コロナ渦のなか、家の中で夫との家時間がとても長い現在。
音楽が大好きな夫は一日中何かしらCDをかけています。
結婚した時からの習性で、休日はずっと。
車でも必ずCDかFMをかけます。
クラシック、各種ジャズ、ポップス、映画音楽、ゴスペル、フォークソング・・・。
家には山ほどのレコードやCDジャケットが積み重なっていますが、すべて洋楽オンリー・・・なんという偏見、と思えるくらいに見事に歌謡曲など一枚もなし。
わたしの好きな音楽をかける余地がないくらいに網羅。
そんな父親の影響を受けたのかジャンルはそれぞれ微妙に違うようですが、子どもたちは大人になった現在も音楽、それも洋楽が大好き。
娘が弟である長男から時々好きなジャズをコピー&編集したCDを作成してもらっているというのを漏れ聞いて、わたしも、と長男に頼んでいたCDが送られてきました。

世界中のピアニストによる’ラ・カンパネラ’のみのCD.。
公式アカウントやクリエイティブ・コモンズをこまめに拾って落とし込んでくれました。
嬉しいな(^^♪
'ラ・カンパネラ’一日中聴いていても飽きないほど好きな曲。
フジコヘミングのものは直接コンサートで聴いたことがありますが、その他はCDやyoutubeで聴いていました。
ラン・ランあり、ユン・デリあり、アリス・オットあり、辻井あり、キーシンありで最高のプレゼント!
遅い母の日プレゼントにと。
お嫁ちゃんからはとっくに好物のプレゼントが届いているんですけどね。
さっそく自分用のBOSEで音量を絞って聴いています。
夫の留守中に心ゆくまで大きな音量で聴きたい・・・コロナよ鎮まれ!
本日は1年ほど前からの話題作。
ブレディみかこ氏著『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
「大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽く飛び越えていく。世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、落涙必至のノンフィクション」(「BOOK』データベースより)
著者について
1965年福岡市生まれ
音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、1996年から英国ブライトン在住
ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始
2017年に新潮ドキュメント賞を受賞し、大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞候補となった『子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から』をはじめ、著書多数
イギリス南端のブライトンに、アイルランド人の夫と息子の3人で暮らす著者。
市のランキングで常にトップを走っている名門校である小学校から元底辺中学校に進学した息子の、その中学校での1年半を綴ったものが本書です。
「元底辺校」という言葉のイメージからはあらゆく国から集まったさまざまな人種の生徒の集まりを連想してしまいますが、イギリスでは「人種の多様性があるのは優秀でリッチな学校」ということになるらしい。
元底辺中学校には「ホワイトトラッシュ」と呼ばれる貧しい白人の子どもだらけだそう。
息子の学校生活を通してイギリスが現在抱えているさまざまな問題点を日常に則して具体的にわかりやすく挙げて、息子とともにそれらに向き合い、一歩ずつ前進していくという、いわば日本人からぬ果敢な強さをもった著者に目を瞠る思い。
イギリス人の本音を探れば、アングロサクソン系を唯一無二の血統とし、学歴主義の最たるもののとしている中で、いかに果敢といえど筆者は愛する息子のの進学先のレベルを一気に下げて選択したのか、という疑問に答えは出ませんでしたが、結果的にこの選択によって著者の息子が得たものは計り知れなかったと思いたい。
歴史的に多くの移民を受け入れてきたイギリスでしたが、本音のところは純血種至上主義、自国ファーストがむき出しになった「EU離脱」。
かつて多くの移民を受け入れたといってもそれは低賃金で雇える労働力の導入という点においては根本的には自国ファーストは延々と続いていると思えます。
外側からの英国をなぞったわたしのイメージですが、本書を読んでますますその意を強くしました。
アガサ・クリスティなどイギリスの作家の著書を通してもデモクラシーを掲げながらも貴族的なアングロサクソン至上主義がいたるところに見え隠れするイギリスの抱えるさまざまな問題を平易な言葉で連ねていて、読んでよかったと思える作品となりました。
醜いものには蓋、というスタンスが特に嫌いなわたしにはみかこさんの息子に施した教育はすばらしいな、と思えました。
とにかく一律に表層部分を学んで、暗記して、受験戦争に打ち勝つ学力をつける・・・余分な知識は不要とばかり・・・危うい日本の将来といわざるを得ない気がします。
半面1/3の子どもが貧困層といわれるイギリス。
本書によるとランチを食べることも新しい制服を調達することもできない。
こういった状況を知ると、日本の教育制度のよさもしみじみとありがたい。
ふりかえって自分の子育てを思い起こすと、ダメなことばかりやっていた気がする母だったので、子どもたちがこれを読むと、何を今更ってブーイングが来るのは必至でしょうがあえて。
悪しざまに子を叱りたる夢さめて真夜の厨で水を飲むなり
母だって長く生きていると少しは視野が広がるのです、いい方か悪い方かわからないけど。
とにかく著者の息子の日常を描くだけでこれだけ人種、貧困、さまざまな差別、政治のあり方などの問題を浮き彫りにするなんて、著者の筆力に脱帽。
まだまだ記したいことはたくさんある気がしますがこの辺で。