
潮時は今かと思ふきさらぎの遠き山の端に夕陽が沈む
夫はスポーツと名の付くものならほとんどを網羅するほど観戦が大好き。
地方のバレーボールからサッカー、マラソン、高校野球予選など。
カーリングもラグビーもバスケットボールもゴルフも・・・。
いまもびわ湖毎日マラソンを観戦中。
富士通の鈴木健吾が日本新で優勝!!
2時間4分56秒!!
さて、野球は一時転勤で広島にいたときはカープも応援していましたが、阪神一筋。
というか典型的なアンチ巨人。
今いちばん好きなのはサッカー・・・かな?という感じですが、
長かった熱狂的な野球応援時代、阪神が勝つとコンビニにスポーツ新聞を買いに行っては
余韻を楽しんでいた時期があります。
一面に踊っていた煽情的な文言にそれぞれのスポーツ新聞記者の工夫が光っていて
読者の気持ちを高揚させていたっけ・・・
最近はスポーツ新聞も買いに走ることもなくなったけど懐かしい思い出。
本日はそんなスポーツ紙で苦闘する記者たちの物語。
本城雅人氏著『時代』
「スポーツ紙で働く記者・笠間に、販売部への辞令が下った。
記者職への断ち切れない思いを抱えながらも、それまでの人脈を活かし、販売部でも存在感を発揮し始める。
だが会社の根幹を揺るがす事件を解決した矢先、悲劇が彼を襲う―。
一方、新聞社で忙しく働く父との関係に悩む長男の翔馬と次男の翼。
彼らの人生もまた、大きな岐路に立たされる」(「BOOK」データベースより)
親子二代に渡ってスポーツ新聞社で働く家族
&人間を綴った連作短篇集。
第一話~第九話&エピローグという構成。
時代は平成中期から平成が終わろうとする頃までの数十年の物語。
東都スポーツの記者・笠間哲治が第二話までの主人公。
その後哲治の長男・翔馬から次男・翼の物語となります。
全篇を通して重要な脇役として登場するのが笠間哲治の同期の伊場克之。
主役たちを食うほどの役割、ラスト付近での登場時も何だかかっこよすぎて
作話が過ぎるようにも感じたほど。
それにしても前歴がサンケイスポーツの記者だけあって新聞社の内部の描き方は
臨場感に溢れているのが魅力のひとつ。
各スポーツ紙の記者のスクープ合戦の様子や休刊日に発刊する新聞社の収益などの内部事情、
スポーツ業界の重鎮に記者として取り入り可愛がってもらう手立てなど
未知の世界の魅力満載。
筆力も確かなら構成力もしっかりしていて本書のみならず読者を惹きつける力は相当なもの。
本書もただのスポーツ記者の物語という枠に留まらず
家族愛、同志愛、子弟愛など多角的な人間愛を描いて秀作です。
このブログでもさまざまな分野の著者の作品を取り上げていますが、どれも大きな外れのない作品群。
著者の作品を未読の方、ぜひ一冊手に取ってみてください。