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ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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カテゴリ: 横山秀夫

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どれほどの生死を見つめてきたのだらう富士山(ふじ)は樹海を腕(かひな)に抱く

富士山は雪にふかぶか覆はれて日本列島寒波に溺る

 

自己流に短歌を始めて2年目に初めて投稿なるものをしたのがNHK全国短歌大会でした。

 

題詠と自由詠にわかれていて、題詠一首&自由詠二首または自由詠二首という組み合わせでの投稿が決まり。

 

ドキドキしながら出詠したうちの一首が佳作になったときの嬉しかったこと・・・振り返ると新しい世界に一歩踏み入れたような新鮮さがありました。

 

国内外から寄せられた2万首前後の作品のうち、五分の一ほどが入選となり、その入選のうち本選選者15名ほどによってそれぞれ特選3首、秀作25首、佳作55首が選ばれるという仕組み。

 

特選3首の内訳は題詠1首と自由詠2首ですが、そのうち舞台に上がるのは題詠1首の1名と自由詠2首のうちの一席の1名のみ・・・2万首のうちの30首ほど。

 

初めて三枝昂之氏選で佳作をもらった2016年、一度見学してみようと娘とアスカを誘ってNHKホールに行きました。

 

寒さに震えながら長蛇の列のしっぽに並んで入ったホール。

 

席はたしか後ろの方だったような。

 

ここで紅白歌合戦が催されるのだなぁと眺めて・・・意外に狭い印象。

 

その夜のアスカの日記。

 

今日はMM(わたしのこと)とおねえちゃんと渋谷のNHK短歌大会に行きました。
短歌がうまい人は舞台に上がって賞状をもらっていましたが、MMは客席でただ見ているだけでした・・・

 


今から
4年前のことです。

 

次の年、思いがけず題詠で岡井隆氏に特選に採っていただき、その翌々年には念願だった15首連作の近藤芳美賞をいただくことができました。

 

2013年NHK全国短歌大会の別枠で近藤芳美賞が新設されて6回目、平成最後の年の受賞でした。

 

短歌を始めてまもなくから連作で物語を構築する面白さを知って、毎年出詠して3度目でした。

 

近藤芳美賞1名をトップに、岡井隆氏・馬場あき子氏・篠弘氏の3名の選者によってそれぞれ選者賞1名、奨励賞2名の計9名が選ばれます。

その他37名の入選という内訳。

 

2回は入選どまりだったので自分のようなありきたりの歌ではだめなんだと半ば諦めながら出詠していたのでただ驚いたというのがそのときの気持ちでした。

 

 

そして今年、再び運よく佐佐木頼綱氏選の題詠1首で特選をいただきました。

 

 

「運よく」と書きましたが、甲乙つけがたい山ほどの作品の中で選者に運よくピックアップしてもらえるというのは作品自体の運の良し悪しにかなりの比重がかかっていると常日頃思っています・・・あくまでも自分の作品に関してはですけど。

 

 

ということで今年の運も年初にほとんど使い果たした感ありです"(-""-)"

 

 

記念に採っていただいた歌をあげておきます。

 

大楠をひたすら登るカタツムリきみよ世界はこんなに広い

 

な~んだ、っていうような歌、恥ずかしいです"(-""-)"

 

 

 

 

 

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さて本日は横山秀夫氏著『震度0』です。

 

阪神大震災の前日、N県警警務課長・不破義仁が姿を消した。

県警の内部事情に通じ、人望も厚い不破が、なぜいなくなったのか?

本部長をはじめ、キャリア組、準キャリア組、叩き上げ、それぞれの県警幹部たちの思惑が複雑に交差する…。

組織と個人の本質を鋭くえぐる本格警察サスペンス

 

今回の上京の折に積読本の中から選んでバッグに入れていた作品。

2005年の刊行なので今から15年も前の作品。

ずっと前読んだ記憶はおぼろにありましたが、大好きな横山作品ということで再読。

最近刊行された『ノースライト』以外すべて網羅しているという横山フリーク。

図書館頼みのわたしは『ノースライト』に手が届くのは1年ほど先か??

わたしの中では警察モノ記者モノを書く作家さんの中では1、2を争う高評価。

デビュー作『ルパンの消息』からずっとファンとしてフォローしていますが、いかんせん遅筆で作品が少ないんですよね・・・ファンとしては今野敏氏の爪の垢を分けてあげてほしい。


そんな横山作品の中でダントツ
1位なのが1985年に起きた日本航空123便墜落事故をテーマの『クライマーズ・ハイ』。

もし未読でしたらぜひ!

 

さて本書について

さすが! 横山氏! おもしろかったです。

殺人事件ありきで、それにまつわる捜査の過程が描かれている定番の警察小説を期待されている読者の方には肩透かしですが、おススメの作品!!

古い作品なので既読の方も多いかと思いますが、タイトルから想像するとおり阪神淡路大震災にちょっぴりからんだ物語。

阪神淡路大震災が起きたまさにそのN県警警務課長の突然の失踪が判明。

 

単なる失踪か? それとも事件に巻き込まれたのか?

外部に漏らさず内内に処理するために右往左往する県警幹部たち

本部長、警務部長、警備部長、刑事部長、生活安全部長、交通部長のN県警幹部らが自分たちの保身とプライドを賭けて、立場を利用してそれぞれに情報をいち早く入手しようと躍起になる姿を微細に描いて秀作。

離れた角度からみるとかなり喜劇的な要素が満載。

それぞれの幹部の独白的な内面吐露がとてもおもしろい(^^)/

いまでいうつぶやき。

キャリア対ノンキャリアの図式はどの警察小説でも見られますが、本書でも末は警察庁長官の椅子が約束されている可能性のあるという35歳キャリアの冬木をはじめとして、立場は冬木の上座に位置する46歳キャリアの本部長・椎野など、野望と陰謀が渦巻く県警本部。

刻一刻とうなぎ登りに増える死者数と被害の大きさに目を見張りながらも、それどころではなく、大震災そっちのけで県警の懐刀といわれた警務課長・不破の失踪に混乱を来す様子がこれでもかと描かれています。

そんな男たちに加えて官舎住まいの妻たちをも描いて圧巻。

夫の地位に乗じて忖度が日常化している様子は笑いごとではすまされない息苦しさを感じるほど。

お互いの腹の探り合い、プライド対プライドの激突、足の引っ張り合い。

まさに一気読みの本書。

好き嫌いはあるかと思いますが、おススメです。 

この連休、2泊の駆け足で東京に行ってきました。

恵比寿にあるウェスティンホテルにリザーブした部屋で子どもたちが私の一足早い古希のお祝い会を開いてくれるというので。
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みんなで部屋を飾りつけて持ち込みの数々の料理やワインを用意して、夫と私の到着を迎えてくれて・・・一生の記憶に残る祝宴となりました。

家族とふがんじがらめの確かさよ子らが集ひてわが古希の宴

         



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その夜は生涯で多分・・というより絶対・・これっきりと思うウェスティンホテルのエグゼクティブルームに宿泊!
ベッドルームを含み3部屋、2つのトイレ。

イヴニングカクテルのサービスなどなど。

雑魚寝なら10人以上は泊まれそうな広さ!

何十分の一も元が取れない感じで残念ながらすぐ朝が来て、ヴィップルームでブレックファスト(朝ごはんなんて言いません)を食べ・・・迎えに来てくれた長男の車でそのまま夫と私の両親のお骨を安置している早稲田のお寺にお参りして長男の家に。

その夜は溝の口の近くに新築したばかりの長男の家に1泊。

久しぶりのあーちゃんとともにお嫁ちゃんの友香ちゃんと友香ママの作ったたくさんのご馳走を食べながらワイワイ賑やかな夜でした。

あーちゃん、とっても嬉しそう♪

お土産に持っていっていた今流行のrainbow loomで試行錯誤して作ってくれたのがこのブレスレット。

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翌朝からの続きは次のブログで。




さて本日は横山秀夫氏著『64』をご紹介したいと思います。

発刊されてからずっと狙っていた本書、先日図書館の棚で見つけ、即座に手が伸びました。

夜読もうとベッドに持ち込んだところ、あまりにもタバコの匂いが強かったので断念、翌日一日中外に干して匂いを消しました。

夫が図書館の本を嫌うのはこんなことや食べかすやシミが無造作につけられているのが理由、私もあまりひどいのはページを捲ることもいやで断念することもあります。

最小限のエチケットを守れない人が何と多いことか!


「警察職員二十六万人、それぞれに持ち場があります。
刑事など一握り。
大半は光の当たらない縁の下の仕事です。
神の手は持っていない。
それでも誇りは持っている。
一人ひとりが日々矜持をもって職務を果たさねば、こんなにも巨大な組織が回っていくはずがない。
D県警は最大の危機に瀕する。
警察小説の真髄が、人生の本質が、ここにある」


宝島社「このミステリーがすごい!2013年度版」国内編第1位
週刊文春「2012年ミステリーベスト10」国内部門第1位

本書で描かれている事件はD県警管内で身代金目的で昭和64年(1989年)に起こった7歳の少女の「翔子ちゃん誘拐殺人事件」。

7日間だけしか存在しなかった昭和64年に起こったことから「64(ロクヨン)」と呼ばれる未解決殺人事件。

「たった七日間で幕を閉じた昭和六十四年という年。
平成の大合唱に掻き消された幻の年。
だが確かに存在した。
犯人はその昭和最後の年に七歳の少女を誘拐し、殺し、そして平成の世に紛れていった。
『ロクヨン』は誓いの符丁だった。
本件は平成元年の事件に非ず。
必ずや犯人を昭和六十四年に引きずり戻す・・・」

この架空の事件の舞台となった県、横山ファンならご存知でしょうが、著者のデビュー作『陰の季節』の舞台でもあった「D県」とは上毛新聞の事件記者だった著者のグラウンドだった群馬県だというのが推察できます。

余談ですが、本書は昭和62年(1987年)に実際に群馬県で起こった「荻原功明ちゃん誘拐殺人事件」をトレースしているといわれています。


冒頭の「夕闇に風花が舞っていた」からラストの「風花が舞ってきた。その白さに、ふと、覚えたてのクリスマスローズを思った」で結ばれた文、著者の意外なるロマンティストぶりが発揮されていて何とも微笑ましい始まりと終わり。

横山ファンとして待ちに待っていた7年ぶりの著者渾身の647ページ。

これぞ横山作品といえる独特のはぎれのよい短い文章や会話で登場人物に血を通わせ、様々な人間を造形していく、7年の沈黙が何だったのかという感じで横山ワールドが生き生きと展開していき・・・

著者の頭の中で温めに温めていたことをうかがわせる密度の濃いすばらしい作品でした。

様々な警察小説の主人公の王道ともいえる颯爽たる刑事より、地味な事務方を主人公に据えるという横山作品の特徴そのまま、今回も人事やマスコミ、議会対策を主に扱う警務部に属する広報官という日の当たらない部署にいる警官を主人公としています。

D県警の広報官・三上義信の家族に起こったある事件を背景に、D県警で起きた過去の事件を掘り起こしながらD県警の暗部の核心に迫っていくというもの。

警察内部の軋轢、警察と新聞記者との齟齬、犯罪被害者家族の苦悩、三上自身の家族の苦しみなど内容は幾筋へも枝分かれしながらラストでは現実的な収束へと導く力量もさすが。

愚直ともいえる三上の苦悩の息遣いが聞こえてくるような臨場感ある作品でした。

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片づけ術なるものが世に出て相当になりますが、一向に衰えることがない感じ。

元祖といっていいかどうかわかりませんが、収納のスペシャリストとして近藤典子さんが雑誌などに登場しだしてゆうに10年以上になると記憶しています。


仏教用語である断舎利を変換した「断捨離」を片づけ術に入れられてブレイクしたやましたひでこさん


『人生がときめく片づけの魔法』がベストセラーになったこんまりさんこと近藤麻理恵さん


一般のお宅を訪問して片づけ指南を展開されている収納王子コジマジックこと小島弘章さん


様々な人が様々な角度から収納や片づけのノウハウに迫っていて見とれてしまいます。



私自身は引越し回数が多かったのと、何でも捨てない主義で家がごみ屋敷と化していた母を反面教師として、不要なものを処分するのを厭わない性格、周囲の友人知人と比べるとかなりすっきり暮らしていると自負しています。


1年前に行った人生最後(と思っている)引越しでは、今まで以上に処分に処分を重ねました。


服は衣替えが必要ないように夫と私のそれぞれの整理ダンスとクローゼットに納まるだけ。


特に大胆に処分したのは長年好きで集めていたかご類や部屋に飾る各種装飾品など。


というわけで片づけに関してはひそかに胸を張っていたのですが・・・


先日あるSNSでお知り合いになった方が日記で紹介されていた究極の片づけ人のブログを見てびっくり。

仙台在住のグラフィックデザイナー・ゆるりまいさん「なんにもないぶろぐ」

タイトルどおりほんとうにな~んにもないんです。

住み替えを機会に何にも置かないスタンスにしたそうですが、ご主人と彼女のお母さん、おばあさん、そして猫3匹が共に暮らしているといいます。

でもまったく人の気配を感じさせない家。

マンションなどのモデルハウスよりもっと生活感のない家。

ほっかほかの湯気が上がるお鍋を囲んでワイワイガヤガヤなんて想像だにできないほどスタイリッシュ。


数少ない家具や食器、雑貨などすべてが彼女好みのモノトーン調のステキな品で統一されています。


彼女のこの見事な断捨離ぶりには驚きを通り越して唖然という感じ。


これから子どもを持とうという世代らしいですけど、何に向けてここまで徹底した断捨離をするのか。


私の世代だと遺された家族が不要なゴミの処分に悩まないように、という目的意識に動かされて・・・という大義名分がなりたちますけど。


ほとんど家具もない、食卓テーブルの上もキッチンも雑ものはすべて扉の中に収納されていてつるんとした場所。


お客としてちょっとお邪魔してくつろいでおしゃべりしたい・・・とは思えない、というかよそ者がリラックスしてはいけないような場所。


なんだか気が抜けないというか。


生活とか趣味の範疇からはみ出るようなものは処分箱行きとなると・・・そのうち家主の範疇に入らない人間も処分されそうな・・・もちろんそんなことはないんでしょうけど。



このようなシンプルな空間には憧れますが、やはりものには限度というものがあるのではないか、とそんな気がしました。


もっともそんな感想を抱いたのはへそ曲がりな私だけで、多くの人々から熱い羨望で迎えられているそうです。


そんなゆるりまいさんの極度の断舎離に至ったことの顛末をご自身によるコミック化で再現された本『わたしのウチには、なんにもない。』がエンターブレインから刊行されているそうです。

ご本人のブログを訪問すればamazonに導かれます。





さて今回は横山秀夫氏著『動機』のレビューです。

「署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した。
犯人は内部か、外部か……。
男たちの矜持がぶつかりあうミステリ短篇四篇を収録」


週刊文春 2000年 国内第3位
このミス 2001年 国内第2位
第53回日本推理作家協会賞短編賞受賞


著者の作品は刊行されて早速2013年本屋大賞2位になった『64』以外すべて読んでいますが、短篇長編どの作品もある意味読者を裏切らない内容の作品ばかり。

このブログでも9冊の作品のレビューを記しています。

過去のレビュー群はこちら

中でもいちばんのお気に入りは御巣鷹山に墜落し520人という史上最大の犠牲者を出した日航ジャンボ機墜落事故を扱った『クライマーズ・ハイ』です。


さて本書に戻ります。

本書には4篇の短篇が収録されていますが、それぞれの主役は警察官、元犯罪者、女性新聞記者、地裁判事とバラエティに富んでいます。


◆警察手帳の紛失事故防止のために警察手帳の一括保管導入制度の口火を切ったJ県警本部警務課企画調査官・貝瀬警視に降りかかった事件-保管したはずの30冊の警察手帳が盗まれるという事件を通して矢面に立たされ、独自に追う過程を描いた「動機」

貝瀬の責任問題に留まらず、J県警の不祥事にまで発展していく事態を前に警察各部署の保身ぶりと共に、警察を退職と同時に精神を病んだ父親の様子をサイドストーリーに据え、警察官としての自分を見つめ直す様子が描かれていて秀作です。


◆ふとしたきっかけで13年前に女子高生を殺害し、服役後社会に戻った山本にかかった殺人依頼の一本の電話によって封印していた過去の殺人の記憶の闇を再び呼び戻すことになった男の悲哀を描いた「逆転の夏」

4篇の中では一番長く、著者の趣向を凝らした構成力が感じられた作品でした。

被害者、加害者、そして両方の関係者の人々の哀しさが胸に沁みます。


◆地方新聞の警察回りの女性記者・水島を主人公に、女性であるがゆえの悔しさとか理不尽な怒りを描いた「ネタ元」


◆法廷で不覚にも居眠りをして愛妻の名前を連呼してしまった裁判官の悲哀を描いた「密室の人」

司法の世界で最も高い位に位置する裁判官の威厳に満ちた厳粛さに見せられ、公私の区別なく厳粛一筋の人生を歩む主人公が初めて味わった危機が思わぬ方向へと向かっていく様子が描かれていて読ませます。



4作品とも読者の目を意識して緻密に計算された複線があり、それぞれ主軸になる筋書きとともに人間に光を当てた人間ドラマを描きあげています。

よかったらどうぞ。



友人にガーベラをもらいました。

花弁が糸状になった珍しい品種と八重になったものです。

別名アフリカセンボンヤリという名が著すように原産地は熱帯アジアやアフリカだそうです。

熱帯を思わせるオレンジや黄色などの華やかな色合いが多いのもうなずけますね。

日本で切り花用として流通している品種は現在2000品種以上もあるそうです。

花言葉は「崇高美、神秘」。


茎が長いまま花瓶に4~5cmくらいの水を入れて挿し、水に浸かった茎の部分が弱ってきたら4~5cm切り落としてまた水に挿す、ということを繰り返すと長く鑑賞できるそうです。





さて、本日は横山秀夫氏の『看守眼』をご紹介したいと思います。


短編の名手といわれている横山氏は今まさに旬の作家!

短編ばかりでなく長編においてもすばらしい書き手であることは多くの作品が証明しています。



このブログでも簡単な横山氏の経歴とともに長短編取り混ぜて8編ご紹介していますので、よかったら読んでください。

      http://yaplog.jp/ashy_ashy/category_2/


☆『ルパンの消息』  ☆『第三の時効』  ☆『クライマーズ・ハイ』  ☆『出口のない海』  ☆『真相』 
☆『陰の季節』  ☆『臨場』  ☆『震度0』

中でもイチオシは『クライマーズ・ハイ』! 昨年のベスト10に入れました!




「刑事を夢見て看守台に座り続けた男 ― わかるんだよ。 刑事にはわからなくてもな」

本書にはこの表題作のほか5編の短編が掲載されています。


看守、ルポライター、調停委員、警察署の情報管理課員、地方新聞の整理記者、知事公室秘書課長という様々な舞台の主人公の日常に潜む魔の刻を臨場感ある筆致で緊迫の人間ドラマに仕立てています。


★29年間刑事を夢見ながら留置場の看守として歩んできた男が自らの勘を頼りに過去の死体なき殺人事件の真相を追い求める姿を描いた「看守眼」

★無名のルポライター只野が、突然舞い込んだ兵藤電機会長の自伝の仕事をするうち自らの欲によって潜んでいた落とし穴に嵌ってしまう様子を描いた「自伝」

★家裁の調停委員のゆき江の前に離婚調停で現れた女を通して抱いた優越感が、あることをきっかけに見事に逆転する様を描いた「口癖」

★管理するM県警察のホームページを早朝ジャックされた立原が保身のために追い詰めた犯人の言葉によって今までの自分の人生を省みる様子を描いた「午前五時の侵入者」

★長い外勤記者から整理部に異動になった高梨が犯したミスによって巻き込まれた殺人事件の真相を追う様子を描いた「静かな家」

★県知事の秘書課長を全力で真面目に努めていた倉内に降りかかった思わぬ不運を、新しく台頭してきた新人秘書の様子と対比して描いた「秘書課の男」


警察小説作家として独壇場にいる著者ですが、『クライマーズ・ハイ』の舞台となった著者自身の古巣の新聞社などを舞台に、縦横無尽に主人公を操る筆力にはいつもながら感服します。

判官びいきの我が家は伝統あるトラキチです。

義父や実父の代から続いているトラキチもしっかりその孫世代にバトンタッチされています。

東京に生まれ育って阪神のハの字も知らなかった長男のお嫁さんがいつのまにか私以上に詳しくなっていたのには驚きました。

弱いトラに泣き、強いトラに喜びの数十年、来年はどうなるのでしょうか。

今岡選手に代わって選手会長に指名された赤星外野手が「補強したから戦力が100から150になるもんでもない。あまりやりすぎると失敗することもある」と勇気ある巨人批判をしたことが話題になっていますね。

選手獲得に関する巨人の姿勢に常々歯噛みしていたアンチ巨人には力強い指摘でした!

それにしてもクルーン、グライシンガーに続き、打点王のラミレスまで獲得した巨人の財力のすごさ!

来年に新たな期待をかけます!



さて今回は何度目かの横山秀雄氏著『震度0』をご紹介したいと思います。

ノリにノッている旬の横山氏ですが、このブログでも過去に7作品をアップしていますので経歴とともに読んでくだされば嬉しいです。

     http://yaplog.jp/ashy_ashy/category_2/


これらの作品の中で私のイチオシは『クライマーズ・ハイ』、そして今回の『震度0』です。


寺尾聡主演で映画にもなった『半落ち』を最高作品に挙げる方がいらっしゃいますが、直木賞候補になりながら現実的に受け入れられない内容という理由から批判を浴びて落選したことから選考委員と横山氏の間に大きな溝が深まり、結果的に横山氏の「直木賞決別宣言」に発展したのは有名な話ですね。

私は選考委員の批判に組するものではありませんが、やはり『半落ち』読了後の違和感を拭い去ることができず、世評との大きなギャップに首を傾げたひとりでした。


というわけで、『クライマーズ・ハイ』に準ずるおもしろさで、★★★★というところでしょうか。


『クライマーズ・ハイ』は地方の新聞社を舞台、に520人もの死者を出した1985年の御巣鷹山日航ジャンボ機墜落事故を主幹にして組織と個人、家庭内での軋轢などを描いて秀作でしたが、本書『震度0』は地方の県警本部を舞台に、未曾有の阪神淡路大震災を併行させ、部内でのキャリア組と準キャリア組、ノンキャリア組の軋轢にひとりの警察官の失踪をからませながら警察という狭い社会の人間模様が見事に描かれています。


本部内のキャリア組、準キャリア組、ノンキャリア組などの序列もさることながら、本部長を筆頭に警務部、警備部、刑事部、生活安全部、交通部、総務部などの力関係や県警本部と暴力団や右翼とのアンダーグラウンドでの結びつき、各部長たちが退職後天下っていく場所を確保するための財界との癒着などがそれぞれの部長の思惑を描ききることで浮き彫りになっています。


「大震災の朝、被災地から遠く離れたN県警本部に別の激震が走った。
県警内部人事を司る幹部、不破刑務課長が失踪したのだ」


不破刑務課長の失踪を巡っての各部部長たちの当惑・・・そして思惑・・・保身&野心・・・打算へと目まぐるしく移り変わっていく心理をこれでもかと深く抉っています。


未曾有の大震災を意識のかなたに追いやっての県警本部内で男たちが繰り広げる震度0の醜悪な思惑争いの末の思惑を超えた結末は読んでのお楽しみに!


人間の虚虚実実の醜い保身を赤裸々に顕わにした物語ではありましたが、最後の最後で人間の心を軌道修正したのは横山氏のすばらしい筆力によるものだと思います。

元東京五輪水泳選手の木原光知子さんが昨日18日にくも膜下出血のため59歳で亡くなられましたね。

岡山出身で高校在学中に東京五輪に出場、女子400mメドレーのアンカーとして自由形を受け持ち、4位入賞に貢献したことで有名です。

その後自由形の日本新記録を何度か更新しましたが、日大在学中に選手を引退、魅力ある容姿を生かしてモデルに転身したことでも知られています。

平成17年には日本水泳連盟理事に就任、マスターズ水泳の普及活動などに献身していらっしゃいました。


同郷という以外接点のない私ですが、その昔東京行きの同じ寝台車に乗り合わせたことがあります。

東京五輪直後だったので彼女は岡山でもちょっとしたスターでした。

駅に見送りに来られていたお母様が私に「みちこをよろしくお願いします」と心配そうに頼まれました。

少し年上の私に彼女はすぐ打ち解けて練習の大変なメニューなどを話してくれたのを思い出します。


早すぎる急逝、ご冥福をお祈りします。



さて今回はまたまた横山秀夫氏にご登場を願って『臨場』をご紹介したいと思います。

このブログでも6作品アップするほどの横山フリークである私は書店に積み上げられた文庫本を見つけるとワクワクします。


過去の6作品&横山氏の経歴についてはカテゴリアーカイブの「横山秀夫」をクリックしていただいてご覧くだされば嬉しいです。


本書もまた著者の得意分野である警察小説で、8編の短編が収録されています。


警察小説というといちばんに思い浮かべるのは刑事といわれる捜査官が活躍するものですが、横山氏の取り上げる分野はとても幅広く、前回アップした『陰の季節』では今まで日の当たらなかった管理部門、そして今回は検視官を主人公にクローズアップしています。

警察にあらゆる視点から迫ってこれだけの幅広い題材を扱える才能には敬服します。


「異名は”終身検視官”―
死者が発する『無言の叫び』が事件の真相を明かす」

主人公は検視官倉石義男。

変死体が出たとき、他殺か自殺かを早い段階で見極めることが仕事です。

タイトルの「臨場」は、警察組織内で事件現場に臨み、初動捜査に当たることをいいます。


「検視官」といえばパトリシア・コーンウェルの描く主人公検視官ケイ・スカーペッタを思い浮かべますが、本書の主人公倉石も豊富な知識と経験と類稀な天賦の洞察力と観察力で物言わぬ死体からいろんな過去を浮かび上がらせます。


自殺に見せかけた他殺、他殺と見紛う自殺など、倉石の登場によって瞬時に企みは見破られていきます。

心酔する部下たちによって「倉石学校の校長」と呼ばれているにもかかわらず、どんな世辞や脅かしにもなびかない一匹狼!

組織の中にあって出世や競争には一切関心を持たず、己の道を貫く男の生き様をこれでもかと描いています。

倉石そのものがハードボイルドという感じの小品にはややもすれば作り物めいた感が拭えない箇所もありましたが、そんな小さな違和感は瑣末であると納得するような臨場感あふれる本書でした。

それにしても起承転結のすぐれた書き手です!

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