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カテゴリ: 海外ノンフィクション

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(はな)(ぎれ)ヒユウガミズキの淡き色 漱石全集書架に鎮もる

 

本棚の奥へ奥へと埋もれゆく『されど われらが日々ー』捨てられずゐる

 

透明の膜を纏ひて死者のこゑ聴きゐるやうに本を読むひと

 

 

芸術の秋、食欲の秋、運動の秋、そして読書の秋・・・ちょっと前向きに小さな何かにトライしてみようかな、などしみじみ思える季節になりました。


終戦まもない1947年、まだ戦火の傷痕がいたるところにあるなかで「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと、出版社・取次会社・店と公共図書館、そして新聞・放送のマスコミ機関も加わって1117日から開催されたのが「読書週間」のはじまり。

 

そのときの反響すばらしかったので翌年の第2回からは期間も1027日~119日(文化の日を中心にした2週間)と定められたそうです。

 

 

1947年、「読書週間」初回の標語は「楽しく読んで、明るく生きよう」

 

1959年、「みんなで本を よみましょう」

 

1975年、「本との出会い、ゆたかな時間」

 

1989年、「秋が好き。街が好き。本が好き」

 

1991年、「風もページをめくる秋」

 

こうして所々ピックアップしてみるとなかなかおもしろい。

 

復興が一段落して経済が安定する1989年あたりから少しずつ洗練された標語になって・・・

 

2001年「はじまりは1冊の本だった」や、2010年「気がつけば、もう降りる駅」なんてドラマを感じさせるような味わいのある標語。

 

 

そして今年は「おかえり、栞の場所で待ってるよ」

 

 

最近は経費的にスピン(栞紐)をつけない出版社も多いようですが、紙の栞を数枚待機させていて夜の読書に間に合わせたり・・・。

 

 

つづきが待ち遠しい本に巡りあうと、夜を待ちかねて「栞の場所」をひらくときの至福!

 

 

なにものにも代え難い喜びのひととき・・・これからもよき出会いがありますように。

 

 

 

 


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さて本日は
ヘザー・モリス氏著&金原瑞人氏訳&笹山裕子氏訳『アウシュビッツのタトゥー係Tattooist of Auschwitzのご紹介です。


生きること、愛すること。それこそが、抵抗。        
イギリスで130万部、全世界で300万部を突破したベストセラー、待望の邦訳。

第二次世界大戦下のアウシュヴィッツで、生き延びるため同胞に鑑識番号を刺青し名前を奪う役目を引き受けたユダヤ人の男が、ある日、その列に並んでいた女性に恋をした――
「必ず生きて、この地獄を出よう」と心を決め、あまりに残酷な状況下で自らもあらゆる非人間性に直面しながら、その中でささやかな人間らしさと尊厳を守り抜くために重ねた苦闘と愛と信念の物語。
実在の「タトゥー係」本人がこの世を去る間際に残した証言を小説化した本作は瞬く間に全世界的なヒットとなり、2019年8月現在、51の国・地域で刊行されている。
2020年には映像化も決定している


 

「人生を肯定してくれる小説。この作品のことを思うたびに涙が出て仕方がない」                    セイラ・ウィルソン『アマゾン・ブック・レビュー』

「息をのむほどつらい気持ちになり、言葉にできないほどの恐怖にのしかかられながら、愛の希望に高揚させられる小説」 
 ニューヨーク・ジャーナル・オブ・ブックス

「希望的観測を抜きにすれば、このような場所で始まった愛の物語がハッピーエンドを迎えるとはだれも思わないだろう                            
人間は巨大な悪だけではなく、偉大な愛を生むこともできるということを語るに足る物語」                                               ワシントン・インディペンデント・レビュー・オブ・ブックス

「アウシュヴィッツのタトゥー係が強制収容所で愛をみつけるおどろくべき物語……胸を打つ」                                             (『インディペンデント』紙

「貴重な歴史の記録。                                      
ホロコーストの恐怖を改めて思い出させると同時に、暗黒の時代にも失われることのなかった人間性の強さへの賛歌でもある」                       
『アイリッシュ・タイムズ』紙

「悲惨だが忘れることができない物語。                           
美しさと醜さ、生と死、人間性と非人間性……。                         
比類なき愛の比類なき物語」                                       
『ランカシャー・イヴニング・ポスト』

「この本は百年後も読み継がれているだろう。                       
それどころか、ベストセラーにランクインしたままかもしれない……。         
眠るのも忘れて読んでしまうような本。                            
その理由は続きが気になることだけではない」                         
ジェフリー・アーチャー(作家)

著者について

ニュージーランドの作家、脚本家。
オーストラリアに居住していた本書の主人公ラリ・ソコロフの独白を聞くようになり、一度は脚本として書こうとした彼の人生を小説にすることにして本書を書き上げる。

 


舞台は第
2次世界大戦中
ナチス・ドイツによる絶滅収容所アウシュヴィッツ


スロヴァキアから家畜運搬用の貨車で連れてこられ
被収容者の腕に鑑識番号を入れるタトゥー係になったユダヤ人ラリ。


連日被収容者の腕に鑑識番号を入れるラリの前に現れたギタ。


ひと目で恋に落ち、「必ず生きてこの地獄を出よう」という一念を支えに生き延びることを約束するふたり。

 

苛酷な収容所でタトゥー係としての特権を駆使して、あらん限りの知恵を以って外部の人間と裏取引を行い、宝石と交換した食料を仲間に分けたりと持ち前の知恵と臨機で脱出することに成功したラリ。

 

優しさと靭さ、そしてしたたかさこそ命を護ることができた因であろうと思えます。


奇跡的に生還した
2人のまわりで死んでいかざるを得なかった人々を含めこの地獄で起こった3年間の実態を後世に残したいというラリの強い希望によって実現した著者とのインタビュー。

このインタビューを元に綴られた本書はイギリスで130万部、世界で300万部のベストセラーとなったそうです。

 

主人公のみならず、ナチスによって犠牲になったがゆえに物言えぬすべての人々にもひとりひとりのかけがえのない物語があったことを想像せずにはいられない切ない作品でした。

 


戦争は普通の人々から正常な判断を奪い、そして狂気を生む行為です。


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わたし自身はアルコールは少量しか受けつけませんが、酒肴を作るのが好き。


 

亡くなった父がお酒呑みだったので毎夜食卓に並べられていた母の作る酒肴を見て育ったせいかもしれません。

 


わたしが父のために初めて作ったひと皿はいまでも覚えています。

 


たしか高校生くらいのとき。

 


「鱧の湯引き梅肉和え」

 


何ともしぶい・・・なんでそんなのを選んだのか・・・今となっては思い出せないけど。

 

 


その後結婚した夫もアルコールを欠かさない人だったのでご飯のお供というよりお酒のお供を作り続けて半世紀。

 

 

女性は餡子などの甘味が好きというのが世間の通例だと思いますが、わたしは若い頃より苦手。

 

 

今は勧められれば一個くらいは食べるようになったけど。

 

 


そういえば兄弟姉妹もみんなおまんじゅうを喜んで食べていた記憶がありません。

 

 

やはり育った環境によるもの??

 

 


甘辛両党だった夫はおまんじゅうなど大好きでしたが、わたしが食べないのでいただいた一箱は夫が休日にひとつ食べる以外ずっとなくならず、ついに処分するはめになるのが常でした。

 

 


その代わり大好きなのはイカの塩辛などのお酒のアテ系。IMG_3780

 

 

いつも常備してお茶のお供につまんでいるのは今も変わらず。

 

 


ということで先日娘から評判のイカの塩辛が送られてきました。

 

 



しばらく幸せな気分が続きそう
(^.^)

 

 

 

 




さて本日はかなり前の大作・・・ずっと以前読みましたが、花オクラさんが貸してくださったのを機に再読したもの。

 

 

ワイルド
ユン・チアン氏著『ワイルド・スワン』

 

15歳で著者の祖母は軍閥将軍の妾になる。

中国全土で軍閥が勢力をぶつけあう1924年のことであった。

続く満州国の成立。

直前に生まれた母は、新しい支配者日本の苛酷な占領政策を体験する。

戦後、夫とともに共産党で昇進する母。

そして中華人民共和国の成立後、反革命鎮圧運動の只中で著者は誕生する。中国で発禁処分となった衝撃的自伝!

 

日清戦争~日露戦争満州国中華人民共和国へと続く20世紀の激動の中国。

 

 

その時代を生きてきた祖母、母、著者三代の壮大な物語。

 

 

息苦しくなるほどの壮絶なノンフィクション。

 

 

人は生れる時代も国も親も選べない。

 

 

ただただ時の流れに翻弄されながら生きていくしかない不条理をこれでもかと突きつけられる作品でした。

 

 

祖母に課せられる纏足シーンからスタート。

 

 

纏足というのは教科書などで知っていましたが、ここまで苛酷とは!

 

 

男の愛玩物として愛でるために足の骨を折って足のサイズを小さくするという。

 

 

女性の地位の低さに驚くというより女性に地位などないに等しい扱いに言葉も見つからない。

 

 


共産主義の理想と現実の大きな裂け目で喘ぐ民衆の叫びのような物語。

 

 

15歳という若さで時の軍閥将軍の妾となった祖母。

 

 

権力者が変わるたびに時代の荒波に翻弄されながらも生き延びた祖母の時代から母の時代へと移り・・・

 

 

時の共産党政権下で著者の父と出会った母。

 

 

忠実な共産党員としての父母にも苦難が次々襲いかかります。

 

 

毛沢東の掲げる理想の思想・・・遂行するための革命のための粛清の数々。

 

 

その悪政の時代の只中にいて狂気も狂気とは思わぬほどに人々は洗脳されていく様子がつぶさに描かれていて身震いするほど。

 

 

つくづく国家というものの下では国民は無力であるということを今更ながら思い知った作品でした。 

半年ほど前TVで紹介されたのをきっかけにブレイクした本。


デイヴィッド・S・キダー氏&ノア・D・オッペンハイム氏著小林朋則氏訳『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』


その後新聞でも大々的に広告を打っていて気になっていました。


★★★ニューヨークタイムズベストセラー★★★

シリーズ累計100万部

アメリカで470,000部刊行の大人気な定番本が、ついに邦訳!

1日1ページ5分読むだけで1年後、世界基準の知性が身につく!

(月)歴史・(火)文学・(水)芸術・(木)科学・(金)音楽・(土)哲学・(日)宗教の7分野から、
頭脳を刺激し、教養を高める知識を365日分収録!

すべての知的好奇心の探究者へおくる本。

もっと知りたいこと、見てみたいもの、行きたい場所など興味が広がり人生が豊かになる!
毎日1ページずつ読んでいくのが楽しみになる!

これ1冊読めば、「知らなかった! 」で恥ずかしい思いをもうしない!



そうだ、世界の教養のない娘に送ろう!


と思い立って娘に聞いたところ「1日1ページ読むだけで教養が身につくなら」としぶしぶ乗ってきたので送ったのが数ヶ月前。


以来、「教養のないお母さんにももってこい・・・というかこんな面白くない1ページ誰かと共有しないと読めない」ということで毎日娘から1ページ分が写メでラインに送られてきています。


夫はそっち系の教養はわずかながらあるので除外。


ひたすら真夜中に1ページを読み合っては互いにひと言ずつコメントを入れ合って読んだ証とする毎日。


なんともワクワクしない内容。


「世界の教養」と銘打っていますが、優れた民族と自認するアングロサクソン系の教養が集中。


初版は1920年代というからいかにも古い。

その後改訂を繰り返しているらしいけど。


まだ読了という志半ば、ちょうど5ヶ月くらい・・・先が長い・・・ふぅっ。


宗教系哲学系が非常に多い・・・ユダヤ教、キリスト教、イスラム教・・・


中でも旧約聖書の創世記の物語に出てくる神。


どう見ても傲慢としかいいようのない仕業の数々にふたりで神を罵倒・・・すみません


〈ノアの箱舟〉編では大水のとき自分以外誰を乗せるかで盛り上がり・・・神の指示は受けない!と。


いままでかなり読んだけど朝起きたら素通りしている知識。


〈知識〉って定着するから〈知識〉っていえると思うけど・・・素通りするのは単なる字づら??


かろうじて覚えているのは「無知の知」で有名なギリシャ哲学の祖といわれているソクラテスからのアラアラの流れ。

タレス→ソクラテス→プラトン→アリストテレス→→デカルト→→カント・・・??・・・こんな流れでいいのかな?


よかったことは1ページの中の記事に出てくる興味を拾い上げてお互いに調べてみるという作業をするときがあって・・・例えばバッハについての記事があれば、Youtubeで「メサイア」を聴いてみたり・・・。


これがなかなかおもしろい。


やはり薄学の私たちにとっては手強い知識本。


これからも日々延々続くと思うとちょっと憂鬱・・・


2500円という高価な本ゆえ無駄にはできないという気持ちとちょっぴりの興味で・・・娘とともにがんばろう!

ゴールデンウィークに帰省していた娘と夫と3人で和気の藤公園に行ってきました。


当地の西に当たる和気郡は和気清麻呂の生誕地として有名で、清麻呂公の生誕1250年を記念して昭和60年に和気神社の隣に藤公園が造られたそうです。

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7000�uの芝生の園内に国内外から集めた約100種類・150本の紫・ピンク・白色の藤が咲いているという日本一の藤公園。

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少し見頃を過ぎていて枯れかかった藤棚もありましたが大半は見ごたえのあるものでした。

           

近くには江戸時代前期に岡山藩によって庶民のために開かれたという閑谷学校もあり、人気エリアの一つになっています。



若い女性たちが藤棚の下で集まっては三々五々写真を撮っていて、流行のインスタグラムにアップするんだろうなという光景ばかり。


かくいう私も記念にいくつかアップします。







さて本日はデルフィーヌ・ミヌーイ氏著藤田真利子氏訳『シリアの秘密図書館』のレビューです。


「2015年、シリアの首都ダマスカス近郊の町ダラヤでは、市民がアサド政権軍に抵抗して籠城していた。
彼らは政府寄りのメディアで狂信者、テロリストと報道されていたが、実際は自由を求める人々であった。
政府軍の空爆により建物が破壊され、隣人が犠牲となる中、ダラヤの若者たちは瓦礫から本を取り出し、地下に「秘密の図書館」を作った。
知の力を暴力への盾として闘おうとしたのだ。
そんな若者たちにインタビューする機会を得た著者は、クッツェー、シェークスピア、サン=テグジュペリといった作家の本について彼らと語り、戦争に奪われた日常、図書館によって生み出された希望を記録していく。
図書館に安らぎを、本に希望を見出した人々を描く感動のノンフィクション!」


「21世紀最大の人道危機」といわれて久しいシリアの内戦。


テレビや新聞の報道を観るたびに胸が抉られるような痛みを覚えます。


ユニセフを通してスズメの涙ほどの募金をしてもそれが何になるのか、と自分に問うほどの惨状に目を覆ってしまいます。



訳者・藤田真利子氏は会員になっているアムネスティ・インターナショナルを通してシリア難民に関心を持ったといいます。

あとがきで次のように記していらっしゃいます。

「中東は遠い。
地理的にも、意識の上でも。私の中で、シリアの人々はいつまでも顔がないままだった。
そんなとき、シリアの封鎖された町で瓦礫の下から掘り出した本で図書館を作った人たちのことを書いた本があるから読んでみませんかという話をいただいた。
あの悲惨な爆撃の下で本を読んでいる人たちがいる、しかも瓦礫から掘り出してまで。
本の好きな人なら誰しも共感以上の感情を抱くに違いない。
また、この本の中ではそのダラヤという町の若者たちの目から見たシリア内戦が語られる。
街頭デモで叫んだときの思い、何を求めてデモをしたのか、アサド大統領に対する考え、イスラーム国やジハード主義者に対する感情、国際社会への期待、また銃を取った者は数少ないが、どんな気持ちで初めて銃を手にすることになったのかなど。
ダラヤの若者たちは、多面的なシリア内乱のたった一つの面にすぎないのかもしれないが、本書を読んでようやくシリアの人たちの人間的な姿が見えてきたように思う」



本書はシリアの首都ダマスカス近郊の町ダラヤの包囲と爆撃のもとで図書館を運営する若者たちの4年間の戦いを記録したものです。


現場に入ることのできなかった著者・デルフィーヌ・ミヌーイ氏がSNSやSkypeなどを通して若者たちと連絡を取り合い、4年間の包囲生活を記録したというノンフィクション。


原題は”Les Passeurs de livres de Daraya, Une Bibliothèque secrète en Syrie”『ダラヤの本の運び屋たち――シリアの秘密図書館』。



封鎖されたダラヤには政府軍から4年間で約6000発の樽爆弾が投下されたといいます。


住民は家も農地もすべて破壊され、直接的な死とそして飢餓と対峙しながら地下での生活を余儀なくされる中、瓦礫から掘り出した本で図書館を作り、検閲のあったアサド政権下で読書の経験のなかった若者たちが宗教、政治、歴史、哲学、文学に触れながら、今ある状況を真摯に見つめ、考えを深めていく姿が心に強く響きます。



現在、日本の小都市で平和な日々の合間に本書を読み、遠いシリアの出来事にただ心を痛めてブログにあげるという行為しかできない自分がとても恥ずかしくなります。


前途多難なシリアの若者たちが無事に生き延び、新しい平和なシリアに一日も早くなりますように、心から祈ってレビューを終わります。

8月は6日、9日、15日と決して忘れてはいけない記念日が目白押しですが、夫と次男の誕生日も続いています。


特に過去に何度か死と向かい合った夫が無事に喜寿を迎えられたのは僥倖ということで家族みんなでお祝いをしなくちゃ・・・ワガママでも仕方ない、この際許そう、と。


あまり甘やかしたくはないのがホンネですけど。


ということで、長女からは腕時計・・・たまたま愛用のものが寿命で回復の余地がないということで。

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長男一家からリクライニングチェアと3人で製作の写真立て・・・3人の力作です。

   


次男はこれから行く2泊3日の北海道旅行。 


そして私からスパイ小説と豪華ディナー・・・スパイ小説はほとんどを網羅しているので選びかたが難しいので本人にネット検索してチェックしてもらいました。


アワビのステーキ
牛タンのステーキ
バターナッツパンプキンポタージュ

牛フィレステーキ
ガーリックライス




ロアルド・ホフマン氏著『これはあなたのもの 1943-ウクライナ』


「感動の物語は、1943年ウクライナの屋根裏部屋から始まる…。
少年期の辛い体験を経てアメリカに移住し、ノーベル化学賞学者にまでなったロアルド・ホフマン教授の自伝的戯曲」


著者について
1937年ポーランドのズウォーチュフ(現ウクライナ)生まれ
ナチスのユダヤ人迫害のため、幼少時に父を殺され、母と二人でウクライナ人の家にかくまわれる
戦後の1949年に渡米
1965年よりコーネル大学の教員になる・・・専門は量子化学
1981年ノーベル化学賞を福井謙一と共に受賞
化学者であると同時に、詩人・劇作家としても活躍 (データベースより)



この戯曲は第二次世界大戦中の著者ご自身とその母親の記録を土台にしたフィクション。


1992年のアメリカ・フィラデルフィアを舞台にそこで慎ましく暮らすユダヤ人の母と息子の物語。


ウクライナ出身の母・フリーダと息子・エミールが移民としてアメリカに逃れるまでの苦難の道のりを描いています。


もう一つのアンネの日記といわれている由縁。


ナチスの兵士やウクライナ人の密告に怯えながら隠れ家にいた恐怖の日々や、フリーダの夫、エミールの父・ダニエルがナチスに惨殺されるという消すことのできない記憶を封印しながらアメリカでの新しい生活を送っていた一家でしたが、エミールの娘ヘザーがホロコーストについて調べるという学校の課題が出たことで、一家は一気に過去へと引き戻されていきます。


32歳と81歳のフリーダと6歳と55歳のエミールが交代に舞台に現れて過去を再現するという構成。


「この劇は、第二次世界大戦中の、彼自身とその母親のきわめて個人的な物語です。しかしそれだけではありません。この劇は大いなる喪失についての物語でもあり、人はその喪失といかに折り合いをつければよいのかという、人類共通の倫理問題に取り組んだ作品なのです。そしてもちろん、ホフマンの手になる『酸素』その他の戯曲同様、美しい文章で綴られ、緻密に構成された文学作品でもあります。『これはあなたのもの』はアメリカで大成功を収め、批評家たちから絶賛されました。私は、この劇には、日本でも同じように賞賛されるだけの、十分な要素がそなわっていると信じております」  オリバー・サックス(Oliver Sacks・神経学者)


「人種差別、戦争、ホロコースト……そういった邪悪なるものは人の心の闇から生まれる。そして、闇と戦うのは人の心の灯(あかり)。灯を灯し続けるために、人は、邪悪なるものの体験を語り継がねばならない。これは世界中の人を勇気づけてくれる作品だ」  竹内 薫(サイエンス作家)


そして著者・ロアルド・ホフマン氏の言葉・・・

「私が体験を語る理由は三つあります。
まず、こうした悲劇を二度と起こさないため。
二つ目は、今はもう語れない人たちのためです。
私の生まれた町にいたユダヤ人4千人のうち、生き延びたのはたった200人。
私は3800人のことを伝える責任を感じます。
三つ目は、戦争中にも『正しい選択』をした人たちがいたことを知ってほしいからです。
私たちをかくまってくれたウクライナ人のデューク一家は、自分たちの命を危険にさらすような決断をした。
戦争という残虐な時代にも、こんな道徳的な行動があった事実は人々に勇気を与えます」



そして彼はノーベル賞受賞スピーチでご自身を・・・
「戦争で引き裂かれた欧州の、ユダヤの血脈を継ぐ、アメリカンドリーム」の子」と語られたそうです。


余談ですが、今年6月15日~25日、新国立劇場にて八千草薫さんと吉田栄作さんを主演に舞台が上演されたそうです。


こういう舞台こそ全国を巡ってほしいものでした。

5月3日は憲法記念日、今年は日本国憲法が施行されて70年の節目となる年ということで各地で護憲派、改憲派のつどいが開かれたようですね。

安倍政権になって以来、今年は特に制定以来一度も改定されていない憲法が歴史的な転機を迎えています。


東京で行われた改憲派のフォーラムで流されたビデオメッセージの中で安倍首相は「2020年までに改正したい」と明言し、「9条の平和主義の理念については、未来に向けて、しっかりと堅持していかなければならない」と述べた上で、憲法に自衛隊の存在を明記する条文を追加する案を示したというニュースが出ていました。


こうして憲法改正に向け準備を進めるのに並行しての現政府の外交不作為の結果、戦争に巻き込まれたら・・・という不安への答えとして以前このブログでもご紹介したことがありますが、ブログ「吉備野庵」の庵主・zensanさんが挙げられていた興味深い内容を再度ご紹介したいと思います。 


戦争絶滅受合法案

戦争行為の開始後、または宣戦布告の効力の生じたる後、10時間以内に次の処置をとるべきこと。すなわち左の各項に該当する者を最下級の兵卒として招集し、出来るだけ早く、これを最前線に送り、敵の砲火の下に実戦に従わしむべし。

1、国家の元首。但し君主たると大統領たるとを問わず、尤も男子たること。
2、国家の元首の男性の親族にして16歳に達せる者。
3、総理大臣、及び各国務大臣、並びに次官。
4、国民によって選出されたる立法府の男性の代議士。
  但し、戦争に反対の投票を為したる者はこれを除く。
5、キリスト教または他の寺院の僧侶、管長、その他の高僧にして公然戦争に反対せざりし者。

上記の有資格者は、戦争継続中、兵卒として招集さるべきものにして、本人の年齢。健康状態を斟酌すべからず。但し、健康状態については招集後、軍医官の検査を受けしむべし。

上記の有資格者の妻、娘、姉妹等は、戦争継続中、看護婦、または使役婦として招集し、最も砲火に接近したる野戦病院に勤務せしむべし。


1929年に日本ジャーナリズムの先覚者・長谷川如是閑氏が論壇誌『我等』で紹介した戦争根絶に向けた提案です。

これが発表された時、大日本帝国は大陸侵攻を虎視眈々と狙っていました。

そして2年後に満州事変が勃発、中日戦争に突入し、それが太平洋戦争へと拡大し、”15年戦争”に国民を総動員した挙句に日本は滅びました。

「その時代背景を合わせ考え、熟読していただきたいですね。
再軍備を狙う”普通の国家”論者への反論、これに勝るものはありません」
と庵主。







さて本日はヘンリー・D・ソロー氏著&今泉吉晴氏訳『ウォールデン 森の生活』をご紹介したいと思います。


「19世紀末の作家ソローが、森での暮らしと大自然の素晴らしさを新鮮な感覚で綴った、米文学史上に輝く名著。
自ら森暮らしを実践するナチュラリストによる読みやすい新訳」


以前別の出版社の上下巻を読んだことがありますが、訳者の違いか本書はとても読みやすいと感じました。



『シートン動物記』でおなじみの今泉吉晴氏の翻訳版ということで、読みやすさを念頭にレイアウトにも工夫があり、ワイエスが描いた釣りをするソローの姿もすてきです。


マサチューセッツ州コンコードのウォールデン池の畔に家を建て、森の中でたったひとりで自給自足的生活を送った2年あまりの生活を1年にまとめて描いています。

ソローが27歳から29歳の間。

自然との出会い、自分との出会いを通して生きることの豊かさというものに気づいたソロー。


1817年アメリカ・マサチューセッツ州に生まれる
1833年ハーバード大学に入学、ギリシア文学、ラテン文学、イギリス文学を愛読する
1835年マサチューセッツ州カントンで教壇に立つ     
1836年病気で休学するがその後ハーバードに復学し、ハーバード大学を卒業、9月に小学校の教師になるが、生徒に体罰を加える事に反対して教育方針の非を教育委員会に申し出たが受け入れられず、二週間で辞職する
1838年コンコード・アカデミーの名称と建物を借用して、全人教育を目的とした私塾を兄と共同で始める     
1845年ウォールデン池畔にあるエマソン(超絶主義者のラルフ・ワルド・エマーソン)の土地に丸太小屋を建て、自給自足の一人暮らしを始める         
1846年アメリカ・メキシコ戦争はじまる
メキシコ戦争と奴隷制度に反対して人頭税を支払わなかったために逮捕され、ミドルセックス郡刑務所に収監されたが、叔母マライアが代りに支払ったため、翌日釈放される     彼の行動はのちにトルストイやインドの哲人ガンジー、黒人運動の指導者マーティン・
ルーサー・キング牧師、ヴェトナム反戦運動のノーマン・メイラーなどに強い影響力を与えた
ガンジーは暗殺されたときソローの著作を持っていた
1847年ウォールデンでの2年2カ月の生活を終える
1851年各地で「ウォールデン」と題して講演する
1854年フレイミングハムの奴隷制反対集会で「マサチューセッツ州における奴隷制度」と題して講演
ウォールデン池畔での生活記録『ウォールデン―森の生活』を出版
1855年頃から登山・野営などの無理がたたって不健康になる
1862年結核のため死去、享年44歳
1863年1月1日 リンカーン大統領が奴隷解放宣言


「私が森に行って暮らそうと心に決めたのは、暮らしを作るもとの事実と真正面から向き合いたいと心から望んだからでした。
生きるのに大切な事実だけに目を向け、死ぬ時に、実は本当には生きてはいなかったと知ることのないように、暮らしが私にもたらすものからしっかり学び取りたかったのです。
私は、暮らしとはいえない暮らしを生きたいとは思いません。
私は、今を生きたいのです。
私はあきらめたくはありません。私は深く生き、暮らしの真髄を吸いつくしたいと熱望しました」


深く生き、暮らしの真髄を知ることを理想とするソローの森の暮らし。


本書は湖畔での春夏秋冬を自然と向き合った経験を通して、ソローが感じた現代文明に対する批判やいかに生きるべきかという問題について、古今のさまざまな箴言などを引用して語るという手法で進んでいきます。

すべてが豊かな生を送るための示唆に満ちていて、疎かにできない言葉に溢れています。


生まれも育ちも、そして現在も、自然とは遠い環境にいる私には想像の羽を羽ばたかせる内容、何度読み返しても飽きることがない本書。

「あなたの人生が人から劣っていると感じた時でも、逃げずに、真正面から向き合いましょう。
あなたの人生は、あなたが考えるほど悪くはありません。
豊かさはお金では買えず、 夕日は金持ちの家の豪勢な窓に射すのと同じように、あなたの窓にも金色に輝きます。
あなたは自分の暮らしを愛し、楽しみましょう。
落ち着いた平静な考え方さえできれば、宮殿と同じように、明るく元気に満足をもって生きることができます」

生涯未婚のままで、しかも定職を持たなかったソロー。


現代風の履歴書というものがあれば、「学校教師、塾経営、農夫、測量士、鉛筆製造人、紙やすり製造人」という羅列、しかもそれぞれが長続きせず、日雇いのような仕事で日銭を稼ぐという社会不適合者のような生活。


しかし最低限の収入さえ確保できたら、他には何も要らないという徹底した理想主義者のソローを別の面から見れば「文筆家、詩人、超絶主義者、自然主義者、哲学者、思想家、奴隷制廃止論者」といえます。


いま流行の「LOHAS」という言葉はソローが提唱した言葉からきたそうです。


「どうして僕らはこんなに慌ただしく、こんなにいのちをむだ使いしていきねばならないのか。
飢えもせぬうちから餓死すると決めこんでいる。
今日の一針 は明日の十針などと世間では言うが、その流儀で明日の十針を節約するために今日は千針も縫ってしまう。
仕事はと言うと、これと言うものは一つもない」


「今日、すべての人が真理として共鳴したり、あるいは黙認しているものも、いずれ、明日になれば誤りであることが分かるかもしれない。
また ある人が自分の畑に慈雨をもたらす雲だと信じていたものが、たんなるそこらの煙にすぎないことが分かるかもしれない。
昔の人間が君にはできないといったことを、やってみれば出来ることに君は気づくのである。
昔の人間には昔のやり方があり、新しい人間には新しいやり方がある」


「家に戻った私は、昼に訪問者があって名刺を残していったのを知りました。
名刺といっても、ここでは、花束とか、常緑の植物で作ったリースとか、鉛筆で名前を記した黄色いクルミの葉とか、木切れです。
森に入ったことがあまりない人は、よく、森で何かを手に取り、いじって楽しみながら道をたどります。
今日の訪問者のひとりは、すらりと長く伸びたヤナギの小枝の皮をむき、リースに編んで私のテーブルにおいていきました。
このような名刺がなくても、私は森の小道の脇の折られた小枝とか、ちぎられた草の葉、あるいは靴跡などで、留守中に訪問者があったとわかります。
それに、一輪の花の落とし方、草のむしり方、置き方などの、ちょっとした痕跡から、たいていは男女の別、年齢、それに個性も察知できます」

「早くも9月1日に、家の向こう岸の水際に生える3本の大きなヤマナラシの白い幹に並ぶ、二、三の小さなカエデの木が深い紅色に変わりました。
お お、その深き色合いの多彩な階調が私に語りかけた物語の、なんと豊かだったことでしょう!
一週間、そしてまた一週間と、木それぞれの特徴が幾重にも現れ、どの木も淀みがない湖面の鏡に映るわが身に驚きの声を上げました。
朝ごとに、この画廊の主人である自然は、森という壁にかけた絵を改め、いっそうきらびやかで、いっそう調和の取れた彩の新しい絵にかけ替えました」


「幸福というのは蝶に似ている。
追いかければ追いかけるほど遠くに去る。
だけど、あなたが気持を変えて、ほかの事に興味を向けると、それはこちらにやってきて、そっとあなたの肩に止まるのだ」


「母なる自然が、獲物を捕らえたと思うと獲物になる暮らしによって成り立ち、無数の悲劇も生き物の偉大な輪を通じて命がつながっている。
競争のように見えて、実は相互扶助に満ちている」


「私はウォールデンの森を、森に入った時と同じように十分な理由があって去りました。私は引き続いて生きてみたいいくつかの別の人生が見えてきて、森の暮らしに時間を割けなくなっていました」

こうして2年間のウォーデンでの暮らしにピリオドを打ちました。


私たちが急ぎ足で通り過ぎる日常の中で、少しだけ立ち止まって周りを見回してみると自然の中の風や草木や花、そして空の広がり、月や星が豊かに存在している、そんな発見のきっかけになるような作品です。
ぜひどうぞ!!

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