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ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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カテゴリ: 渡辺容子

あまりの多忙にのんびりが必要な娘に付き合って2人でぶらり長野の野尻湖半のホテルに2泊してきました。
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近代建築家の巨匠・清家清氏が手掛けたといわれる別荘型リゾートホテル。



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信越ファーマーズ季節の新鮮野菜をエルボスコスタイル2種のソースで

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栗のポタージュ

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信州高原豆の蜜煮と鴨のスモークポルトビネガーソースフォアグラの味噌漬け焼き秋茄子の“こねつけ”と一緒

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信州産鮎のコンフィラビゴットソース

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長野県産牛ロースのグリル赤ワインソース信州茸と


移動の間も滞在中も職場からバンバン電話やメールが来て緊急の対応を必要とするようでいつも神経を張り詰めていて可哀そうなほどでしたが、晩秋の野尻湖がどの場所からも見える低層のホテルで地元の旬の食材を活かしたコースディナーを食べ、非日常を味わって少しずつ疲れも癒されていく・・はずだったのに・・・滞在第一日目の遅い夕食のあとワインを愉しんでいたとき、突然突き上げるような激しい揺れに見舞われました。

阪神大震災と同じ直下型とすぐわかりました。

テーブルの上のワイングラスが床に滑り落ちてガラスが飛び散り、同時に緊急を告げるサイレンが鳴り響き、灯りが消えました。

阪神大震災をもろに経験したというのにどうしていいかわからない私は娘の誘導でテーブルの下にもぐりました。

しばらくそうしていて揺れが静まってきた段階で館内放送の指示に従ってフロントのロビーに宿泊客が集まりました。

その間も緊急サイレンが鳴り続け恐怖を誘うよう。

あの音は心臓に悪い(――;)


「状況の把握のため今しばらくお待ちください」

度々館内放送があり、自家発電のモーターが回復したとの放送によって宿泊客が三々五々部屋に。

私たちもフロントに確認して12時前引き上げました。


スマホで状況確認をしたところ震源地のすぐ近くの信濃町に立地しているホテルとわかり、留守番の夫もたいそう心配してあれやこれや電話してきました。

その夜は荷物をまとめてすぐ出られるように入り口に置き、服を着たままで横になりましたが、微弱な余震だったので眠りに就く事ができました。


翌日、夫は震源地を離れてなるべく遠くに宿替えすべきだとかなり強硬に言っていましたが、私たちはそのまま何事もなくのんびり2泊したのでした。

マッサージまでお願いして。


「お前たち肝が据わっているというか、恐いもの知らずというか、鈍感というか・・・」と帰宅後夫は非難とも呆れたともとれる言葉を何度も発していました~(――;)


冬は雪に閉ざされる当ホテル、はからずも私たちが今シーズン最後のお客だったということでボジョレーヌーボーがふるまわれたり、ホテルセレクトの長野県産ワインのサービスがあったり・・・ホスピタリティのすばらしいホテルでした。






さて本日は渡辺容子氏著『罪なき者よ、我を撃て』のレビューを少し。


「『結婚式を中止せよ。さもなくば、惨劇が起きる』。
警備保障会社に勤める二ノ宮舜は、アダルトグッズ会社社長の義娘、風間小麦の警護を任された。
社長夫妻が挙式した数時間後、同会場で花嫁が脳幹をライフルで撃ち抜かれ死亡する。
式の後、小麦は舜の目をかいくぐり、義父の経営する工場に潜入しようとする。
その翌朝、小麦の自宅に一発の銃弾が撃ち込まれた。
江戸川乱歩賞作家入魂のボディガード・ミステリー!」


以前にも何度か書きましたが、『左手に告げるなかれ』から始まった保安士・八木薔子シリーズのスピンオフ作品。

それまでのヒロイン・八木薔子は今回は脇役として登場しています。


『左手に告げるなかれ』→『ターニング・ポイント―ボディーガード八木薔子』→『エグゼクティブ・プロテクション』→『罪なき者よ、我を撃て』という時系列ですが、面白かったのは『ターニング・ポイント―ボディーガード八木薔子』までで、保安士からボディーガードに転身しての活躍を描くあとの2作はアメリカならともかく日本の現状から浮遊したような内容であまり共感が持てませんでした。


聖書から採ったであろうタイトルからして大上段に構えすぎて内容にそぐわないという感じでちょっと引き気味。


要人を警護するSPの仕事の詳細など著者の取材力のすごさには感服しますが、八木の同僚で今回の主人公に共感がなく最後まで読むのが苦痛でした。


が、小説に書かれている実態が現実に即していると仮定すれば、民間の警備会社での訓練されたSPたちの辣腕ぶりには舌を巻きました~。

某会場で年に1度の夫の所属するグループの油彩画展が開かれています。

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昨日買い物のついでに夫と覗いてみました~。

受付に私も親しくしているメンバーが2人いて、ちょっとした差し入れを渡して話していたら・・・

夫が入ってすぐの入り口のところに貼っていた紙を許可もなく猛烈な勢いで剥がしていました^_^;

ある議員さんの作品展への挨拶状。

「こんなもん!! オレ大嫌いやねん!」

受付の2人も唖然としながら「・・まあ・・ねぇ」と。

「地盤の催し物会場に顔売るヒマがあったらやることせぇちゅうねん!」

ごもっとも^_^;

だけどなんという言葉遣い! そのスジの人かわが夫は!

子どもが大きくなったようなワガママ夫を許してくれる仲間あればこそ・・・


たしかに私が甘やかしすぎましたけど・・・すみません






さて本日は渡辺容子氏著『魔性』です。


「鈴木珠世は29歳で、独身、元OL。
引きこもりの彼女は、あるサッカーチームのサポーターになっている。
ところが試合当日、サポーター仲間の少女が何者かに殺された。どうやら犯人は彼女たちの近くにいるようだ。
犯人捜しを始めた珠世だったが、思いもよらぬ展開になっていく...。
実力派乱歩賞作家が放つ長編ミステリー」


死者に鞭打つようで申し訳ないのですが・・・凡作です(-_-;)


先日も書きましたが『左手に告げることなかれ』がよかったので著者の作品はほとんど後追いしていますが、いいのとそうでないのとの差がかなり。

まあどんな作家さんも同じことがいえるでしょうけど・・・。

いちばんの欠点は内容の割にあまりにも冗長な筋立てに続く取ってつけたようなラストの締め。


育った環境で母親に対して恐怖心を抱きそれがトラウマとなっている元OLが主人公。

会社を辞めたことが引き金となり引きこもりになった主人公・珠世があるきっかけでサッカーのサポーターのひとりである少女と知り合い、サポーター生活に生きがいを見出しますが、立ち直りのきっかけを作った少女が殺されたことから犯人探しをしながら成長するという成長譚・・といえばいえるかな??


サポーターの一群としての登場人物が多く、犯人探しのためにそれぞれの人物の行動や性格を分析していく作業が何とも上滑りで作品に薄っぺらなイメージを与えています。


かなりの長編でしたが、久しぶりに飛ばし読みの特技を発揮した作品でした(――;)

2年前乳がんで亡くなられた渡辺容子氏の作品に初めて触れたのは江戸川乱歩賞受賞作『左手に告げるなかれ』でした。

今ブログを調べてみると2006年にアップしているので今から8年も前になるのですね。

スルガ警備保障保安士・八木薔子を主人公としたシリーズ、映像化もされ、ヒロイン八木薔子を演じていた天海祐希が珍しくイメージに合っていたのを覚えています。


シリーズ第3作『エグゼクティブ・プロテクション』が最後となりました。


著者の作品では特に八木薔子シリーズのファンだったので成長し続ける八木薔子がもう見られないのは残念です。


今日ご紹介するのは著者が闘病中に執筆されたものですが、その資料を検索中、がんの無治療つながりで無治療患者さんのブログを見る機会がありました。

40代の乳がんの女性の方2人。

それぞれの理由で医師の勧める標準治療-手術、抗がん剤、ホルモン療法、放射線-を拒否して自然に任せる、あるいはがんが消滅あるいは退行するという代替医療にのめり込むという道筋。


大方は抗がん剤が正常な細胞を蝕み体がかえってボロボロになる、強い抗がん剤によって逆にがん細胞の威力が強まりとてつもなく苦しい死への道のりとなるというのが考え方の1つにあるようです。

代替医療にも種々ありますが、推奨される人はがんが退行または消滅する、あるいは最悪の場合でも3大治療をした場合とちがってゆるやかな穏やかな死が迎えられるといいます。


私はがんに罹患したことはありませんが、元来過剰な化学療法に否定的でできるなら東洋医学的なものや代替医療で体を正常な状態に戻したいという願望をずっと持っていました。


夫が3度のがんになったとき、私がリウマチになったとき、思いつくかぎりの東洋医学、代替医療を行って悪戦苦闘した長い期間があります。


温熱療法、枇杷の葉療法、抗がん作用のあるきのこ各種、NK細胞が活性化するというお茶各種、玄米菜食を含む正食療法、鍼灸、交流磁気、遠赤外線、水などなど数えあげたらきりがありません。


リウマチと診断されてすぐに大学病院でステロイドを処方され、飲み続けたためにステロイド性白内障、糖尿病、高血圧、ムーンフェイスなどてんこ盛りの副作用を経験し、これはいかんと初めて勉強し調べた結果、ステロイドゼロを売り物にしていた某博士の指導する代替医療専門病院に3ヶ月入院したこともあります。

そこで見た現実、9割ががん患者さんと重症のアトピー患者さんで占めるその病院では主旨とは違ってステロイドが使われ、加えて某博士が考案したというサプリを浴びるほど服用して細胞を新しく生まれ変わらせるという療法。

外部から見たらたいへん奇妙な集団だと今は思いますが、中にいる患者たちはお互い助け合いながら必死に代替医療にのめり込んでいました。

全国津々浦々から集まった患者さんたちからも多岐に渡った代替医療の知識を得ました。


私はといえばステロイドを抜くために入ったはずなのに、その3ヶ月の間にステロイドが増量され炎症反応は下がったものの(当たり前^_^;)退院したらすぐに元の木阿弥になったりして。。


濃密な入院生活で心を寄せ合ったがん患者さんたちは一定期間の入院生活で徐々に悪化して退院後1~3年のうちに全員亡くなるという悲しい別れも山ほど経験しました。


化学療法を拒否した人たちばかりでしたが、某博士も常日頃言われていた「ゆるやかな死」とは遠い道のりを辿られた方がたくさんいました。

すべての代替医療がそのような実態とはいいませんが、その後夫のがん発症を通して学んだことはどのようなすぐれものの代替医療もがんの前にはほとんど無力であろうということ。

持って生まれた遺伝子にもよるだろうし、万人に効く代替医療があればいいんですけどね~。


30歳で手遅れに近い乳がんを発症(母親に隠していたために受診が遅れた)した姪を診察した乳がんの名医といわれている医師はあまりの患部の凄惨さに息をのんだといいます。

両親(私の弟夫婦)の前で一応手術はするが3ヶ月の命と宣告されたそうです。

その後長く続く抗がん剤に耐え、3ヶ月といわれていた余命は12年たった現在も元気で更新しています。

放置していたらどうなっていたか、きっと悲惨なそして薄氷を踏むような毎日のあとの死だったと思います。

その後のことは神のみぞ知るですが、それでも放置しなくてほんとうによかったと思える例です、夫の例も含めて。


そんなこんな様々なことを踏まえて、さて私ががんに罹患したらどうか、部位、がんの悪性度など様々な要因を検討しなければなりませんが、今までそれなりに幸せな人生を送れてきたことを感謝して放置に傾くかもしれません。

子育てしなければいけない子どももいないし。

その時点での年齢が非常に重要なポイントになるような気がします。

自分自身は若いときより生きる意欲に乏しい人間・・・例えば明日朝目覚めなくてもそれなりに満足する生だったと日頃から思っているのでアグレッシブな選択はやめにして自然に過ごす方を選ぶかもしれません。


が、これもその場になってみなければわからない、ただ後悔しない選択をしたいと思っています。


渡辺容子氏の作品に話を戻します。


渡辺容子氏著『乳がん 後悔しない治療──よりよく生きるための選択』






「ちょっと待って! その手術、その抗がん剤、本当に必要ですか?──医師の勧めに従って受ける手術や治療。でも後遺症や副作用で苦しむのは患者です。あなたは、本当に信頼できる医師から、納得できる治療を受けていますか?」


著者の乳がん発症からの経緯は出版社のコメントが明確にトレースしているので以下転載します。

―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ――  
16年前、彼女は自分の乳房に5ミリのがんを発見する。
超早期発見である。
通常なら、すぐに手術でがんを(あるいは乳房すべてを)切除するところだ。
しかし、彼女は、そのままがんを放置する。
あきらめたからでも、自暴自棄になったからでもない。
慶応義塾大学放射線科の近藤誠医師と出会い、乳がんについていろいろと学んだ彼女は、現代医学が提唱する早期発見・早期治療がいかに非科学的であるかを知っていたからだ。
現在、一般的に推奨されている乳がん治療は、がんを叩くと同時に、体に大きなダメージを与える。
それで乳がんが完治するなら悪くない。
だが、多くの乳がんは、超早期で発見して切除しても、転移するものはすでに転移をしてしまっている(なかには転移しないものもあり、これは命取りになることはない)。
手術の後遺症や、抗がん剤の副作用に苦しみながら、がんと闘っても、延命効果はないのである。
それならば、体へのダメージを最小限におさえた治療を受けながら、自分の人生を十分に味わって生きていこう。
信頼できる医師と相談しながら、自分に適した治療法をひとつひとつ自分で選択していく彼女は、与えられた薬についても、その効果をいちいち確かめながら自分で適量を定めて飲む。
納得のいく治療を受け、後遺症や副作用を最小限に抑えて前向きに生きる。
彼女の実践は、乳がん患者だけでなく、いずれは死んでゆく私たちすべてに、不安や恐れを克服して生きる道を教えてくれる。
―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― ◆ ―― 

近藤医師の推奨される「乳がんをいつ手術しても結果は同じ」という説を信じているだけでなく乳がん検診や術後の定期検診も否定されていたそうです。

近藤医師の著書は我が家にもずらりと並んでいますが、学説的には厳しい反論も多く、一般人である私にはどちらが正しいのか、あるいは一部が正しいのか判断に苦しみますが、彼の説に共感を持ち、納得して揺らがないという渡辺氏の信条はりっぱだし、なによりも渡辺氏ご自身は迷いがないという点においては幸せだったのではないでしょうか。

人間は遅かれ早かれいつかは必ず死にます。


著者の選択がベストだったか、そうでなかったかというのは別として、人生の限りをまだ人生途上半ばで知り、しっかりと見据え、豊かで意味あるものにする努力をしたということに最大の敬意を払いたいと思います。

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今年も残りわずかになりました。

家族の予定を書き込める小さな卓上カレンダーと手帳を買いました。9732fa5c.jpg


カレンダーに書き、手帳に書き込んでいてもその日の予定を忘れるお年頃。


ある日は1週間後の予定をその日と勘違いして友人をいくら待っても来ないので電話したら1週間後と判明したり。

まわりの友人たちもそんなことばかり。


「赤信号みんなで渡れば」式に仲間を得たりと妙に安心するのが危ないそうな。


内職にしていた細かい作業を要する仕事をリタイアしてからどんどん脳が退化しているのかもしれません。


思い出せそうで思い出せない事柄はその場で放棄せずに思い出すまで追い求めるのが脳にいいそうです。


昨日も友人たちと映画の話になって・・・

トラボルタの名前とデビュー作がどうしても思い出せない(――;)

そばにいた2人の友人も同じ、1人が忘れると同じように次々忘れるというのは伝染性のウィルス?


「たしか『ト』が付いてデビュー作がダンス映画で、デビュー時は痩せていたのが今では見る影もないアメリカ映画のスター、ジャンキーの若者も演じたことあるけど・・・」

「うん、うん、わかる、あの人でしょ・・・え~と え~と・・・」

「あ、思い出した、トラサルディ」

「トラサルディーじゃない、ジョン・トラボルタ!!」・・・・なんて3人がかりでやっと(――;)


年頃になるとこういった意味でも助けになる友人は必要です。




渡辺容子氏著『エグゼクティブ・プロテクション』

「トップランナー、真姫の警護を担当することとなったボディガードの八木は、自らの髪を金色に染め、ハイ・プロファイル・プロテクションを実施する。
企業のイメージキャラクターとして、アスリートとして、涙を見せず気丈にふるまう真姫に、悲劇は襲いかかる。
コーチが殺害され、あらぬ疑いをかけられた真姫を救うため、八木の率いる女性警護チームがあらゆる危険を排除すべく動いたが―
『左手に告げるなかれ』の江戸川乱歩賞作家、渡辺容子が圧倒的なスピードとスケールで描く渾身のボディガードエンターテインメント」


女性保安士・八木薔子を主人公とした江戸川乱歩賞受賞作『左手に告げるなかれ』で描かれた未知の保安士の世界の描写がおもしろく、のちの短篇『ターニング・ポイント―ボディーガード八木薔子』では保安士からボディーガードへと転身した八木薔子の活躍が興味深かったのでその続きの八木薔子を知りたくて読んだのが本書。


『ターニング・ポイント―ボディーガード八木薔子』では38歳の八木がアメリカに行くまでの動きを描いていましたが、本書ではアメリカから帰って40過ぎ、堂々たるボディーガードとして登場。


『左手に告げるなかれ』がテレビドラマとして放映されたときのヒロイン八木薔子を演じていた天海祐希が珍しくイメージに合っていたのでそれ以後天海祐希をイメージしながら主人公の動きを追ってしまいました。


日本のトップアスリートとして人気があるマラソンランナー・真姫のBG(ボディーガード)を担当する八木は178cmの長身にプラチナブロンドに染めた長い髪。

漫画チックな表紙の八木がそれ。


次々周りで起きる不可解かつ凄惨な殺人事件を含む悲劇に見舞われる真姫を警護すべく外部からの攻撃に対する最善の策である「退避」を最大の武器に文字通り命を賭してガードする八木率いる女性警護チームの護衛の詳細が折々語られていて興味を引き出していますが、アメリカの大スターならいざ知らず、かなり現実味が薄くそういった点でせっかくの臨場感も盛り上がらず・・・納得感の薄い作品でした。


やはりスーパーやデパートの保安員だった八木薔子のほうが数段好き!

身辺警護・警備業務の詳細を極めた描写に著者の取材力のすばらしさは認めるけど。

美術館のハシゴをしました。

1つは倉敷の大原美術館。

もう1つは岡山県立美術館で開催されている片岡球子展。


倉敷周辺はときどき友人たちと食事などで訪れますが、美術館に入館したのは随分久しぶり。

昔と変わらないたたずまいでまず懐かしいエル・グレコの「受胎告知」が出迎えてくれました。

おなじみのモネの「睡蓮」やモディリアニの「ジャンヌ・エビュテルヌの肖像」、ゴーギャンの「かぐわしき大地」などじっくり観て回ることができました。


「足利尊氏」          「富士に献花」

次に昨年初頭に103歳の長寿を全うされた片岡球子さん。

ご自身は札幌生まれですがご両親が岡山県出身という縁から「追悼 片岡球子展」が岡山で開かれたのでした。


女子美術専門学校高等科を卒業後横浜で小学校教諭をする傍ら25歳のとき第17回院展で「枇杷」が初入選しますが、その後長い低迷の時期があり試行錯誤を続けるなか、さまざまなテーマに果敢に挑まれました。


歴史上の人物をテーマに描いた「面構シリーズ」は彼女の代表作になりましたが、生涯偉大な富士山を描き続けたことでも有名です。


キャンバスからはみ出さんばかりの力強い男性的なタッチで描く画風はヴィヴィッドな色彩も含め日本画のイメージを超えて私たちの目を惹きつけます。


さすが100歳を越えてからは絵筆をとることは減ったそうですが、78歳から挑んだといわれる裸婦シリーズはとてもその年齢を想像することができないほどエネルギーが溢れていました。


大好きな仕事に命を賭して全うされた生涯に平凡な主婦の私は羨望を感じたことでした。



さて今日は渡辺容子氏著『薔薇恋』のレビューです。


1992年『売る女、脱ぐ女』で第59回小説現代新人賞
1996年『左手に告げるなかれ』で第42回江戸川乱歩賞
1998年『無制限』
1999年『流さるる石のごとく』
2001年『斃れし者に水を』


著者の作品に初めて出合ったのは乱歩賞を受賞した『左手に告げるなかれ』、過去にこのブログでもご紹介しました。                  

スーパーの保安士という職業のヒロイン八木薔子の活躍するミステリー仕立ての作品がとても新鮮で充実した内容だったので、立て続けに『無制限』以下2作も期待感を持って読みました。


デビュー作から3作目になる『無制限』は魑魅魍魎としたパチンコ業界を描いて、『左手・・・』とは別の意味で興味深い内容でしたが、4作目、5作目と作品を重ねる毎、味が薄くなっているというのが正直な感想でした。


そして今回の『薔薇恋』


2作目3作目が構成&筋立てともにとても魅力的だったので期待を込めて読んだ読者も多かったのではないでしょうか。



「この愛はもう誰にも止められない――

結婚7年目の人妻・杏子は夫からのドメスティック・バイオレンスに晒されていた。

虐待の事実を胸に秘し、心の傷をいやすためガーデニングに熱中する彼女は、ある日自分とは住む世界の違う1人の男性と出会い、危険な恋へと落ちていった。

江戸川乱歩賞作家が描く濃密な大人のラブ・ストーリー」



前2作との落差にがっかりするというより驚きました


出版社のキャッチ・コピーを上述しましたが、「濃密な大人のラブ・ストーリー」という箇所を削ればそのままの掘り下げの浅い作品。


夫のDVに耐える主人公がガーデニングを通して不倫のとば口を経験し、夫のもとを去り自立する決心をするきっかけを不倫相手に与えてもらうという物語ですが、人物設定がどれも思い入れようのない中途半端な描き方。

流行のDVを取り入れたものの・・・という感じです。


夫側も妻側もそして心引かれる男側にも行動に必然性が見られず、出会いの舞台も不自然な偶然を描くことで説得力のない作品で終わっています。


枚数にして400ページ強の労作ゆえに残念です。


文章自体に難はなく、文の大きな部分を割いた花々の描写やDVによる苦しみの描写もそれなりにしっかり描かれていますが、作品の柱であるテーマの軟弱さが目立つ作品でした。

日経平均も少し持ち直してきたこの頃です。

経済市場を見ていたら、巨大帝国アメリカがくしゃみをすれば、弱小日本は必ずかぜをひいてしまう、という構図がはっきり見えてきますね(-_-;)


小泉首相がメンフィスのプレスリーの生家を訪れて、プッシュ大統領の前でI can't stop loving you を熱唱しておられましたね。


そこにアメリカに阿る日本の顔を見たのは私だけでしょうか??


私も大好きなプレスリーの歌ですがなんだかなぁという感じになりました(ー_ー)!!(;_;




今日は渡辺容子氏著『左手に告げるなかれ』をご紹介したいと思います。

第42回江戸川乱歩賞受賞作


日本の推理小説はあまり読まない私ですが、久しぶりに引き込まれた作品でした。


マタイ伝・第6章の有名な山上の垂訓に出てくる言葉「施しをするときには、右の手でしていることを、左の手にさえも知らせないようにせよ」からの引用をタイトルにした作品。



スーパーの保安士・八木薔子を主人公に、渋谷を基点に東西に伸びる田園都市沿線を舞台にして保安士の世界やコンビニの裏舞台をたっぷり見せてくれます。


事前のしっかりした取材力を感じさせる構成読者をぐいぐい引き込んでいく筆力はなかなかのものでした。


著者はジュニア小説家からの転身ということですが、乱歩賞受賞後の第一作目の『無制限』もパチンコ業界を舞台に、綿密な取材力を発揮して、魅力的な小説に仕上げている様子をみても、充実した実力が感じられてこれからが楽しみな作家さんだと思います。

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