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ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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カテゴリ: 桐野夏生

12もも

2020年8月のもも
娘の愛犬おてんばもも・・・目の中に入れても痛くなさそう


朝リビングの南東の窓を全開すると、風が部屋を通り抜けて一瞬心地よさを感じます。

まぎれなくもう秋の風。

コロナ禍もちょっと下火の傾向ですが、これからインフルエンザ流行期の秋冬がやってくることを思うと気が抜けません。

想定外の威力といわれている台風10号も近づいているし・・・。

すでに奄美が暴風域に入っていて、約1800人の住民の方々が避難所で一夜を過ごされているようです。

当地はいまのところ、ピカピカの秋晴れです。

未曾有といわれている台風10号の威力、どうか沖縄諸島や九州に大きな被害がなく通り過ぎますように。

 

 

優しいおとな

さて本日は
桐野夏生氏著『優しいおとな』のレビューを少し。  

福祉システムが破綻した日本。
スラム化したかつての繁華街“シブヤ”の野宿者・イオンは、闇を根城にする若者たちと出会い、アンダーグラウンドに足を踏み入れる。
NGO「ストリートチルドレンを助ける会」、女性ホームレス集団「マムズ」…彼の「優しいおとな」はどこにいるのか。
桐野夏生が描く、希望なき世界のその先とは?」(「BOOK」データベースより)

 


アメリカ発のリーマンショックを発端に世界同時不況が起き、日本でもバブルが崩壊、派遣切りなどによる失業者があふれた
2008年の暮れ。

 

生活困窮者が無事に年を越せる避難所としての初めての試みはメディアにも大きく取り上げられました。

 

湯浅誠氏をリーダーとして日比谷公園に開設された「年越し派遣村」。

 

その後大人ばかりではない、子どもの貧困にも目を向けるきっかけになり、「子ども食堂」への開設と続いて、現在では全国2000ヵ所の「子ども食堂」へと広がる発端となりました。

 


湯浅誠氏が率先して行ったのは貧困という世の片隅に隠されるように埋もれていた現象を可視化して世に問うたこと・・・これが偉業だったと思います。

 


さて本書はそんな
2008年当時を彷彿とさせる・・・というかもっとすさまじく荒廃した近未来を描いた作品です。

 

主人公は児童養護施設から脱走したストリートチルドレンの少年イオン

 

著者が描く虚構の世界でありながら、実際に目に見えてないだけであるのではないか、と思わせる現実社会の一部を切り取ってデフォルメしたような作品。

 

読了後、この作品に盛り込まれたさまざまな問題が浮かび上がってきます。

 

決して読後感の清々しい作品とはいえませんが、強烈なインパクトを以って心に残る一冊となりました。

 

生まれたときから意識の中に親はなく、お金もなく、寄る辺のない子どもがこの社会で生きるすべは何か?

 

イオンは芯のある少年だったので、自分の中にある唯一の温かい記憶を拠り所にストリートチルドレンとして生きていけましたが、そうでない子どもたちはきっと生きることはできない。

 

福祉制度が崩壊した日本の中でただ生きるためだけに生きる子どもたち。

 

読者である私は渋谷などの荒廃が止まらない街やヘドロに溢れた地下を15歳のイオンの歩調に添って歩きながら、切なさに胸がいっぱいになりました。

 

タイトルの「優しいおとな」がイオンにとってホンモノであってほしい、できればまだ見ぬイオンの両親がそうであってほしい・・・。

 

本書にはさまざまな人が登場しますが、イオンにとって重要な位置を占める「優しいおとな」として登場するモガミ。

「年越し派遣村」湯浅氏をイメージして描いたのでは、と思える造形、なかなかよかった。

物語の最後に夢と現実のはざまではじめて両親と対峙するイオン。

 

イオンの記憶の最期にモガミとともに優しい両親の像が確固として結ばれたらいいな、と切に思いました。

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鹿児島旅行3・・・これで終わります。


東京組の次男夫婦と岡山組の私たちが鹿児島空港で別れてからの出来事。


じゃあね、と別れて鹿児島中央駅近くのショップにレンタカーを返して新幹線に乗るべく高速に乗った直後。


夫が持っているはずの小さなショルダーバッグがないことに気づいて・・・


路肩に車を止めて後部座席とトランクにあるスーツケースを開けてみるもなし。


間違って持ち帰ったかもしれないと次男に電話。


すぐに旅館に連絡して部屋にあったことを確認して折り返してくれた次男からそのまま新幹線に乗るかもう一度旅館に戻るかという2つの選択肢を示されて・・・


免許証は身に着けているものの新幹線のチケットはバッグの中と夫。


車で旅館にUターンして鹿児島中央駅に行く時間を計算してギリギリ間に合いそう、と次男がいうことで後者を選びました。


宿は霧島高原の山の中。


高速の出口を求めてだいぶ走らせてUターン、走らせて走らせて無事バッグを受け取り、また走らせて走らせて走らせて2時間以上・・・出発時間の30分前にやっとガソリンスタンドに到着、満杯にしてレンタカーショップに着いたときは乗車時間の15分前。


スタッフの方に事情を話して急いでもらうも、理解してくれたのかどうか、のんびりと手続きを済ませ、駅に向かい必死の形相で・・・


すでにあと2分強・・・改札を過ぎ新幹線のホームへのエスカレーターに乗りやっと着いたそのとき、目の前を「さくら」が滑るように出ていきました。


あと1分、いや30秒早かったら!


結果として1時間後の鹿児島中央駅始発の「さくら」の自由席に座れてやれやれ・・・


帰宅したときはお互いぐったり。



電話でお騒がせを謝っていた夫に次男が「お母さんに八つ当たりをするなよ」とか何とか注意を受けたらしく「とんでもない」と否定していました。


今回は2、3日殊勝な態度が続いていました・・・今は元通り。


壮年期から枚挙に暇がない夫のどでかい忘れ物癖・・・「またか」と呆れ顔の子どもたち。


いつも腹が立つのは発覚直後の夫の言動。


今回も開口一番「お前が持っていてくれたんやないのか?」(はぁ?私は自分のショルダーバッグを持っていますけど?いつも離さず・・・心の声)


「あれほど忘れ物はないのかと言ったのにT(次男)はチェックしなかったのか?」(あなたが最後にトイレに行って出てくるのをドアの外でお嫁ちゃんが長く待っていたんですけど? Tはたくさんの荷物を持ってチェックアウトのためフロントにいたし、私はスーツケースを階段の上に上げて待っていたんですけど? どの口で言うのか???・・・心の声)


そういえば「忘れ物はないか」と声高に叫んではりました(ーー;)


ま、事故も起こさず、余分な往復2時間半をドライブしたと思うことに。


ついでに友人たちへの鹿児島土産を次男夫婦の紙袋に入れたままで東京へ運ばれたのも今回のミス・・・ほんの小さな事柄でしたけど。


過去の負けず劣らず大きな忘れ物事件のいくつかはこのブログにも書いていますが、探し出すのが面倒なのでスルーします。






さて今回は桐野夏生氏著『夜の谷を行く』をご紹介します。 


「連合赤軍がひき起こした「あさま山荘」事件から四十年余。
その直前、山岳地帯で行なわれた「総括」と称する内部メンバー同士での批判により、12名がリンチで死亡した。
西田啓子は「総括」から逃げ出してきた一人だった。
親戚からはつまはじきにされ、両親は早くに亡くなり、いまはスポーツジムに通いながら、一人で細々と暮している。
かろうじて妹の和子と、その娘・佳絵と交流はあるが、佳絵には過去を告げていない。
そんな中、元連合赤軍のメンバー・熊谷千代治から突然連絡がくる。
時を同じくして、元連合赤軍最高幹部の永田洋子死刑囚が死亡したとニュースが流れる。
過去と決別したはずだった啓子だが、佳絵の結婚を機に逮捕されたことを告げ、関係がぎくしゃくし始める。
さらには、結婚式をする予定のサイパンに、過去に起こした罪で逮捕される可能性があり、行けないことが発覚する。
過去の恋人・久間伸郎や、連合赤軍について調べているライター・古市洋造から連絡があり、敬子は過去と直面せずにはいられなくなる。
いま明かされる「山岳ベース」で起こった出来事。
「総括」とは何だったのか。
集った女たちが夢見たものとは――。
啓子は何を思い、何と戦っていたのか。
桐野夏生が挑む、「連合赤軍」の真実」


まさかこんな内容とは知らず読み始めた本書。


63歳の主人公が周囲と必要以上に距離を置き、まるで世捨て人のように質素に暮らす様子が淡々と描かれている冒頭場面を過ぎ、中盤に入ると徐々に主人公・西田啓子の過去が明らかになって・・・俄然曳きつけられていきました。


連合赤軍、山岳ベース事件、あさま山荘、総括、リンチ・・・



1971年~1972年にかけて群馬・千葉県の山岳ベースで連合赤軍が起こした一連のリンチ殺人の末14死体が発見された事件。

「連合赤軍」とは「共産主義者同盟赤軍派」と「日本共産党革命左派京浜安保共闘」の連合によって結成された組織。


世界を共産主義にするための革命を理想とする学生たちが「連合赤軍」などの過激派に姿を変えていく中で「総括」という名の下、仲間同士を殺し合い山中に埋めるという前代未聞の殺人事件に発展したもの。


17名の逮捕者のうち最高幹部の森恒夫は獄中で自殺、永田洋子は2011年獄中で病死しました。


その後あさま山荘に立て籠もった坂口弘、坂東國男らの連合赤軍メンバーが管理人の妻を人質として、山岳ベース事件で警察に捕まっていた森恒夫と永田洋子の釈放と、あさま山荘に立て籠もったメンバーの逃走を保障させようと計画して起こしたのが「あさま山荘事件」。


私がまだ二十代だった頃の事件。


2月19日~28日メンバーが逮捕されるまでの1週間の警察との攻防激戦の一部始終がテレビで放映され、日本津々浦々固唾を飲んで見ていた思い出があります。


ついでに、あさま山荘事件から3年後の昭和50年8月4日、「日本赤軍」がクアラルンプールのアメリカ大使館を占拠し、日本で投獄中のメンバーの釈放を要求するという事件が起きました。


この日本赤軍がアメリカ大使館を占拠して人質を取り、その交換条件として連合赤軍の釈放を要求してきたのを受け、日本政府はこの条件を飲み、超法規的措置として、坂東國男を初め5人のメンバーが釈放され、彼はそのまま海外へ逃亡して現在に至ります。


坂東と同じく「あさま山荘事件」の主犯格だった坂口弘も釈放の対象でしたが、坂口本人が釈放されることを拒否して現在も死刑が確定したまま収監されています。



本書から逸脱してしまいましたが、本書はその前段階の森恒夫や永田洋子率いる革命兵士たちの山岳ベースの末席にいて、リンチ事件の終盤に逃げ出したメンバー西田啓子の物語。


主人公・西田啓子とともに逃亡して逮捕された君塚佐紀子らは著者の架空の人物といいます。


虚実ない交ぜの作品。


「革命左派」から赤軍に加わっていた西田啓子は逮捕後5年あまりの服役のあと、社会の片隅で小さな学習塾を営んでいましたが、少子化の波に抗えず塾を閉め、現在は貯金と年金で生計を立て、ひっそりと暮らしています。


そんなときかつての連合赤軍指導者の永田洋子が獄中死したことがきっかけで記憶の底に沈めていた過去の出来事が甦りはじめます。


直接同志殺人に手を貸してはいないものの、恐怖に囚われて指導者に阿て手を拱いていた過去の自分と向き合わぬようにすることでどうにか生き延びてきた啓子。


昔の革命同志が永田洋子の死を知らせてきたことから啓子の表面上は平穏な日常が徐々に崩れ始めるのです。


この物語には〈妊娠〉というキーワードが重要な意味を持って浮き上がってくるのですが、ラストまでなぞるとあまりに長くなるので、興味ある方はぜひ、本書を手に取ってほしいと思います。


自分の犯した罪によって早すぎる父母の死、妹の離婚を引き起こした罪悪感から生きながら死んでいるような孤独な日常を引き受けながら暮らしていた啓子に著者はラストで大きなギフトを用意していました。


そのギフトによって啓子の「今」に変化があるわけではありませんが、小さな小さな生きる希望という萌芽が胸の奥処に芽生えたということではないでしょうか。


ぜひどうぞ!

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夕つ方けふの名残りと積雲が夕陽を享けて朱に染まりをり

朝夕少し暑さが和らいだとはいえまだまだ厳しい残暑、みなさま夏バテされていませんか?

残暑お見舞い申し上げます。

しばらくのご無沙汰でしたが、その間多々あり・・・追々日記代わりに記していきたいと思います。


先ずはお盆時の煩雑を避けて早めに帰省していたアスカとママのユカちゃん・・・たしか私のムスコであろうパパは実家を敬遠しているのか単に忙しいのかよく自分をヌキます。

小さかったアスカも小学校5年生となり身長だけはにょきにょきと伸びて151cm。

体重がないのでそろそろと思えるふくらみもなくスラリとしたツイギー並みの細さ。

ツイギーといっても知っていらっしゃる方は○○歳以上かと思いますけど。


そして何よりも驚くべきは内面の幼さを維持していること。

なんとも素直で素朴というか・・・。


滞在中は夫と私が交代でアスカと入浴するのをアスカ本人がすごく楽しみにしているのもまだ幼い感じ。

我が家の浴室にはアスカが赤ちゃんのときから使っている手袋式のクマの形をしたタオル地のからだを洗うものがあり、それで体を洗っていました。

自分で洗えるようになってからもそれを使って洗っていましたが、今回5年生にもなってまさかと思いきや、浴室の隅にそれを見つけて大喜び!

赤ちゃんのころは回らぬ舌で「クマタン」と言っていたそれがやがて「クマモン」になり、今回はついに「クマノスケ」と命名されて大活躍。

湯船でクマノスケを五種で泳がせたり、オリンピックで優勝させて金メダルを獲得させたり、高飛込みをさせたり、潜水をさせたり・・・かれこれ1時間・・・何とも幼い遊びなのにすごく楽しそう^_^


その上あろうことか、お風呂から出たら真っ裸のままリビングの床で唯一習っているヒップホップをひとしきり踊ったり側転したり・・・止めてもおかまいなしの天真爛漫。

ひとりっ子でのんびり育ったせいか、もともとの性格か・・先行きが・・どうなるのでしょう。

周囲の友だちのママたちからは「ふしぎちゃん」と呼ばれているそう。

ひまはりのやうな女孫の輝きの翳ることなき明日であれかし

滞在中1泊で県北のホテルにお泊り。

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早朝の森のホテルの散歩道トトロとネコバス現れさうな

森に囲まれたホテル、周囲に何もありませんが室内にプールがあり、泊り客以外泳いでいる人もいなかったのでいまだ長く泳げないアスカはのびのびと練習していました~。
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学校にはプールがなく、水泳教室に入ったこともないアスカは必然的に泳げませんが、夏ごとにパパとママにプールに連れていってもらって少しずつ距離を伸ばしているようです。

アスカの長所のうちのひとつはすごく粘り強いこと。

放っておくといつまでもいつまでも出来ないことに挑戦するのです。

今回のプールもふやけそうなくらい浸かっていました。







さて今回は桐野夏生氏著『ハピネス』をご紹介します。

「結婚は打算から始まり、見栄の衣をまとった。
憧れのタワーマンションに暮らす若い母親。
おしゃれなママたちのグループに入るが、隠していることがいくつもあった」

本書の主人公は江東区の埋め立て地に建つベイタワーズマンションという高層マンションの29階に住む主婦・岩見有紗。

夫はアメリカに単身赴任中、3歳になったばかりの娘・花奈とふたり暮らし。

高層マンションでの生活、夫の仕送りとその他もろもろで働くことなく人から見たら一見優雅な暮らしですが、内面複雑な悩みを抱えての生活。


実際に文京区であったママ友同士の軋轢の末の殺人事件を思い出すような設定。

本書にはもちろん殺人事件などというおどろおどろしいものは出てきませんが、小さな子どもたちを持つママ友のグループの格差によって生じる心の歪みが題材となっています。

ベストセラーになっているというのを何かで読んでチェックしていたもの。


30代セレブ系主婦向けの雑誌「VERY」に連載されたものを単行本化したという本書、セレブ主婦たちが読むことを想定しての著者の執筆だったと想像しますが、今まで多くの桐野作品を読んできた私には著者のテーマ選びが著者らしくないという違和感を抱きました。

テーマが矮小すぎるというか。

セレブ層のママ友たちの間でもおのずと出来るカースト制。

人が集まるところ必ずありといわれている順位。

誰が指摘するでもなくそのカーストの順位はそれぞれのママが自覚しそこはかとなく発酵するというもの。

はっきりいって何とバカバカしい!

見栄の張り合いは私の最も軽蔑するもの。

さまざまな飾りの必要性を排除したストレートな生き方を心掛けている自分です。


私がもしかしてこのような環境で子育てしていてこのようなことに巻き込まれたら、しっぽを巻いてきっとできるだけ遠くへ逃げ出したにちがいない・・・そんな見栄にがんじがらめになったママ友たちの内実が延々と描かれています。


登場人物のママたちにはそれぞれ個性があり、背景もそれぞれですが、主人公の有紗の設定が特に違和感があり、考え方や行動にことごとく反発心が起きて読み終えるのに苦労しました。

ラストはなんとなく丸く納めた感があり、桐野作品としては手ごたえの薄い作品でした。

代々朝日新聞を購読している我が家。

夫の実家も私の実家も朝日新聞、幼い頃からなじみの新聞。

一時日本経済新聞をプラスした時期もありましたが、基本的にはずっと朝日新聞。

今までに多々齟齬はありましたが、それでもと続けている中、立て続けに不信感が積み重なって・・・怒っています。

最近の朝日新聞はやることなすこと良識というものを忘れたような行為に驚くばかりです。


過ちがあれば潔く反省し謝るという至極明瞭な行動を意地でも取らず、その上池上氏の原稿掲載騒動に見られるように報道の基本である「言論の自由」すら抑えるという態度、広告源である週刊誌の批判的な文字は塗りつぶすなど言語道断という感じ。

また慰安婦問題に関する読者の声は一切載せない・・・不思議感を通り越してありえないことと不信感が募ります。


これほど世論が盛り上がりを見せて新聞購読数に危機感をもって初めて慌てて池上氏の記事不掲載を一転して掲載する、謝る・・・すべてが後手後手で呆れるばかりです。


これでは世の中のさまざまな事象に対して正当なる批判的な記事を書いても素直に頷くことができません。

ツイッターなどによると良識ある記者の方々がたくさんいらっしゃるというのは理解しています。


どうぞ総意として良識というものを見せてほしい、と切に願います。





さて本日は桐野夏生氏著『だから荒野』をご紹介します。

「46歳の誕生日。
身勝手な夫や息子たちと決別し、主婦・朋美は1200キロの旅路へ―
『家族』という荒野を生きる孤独と希望を描き切った桐野文学の最高峰!」


著者の作品に関してはジュニア小説を手がけたのち江戸川乱歩賞を受賞した女性探偵ミロシリーズ第一作『顔に降りかかる雨』や『天使に見捨てられた夜』くらいまでがすばらしく、シリーズ最後の『ダーク』となると別人格のようなミロが登場して著者ご自身の人格の荒廃のようなものを感じて引けてしまう、そんな印象を持っています。

といいながらいくつかトレースしてアップしていますが、好みとはいえない作風が続いています。


そんな中本書は著者独特の毒の薄い作品、その分インパクトに少々欠ける作品となっています。


身勝手で利己的な夫と2人の息子に軽視されている46歳主婦・朋美が自らセットして迎えた自分の誕生パーティの席で今までの忍耐の緒が切れてそのまま夫の車に乗って家出を決行するというもの。

家出決行の背景として夫と息子2人の手前勝手ぶりにはいささか呆れて共感しますが、主人公も思春期の息子たちが受け入れないという理由で食事を作ることをとっくに放棄しているという主婦。


唯一家出決行を知らせた親友との昔語りに思い出した昔の恋人が長崎にいるということで宛てのない行き先を長崎に設定するという短絡ぶりがおもしろい。

この辺りまではまだ読ませますが、旅の途中の高速道路でティアナを乗り逃げされてしまい、ヒッチハイクで長崎で原爆の語り部をしているという老人とその身の回りの世話をしている青年に出会ったあたりから思わぬ方向の小説となって、首を傾げるばかり。


語り部を通して長崎原爆の実態を語らせているのも中途半端な感じ出し、母親を嫌い身勝手なはずだった息子が母を頼って長崎に来たりで、あらあらという感じ。


そして最終的にはいかにも安易に元の鞘に収まるという締めはなんとも凡庸な予定調和作という感想を持ちました。
著者は「荒野」と「妖野」を挙げてなにやら主人公の行動を総括していましたが、これもいわずもがなという、ちょっと著者風スパイスの薄い作品でした。

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料理をよくする友人が使っていてすごく便利!とまるでその調理器具販売元のまわしもののように勧めてくれていた電動みじん切り器具を購入しました。


最近肩が痛くて固いものを切るのが億劫になっている上、家事に料理の占める割合がダントツに大きい私にはなるほどすごい便利!


ネットで注文していたのが夫の留守中に届いてこれまたラッキーとばかりにすばやく箱を片付け、今まであたかもそこにあったかのようにセットしておきました(*^。^*)


夫は私の買い物にとやかくいうようなことは全くありませんけど、大小さまざまな商品をネット&カード決済で買うのであまり次々届いても、という気持ち。


届いたら使うのは今でしょ、と連日すぐれもののNクンを酷使しています。


友人が炊き込みご飯の具を順次カットする方法を伝授してくれたので、今日はちらし寿司を同じ要領で作ってみようと、ゴボウやニンジン、レンコン、シイタケ、サヤエンドウなどを順次投入してカット。


こうなったら(何が「こうなったら」かわかりませんが)鍋も使わずやってみようと、レンジ用蒸し器に固い順から材料を入れてそれぞれ柔らかく蒸したものを、今度は深皿に出汁と醤油、オリゴ糖を入れた中に投入してレンジでチンしながら卵を溶いて錦糸卵を作って・・・ベランダから柔らかい木の芽をとって、塩漬けにしていたワラビを塩抜きしてカット、冷蔵庫で梅酢につけていた新しょうがを千切りに。


一方で酢などを調合してレンジにかけ糖分を溶かしてすし酢を作り、お酒を入れて炊いていたご飯が炊き上がったので少しむらしてすし桶に入れて材料を投入して混ぜ、錦糸卵や木の芽、エンドウなどを飾って完了! 


お昼の魚系なしの簡単ちらし寿司のできあがり・・・時間にして35分でした~。



どんどん家事の時間を節約できる器具が登場して、昔の電子レンジも何もなくて包丁一本のときとは雲泥の差なのにどんどん膨らむ欲望…はるか昔の人がお空の上から見ていたら張本さんではないですが、喝!!!と一喝したいところでしょうね。


また写メ撮るのを忘れて食べてしまって後の祭りでこれを書いています^_^;




桐野夏生氏著『緑の毒』

「妻あり子なし、39歳、開業医。
趣味、ヴィンテージ・スニーカー。
連続レイプ犯。
暗い衝動をえぐる邪心小説」


角川書店発行の「野生時代」に2003年から2011年にかけて不定期に連載された短篇を一冊にまとめたものです。

8年もかけてしかも2年間の休載も含めて断続的に書き継いだ桐野作品にしては何の含蓄もないライトな作品というのが偽らざる感想。


本書を通すとレイプという犯罪行為がとても軽く思えるし、医師という職業を持つ登場人物や看護師たちの軽薄さたるや、それぞれの人物造形や心理描写は著者独特の毒はあるけどお笑い系の風刺?と思えるほど物語構築も人物構築もとても中途半端に感じられました。


主人公の医師がレイプ犯としてネットを通じて同盟を組んだ被害者たちに追い詰められていく過程も非常に短絡的で、付け足しのように現代のネット事情であるツイッターを取り入れたり、何だか喜劇的で締まりのないブラックユーモア小説のようで★1つという残念な読後感でした。

当地でもやっと桜のシーズンを迎えました。


後楽園を中心とする桜並木も満開。


東京よりかなり西なのにどうして遅いのか、地理の苦手な私の頭ではどうしても解せませんが、それでもやっと心待ちにしている私たちを覚えてくれていて咲いてくれたという感じ。


日本人の桜に対する思い入れの深さが他国を圧倒しているのは、潔く散るをよしとする武士道に相通じるものがあるからだといった誰かの分析に頷ける気がします。


新聞連載中の野の花診療所の院長・徳永進医師の日記にも死期が近づいている人の願いの1つに「もう一度桜を見たい」というのがあると書かれていたと記憶しています。



昨年は近所の名もない小さな公園で仲間7人と、これも近くの回転寿司で買ったお弁当を囲んでささやかな桜宴を開き「来年もね」と約束しましたが、そのうちのお1人は約束を果たさないまま数ヶ月前黄泉の国へと旅立たれて不在のままの今年の桜シーズン。



「また会いましょう」という不確かな約束は似つかわしくない年齢になったという自覚がここ数年ますます強くなってきました。

「いつやるの? 今でしょ!」

東進の林先生、熟年者の間でもモテモテのようですよ(*^。^*)


信仰を持たない私はチベット密教などの教えにある輪廻転生を信じませんが、転生を信じる友が「今度生まれかわったらあなたの子どもになりたい」と言ってくれた言葉を思い返すと今でも胸が熱くなります。


この世の中で有益なことを何もなしえていない上、後悔ばかりの子育てをしてきたこんな私を母にしたいといってくれるだけでももったいないと思うと彼女に何とお礼を言っていいか・・言葉が見つからないほど感謝の気持ちでいっぱいです。


今からでも遅くない、そんなイメージに近づけるよう精進しなければ。




さて本日は桐野夏生氏著『アンボス・ムンドス』のレビューです。


「不倫相手と夏休み、キューバに旅立った女性教師を待ち受けていたのは非難の嵐だった。
表題作の他、女同士の旅で始まった生々しい性体験告白大会、若い女の登場に翻弄されるホームレスの男達、など7つの短篇を収録。女性の奥底に潜む毒を描き、直木賞受賞以降の刺激的かつ挑戦的な桐野文学の方向性を示す」


帯に「女たちの心の奥底に潜む毒」とありますが、まさに女に限らず人間の心に潜む憎悪や嫉妬といった負の感情がこれでもかと露悪的に描かれている7篇。


キューバの言葉で“2つの世界”を表すという表題作「アンボス・ムンドス」は7篇のうちの1篇ですが、その小品に限らずどの作品も人間の心に潜む二面性のうちのマイナス部分をデフォルメしている点で7篇共通のテーマではないでしょうか。



★スタイルも顔も平均よりかなり劣ると自覚している主人公・真希の心の中に渦巻く世の中すべてに対する不満がある過去の記憶をきっかけに急激に取り戻した自信と急激な自信喪失によって屈折した形で近くの子どもに恐怖を植え付ける様子を描いた「植林」


★さほど親しくもない同じ会社の仲間3人で行った海外旅行でお互いの性体験を告白することになった3人のうち、最も地味でとりえのない40代の鶴子の奴隷として男たちから競り落とされたという特異な性体験を聞いたあとの2人の羨望と鶴子の優越感を描いた「愛ランド」


7篇のうちの2篇を挙げただけでどれほどインパクトのある内容か想像がつくのではないでしょうか。


第39回江戸川乱歩賞受賞作品『顔に降りかかる雨』以来「村野ミロ」シリーズに傾倒して『天使に見捨てられた夜』『水の眠り灰の夢』を読み継いだあたりまではよかったのですが、『ダーク』でバイオレンス炸裂のミロが登場して以来、負の部分へどんどん傾いていって一体著者の頭の中はどうなっているのか?という疑問渦巻き今日に至っています。


『OUT』といい『グロテスク』といいこれほど人間の悪意と残酷に満ちた心の闇の世界を描いてなお次々新種の邪悪ワールドを作り出せるなんてどんな想像力の玉手箱を持っていらっしゃるのでしょう。


これら著者が主題とするバイオレンスは私の想像力の限界をはるかに凌駕していてもういやだと思いながら本書も最後まで読ませる筆力のすごさ!


どの作品も異色ですが、7篇の中で構成的に異色なのは谷崎潤一郎の佐藤春夫への細君譲渡事件に材を得た「浮島の森」

谷崎との間にできた娘の視線を通して谷崎と佐藤と思しき2人の男の生き様が語られていて興味深い作品でした。

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