昨夜の晩ごはんは北から南の海鮮づくし。
毛ガニとワカサギの醤油づけ、はまぐりの酒蒸し、そして沖縄モズク。
次男が送ってくれた羽田魚市場直送の海産物。
「カンブリア宮殿」で観ておいしそうだから送ってくれたという。
「カンブリア宮殿」観てくれてありがとう♡
おいしかった!
毛ガニといえば北海道の思い出。
今まで何度も北海道には行っていますが、いちばん最初に行ったのは学生時代。
バックパックを背負って同好会の仲間5人で2週間ほどかけて巡った学生時代の旅。
ユースホステルをはしごした貧乏旅行。
夜にはペアレントのギター伴奏で流行りたての〈知床旅情〉をみんなで唱和したり・・・。
その頃の北海道といえば、今では考えられないほど素朴だったところ。
信じられないほどの列車での長旅。
道端でおばあさんが茹でた毛ガニを売っていて・・・貧乏学生にも買えた値段。
新聞紙に包んで近くの道端で食べた思い出があります。
それがはじめての毛ガニ、おいしかった(^^♪
もっともその頃は何でもおいしかった・・・。
思えば遠くに来たもんだ・・・今の立ち位置のお話。
半世紀以上前の思い出です。
さて本日は津村記久子氏著『とにかくうちに帰ります』
「うちに帰りたい。切ないぐらいに、恋をするように、うちに帰りたい――。職場のおじさんに文房具を返してもらえない時。微妙な成績のフィギュアスケート選手を応援する時。そして、豪雨で交通手段を失った日、長い長い橋をわたって家に向かう時。それぞれの瞬間がはらむ悲哀と矜持、小さなぶつかり合いと結びつきを丹念に綴って、働き・悩み・歩き続ける人の共感を呼びさます六篇」(「BOOK」データベースより)
著者について
1978年大阪市生まれ
2005年『マンイーター』(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で太宰治賞
2008年『カソウスキの行方』で第138回芥川賞候補
2008年『婚礼、葬礼、その他』で第139回芥川賞候補
2008年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で野間文芸新人賞
2009年『ポトスライムの舟』で第140回芥川賞
2011年『ワーカーズ・ダイジェスト』で織田作之助賞受賞
2013年『給水塔と亀』で第39回川端康成賞
2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞
2017年『浮遊霊ブラジル』で第27回紫式部賞
2017年『アレグリアとは仕事はできない』で第13回酒飲み書店員大賞受賞
著者とサラリーマン生活は切り離せないので、そこのところを少し・・・。
2000年新卒で入社した会社で上司からパワハラを受け、10か月で退社後、2001年に転職。
大学在学中から小説を書いていた著者は、2005年に『マンイーター』で太宰治賞や2009年に『ポトスライムの舟』で芥川賞を受賞したあとも兼業作家として小説を執筆していましたが、2012年についに10年半勤めていた会社を退職、専業作家になりました。
それ以前もそこからの活躍ぶりもご存じのとおり。
著者が力を発揮するのは何といっても10年半の会社員生活を舞台にしたもの。
本書もそんなオフィスでの小さな小さな出来事を著者特有の目線で救い上げたような作品。
会社員を経験した人なら思い当たること満載の細かいまでの人物描写、心理描写が出てきて完璧に津村ワールドに嵌ってしまうこと請け合い。
マニアックな可笑しさをそこはかとなく醸し出す描写力の鋭さに脱帽。
津村作品を未読の方はこの独特のワールドをお楽しみください。
サラリーマン現役の方も元サラリーマンの方も、きっとツボに嵌りますよ。