VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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2020年09月

とうがらし
肉親の死に際に立ち会えたか否かということが人生の重大なことのひとつと受け取る人が多い気がします。

 

わたし自身はその瞬間よりそれまでのその人との間で育んできた過程こそ大切なことと思っているひとりです。

 

わたしには実父母、養父母、義母がいましたが、実母ひとりを除いて全員の死の瞬間に立ち会うことができました。

 

それぞれの父母の介護を子どもたちがローテーションを組んでしていた最中の出来事。

 

ちょうどわたしの番で病院に泊まり込んでいたときに4人がそれぞれ臨終を迎えたのでした。

 

結婚を機に肉親と遠く離れたところで生活していたわたしにとってそれらの人々の死の床にいられたということは奇跡に近いことだったので今でもその巡りあわせをとても不思議に思っています。

 

そのとき主になって介護をしていた人でなく、遠地から駆けつけて数日を共に過ごしていたわたしがその瞬間に立ち会ったのは何だか申し訳ないような筋違いのような気持ちになったのを今でも覚えています。

 

看取りに至るまでの介護は生半可なことではできないからです。

 

ただひとり100歳で亡くなった養母は長い間わたしが主となって介護をしていたのでそれなりの納得の看取りではありました。

 

人間のみならず命あるものの生死はどうしても避けて通ることができないこと。

 

長寿の時代になったとはいえ、長短に関わらず必ず誰にも等しく来る終末。

 

長い間公に語られるのはタブーとされていた死というものに切り込んだキュプラ―・ロス氏は『死ぬ瞬間』を皮切りに生涯に死をテーマにした20冊もの著書を刊行しました。

 

今から半世紀以上前に読んだ『死ぬ瞬間』はわたしにとって深く心に残る作品のひとつとなっています。

 

今でこそ耳慣れた言葉となっている「死の受容」―否認・怒り・取引・抑うつ・受容―への過程。

 

すべての人々がこの過程を通るとは限らないと著者ご自身も書かれていますが、共感できる道筋ではあります。

 

最後に残された人間の大仕事。

 

厳しくて孤独な作業人生のはじめとおわりに吐く息ふたつ

 

 

 


サイレントブレス
南杏子氏著『サイレント・ブレス
―看取りのカルテ』
 

 

大学病院の総合診療科から、「むさし訪問クリニック」への“左遷”を命じられた37歳の水戸倫子。
そこは、在宅で「最期」を迎える患者専門の訪問診療クリニックだった。

命を助けるために医師になった倫子は、そこで様々な患者と出会い、治らない、死を待つだけの患者と向き合うことの無力感に苛まれる。
けれども、いくつもの死と、その死に秘められた切なすぎる“謎”を通して、人生の最期の日々を穏やかに送れるよう手助けすることも、大切な医療ではないかと気づいていく。

そして、脳梗塞の後遺症で、もう意志の疎通がはかれない父の最期について考え、苦しみ、逡巡しながらも、大きな決断を下す(「BOOK」データベースより)

 

著者について

1961年徳島県生まれ
2016年『サイレント・ブレス―看取りのカルテ』で小説家デビュー
2018年『ディア・ペイシェント』
2020年『いのちの停車場』
現在、都内の終末期医療専門病院に内科医として勤務中


本書は
6篇の短篇が収録された連作短篇集。

死は「負け」でなく「ゴール」

誰もが避けては通れない、愛する人の、そして自分の「最期」について静かな答えをくれる、
各紙誌で絶賛された現役医師のデビュー作。
2018年6月21日のNHK「ラジオ深夜便」にて紹介され、話題沸騰中!

主人公は大学病院外来で診療に携わったのち在宅の終末医療を行うクリニックに異動を命じられた医師・水戸倫子。

著者ご自身の医師としての経験が色濃く投影された作品となっています。

タイトル「サイレント・ブレス」について著者は次のように書いていらっしゃいます。

静けさに満ちた日常の中で、穏やかな終末期を迎えることをイメージする言葉です。

多くの方の死を見届けてきた私は、患者や家族に寄り添う医療とは何か、自分が受けたい医療とはどんなものかを考え続けてきました。

人生の最終章を大切にするための医療は、ひとりひとりのサイレント・ブレスを守る医療だと思うのです。

「医療ミステリ」と銘打っていますが、本書の場合「ミステリ」という後付けはまったく不要の作品。

 

ここに取り上げられているのは乳がん、筋ジストロフィー、膵臓がんなどを患う患者の終末に在宅を願う背景はさまざまですが、そこに至る患者たちの心の変遷を丁寧に描きながら、その患者に寄り添っていこうと尽くす主人公をはじめ、「むさしクリニック」の人々、そして主人公・倫子の恩師である大学病院の教授の存在が、もうすぐ消えることを余儀なくされている患者の微かな命のひかりにそれぞれの輝きを添えていて、暗闇の中の一灯となるような作品でした。

日本のホスピス普及や終末期医療の充実先駆けとなられたアルフォンス・デーケンこの9月6日に死去されましたが、氏の提唱されていた死をタブー視するのではなく、最期まで心豊かに生きるために死と向き合う「死への準備教育」はその後多くの心ある医療者の心を動かし、日本全国にホスピスを設置する原動力になりましたね。

 

このブログでもターミナル医療の先駆者・故柏木哲夫氏や老年医学にご尽力された故日野原重明氏、鎌田實氏、徳永進氏など多くの医師をご紹介しましたがつい先頃ご紹介した樋野興夫氏もそのおひとり。

 

3時間待ちの3分診療」などと陰で言われている昨今、上に挙げた医師たち、そして本書の主人公・倫子の存在はわたしたちの暗くて細く行き場のない終末期に灯をともしてくれる存在です。

わたしは読了後、この作品を参考に断捨離の一環として前々から気がかりだった〈リヴィング・ウィル〉をやっと作成することができました。

ぜひどうぞ!

烏城を望む

田町橋、()(けん)(ぼり)橋、(いづ)() 渡りて幼きわれに会いにゆく


追憶はままごと遊びのおちやわんに五歳のわたしが盛る〈赤まんま〉


母の介護のため故郷である岡山に戻ってほぼ20年。


それまで夫の転勤に伴って各地をウロウロ、子どもたちが高校までは一緒に移動。

 

そんな家族総出での移動を〈フン族大移動〉と名づけてそれぞれの土地を楽しんで今に至ります。

 


生まれてからずっと故郷に住み続けている人もたくさんいらっしゃると思いますが、長く故郷を離れて戻ってきてみると、時代とともに開発が進んだり、実家の様相が変化したり、幼いころ親しんでいた町では新旧の交替が著しかったりでかなり自分の中の故郷のイメージと乖離していることばかり・・・当たり前ですけど。

 

わたしが育ったところは市の中心街で、繁華街にも駅にも近くそれなりに賑やかでしたが、それでも幼いころは近くの街川で蛍が見られたものです。

 

今では車の往来も激しく、いくら川辺の水質や水草などの環境をよくしても人工光を嫌う蛍が育つはずもなく、市中の街川にもう一度蛍を戻すという市の計画は頓挫したようです。

 


今では父母も逝き、姉や弟も亡くなって、わたしのなかの故郷はほぼ全滅。

 

6年間通った小学校も随分前に廃校になり、その跡地には大きな病院が建っていたり・・・。

 

故郷といえないような故郷がいま住んでいるところです。

 


さて今日ご紹介する作品はそんな故郷に関するもの。

 

 

故郷のわが家
村田喜代子氏著『故郷のわが家』
 


六十五年前に生まれた家を処分するため、故郷に戻ってきた笑子さん。

彼女の胸にさまざまな過去が夢うつつに去来する。

家族もなく独りで世界中を旅しつづける男。

亡くなった恐竜ファンの兄さん。

ガダルカナルへの遺骨収集団に参加する村の青年。

人工羊水に浸るヤギの胎児――現代における故郷喪失を描く連作短篇集
63回 野間文芸賞受賞作品」(「BOOK」データベースより)

 

 

著者について

 

1945年北九州市生まれ

1977年『水中の声』で第7回九州芸術祭文学賞最優秀賞

1985年個人誌「発表」を創刊

1987年『鍋の中』で第97回芥川賞

1990年『白い山』で第29回女流文学賞

1992年『真夜中の自転車』で第20回平林たい子文学賞

1997年『蟹女』で第7回紫式部文学賞

1998年『望潮』で第25回川端康成賞受賞

1999年『龍秘御天歌』で第49回芸術選奨文部大臣賞

2010年『故郷のわが家』で第63回野間文学賞受賞

 

本書は2010年に発表された9篇の連続短篇集。

 

「新潮」に2007年~2009年にかけて連載されていたものを一冊にまとめたもの。

 

大分の久住高原に独り残っていた母親が亡くなり故郷の我が家を売ることになり、東京から愛犬フジ子を連れて帰ってきた65歳の笑子。

 

一人称形式のですます調で進む物語はまるで独り語りの芝居を観ているよう。

 

故郷の生家の処分のため何か月もかけて少しずつ少しずつ大きな古い家の片づけをする笑子。

 

その間に起こるさまざまな出来事や、現実と過去の回想の狭間でのひとり遊びを描いて秀逸の作品。

 

いまでいうつぶやきというところ。

 

著者特有といえるひとつの想像から時代を超えて伸びていく枝葉がとても興味深く知らず知らず惹き込まれていきます。

 

適度なユーモアと適度な哀愁を含んだ文章。

 

実家の整理という過程を通して、さまざまな思い出と一つ一つ決別していく笑子さんの姿は、何年も前の自分の姿でもあったなぁと感慨を以って読了しました。

 

ちがうところは笑子さんが雄大な九州の久住高原の山懐に抱かれながら思い出と現実の間で揺れていたのとはちがい、わたしは街中の変哲のない実家の整理だったこと。

 

それなりに山ほどの思い出の処分には気持ちが揺れましたけど。

われもこう

想ひ出はつねに光を纏いゐる幾多の永劫の別れの場さへ


誰にもきっとあるだろう大切な思い出。

賑やかだった子ども時代の団欒だったり、兄弟げんかの末、しばしむくれてしまったことだったり、自分だけがのけ者にされたような疎外感を味わったことだったり、着飾って出かけたデパートで迷子になったことだったり。

わたしの思い出の多くを占めているのは5歳離れた今は亡くなってしまった姉との思い出。

中高一貫校だったので姉が高校三年のときわたしが中学一年で入学。

優しかった姉は先生の受けがよかったので、わたしもその恩恵を受けて優しい注目を浴びていました。

本が大好きで図書委員長だった姉の影響でわたしも図書館に入り浸っていました。

中学二年になって京都の大学に進学して実家を離れた姉。

さびしくて大学の休みをひたすら指折り数えて待っていたっけ。

お土産に必ず買って帰ってくれたのがヘッセの詩集。

本はパラフィン紙に包まれていてまるで異次元の読み物のような印象で、それはそれは大切にしていました。

何冊も何冊も増えた宝物の本。

今では手元にありませんが、思い出のなかではいまも輝いています。

姉が京都に旅立ったときと同様、結婚した時もさびしくて泣いてしまった。

お別れのオルゴールをもらって、そっとふたを開けると姉の手紙が入っていました。

「結婚してもいままでどおりのお姉ちゃんだから悲しまないで」 

そんな姉が亡くなって丸4年。

数限りない思い出をなるべく思い出さないように記憶に蓋をして過ごしてはいますが、街を歩いているとき、本屋に行ったときなどふとしたきっかけでつい思い出しては切なくなってしまうことを繰り返しています。

さて今日はそんな幼いころの大切な思い出のお話。

 

図書室岸

岸政彦氏著『図書室』
 

 

定職も貯金もある。

一人暮らしだけど不満はない。

ただ、近頃は老いを意識することが多い。

そして思い出されるのは、小学生の頃に通った、あの古い公民館の小さな図書室――大阪でつましく暮らす中年女性の半生を描いた、温もりと抒情に満ちた三島賞候補作。
社会学者の著者が同じ大阪での人生を綴る書下ろしエッセイを併録(「BOOK」データベースより)

 

著者について

 

1967年大阪生まれの社会学者

2013年『同化と他者化―戦後沖縄の本土就職者たち』

2014年『街の人生』

2015年『断片的なものの社会学』で紀伊國屋じぶん大賞受賞

2016年『ビニール傘』で第156回芥川賞候補&第30回三島由紀夫賞候補

2019年『図書室』で第32回三島由紀夫賞候補

 

本書には2篇の中篇―表題作である小説『図書室』と自伝的エッセイ『給水塔』―が収録されています。

 


どちらも舞台は古き時代の大阪の下町。

 

例えば、古い箱のなかに長い間しまわれていたセピア色の写真を見つけたとき、あまりの懐かしさに半世紀前に思わずワープしてしまう、そんな作品といったらいいでしょうか。

 

本当に自分が大切にしていたものをやっと記憶の底から見つけ出したような・・・。

 


表題作『図書室』には子どものころのノスタルジックな切ない思い出が詰まっています。

 

子ども時代には何気なく見過ごしていた取り立てて取り上げることではないようないくつもの些細な出来事が、長い時を経て熟成されて大人になった自分の目の前に再びひかりを纏って現れるというふうな。

 

きっと誰にもそんな思い出があると思う・・・ただ見つけられていないだけで。

 


表題作は、パートナーとの
10年間の共棲みを解消して、独り暮らしになった50歳の美穂が、記憶の底よりふと浮き上がって来た小学校時代の思い出を辿る物語。

 

スナック勤めの母との2人暮らしの10歳の美穂が公民館の図書室で少年と出会い、ぎこちなさを越えて少しずつ親しくなる過程が2人の子どもらしくもほほえましい会話を通して描かれています。

 

2人で世界の終わりを想像したり、淀川の河川敷の秘密基地へと冒険したり・・・。

ただそれだけの内容ですが、不思議なノスタルジーを醸し出していてじっくりした作品になっています。

子ども時代に感じていた不安や希望、かたちになる前の雲のようなつかみどころのない浮遊感などにまた再び、対峙しているような不思議な感覚。

いまは埋もれているけれど、わたしにもきっとそんな懐かしい思い出がある・・・急いで記憶の箱をひっくり返さなくても、時がくれば自然に目の前に飛び出してきてくれそうな、そんな小さな期待感を抱かせる内容でした。

 


お薦めです。

ドライフラワーIMG_4943
冷蔵庫を整理して・・・

冷凍庫を総ざらい・・・あらこんな得体のしれないものが??・・・すでに何かわからないもの・・・見つけてはそっと処分して( ;∀;)

いろんなお店でもらったコーティングした紙袋。

持ち手をハサミで切って折り返して高さを合わせたものをいくつか用意して、それぞれ冷凍用の肉類、魚類、野菜類、パンなどに分け入れてすっきり。

買い物から帰ったらすぐに魚、肉、野菜やキノコ類など処理して今晩食べないものは即冷凍するので我が家の冷凍庫はかなり大き目。

ほんとは別に小型の冷凍庫をもう一台ほしいくらいなんですけど。

こうしておくと次に使うときすごく楽・・・なるべく料理に使う労力を最小限にしたいというなまけものの策。

今の時期だけのモロヘイヤも大量に茹でて刻んで板状にして冷凍しているのでしばらく楽しめます。

オクラも同様に板状。

このふたつをコラボしてもおいしい。

写真はモロヘイヤと花オクラのコラボ・・・土佐酢で和えたもの。

花オクラとモロヘイヤ

地味な我が家の晩ご飯。

その日はわたしの誕生日だったので夫の千屋牛フィレステーキワンプレートがこれに加わりました。

後片付けも全部夫・・・その日だけは気兼ねせずのんびりと。

多謝!

こんな日がずっと続くといいな~。

 

流浪の月

さて今日は
凪良ゆう氏著『流浪の月』です。

 

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。

わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。

それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―。

再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。

新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説

2020年本屋大賞受賞作」(「BOOK」データベースより)

 

〈本屋大賞受賞作〉という文言に惹かれて近くの公民館で借りた一冊。

大体のあらすじは新聞の書評などで知っていましたが・・・

う~ん、評価の大きくわかれる作品・・・でしょうか。

世を騒がせた幼女誘拐犯とその幼女の、その後に続く長いお話。

結局愛を成就させたことになるのかな?


期せずして誘拐犯となった
19歳の大学生・佐伯文と、同じく期せずして被害者となった9歳の小学生・家内更紗

親子3人で世間というものの風習に縛られない自由で幸せな家庭というカタチを築いていた更紗。

そんな折、大好きな父が病死し、夫の庇護なしでは生きることすら難しかった母は酒浸りとなり、そして新しい男を作って蒸発。

引き取られた母の姉夫婦の家庭は自由奔放だった母の築いていた家庭とは180度ちがって戸惑いを隠せない更紗。

そんな更紗に夜な夜な性的ないたずらをする中学2年の従兄の存在を誰にも打ち明けることができず苦しむ更紗。


一方、世間的な規律を重んじる母のもと、思春期になっても男性としての発育不全という不完全な体を抱えて人知れず苦しんでいた文。


いわゆるメンヘラの
2人が公園で出会い、2ヶ月という束の間生活を共にする・・・。

やがて誘拐犯として指名手配されていた文は捕まり、更紗は養護施設へ。

時は流れて・・・大人になった更紗と文の偶然を装った出会いによって運命が逆流するように周りを巻き込んで流れていく・・・

2人にとって美しく書けばこのようなあらすじ。

しかし、文とともに更紗の設定があまりに独りよがりで、珍しく共感ゼロの物語となりました。

これが本屋大賞!@@!?

誰からも理解してもらえない美しい関係性の2人・・・この打ち出し方がなんとも( ;∀;)

小説の内容を本気で受け取るな、とは理解していますが、このような主人公の設定はいかがなものか?

著者はあくまでも更紗を過去に傷ついた少女が愛を貫くという成長譚を本気で描いているように見受けられてそこに違和感を覚えた作品でした。

でもこれはあくまでもへそ曲がりなわたしの感想"(-""-)"

純愛物語としてハッピーエンドを享受される方もいらっしゃると思います。

興味ある方読んでみてください。

吾亦紅

店先の花あしらひは吾亦紅小さき穂先を撫づる秋風


家中にマンガがあふれていたのはいつ頃までだったか・・・何度かの引っ越しの折、独立していた子どもたちに送りつけたりしながら、最後にこの住まいに越したとき子どもたちにいるかいらないか聞いて送ったり処分したりしたのが最後。

今あるのは土田よしこ氏の『つる姫じゃ~つ』全巻のみ。

今ちょっと検索してみてびっくり!

ヤフオクで全11巻で即決16000円!

でも我が家のは何度も回し読んでカバーもないし・・・。

以前は『キャプテン翼』、古くは『プロゴルファー猿』、手塚治虫氏のほとんどのマンガが全巻揃っていたし、『こち亀』も次々買い足していっていた・・・

手塚氏の『ブラックジャック』の行先は長男のところかな?

いまあれば再読してみたい気もする名著。

 

小説ブラックジャック
本日は
瀬名秀明氏著『小説ブラックジャック』 のご紹介です。 

 

医療ロボット技術は日進月歩。

遂に自律型AIを搭載した医療ロボットが完成。

その開発チームの医師の言葉は、あたかもB・Jへの挑戦状だった(『B・J vs.AI』)。

フライト前のB・Jに、青年は「弟は、いまも一四歳のままです」と言った。

iPS細胞の新たな可能性を信じ、時が止まった命と対峙するB・J(『命の贈りもの』)。

ある夏届いた手紙に誘われ、中東の街を訪れたB・J。

同時期、遠く離れた診療所の中、留守番するピノコの目前で小さな命の灯が消えかけていた!(『ピノコ手術する』)。

B・Jの友人で医師の手塚は、中学生の息子を持つ行きつけの呑み屋の女将が心配だ。

わが身を顧みず働く母を思い、息子から手塚に驚愕の提案が(『女将と少年』)。

母の仇かつ身体と心に消えない傷を残した男の居所を掴んだB・J。

たどり着いたその場所で、「死神の化身」と呼ばれる男、ドクター・キリコと遭遇(『三人目の幸福』)。

医学界に一石を投じるヒューマンドラマ!(「BOOK」データベースより)

 

著者について

1968年静岡県生まれ 

1995年『パラサイト・イヴ』で第2回日本ホラー小説大賞

1998年『BRAIN VALLEY』で第19回日本SF大賞

2011年『小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団』刊行

 

医療マンガの金字塔といわれた『ブラック・ジャック』。

手塚氏のドクターとしての豊富な知識と未来への想像力が結実した作品でした。

本書はその『ブラック・ジャック』のノベライズ。

大胆な試みといえますが、著者は以前にも『ドラえもん のび太と鉄人兵団』を上梓しているので、2度目のノベライズ。

世に知れ渡っているマンガのノベライズはさぞたいへんだろうな、と推測しますが、想像を超えた出来栄え。

五話からなる原作のオマージュ。

偉大な原作に対するリスペクトがそこここに見られる作品となっています。

それに加えて・・・

日進月歩の医療現場でスタートしたAIによる手術やIPS細胞などの現代医療を取り入れながら近未来的なものも含め、現代の医療の問題点にもきちんと立ち向かっているところ、著者ならではの膨大な知識の賜物といえるでしょう。

自ら「奥たん」と名乗るピノコも親友手塚医師も宿敵Dr.キリコも健在。

それぞれの物語になくてはならない人物として登場。

 

手塚の根底を流れるヒューマニズムが本書にもあふれていて読み応えのある作品でした。

もう一度原作をじっくり味わってみたい・・・そんな本書、ぜひどうぞ。

心配していた台風10号もやっと日本を脱出したようです。

 

はやくから避難されたお蔭で九州や沖縄地方の方々の被害も最小限に抑えられたということですが、亡くなった方、重軽傷を負われた方々、土砂崩れで安否不明な方々もいらっしゃってまだまだ予断は許されない状況です。

 

簡単に避難というけれど、自分の身に置きかえてみれば、避難自体の決心や行動も大変なこと。

 

留守宅がどうなっているか気が気ではないでしょうし、避難場所までの移動も大変な場合もあるでしょう。

 

特に高齢者や幼子を連れた方、ペットがいる方などの避難状況を想像するとさぞ大変だったろうな、と思います。

 

それでも体が無事というのは何ものにもかえがたいことです。

 

これ以上被害が拡大しませんように!

 

 

ここ数日は台風のため、前後はコロナ禍による在宅時間が長いことにも慣れて、買い出しもせず家であれこれ時間を工夫しながら一日を過ごしています。

 

わたしはテレビをあまり見ないし、日中は本も読まないので、やることといえばついつい料理とかピアノとか・・・。

 

好きでない家事は掃除・・・なるべくブラーバに任せて( ;∀;)・・・ちょっと頭が弱い子なので学習能力の点では物足らないのですけど。

 

 

最近はCOOKPADをはじめ、DELISH KICHENやKURASHIRUなどのレシピアプリが豊富なので、ipadで検索してはけっこうな時間をキッチンでカンタン料理に費やしています。

 

今日のお昼はたこ焼き、夕食は「たたきキュウリの塩昆布和え」「ズッキーニの豚肉巻き」「豚肉の冷しゃぶ&トマトサラダ」「ジャバラジャガイモのバタ焼き」「ピーマンとツナとコーンのマヨネーズ和え」でした。

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穴掘り
本城雅人氏著『穴掘り』
  

 

死体を埋めれば誰にもバレない―野に放たれた殺人者の罪を明らかにし、寂しき行方不明者の捜査をして30年。

愛憎も哀しみも嫌らしさも、この鬼刑事の執念が掘り起こす。

社会派ミステリーの旗手が挑む初の本格警察小説(「BOOK」データベースより)

 

20年間サンケイスポーツ記者としてプロ野球やメジャーリーグなどを取材していた著者はその豊富な経験を生かして野球や新聞記者を題材に多くの作品を上梓されています。

いままでほとんどの作品を読んできましたが、大方当たり外れがなく期待を裏切らない内容だったので、今では本城ファンを自認しているほど。

本書はそんな著者がいままでの枠を超えて初めて警察小説に初挑戦した作品です。

6篇の連作短篇集。

タイトルを見てちょっと引き気味でしたが、すごくおもしろかった!!

警察小説ファンの方、おススメです。

横山秀夫氏や佐々木譲氏、今野敏氏をはじめとする警察小説の名手に引けを取らない内容。

舞台は警視庁捜査一課殺人犯捜査

〈捜査一課〉というと警視庁の中でも花形部署ですが、この中の〈殺人犯捜査〉は過去の事件の資料を読み解現在進行中の事件と照合することで細い糸が繋がっていく未解決事件や「遺体なき事件」の端緒をつかみ、別件で逮捕された犯罪者との因果関係を突きつけて遺体を発見するところまで持っていくという仕事内容。

主人公はこの〈殺人犯捜査〉で一日中PCの前に座り、過去の膨大なデータから現在の犯罪者との誰も目に留めないような端緒を見つけ出し、まるでパズルを組み立てるように構築していく職人肌のこの道30年に及ぶベテラン刑事・信楽征一郎巡査部長とそこに配属された若い森内洸刑事。

この信楽&森内コンビが活躍する珠玉の連作短篇集。

娘を交通事故で亡くし、妻とも離婚したという重い過去を持つうだつのあがらない信楽のもとで、刑事とは?犯罪とは?という根源的なことを学びながら成長する森内。

その森内も妻の過去に鬱屈とした思いを秘めての結婚生活を送っています。


どの短篇も犯罪の陰に隠れている人間の哀しさというものを炙り出して秀逸。


ぜひともシリーズ化してほしい作品です。

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