての予定調和的だったことでしょうか。

 

保険金詐欺が見聞きされる裏でこのような小さな違和感を疎かにしない保険調査員が存在することに新鮮な驚きがありました。

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