マラソングランドチャンピオンシップMGCで来年の東京五輪選考がかかった男子マラソンレースが開催されました。
一方、同じく女子の選考レースもあって忙しい。
男子30名。
女子10名。
大好きな箱根駅伝のメンバーがたくさん出ているので選手には顔なじみが多いこともあって、ときどきチャンネルを替えるもののほぼ男子に集中。
出だしからスパートをかけてぶっちぎりのトップを牽引していた設楽悠太。
箱根駅伝でも東洋大ツインズとして名を馳せていた設楽兄弟の弟の方。
話題になったのは昨年の東京マラソンで16年ぶりに日本新記録を樹立して日本実業団陸上連合から1億円の褒賞金を授与されたこと。
スポーツの中でも長距離マラソンはとても孤独な自己と戦うという極限のレース。
その地味なスポーツに巨額な褒賞金が与えられてランナーの夢も広がります。
そして今日の参戦者ランナーのなかで設楽悠太と並んで注目されていた大迫傑。
彼も早稲田大学時代には全日本駅伝や箱根駅伝で区間賞を獲るなど早稲田大学を牽引していたおなじみの選手。
NIKEに入社後、社会人として参加した昨年10月のシカゴマラソンで3位フィニッシュ、東京マラソンで樹立した設楽の日本記録を更新し彼もまた1億円のボーナスをゲットした覇者。
事前に注目が集まった2人の1億円ランナー。
結果は富士通所属・駒澤大学出身の中村匠吾が2時間11分28秒で1位、2位にはトヨタの服部悠馬、大迫傑は3位、設楽悠太は14位でした。
結果、東京五輪内定は中村匠吾と服部悠馬。
残る1名はこれからのレースの結果次第ということで目が離せない。
大迫傑の可能性も残っていて・・・。
女子も健闘していました!
当地岡山天満屋所属の前田穂南が1位。
日本郵政の鈴木亜由子が2位。
同じく天満屋所属の小原怜は惜しくも3位。
5度目の五輪出場を賭けていた注目のワコール福士加代子は7位でした。
当地の天満屋は過去にも五輪選手を輩出していて強いんですよ。
いやはや朝から応援にエネルギーを使いきってしまいました~。
「東京のベッドタウンに住み、建築デザインの仕事をしている石川一登(いしかわかずと)と校正者の妻・貴代美(きよみ)。
二人は、高一の息子・規士(ただし)と中三の娘・雅(みやび)と共に、家族四人平和に暮らしていた。
規士が高校生になって初めての夏休み。友人も増え、無断外泊も度々するようになったが、二人は特別な注意を払っていなかった。
そんな夏休みが明けた9月のある週末。規士が2日経っても家に帰ってこず、連絡すら途絶えてしまった。
心配していた矢先、息子の友人が複数人に殺害されたニュースを見て、二人は胸騒ぎを覚える。
行方不明は三人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は二人。息子は犯人なのか、それとも……。
息子の無実を望む一登と、犯人であっても生きていて欲しいと望む貴代美。揺れ動く父と母の思い――。
『火の粉』の不穏な空気感と『クローズド・ノート』の濃密な心理描写。
両方を兼ね備え、執筆時、著者が最も悩み苦しみ抜いた、渾身の力作」
東京ベッドタウンに住むやや平均より上という感じの4人家族の物語。
建築事務所を個人で経営している父親・一登とフリーの校正者である母親・喜代美、そして高校1年生の長男・規士と中学3年の長女・雅。
どこにでもある家族の風景がある殺人事件を発端に崩れる過程を描いています。
怪我が原因でサッカーをリタイヤしてから生活のリズムが崩れ、ときどき無断での外泊を繰り返していた規士が二日たっても帰宅しなかったことを発端に徐々に明るみに出てきた事件。
規士の行方不明中に発生した死体遺棄事件。
被害者は規士の仲間ということが判明してからの混乱する家族の心の揺れを巧みに描いています。
果たして息子・規士は殺害に関与した被疑者なのか、それとも被害者なのか。
たとえ犯人であってもただ生きていてほしいと願う母と、息子が加害者でないことをひたすら願う父。
父親の息子を思う心情の底に自己の保身を見てしまう母親。
一登と喜代美の間に埋めようがない溝がどんどん深まる様子が丹念に描かれています。
規士が一時期被疑者の様相を呈してくると同時に世間の風当たりが暴風雨のようになり、それに巻き込まれる一家。
ワイドショーなどでよく見る光景。
執拗なマスメディアの追求やネットの非情な書き込み・・・
この大作の大半が事件に付随する世間の反応や問題家族の崩れ行く様子、不安や恐怖が入り乱れる家族の心情に費やされていて、ここまで長編にすべきだったのかと疑問に思うほど。
著者のこの作品への思い入れの深さがそこかしこに感じられる作品になっています。
それに比べラストへの収束はあっけないほど。
規士の死体発見で第一の被害者だったことが判明しての収束。
一家の経済もろもろを担っている父という存在と掛け値なしのがむしゃらの子どもへの愛を持つ母との性差が見事に描かれた作品でした。