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ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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カテゴリ: 垣根涼介

神戸連続児童殺傷事件元少年Aという著者名で『絶歌』が発刊されて賛否多くの議論の的になっているようですね。

当時14歳だった少年も現在32歳、我が家の次男と同い年なので数えやすい。


以前にも書きましたが、事件が起きたとき同じ神戸在住、夫は須磨区の勤務先に通勤、同年の次男が所属していたスポーツ少年団のコーチをしていた方がA少年の父親と同じ会社の同僚として昨日まで机を並べていたとのことで、いろいろな話があっという間に広がっていったのを覚えています。


医療少年院に入院していたときの記録『少年A 矯正2500日全記録』がノンフィクション作家の草薙厚子氏によって上梓され、のちに物議を醸し出したのも記憶に新しいですが、その後の少年Aの動静についての噂はあちこちから聞こえるものの定かではないというまま時が流れ、今年に入って被害者の遺族の方へ届けられた少年Aの手紙についての報道を新聞の小さな記事で見たくらいです。


そういった流れの中での突然の出版。

真相は定かではありませんが、幻冬舎の見城社長宛に来た少年Aの手紙がきっかけで見城氏が少年Aに会い、執筆を促したそうです。


「自分の過去と対峙し、切り結び、それを書く事が、僕に残された唯一の自己救済」と執筆の理由を説明しているといいます。


内容は知りませんし、読む気も、まして買う気持ちもまったくありませんが、手記というものは懺悔であれ自己総括であれ、やはり自己擁護がどんな形にしても必ず盛り込まれるのは人間として当然の行為だと思います。


過去に自分のした犯罪の結果遺族の方々がどれほどの苦しみの中に今もなおいらっしゃるかということを少しでも想像する気持ちがあれば、「僕に残された唯一の自己救済」などという自分本位の最たる理由を掲げて執筆するなどということはありえないと思います。


その「自己救済」に乗っかるかたちで社会責任もあるりっぱな出版社の社長が執筆を促すというのもまた信じられません。

明らかに見えてくるのはお金儲けの手段としか考えられないと思うのは私の了見の狭さなのでしょうか。


幻冬舎も太田出版ももう少し人の心の痛みへの想像力を養ってほしいと思うのですが・・・。





さて今日は垣根涼介氏著『迷子の王様』をご紹介したいと思います。


「迷い続け、悩み抜いたからこそ、やって来る明日がある。
大ヒットシリーズ、堂々完結!
一時代を築いた優良企業にも、容赦なく不況が襲いかかる。
凄腕リストラ請負人・村上真介のターゲットになったのは、大手家電メーカー、老舗化粧品ブランド、地域密着型の書店チェーン……
そして、ついには真介自身!?
逆境の中でこそ見えてくる仕事の価値、働く意味を問い、絶大な支持を得るお仕事小説、感動のフィナーレ!」


2005年に始まったリストラ請負人を主人公の「君たちに明日はない」シリーズの第5弾。

本書をもってこのシリーズは完了しました。


2005年『君たちに明日はない』 、2007年『借金取りの王子 君たちに明日はない2』 、2010年『張り込み姫 君たちに明日はない3』 、2011年『永遠のディーバ 君たちに明日はない4』 、2014年『迷子の王様 君たちに明日はない5』


このシリーズを通してリストラの対象になった人々、またはリストラをする立場の人々の口を通して何度か問題提起されている命題イコール著者の執筆の動機でもあります。

「あなたにとって、仕事とは何ですか?」


「この『君たちに明日はない』シリーズを書き始めたそもそもの動機は、これから先も日本の経済は、かつての『昭和』のような右肩上がりの高度経済成長の状態が復活してくることはないだろうと感じていたことから始まります。
『あなたにとって、仕事とは何ですか?』と。
 これが、このシリーズのテーマとして書き続けてきたものです。
 金のためか、個人の生活の安定・保障のためか、出世のためか、あるいは『大企業に勤めている』という社会的な見栄え、あるいは安心を買うためか、そういう意味を含めて個人的な金銭的・社会的な栄華を目指しているのか……ですが、日本の経済がダインサイジングを余儀なくされている今、そうした実利面だけの動機付けで仕事をするは、その時々の社会情勢や企業の業績によって賽の目がコロコロと変わるリスキーな生き方ではないかと個人的には感じています。
私の友人や知り合いの人生を長いスパンで見続けきて、しばしば感じる事は、『金儲けのためだけに仕事をしている人間は、大体の場合、いつかその金に足元を掬われる』と言うことです。
あるいは、こう言ってもいいかも知れません。
『その仕事に自分なりの意味や社会的な必然を感じている人間には、お金が目的で仕事をしていなくても、不思議と必ず後からお金がついてくる。少なくとも食うに困らないぐらいは、常に彼あるいは彼女の元に集まってくる』と言う事実です」

上記は著者の言葉ですが、いったいどれくらいの社会人が自分なりの意義や社会的必然を感じながら働いているかと思うとき、著者の言葉は単なる理想となりますが、この命題を常に頭に入れて仕事を選ぶ、切磋琢磨するということはとても大切なことだと思います。


このシリーズを総括するとこの命題を常に頭の片隅に置いて被面接者と対していた主人公・村上の成長譚ということになるでしょうか。

いくつもリストラ対象者の物語が出てきましたが、どの話もそれぞれに思い出深く、このように唐突にラストを迎えるのは一抹の寂しさがありますが、一方そろそろ店じまいする頃のような雰囲気もあったので納得感はあります。


「世の中は変わっていくものだから、自分が現状のままいたいと思っても、どうしても状況は変わっていく。
だからむしろ、その事実を受け止めて今を生きるしかないんだな」


現状を何としても維持するというスタンスを選んだ人、また方や新しい場へ移った人、それぞれ自分の置かれた現状に対して折り合いをつけることで未来に対する光を見つけられるという示唆にあふれたラストの結び方でした。

シリーズを読んでこられた方、ぜひどうぞ!

クリスマスの日にカテーテル治療を終え予定通りの日程で退院、年末年始は娘と夫に過保護にされて今までにないのんびりとした休日を過ごしました~。

ときどき不整脈に悩まされていたものの、周囲の人もそんな経験は多々あると知っていたので病気ではない期外収縮と認識して放って数年、というか健康診断での心電図はいつもたいへんきれい。


昨年9月頃激しい倦怠感を伴う不整脈を経験して周りの勧めもあって専門病院を受診したのがスタートであれよあれよという間もなくホンモノの心臓疾患に認定され手術日を決められてしまったという経緯。


幸いとても信頼できる専門病院だったので大船に乗っていました。

手術前のインフォームドコンセントの内容が微に入り細を穿つほど丁寧、心臓の働きなどに日頃関心を持っていなかったので勉強になったといえばなったような。。。


足の付け根(主に右股関節部)や右首、手首の静脈から電極カテーテル(直径3mm、長さ1mほどの電気コード様の器具)を6本挿入して左心房にある肺静脈の血管内やその周囲から発生する異常な電気信号を絶つため肺静脈を囲むようにして発生箇所をぐるりと焼き切るというもの。


挿入するカテーテルを示してやり方を説明したり、手術のリスクや術後に発症するかもしれない致命的な後遺症をこれでもかとズラリ・・・しかも大きなスクリーンに映し出して。


恐怖心を煽るようなこんな説明・・・今まで夫のがんの手術前に何度も立会いましたが、こんなに丁寧な告知は初めて・・・よほど患者からの訴えを恐れているのか???

あれやこれやの知りたくない耳学問を強制的に入れられていざ出陣。

もちろん全身麻酔・・・これがかのマイケル・ジャクソンを逝かしめたといわれているプロポフォール(これも先生の説明)・・・マイケルが渇望していただけあってすっきりした目覚めでした~。


・・・と遊びごとのように書きましたが、術後は出血を抑えるため6時間ほど身動きならずかなり苦しかったです。

白々と長き術後の一夜明け一条の光のごとき看護師の声


手術後の床(ゆか)への一歩月面へ着陸するごと浮遊感あり

術後の結果説明も術前と同じく丁寧、施術はとてもスムーズにいったらしく、私の心臓はとても素直、と褒めてくださいました。

奇形ではなかったということ?

「素直」の意味がイマイチわかりませんでしたけど。



家族がいちばんの重要課題というスタンスを持っている娘はいままでどんなに仕事が忙しくても付き添うという強い意志を持って夫の病気のときもその通りでしたが、今度も娘の狂乱的な忙しさを知っているので強く拒否したのに付き添ってくれたこと感謝!!


いつものようにパソコン持参で帰省してジャスト12時から始まる電話会議にしっかり参加したりマネジャーとしての年末の様々の承認など在宅でワークをこなしながら食事の用意などしてくれました。


31日から1日にかけては娘の親友2人も加わり料理持ち寄りで我が家で年越しをして賑やかな年末年始でした。

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写真は娘の友人の家族から掠めたドンペリ、1990年モノは約2万円の価格がついているそうです。

いつも人が集まるとき料理を担当するのは私ですが、今回私が辛うじて作ったのは黒豆の煮たのとローストビーフのみ。


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あとは娘と親友たち、そして夫も作りました~。

もちろん後片付けもすべて。


手術後の微妙な不快感がなければなかなか楽チンな癖になりそうな生活でした^_^

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写真はあーちゃんから届いたお見舞いのお手紙と手作りのお守り。

義姉からもお守りが2つも届き、守ってもらいました~。

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私以外の人たちが一晩で飲んだワインなど!@@!


おおげさなくらいの過保護ぶりの入院前後、書いていて恥ずかしい(ーー;)

でもみんなありがとう!






さて年明け第一弾は垣根涼介氏著『永遠のディーバ―君たちに明日はない4』です。


「あなたにとって仕事とは? リストラ請負人・村上真介が問う、人気お仕事小説第4弾!

『おれはただ、ずっと自分を誤魔化(ごまか)してきただけだ』。
リストラ面接官・村上真介の今度の相手は、航空会社の勝ち組CA、楽器メーカーでくすぶる元バンドマン、ファミレスの超優秀店長、おまけに、破綻した証券会社のOBたち。
企業ブランドも価値観も揺らぐ時代、あなたは明日をどう生きる? 
全ての働き人たちにパワーを届ける、人気お仕事小説第4弾! 
『勝ち逃げの女王』改題」


入院生活にはもってこいの気楽に読める文庫本、お供に持っていって読みきりました。


ハードボイルドもの得意とされる著者にとって「人気お仕事シリーズ」と銘打ったこのシリーズは変り種に属するかもしれませんが、著者ご自身も楽しんで気合を入れて執筆されていることのわかる内容です。

大手企業からリストラを一手に請け負って円満な遂行の手助けをするという「日本ヒューマンリアクト」という特殊な会社の社員のひとり・村上真介が主人公。


シリーズ第一弾『君たちに明日はない』に始まり、第二弾『借金取りの王子』、第三弾『張り込み姫』、そして第四弾の本書へと続きます。


主人公・村上真介が様々な業界の様々なリストラ対象者と出会い、仕事や人生の意味を探りながら成長していく姿が描かれています。

本書の対象者はキャビンアテンダント、証券マン、歌手、外食産業の店長の4人。

今までのシリーズでは円満な退社を導くことを主に真介の手腕が試される描き方でしたが、本書では一歩も二歩も踏み込んで人生における仕事の意味など深く掘り下げて読み応えのある作品に仕上がっています。

著者曰く
「リストラ請負人・村上真介、今回では、さらに被面接者の心のひだに突っ込んでいこうとしております。
曰く、真介『あなたにとって、仕事の意味とはなんですか?』と。
みなさんにとっては、どうでしょう?
お金のため? 
その仕事が好きだから? 
その仕事に、自分なりの意義を見出しているから?
はたまた世間的に見栄えが良く、自然、自分もカッコ良くなってくるから?
まあ、答えは百人いるなら、百通りの答えがあっていいものでしょう。こればっかりは、ナニが正しいなんてないでしょうからね。
私にとっては、どうかなー。
一言で言うと、仕事とは『自分を知ること』かな?」

かっこいい言葉で締めた著者。

本書は4篇の短篇で構成されていますが、それぞれ登場する企業は過去のシリーズ同様、実在するモデル企業がわかりやすく描かれており、そこも興味深さを誘っています。

ちなみに本書においては「File 1. 勝ち逃げの女王」ではJAL、「File 2. ノー・エクスキューズ」では山一証券、「File 3. 永遠のディーバ」はヤマハ、そして最後の「File 4. リヴ・フォー・トゥデイ」はすかいらーく。

各Fileに登場する対象者はそれぞれの半生を背負っての哀愁を醸し出していますが、私の好みとしては「File4、リヴ・フォー・トゥデイ」の登場する外食産業の店長の生き方というか考え方が胸に強く響きました。

お勧めの一冊です!

鱗雲、赤とんぼ、実りの稲穂・・・秋が日ごとに深まってくる様子が手に取るように感じられる朝夕の涼しさです。

違(たが)ふなく秋深まりて金木犀の香りほのかに漂ふ夕(ゆふべ)
金木犀の香りも漂い始めました~。 

昨年亡くなった義姉が「来年の桜は見られないかも・・・」とポツリと発した言葉が忘れられませんが、年とともに季節ごとの草花の移ろいに執着するこの頃。

実りの秋の原風景には欠かせない彼岸花もそろそろ終焉を迎える時期になり・・・

畦道にかがり火のごと曼珠沙華金の稲穂を照らして尽きず
天界ゆ種の零れし曼珠沙華 天向き展(ひら)きてけふ秋彼岸

不思議な魅力を湛えた酔芙蓉ももうすぐ終わりです。


酔芙蓉のいろの移ろひ捉えんと見つむる背(せな)に夕光(ゆふかげ)射して

我が家のベランダではゴーヤとキュウリが最後の隆盛を誇っています。

同時期に植えた朝顔はもう処分したというのに、ゴーヤもキュウリもお互い負けじと競い合うように実を成らせています。

必然的にAll dayゴーヤとキュウリを使った料理ばかり。

あとバジルと青ジソ。

今日のお昼も日本そばにゴーヤの薄切りを少々。

昨日はバジル&ゴーヤのパスタ。

茂った青ジソの葉は細切りコンブと山椒の実、かつおぶしを入れて醤油ベースの佃煮したので今は丸裸になりました。

畑の真似事ライフは、真似事だからこそ楽しい♪





さて本日は垣根涼介氏著『月は怒らない』をご紹介します。


「多重債務者の借財の整理が生業。仕事で訪れた市役所でこの女を一目見た瞬間、声を失った―。
バーで女がチンピラに絡まれて目の前で転んだ。助け起こした瞬間、女の顔に釘付けになった―。
勤務先の交番の前の市役所に自転車で通う女。
結婚しているくせに私はいつもその女を探している―。
誰にも期待しない。夢なんて持ってない。だから生きるのラクだった。そんな女になぜか惹かれていく、3人のロクデナシたち。
垣根ワールドの新境地」


不思議な雰囲気を持つひとりの女と、彼女に魅了された3人の男たちの物語。

垣根氏の作品だからと図書館で手に取った本。

著者らしからぬ内容に違和感を持ち続けたまま読了。

途中得意の飛ばし読み(――;)


「誰の人生も背負わないし、背負われたくない」という自立した精神の持ち主のヒロイン・恭子。

作品の中でも恭子の過去は語られませんが、「20歳を過ぎたら全部自分の責任」というスタンスの著者が敢えて恭子の人間としての核に持ってきたといいます。

──誰のせいでもない。誰のためでもない──
今という時間にどう落とし前を付けていくか。
過去への照射はそれで変わっていく。
記憶の中の原風景は変質していく。


そんな恭子は黙して語らず、恭子を取り巻く男たちが語る中で出てくる会話や動作によって恭子をどう捉えるか、読者に委ねられています。

ヤクザではないもののアウトロー的な生活をしている梶原、軟派の大学生・弘樹、妻子持ちの警官・和田、そして公園のベンチで知り合った記憶障害のある老人・・・この4人を通して語られる恭子は当然のことながら単一ではありませんが、不幸とか幸せとかといった感情を吸収しない陶器のような、肝の据わった女性といった印象。


4人とのさまざまな会話や独白を通して著者が託した言葉の数々に思わぬ名言が散りばめられていて、それが見っけものという作品でありました。

「人のせいにしちゃ、いかんじゃろ。
それはみんな、おまんのせいや。
に起こることは、悪いこともいいことも含めて、みんなその当人のせいぜよ。
完結しろ。
自分の中で完結させい。
そうすればおまんは、自分の一歩をようやく踏める」
これは大学生・弘樹の祖父の言葉。


「洋の東西を問わず、愚か者は常に進んで自分の墓穴を掘り続ける。
梶原はたまに思う。
二十歳を超えて起こった人の不幸は、ほとんどの場合、その本人の身から出た錆だ。
同情する必要はない」

ヤクザ紛いの梶原の内省ですが、この梶原に著者ご自身を投影させていることは想像に難くありません。

長男一家の帰省に続き、夫の姉のあの世への旅立ちが重なり、忘れえぬ夏となりました。


お盆の1週間ほど前から先に来ていたお嫁さんと孫と共に海水浴に牧場、ぶどう狩りを楽しんだり、家でクッキーや動物パンを焼いたり、ゼリーを作ったりと楽しくも忙しい日々のあと、あとを追って息子が帰省、数日滞在して川崎へ帰るその日に義姉が亡くなりました。


ちょうど終戦記念日。


夫の長姉で末っ子の夫とは一回りも年長、夫にとって母のような存在でした。

夫のおこぼれで私も随分可愛がってもらった優しい人柄の義姉でした。


若い時代の出産時の大量出血の際の治療の輸血によるC型肝炎が何十年ものちに活発化して発見され、以後ミノファーゲンなどの対処療法をしていましたがだいぶ前より肝硬変に移行していました。


1980年代後半に旧ミドリ十字が製造していた非加熱製剤・フィブリノゲンにより多くの人々がC型肝炎ウィルスに感染した問題は当時大きく報道され世間を騒がせたのは今も記憶に新しいと思いますが、現在もなお患者による訴訟が続いていますね。

義姉のケースはもっと以前の不衛生な医療環境の中での輸血や手術などの医療行為に起因していたのではないかと推察しています。



年間4万人近い人が肝臓ガンで死亡するそうですが、そのうち8割がC型肝炎が原因とされているそうです。


フィブリノゲンによる感染を把握していながら厚生省がそれを放置していた間に多くの犠牲者が出たという事実には激しい憤りを感じますが、「人の命は地球より重い」といいながらこの社会にはそんな事象があまりにも多くしかも多岐にわたっていて呆然としてしまいます。



世界各地で天変地異が起こり、経済不安定、異常気温など、何かがおかしいと感じながらも私たちは起こったできごとに対処するだけで精一杯、大切なものを置き忘れているような気がします。


平和で安全な社会の保障というバトンを孫世代につなげていくにはどうしたらいいか、立ち止まって今できることを考えなければという感を強くしています。




さて本日は垣根涼介氏著『張り込み姫』をご紹介します。


リストラ請負会社・社員村上真介が主人公の第3弾。


第1弾『君たちに明日はない』
第2弾『借金取りの王子』
 それぞれのレビューはこちら →



4つのFileからなる本書は「小説新潮」に2008年から2010年にかけて掲載されたのを1冊にしたものです。


第1弾『君たちに明日はない』は今年1月から2月にかけて坂口憲二主演でテレビドラマ化されたので観られた方もいらっしゃるでしょう。


2000年『午前三時のルースター』で第17回サントリーミステリー大賞読者賞
2004年『ワイルド・ソウル』で第6回大藪春彦賞&第25回吉川英治文学新人賞&
第57回日本推理作家協会賞受賞。



上記のように著者の作家としての出発点は冒険物や推理物に材を取っていますが、2005年に上梓した『君たちに明日はない』でより多くの読者を獲得したという経緯があります。


私もこのシリーズのファンで、特に第2弾『借金取りの王子』がお気に入りの1冊に入ります。



今回のリストラの舞台はそれぞれ英会話学校、旅行会社、自動車ディーラー、写真週刊誌の出版社。


作家になる前の一時期、近畿日本ツーリストに勤務したという著者の経験が本書File2「やどかりの人生」に生かされています。


リストラの対象となるさまざまな業界に対する綿密な下調べには毎回感服しますが、旅行会社の実態を扱ったFile2にはより身につまされる臨場感がありました。


また自動車ディーラーを舞台の「みんなの力」での自動車修理工の具体的な仕事内容がマニア的な詳しさで述べられているなど、今回はリストラされる側の仕事および従業員の人生に重点を置いた構成となっているのが見所ですが、前2作を読んでの期待感が高かっただけに、少々肩透かしを食ったような印象は否めませんでした。

また火災報知器を鳴らしてしまいました。

このマンションに住み始めて6年になりますが、これで6回目。


大晦日にごまめを作っていて少量のみりんを煮詰めていたときが最初。


初回を含め過去5回は油断して換気扇を回さなかったり、「弱」で回したりしながらいずれもお酒、みりん、ワインを使って料理していたときに起こりました。


その都度駆けつける警備保障の人に平身低頭するのですが、管理人室のパネルを操作して作動を止めなければならないということで、事前に連絡して出動を止めてもらうこともできないという説明。


で、今回も瓦そばのトッピングの牛肉をみりんとしょうゆで甘辛く煮つけていたときに突然報知器が高らかな警報を発しました。


もちろん過去の過ちに懲りていたので換気扇は「強」で回していました。


いままで6回マンションの住み替えをしていますが、このマンション以外でこのようなことが起こったことは皆無でした。



あまりにも責任能力のある、というか敏感な火災報知器というのもいかがなものか。


今回は万全の態勢で調理していたつもりなので、今後どうしていいやらという感じ。


それにしても警報が鳴ってから警備員の人が我が家に駆けつけてくれるのにいつも約20分ほどかかっています。


事なきを得たからいいようなものの、本物の火事だったらすでにあとの祭的な時間ではないかという疑念が毎回涌いてくるのでした。




さて本日は垣根涼介氏著『借金取りの王子』をご紹介します。


2005年に第18回山本周五郎賞受賞作『君たちに明日はない』の続編で、5つの小品からなっています。


『君たちに明日はない』のレビュー&著者の略歴については以前このブログでご紹介していますのでよかったら見てください。
    http://yaplog.jp/ashy_ashy/archive/293


前作はリストラ請負会社「日本ヒューマンリアクト」の社員である主人公・村上真介が現在の仕事に就く経緯や8歳年上の現在の恋人・陽子との出会いなどが主体に描かれていましたが、この続編では真介がリストラ対象者として面接する人々が主人公となり、前作から一段と関係を深めた真介と陽子は最後の作品を除いてそれぞれの作品に小休止的に花を添える存在として登場します。


今回リストラを依頼した企業は百貨店の老舗であり東証一部上場の「南急百貨店」の外商部の社員、日本の生命保険会社の中でも三指に入る「東京安井生命」の社員、消費者金融業界では押しも押されもせぬ最大手の「フレンド」の支店長、「ホテル常盤屋・岩室荘」の客室係などで、事前リサーチも行き届いた面接の様子はとてもリアルで思わず自分がリストラに追い込まれていくような臨場感がある上、対するリストラ対象者側からの語りを通して対象者の事情やため息が読み手に伝わってきていたたまれなくもなるところ、何とも読ませます。



前作上梓時よりますます深刻化した社会情勢とリンクして他人事とは思えず、思わず自分の周りの人々の首が心配になるほどですが、取り上げている主題の重さのみに流れていないのは著者の筆力によるものといえます。



5つの物語のうち、最も感動的だったのが表題作「借金取りの王子」。


消費者金融会社を舞台の一組の男女の純愛物語です。


男性への最高の褒め言葉に「男前」というのがありますが、ここに登場する女性はもし「男前」に対比する言葉として認められれば、最高の「女前」です!


何度読んでも温かい感動が胸いっぱいに広がる作品でした。

「アウトソーシング」という言葉が新聞紙上などに登場するようになって久しいですね。


私は主婦なので企業のことはわかりませんが、企業がコストパフォーマンスなど諸事情を考慮して業務のある部分を外部の企業に委託するということだと理解しています。

英語では 'outsourcing' 、直訳すれば「外部の資源活用」となるのでしょうか。


現在では多くの会社がそれぞれの専門分野の人材派遣会社からの人材を派遣してもらい、業務の効率化を図っているようですね。




今回ご紹介する垣根涼介氏著『君たちに明日はない』はアウトソーシングのリストラ専門請負会社に勤める主人公の日常を描いた5編の連作、「小説新潮」に掲載された短編5作をまとめたものです。


著者はこの小説で2005年に第18回山本周五郎賞を受賞していらっしゃいます。


その前2000年には『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞&読者賞をダブル受賞

2004年『ワイルド・ソウル』で大藪春彦賞&吉川英治文学新人賞&日本推理作家協会賞と史上初の3冠に輝くという華々しい経歴です。



「リストラ請負人、村上真介は今日も行く。
彼を待ち受けるのは、部下に手をつけるセクハラ上司、管理能力ゼロのオタク主任、お上に楯突くキマジメ社員……」


顧客である会社から委託されたリストラ業務を専門に請け負う会社の首切り面接官である33歳の主人公村上真介。


昨日はメーカー、今日は銀行へと奔走する毎日、「なぜ私が?」と驚く相手の共通の疑問に間髪を与えず理詰めでこの会社での明日はないことを伝え、一気に希望退職に持ち込むという真介の日常を、かつてリストラの対象として知り合った年上の女性との恋愛を絡めながら描いています。


この世の中にリストラ請負会社なるものが実際存在するのかどうか知りませんが、日本の誇る終身雇用制度や年功序列制度が崩れ、景気も低迷している現在、何だかありそうな身につまされるタイムリーな物語でした。

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