言葉で責められて責められて我慢の限界が臨界点に達して叫んだ「しつこい!もうやめて!」という自分の声にびっくりして夢から覚めました。
あんなに苦しくていやだったのに朝起きたらその内容は忘れていて、責めた相手が夫だということだけはしっかり覚えていました。
「そういえば夜中に寝言言ってなかった?」
「そうだ!思い出した。
『しつこい』って叫んだ直後にすぐ寝入っていたよ・・・
現実では可能性のない悔しさで大方痴漢にでも襲われた夢でも見ていたんじゃないか・・・
夜中に突然起こされて睡眠不足だよ」
日頃の抑圧がこうして夢に現れたのか・・・現実の私は夫に向かって「しつこい!」とは口が裂けても言えないもので
あの世からユングに戻ってきてもらって夢分析した結果をじっくり夫に報告してほしいものです。
さて今回は宮尾登美子氏著『義経』のレビューです。
「戦は彼の宿命。悲劇は彼の運命。ただ恋だけが彼を慰めた。宮尾歴史文学の傑作。
源氏と平氏と朝廷の確執に煽られて、一ノ谷から屋島、壇ノ浦、平泉へ。
自らがやがて伝説と化すことも知らぬままに戦を重ねて、短い人生を駆け抜けた義経。
生涯の全ての勝利が、非業の死を彩る虚しい供物にしかならなかった逆説ゆえに愛され、時を超えて絢爛たる光芒を放つ稀代のヒーローと、彼を慕った女たちの人生の流転を、哀感を滲ませた華麗な筆致で描き尽くす宮尾歴史文学の白眉」
2005年NHKテレビ大河ドラマ「義経」の原作とされる『宮尾本平家物語』の中の「義経」に光を当て、その生涯を著者の想像を通して迫った作品です。
過去に多くの義経記が出ているようですがどれも実像を浮き彫りにするには至らず、伝説の多さの割に未だに謎の多い人物といわれている義経。
本書は著者ご自身が丹念に調べ上げた史実と史実の隙間の曖昧な部分は著者の想像でつなぎ合わせ、「こうだったのではないでしょうか?」「こうだったように思いますがどうでしょうか?」と読者に問いかけながら空白の部分を埋めていくというユニークな構成。
私の知る限りでは宮尾作品では初めての試みだと思います。
著者ご自身が語り部に徹して丁寧語で読者に問いかける文体を通して女性としての著者の主人公に対するやわらかな目線が感じられる作品となっています。
「義経といえば無敵の英雄、と誰しも思い浮かべますが、甲冑を脱いだその下は、とてもさびしがりやの、人と人とのぬくもりを欲しがる一人の男だったのかも知れません」
兄弟の埋めようがない確執、というより頼朝の一方的な義経に対する恐れが義経の運命を決定してしまう様子が作品を通して描かれていて胸に迫ります。
著者は、義経の生涯は権謀術数こそ弄しなかったものの、終始一貫源氏のため、あるいは亡き父の恨みを晴らすためという義経に対する見解をラストまで貫いています。
節句の季節、高知をドライブしていたとき、一度ならず目にしたことがあるのぼり旗を高知出身の著者によると「フラフ」というそうです。
勇ましい武者絵が多かったと記憶していますが、牛若丸と弁慶の五条橋や八艘飛び、弓流し、那須与一の扇の的など義経を主題に描いたフラフが圧倒的に多いそうです。
今度高知でフラフを目にしたらじっくり味わってみるという楽しみが増えました。

あんなに苦しくていやだったのに朝起きたらその内容は忘れていて、責めた相手が夫だということだけはしっかり覚えていました。
「そういえば夜中に寝言言ってなかった?」
「そうだ!思い出した。
『しつこい』って叫んだ直後にすぐ寝入っていたよ・・・
現実では可能性のない悔しさで大方痴漢にでも襲われた夢でも見ていたんじゃないか・・・
夜中に突然起こされて睡眠不足だよ」
日頃の抑圧がこうして夢に現れたのか・・・現実の私は夫に向かって「しつこい!」とは口が裂けても言えないもので

あの世からユングに戻ってきてもらって夢分析した結果をじっくり夫に報告してほしいものです。

「戦は彼の宿命。悲劇は彼の運命。ただ恋だけが彼を慰めた。宮尾歴史文学の傑作。
源氏と平氏と朝廷の確執に煽られて、一ノ谷から屋島、壇ノ浦、平泉へ。
自らがやがて伝説と化すことも知らぬままに戦を重ねて、短い人生を駆け抜けた義経。
生涯の全ての勝利が、非業の死を彩る虚しい供物にしかならなかった逆説ゆえに愛され、時を超えて絢爛たる光芒を放つ稀代のヒーローと、彼を慕った女たちの人生の流転を、哀感を滲ませた華麗な筆致で描き尽くす宮尾歴史文学の白眉」
2005年NHKテレビ大河ドラマ「義経」の原作とされる『宮尾本平家物語』の中の「義経」に光を当て、その生涯を著者の想像を通して迫った作品です。
過去に多くの義経記が出ているようですがどれも実像を浮き彫りにするには至らず、伝説の多さの割に未だに謎の多い人物といわれている義経。
本書は著者ご自身が丹念に調べ上げた史実と史実の隙間の曖昧な部分は著者の想像でつなぎ合わせ、「こうだったのではないでしょうか?」「こうだったように思いますがどうでしょうか?」と読者に問いかけながら空白の部分を埋めていくというユニークな構成。
私の知る限りでは宮尾作品では初めての試みだと思います。
著者ご自身が語り部に徹して丁寧語で読者に問いかける文体を通して女性としての著者の主人公に対するやわらかな目線が感じられる作品となっています。
「義経といえば無敵の英雄、と誰しも思い浮かべますが、甲冑を脱いだその下は、とてもさびしがりやの、人と人とのぬくもりを欲しがる一人の男だったのかも知れません」
兄弟の埋めようがない確執、というより頼朝の一方的な義経に対する恐れが義経の運命を決定してしまう様子が作品を通して描かれていて胸に迫ります。
著者は、義経の生涯は権謀術数こそ弄しなかったものの、終始一貫源氏のため、あるいは亡き父の恨みを晴らすためという義経に対する見解をラストまで貫いています。
節句の季節、高知をドライブしていたとき、一度ならず目にしたことがあるのぼり旗を高知出身の著者によると「フラフ」というそうです。
勇ましい武者絵が多かったと記憶していますが、牛若丸と弁慶の五条橋や八艘飛び、弓流し、那須与一の扇の的など義経を主題に描いたフラフが圧倒的に多いそうです。
今度高知でフラフを目にしたらじっくり味わってみるという楽しみが増えました。