VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2020年08月

ついに安倍首相が辞任されましたね。

 

中学卒業あたりから潰瘍性大腸炎を患い、半世紀近くを病気をコントロールしながら政治家としての激務をこなされるのは傍からは想像もできない苦しみがあったと推察します。

 

どんな病気でもそうですが、自己免疫疾患もご多分に漏れずストレスが大敵、さぞストレスフルな日々だったことでしょう。

 

すべては健康あってのこと、治療に専念され一日も早い快復を祈っています。

 

7年8か月という連続在職日数過去最長の期間、震災、原発、拉致問題、憲法改正、そして新型コロナなど様々な難局と向かい合ってこられましたが、これほど評価の揺れ幅の大きい政権はなかったように思います。


特に後半になっての森友、加計問題や桜を見る会などに伴っての隠蔽、改ざん、捏造などの強権手法、そして現在の新型コロナへの対応は決して見逃せるものではありません。


病気が理由での退陣には国民のほとんどがお気の毒と思うのは人間として当たり前の感情でありますが、それとこれとは別・・・しっかりと線引きして理不尽なこと、無体なことに対する批判の目と追及の姿勢は常に持ち続けなければと思います。



しかし、立憲民主党の石垣議員が辞意表明直後に
Twitterで
「大事な時に体を壊す癖がある」と非難したという記事は見逃すことはできません。


上に立つ人にとっては体調管理はとても大切なものではありますが、どれほど細心の注意を払っていてもコントロールできない病勢というものがあることをご存じないのでしょうか。


無知もはなはだだしいかぎりです。



長年切れ味のよかった治療薬アサコールが徐々に効かなくなっていく不安はどんなものだったか。


わたしも括りは同じ自己免疫疾患を抱えているのでよく理解できます。



安部首相は最新の治療として
血液を体外循環させ、末梢血液中の炎症や免疫機能の悪循環に関与する白血球(顆粒球、単球、リンパ球)や血しょう板を白血球除去フィルターにより除去するCAP療法(白血球除去療法)を受けておられたようですが、どれほどの効果が持続するのか。


知人で数年前これを受けた人を知っていますが、目覚ましい効果の持続はなかったと記憶しています。

首相も現在は生物製剤を試されているようですが、効果のほどはいかに。


とはいえ予想をはるかに超えて医学は進歩しています。

極力ストレスを回避して小康状態に戻られるのを心からお祈りしています。

さて本日はわたしが同人である短歌誌が出来上がったのでその中から記録のために出詠歌10首とエッセイをアップして本レビューの代わりとします。

樹林


短歌誌『樹林
22号』










◆出詠歌10首

タイトル「大ゆふやけ」        

 

 

城壁のやうにウィルス積みてゆく人のからだと人のこころに

 

咳ひとつすれば視線が飛んでくる監視社会のやうな街なか

 

花冷えのひと日籠りてマスク縫ふ指を巡れるラヴェルのパヴァーヌ

 

靴音に怯えつつかの隠れ家に潜みしアンネの二年を思ふ

 

人間の裡なる暗部を現)しだす新型コロナといふは炙りゑ

 

三密のまぶしかりけり初夏)のひかりなかに白き小手毬

 

「平穏は有難き仮象」余光なることばを遺して古井由吉

 

夕闇に集ふ数多の白マスク サイレントデモのしづかな怒り


憂きことの続く日日なり〈サンドウィッチマン〉の首相ネタなど思ひて眠る

生きてゐればいいこともある雨上がり大ゆふやけがこの世を包む

 

題詠「コロナが終われば」

 

仲間らと集ふ明日をひた希ふ一期二会や三会を重ねて

 

「お薦めの一冊」

 

竹西寛子氏著『五十鈴川の鴨』 (幻戯書房)

 

幼い頃より読書が何より好きだった私は
今でも年間を通して二百冊ほどの本を読むのを習慣としている。 


そんな読書歴の中から今回は八月に相応しい一冊を挙げてみたい。

 

「原爆を扱ってこれほど静謐な小説を今まで読んだことがない」

五木寛之氏が記した一文だがこの一行に凝縮されたような作品。

 

本書には八篇の短篇が収録されているが、
今回は表題作に特化してレビューを少し記してみたい。

 

一九二九年広島生まれの著者は原爆投下の際、
学徒動員先の工場をたまたま体調を崩して休み、
爆心地から二・五㎞の自宅にいたため大きな被害を免れることができたという。


本篇はこの体験が色濃く投影された作品となっている。

 

二人の建築家の十数年にわたる交友を中心に描かれた表題作。

 

語り手の男の追想によりもうひとりの男の孤高の生が浮かび上がるという構成。 

 

二人で訪れた伊勢神宮の内宮を流れる五十鈴川に遊ぶ鴨の親子を、
家族というものを持つ幸せの象徴として見つめる男の、
背負わざるを得なかった運命というものの哀しみが胸に迫り、
深い余韻を残す作品となっている。

 

生涯家族をつくらないという強い意志の下、
静かに生を閉じた男が生前愛する女性に語った言葉の重さには胸を衝かれる。


「我儘かもしれないが僕だけの一生で終わらせてほしい」

 

戦争の爪跡が名もなき市井のひとに与えた苦しみを
著者の清澄な視線を通して一枚の美しい絵のように切り取った小品。

 

機会があれば手に取って読んでほしい一冊である。

 

原爆忌巡りくるたび浮かびこしわが胸奥の『五十鈴川の鴨

23日は夫の誕生日でした。

 

お互いの誕生日はお互いの奉仕日という決め事がある我が家。

 

起き抜けから一日のわたしの奉仕が始まる・・・と思うと時間よ速く過ぎて・・・と念じる。

 

幸い午後から囲碁のための外出という予定があってラッキー・・・だめ、だめ、こんなこと考えていたら、急な神様の不意打ちノックで夫の身に不穏なことが起こるかもしれない"(-""-)"

 

現にいままで不遜な考えに安住していたとき、幾度か狙い撃ちされた経験もある。

 

ということで、奉仕できる今を〈感謝〉という言葉に発想を転換させて・・・終日奉仕。

 

といっても普段よりちょっとグレードアップした食事を提供しただけ。

 

千屋牛のサーロインステーキ。

 

当地の唯一のブランド牛で値段は相当高かったけれど満足の味でした(^^)/

 

遠地にいる子どもたちからはオンラインでおめでとうコールがあり、夫にとってはきっと満足の一日。

夜11時過ぎベッドに着くと・・・


「まだ一時間、持ち時間があるよ・・・気を抜かないよう」と夫。


こうして感謝の一日が無事に過ぎました(^^)


 

 

 

おばちゃん街道

さて今回は
山口恵以子氏著『おばちゃん街道 ~小説は夫、お酒はカレシ~』のご紹介です。 

苦節35年、食堂のおばちゃんが作家に!!

松本清張賞受賞、人生初の書き下ろしエッセイ。

マンガ家志望の少女が、脚本家を目指し、ついに念願の小説家デビュー。

アラ還、独身、大酒呑み―「ああはなりたくない」と陰口をたたかれても、夢が叶った。私は幸せ! (「BOOK」データベースより)

 

著者について

1958年東京都江戸川区生まれ

早稲田大学文学部卒業後は会社員、派遣社員として働きながら、松竹シナリオ研究所に入学脚本家を目指し、プロットライターとして活動

その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む

2007年『邪剣始末』で作家デビュー

2013年『月下上海』で第20回松本清張賞受賞

 

 


この松本清張賞を受賞されたときの著者
55歳、勤務先が食堂だったということで一躍マスコミの寵児となった著者。

 

TVや雑誌、新聞にひっぱりだこ、それを契機にクイズ番組でもお目にかかったことがありますが、個性的でしかも親しみやすい印象。

 

まさに三角巾の似合いそうな食堂のおばちゃん。

 

著者の作品では毒母ですが、なにかをこのブログでアップしていますのでよかったらどうぞ。

 

本書はその松本清張賞で脚光を浴びるようになるまでの苦節の日々や、食堂を辞めて筆一本に励む日々のつれづれがエッセイ風に描かれています。

 

素人のおばちゃんの思い出を手繰り寄せたような日記という読み始めの印象が、読み終わったときにはすっかり拭われて、なんてあっぱれですばらしい人柄という風に変化しました。

 

家族のこと、特にマザコンを自称してやまない母娘の密な関係、お見合い43回の末「行かず後家」となった経過酒好きが災いして陥った数々のエピソードなどを赤裸々に綴っておられてとても愉しいエッセイとなっています。

あとがきに約3週間の間に書き下ろされたものと記されていて納得。

 

著者も文脈や構成などあまり気にせずたのしんで書かれたのだろうな。

 

正直で素朴なお人柄、そして前向きで明るい。

 

教えられることの多い内容。

 

「自分探し」というのがいちばん理解できないという著者。

 

今ある自分が嘘の自分で、本当の自分が世界の何処かにあるという考えまでは理解できるが、本当の自分が嘘の自分よりすばらしいと信じる根拠は何?

と問いかけて・・・

 

「本当と嘘があったら嘘がすばらしいに決まっていますよ。

だって本当は現実、嘘は願望なのですから」と続けていらっしゃいます。

 

「一人の命は地球よりも重い」

「人はみな素晴らしい個性を持っている」

「やればできる」

「人間はみな平等だ」

 

こういった考えを甘ったれという。

 

「やればできる」なんて大嘘、やってできることなんて百のうち二つか三つくらいで大方のことは出来ないという。

 

深く納得というか、そうだそうだと思うことばかり。

 

社会の片隅でほとんど目につかないような拙ブログを書いているわたしのようなシニアには痛快というほかないエッセイでした。

 

ぜひおすすめ!

夏の雲

真青なる空に積雲襲ひくる熱暑に負けじと服む益気湯


とにかく暑いですね~。

 

散歩もしばらく打ち止め。

 

週一の卓球以外、おとなしくしています。

 

料理したり、ピアノを弾いたり、ブログを書いたり、片づけをしたり。

 

パソコンのフォルダに入れていた写真を一括しようと作業をしていたら、懐かしい写真が次々出てきて、意味もなく感慨に耽ったり。

 

こんなときもあったんだ・・・もっと大切に過ごせばよかった・・・など後の祭り的なことをよく考えてしまいます。

 

真夜中の不意の目覚めに湧き上がる過去完了とはいかぬ悔恨

 

ささくれた指にニベアを塗り込んでなかつたことにしたき種ぐさ

 

なかったことにしたいことは多々ありますが、発した言葉同様に自ら行ったことは決してなかったことにはならない。。。

 

これからご紹介する作品の主題のように人生をロンダリングできたらどんなにいいかしら。

 

 

 

東京ロンダリング

原田ひ香氏著『東京ロンダリング』
 

 

内田りさ子、32歳。わけあって離婚。戻るべき家を失い、事故物件に住むことを仕事にした彼女。失意の底、孤独で無気力な毎日を過ごしていた―。移り住む先々で人と出会い、衝突しながら、彼女は何を取り戻したのか。東京再生、人生再生の物語(「BOOK」データベースより)

 

著者について

1970年神奈川県生まれ

2006年リトルプリンセス2号で第34回創作ラジオドラマ脚本懸賞公募(現・創作ラジオドラマ大賞)の最優秀賞

2007年はじまらないティータイムで第31回すばる文学賞

2010年31年目のブルーテープで第31回BKラジオドラマ脚本賞佳作

 

はじめての作家さん。

 

シナリオライターとして活躍していらっしゃるようですね。

 

マネーロンダリングというのはよく耳にしますが、これは自殺とか事件のあった賃貸物件の話。

 

〈ロンダリング〉とはコトバンクによれば・・・

 

英単語launderingのことで、「洗濯する」「きれいにする」「アイロンがけする」などの意味だそうです。

 

ある事象から派生した都合の悪いものをその来歴や用途などをわからないようにして、都合のよいものに見せかけることを示すネットスラング群。

 

代表的なマネーロンダリングのほかに、本書のような住居ロンダリング、学歴ロンダリングというのもあるそうです。

 

出身大学よりもレベルの高い大学の院に進学してそれを最終学歴とすること。

 

なるほど。

 

著名人の経歴ではよく見かけますよね~。

 

 

さて本書に戻ります。

 

主人公は自身の不倫がきっかけで離婚、戻るべき場所と生きる気力まで失い、途方に暮れるりさ子。

 

高円寺の路地奥の相場不動産の相場氏との出会いによって、ロンダリングの道に踏み込むことになります。

 

不動産屋の持つ事故物件情報はその直後に借りる、または買う人にだけ説明義務があり、それ以降の住人には説明義務はないという・・・そういった法律上の決まりの盲点をついたロンダリングなる仕事。

 

一ヶ月ほど住んでロンダリングしたあとは正々堂々とした価格で新たな住人を募集できるというもの。

 

 

相場氏に雇われたりさ子やロンダリングの先輩・菅。

 

 

大都会東京ならありそうな仕事だけど、実際にあるのか?

 

りさ子は相場に請われ次々に事故物件ロンダリングの要員として駆り出されることに。

 

「いつもにこやかに愛想よく、でも深入りはせず、礼儀正しく、清潔で、目立たないように」がロンダリング要員としての必須条件。

 

しかし、周りの状況によってつい「深入り」して「目立って」しまったりさ子。


そこからりさ子のロンダリング人生が別の方向に動き出すという展開。

 

お仕事小説、またはりさ子の再生物語としても読める読後感のいい作品でした。

 

よかったらどうぞ。

夏野菜がおいしい季節ですね。

 

ゴーヤ、オクラ、ズッキーニ、そしてモロヘイヤ。

 

クレオパトラも大好きだったというモロヘイヤの出回る期間は特に短いので、夏場になると下処理して冷凍に精を出します。

諸々もロもろ処理

茎には毒性があるといわれているので葉をむしり、茹でて細かく刻み、板状にして冷凍・・・オクラも同様に。

 

ほしいだけ手で折って使用しています。

 

原産地がアフリカといわれるモロヘイヤ、βカロチンやビタミンB1やB2、C、Eが豊富で食物繊維やカルシウムもてんこ盛りという野菜の王様。

 

カレーにいっぱい投入したり、オクラと合わせてネバネバお浸しにしたり、三杯酢で和えたり、納豆とドッキングさせたり、ネバネバ丼にしたり・・・。

 

今日はメカブと合わせて土佐酢をかけたもの・・・夏バテに最強な感じです(^^)/

 

モロヘイヤ鯵なんばん

 

 

 

セカンドステージ
五十嵐貴久氏著『セカンドステージ』
 

 

二人の子持ちの杏子は、疲れてるママ向けにマッサージと家事代行をする会社を起業した。従業員はお年寄り限定。夫の無理解、姑との確執、アルコール依存など、顧客のママ達にはいろんな悩みがあって、いちいち首を突っ込む老人達に杏子は右往左往。けれど、夫の浮気疑惑、息子の不登校など、自分の家庭にこそ問題が…!?元気が出る長編小説(「BOOK」データベースより)

 

主人公は小学生の兄妹二児のママである杏子は、子育てのためリタイアして社会との接点を失って以来育児に明け暮れる充実感のない日々をなんとか打破しようと起業を思い立ちます。

 

子育ての経験から、社会と隔離された中で子育てに疲弊しているママをサポートするマッサージ&家事代行業。

 

従業員は定年を過ぎたシルバー限定、オフィスは持たず、自宅のパソコンとスマホのみでの起業。

 

徐々に顧客も増え、個性豊かなシルバー従業員たちとのネットワークも軌道に乗るなか、訪れる家々や高齢者間で次々浮き彫りになる配偶者の無理解や姑との確執、アルコール依存など。

 

これらを杏子とともに従業員である高齢者たちが解決していくという流れ。

 

顧客毎にいくつかの章立てになっていますが、その流れのなかに挟まれる杏子自身の家庭の悩み・・・夫の浮気疑惑や子どもの不登校、そして従業員たちのそれぞれの過去や現在の事情が徐々に明るみに出てくるというもの。

 

顧客のそれぞれの問題は一応解決に向かう筋立てですが、肝心の杏子自身の抱える家庭の問題は宙ぶらりんのまま幕が閉じられてしまったという、なんともすっきりしないラストでした。

著者・五十嵐貴久氏の作品では「交渉人」シリーズがおもしろかったので、少し期待値が高すぎたのかもしれません。

こんな小説も書くんだと思った作品でした。

夕虹

スマホより夕虹つぐる友の声ひと日のおはりの僥倖と仰ぐ


安倍総理が体調を崩されているという噂が流れています。

 

たしかに精気がないというか顔色がすぐれないというか・・・

 

そりゃそうでしょう、ここまでのストレスを抱えていたら長年の持病・潰瘍性大腸炎もどのように優れた免疫抑制剤で抑えていたとしても悪化するでしょう・・・と同情してしまいます。

 

支持率もだだ下がりして、新型コロナも蔓延するばかり。

 

国有地払い下げ問題の文書改ざんなどの画策を主導したとして陰の総理といわれている今井補佐官。

今回のアベノマスクの発案者である今井氏の経済産業省の後輩、佐伯耕三秘書官


懐刀が舵を取るどの政策も大多数の国民の不信感を招いて・・・なんだか気の毒になるほど。

 

被爆75周年の広島と長崎の式典でのスピーチもほとんど同じものだったし、行動その他に覇気がいっさい感じられない・・・政権末期の状態。

 

それでも最後の力を振り絞って氏が〈悲願〉といわれている「積極的平和主義」を盛り込んだのが15日の全国戦没者追悼式での式辞。

 

折々口の端に乗せられていた「積極的平和主義」が大切な場で初登場となりました。

 

具体的には「同盟国である米国を始めとする関係国と連携しながら、地域及び国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に寄与していく」ことらしいですが、くだいて言えば有事のときにすぐに戦闘態勢に入れるように整える・・・ということかな??

 

集団的自衛権の行使容認など着々と推し進めてきた安倍政権の総決算を急いでいるように見えてしまいます。

 

同じ急ぐなら今からでも決して遅くない・・・唯一の被爆国として核兵器禁止条約に署名・批准し、「核の傘」に依存する安全保障政策を転換してほしい、と切に願います。

 

 

 

緋の河
さて今回は
桜木柴乃氏著『緋の河』のご紹介です。 

男として生まれた。でも、きれいな女の人になりたいな―。蔑みの視線―。親も先生も、誰に何を言われても関係ない。「どうせなるのなら、この世にないものにおなりよ」その言葉が、糧になった。生まれたからには、自分の生きたいように、生きてやる。リスペクトがあるからこそ、想像力のリミッターを解除できた。事実と虚構の化学反応が生み出す、過酷で、美しく、孤独で、切なく、劇的で、潔く、笑えて、泣ける、ザッツ・エンターテインメント!(「BOOK」データベースより)

 

蔑みの視線も、親も先生も、誰に何を言われても関係ない。

「どうせなるのなら、この世にないものにおなりよ」。

その言葉が、生きる糧になった。

カルーセル麻紀さんのことを、いつか絶対に書きたかった、という熱い思いが物語から溢れ出る。

彼女の人生は、波瀾万丈、完全無欠のエンターテインメントだ!

 

戦後復興期の北海道釧路。

 

本書はこの釧路で生まれたひとりの少年の物語。

 

人生の舵を自分で切り続けたひと、自分の居場所を自分で作ったひととしての生き方に刮目していた同郷の女優・カルーセル麻紀さんに小説の主人公として書かせてほしいと依頼したときのことを著者は次のように記していらっしゃいます。

 

「カルーセル麻紀さんの、少女時代を書かせてください。

今まで、どんなインタビューにも答えて来なかった部分を、想像で書かせてくださいませんか。

虚構に宿る真実が見てみたくて小説を書いています」

「いいわよ」のあと麻紀さんからは「あたしをとことん汚く書いて」という注文がつきました。

そのあとつくづく不思議そうに「あたしまだ生きてるのに、小説にするなんてあんた不思議な子ねえ」とも。


「あたしは何にでもなれる。あたしの嘘は痛い思いをして手に入れた宝石。これまでもこれからも、誰にも何も言わせない」が最大の防御であり武器であ
ることをはやくから自覚していたヒデ坊こと秀男少年。

 

現代のようにトランスジェンダーという言葉さえなかった時代。

 

物心ついた頃から周りから可愛いといわれ、何よりも美しいものが好きだったヒデ坊

 

路地裏で会った遊郭のお女郎さんに憧れ、大きくなったらお女郎さんになるという目標を持ったヒデ坊。

 

周りの差別も蔑視も孤立も自分がこうなりたいという強靭な意思の前では何ほどのものでもない・・・自分の生き方に責任を持ち、人生を切り拓いていく姿がとことん潔く描かれていて感動さえ覚えます。

 

 

釧路から札幌、東京、大阪へとジプシーのように移るたびにどんどん美しく、そして凄みを増してゆくヒロイン

 

「お前が過ごした中学校三年間は戦後民主主義の輪郭だと思ってる。

自分のかたちは自分で決めるという主体性の切っ先に、お前がいるんじゃないかと思う」

 

言い得て妙の中学校時代の担任の言葉。

 

 

「親からもらったもんを出したり取ったりしてるの」と泣いて詫びる英男に対する母親のマツの優しさには泣いてしまった。。

 

 

世間よりゲイやレスビアンなどに対してハードルがかなり低いと自覚してはいますが、もし自分が同じ立場だったらあんなにできるだろうか?

 

そのマツの髪を染めてあげながら親子で語り合うシーンがラスト。

 

著者渾身の長篇小説です。

 

ぜひどうぞ!

昨夜の晩ごはんは北から南の海鮮づくし。

 

羽田魚市場


毛ガニとワカサギの醤油づけ、はまぐりの酒蒸し、そして沖縄モズク。

 

次男が送ってくれた羽田魚市場直送の海産物。

 

「カンブリア宮殿」で観ておいしそうだから送ってくれたという。

 

「カンブリア宮殿」観てくれてありがとう

おいしかった!


毛ガニといえば北海道の思い出。

今まで何度も北海道には行っていますが、いちばん最初に行ったのは学生時代。

バックパックを背負って同好会の仲間5人で2週間ほどかけて巡った学生時代の旅。

ユースホステルをはしごした貧乏旅行。

夜にはペアレントのギター伴奏で流行りたての〈知床旅情〉をみんなで唱和したり・・・。

その頃の北海道といえば、今では考えられないほど素朴だったところ。

信じられないほどの列車での長旅。

道端でおばあさんが茹でた毛ガニを売っていて・・・貧乏学生にも買えた値段。

新聞紙に包んで近くの道端で食べた思い出があります。

それがはじめての毛ガニ、おいしかった(^^♪

もっともその頃は何でもおいしかった・・・。

思えば遠くに来たもんだ・・・今の立ち位置のお話。

半世紀以上前の思い出です。

 

 



とにかくとにかく

さて本日は
津村記久子氏著『とにかくうちに帰ります』 



うちに帰りたい。切ないぐらいに、恋をするように、うちに帰りたい――。職場のおじさんに文房具を返してもらえない時。微妙な成績のフィギュアスケート選手を応援する時。そして、豪雨で交通手段を失った日、長い長い橋をわたって家に向かう時。それぞれの瞬間がはらむ悲哀と矜持、小さなぶつかり合いと結びつきを丹念に綴って、働き・悩み・歩き続ける人の共感を呼びさます六篇(「BOOK」データベースより)

 

著者について

1978年大阪市生まれ

2005年マンイーター』(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で太宰治賞

2008年『カソウスキの行方』で第138回芥川賞候補

2008年『婚礼、葬礼、その他』で第139回芥川賞候補

2008年ミュージック・ブレス・ユー!!で野間文芸新人賞

2009年ポトスライムの舟140回芥川賞

 

2011年ワーカーズ・ダイジェストで織田作之助賞受賞

 

2013年『給水塔と亀』で第39回川端康成賞

 

2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞

 

2017年『浮遊霊ブラジル』で第27回紫式部賞

 

2017年『アレグリアとは仕事はできない』で第13回酒飲み書店員大賞受賞


著者とサラリーマン生活は切り離せないので、そこのところを少し・・・。


2000年新卒で入社した会社で上司からパワハラを受け、10か月で退社後、2001年に転職。


大学在学中から小説を書いていた著者は、
2005年に『マンイーター』で太宰治賞や2009年に『ポトスライムの舟』で芥川賞を受賞したあとも兼業作家として小説を執筆していましたが、2012年についに10年半勤めていた会社を退職、専業作家になりました。


それ以前もそこからの活躍ぶりもご存じのとおり。


著者が力を発揮するのは何といっても
10年半の会社員生活を舞台にしたもの。


本書もそんなオフィスでの小さな小さな出来事を著者特有の目線で救い上げたような作品。


会社員を経験した人なら思い当たること満載の細かいまでの人物描写、心理描写が出てきて完璧に津村ワールドに嵌ってしまうこと請け合い。


マニアックな可笑しさをそこはかとなく醸し出す描写力の鋭さに脱帽。


津村作品を未読の方はこの独特のワールドをお楽しみください。


サラリーマン現役の方も元サラリーマンの方も、きっとツボに嵌りますよ。

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