VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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カテゴリ: 乃南アサ

もも 岡山3もも 岡山2

つぶらなる眸のももに見つめられこころの底の澱みを恥ぢぬ


寒さが行きつ戻りつの日々。

 

初夏のような陽気だと思ったら、次の日は寒が戻ったような一日。

 

寒さに弱いのは猫で、びっしり剛毛に覆われている柴犬は暑がりかと思いきや・・・

リビングに差す陽だまりを選んで四肢を思いっきり広げてお腹を上に向けて眠っています。

 

娘が連れてかえった柴犬もも。

 

今年の7月で2歳。

 

まだまだパピーの所作が抜けないような幼さの残ったかわいらしいチビ犬。

 

ももがいるだけで和む夫との場。

 

老人施設でセラピー犬が大活躍というのがよくわかります。

 

 

 

六月の雪

乃南アサ氏著『六月の雪』
 

 

入院した祖母を元気づけるため、32歳になった杉山未來は祖母の生地である台湾の古都、台南を訪れる。

優しくてなぜか懐かしい国。

そこで未來は戦前の日本人の涙と無念を知り、台湾人を襲った悲劇に驚く。

そしてようやくたどり着いた祖母の生家は、地獄の家へと変わり果てていた。「わたしは誰も愛さないなんて生き方はしたくない!」(「BOOK」データベースより)

本書執筆の動機について著者は次のように記していらっしゃいます。

2011年、仙台で東日本大震災に被災しました。

その後、台湾の方々が200億円もの義援金を送ってくれたニュースに
触れたことをきっかけに、台湾への関心が高まったんです

日台には国交がないため、国として正式な御礼もできない。

「義憤に駆られて」、民間交流のための社団法人を知人と立ち上げ、
12年から年に5、6回、6年間で計40数回台湾を訪れて人々と交流、
歴史や文化を深く知る旅を続け
ました。

本書は6年にわたって台湾を足しげく訪れた結果の台湾への思いが結実した作品。

 

主人公は三十代前半、独身の杉山未來。

 

声優になるという夢破れ、2人暮らしをしていた祖母・朋子の昔語りに触れる機会があり、
祖母が台湾で生まれ手
16歳まで過ごしたということを知ります。

 

その後骨折&入院をした祖母を元気づけるために、
未来は台湾の祖母ゆかりの地を訪ねる旅を計画します。

本書はその7日間の台南旅行を描いて秀作。

タイトルになっている「六月の雪」は台湾に咲く真っ白な欖李花(ランリーファ)


台南の
鹿耳門の天后宮近くの朽ち果てた日本家屋近くで生き生きと咲く欖李花
かつて植民地として台湾を牛耳っていた日本人たちの集落の
朽ち果てた様子を対比させて見事です。

さまざまな人生を包んで歴史は流れていきますが、栄枯盛衰を知るその土地の思いに
関わらず花はこだわりもなくただ咲き続ける・・・
人間はだから自然に癒され続ける・・・。

主人公・未來の旅は約1週間という短いものでしたが、
現地の人々との出会いや台湾と日本の関係や歴史に触れたことが
未來の人生を大きく左右することになるという予感を抱かせるラストになっています。

国や環境は違ってもそこに住む人間の心には人類共通のものがあるということが
本書の主題のひとつでもあると思いました。

久しぶりの乃南アサ氏の作品でしたが、今までの作品の枠を大きく突き抜けた骨太の作品、
おすすめです。






先日テレビを観ていたら、毎年お正月に特番として放映される「芸能人格付けチェック」特別編というのをやっていました。

今回は「芸能人格付けチェック~一流芸能人に『和』の常識はあるのか!?スペシャル~」と題し、日本で活躍する一流芸能人なら当然知っているはずの“和の常識力”を試していくというもの。

今回は一流芸能人10人全員が1つのチームとしてチェックに挑むというルール。

「5人中3人以上が合格すればクリア」といった“常識クリアライン”が設定され、それ以下だと芸能人全員のランクが下がってしまいます。

橋本大二郎さん、草笛光子さん、泉ピン子さん、市川猿之助さんなど9人にGACKTさんが参戦。


観たことのある人ならご存知と思いますが、48連勝中のGACKTさんがどうなるかが見どころのひとつ。


私は「格付け…」を観るまでGACKTさんをまったく知りませんでしたが、音楽の聴き分け、ワインの味比べ、牛肉などの味比べ、絵画の鑑賞比べなどなど、すべての分野を網羅して本物を当てるGACKTさんの感性のすごさにびっくり。

で、今回も3つ出された課題をすべてクリア。

「小鼓の鳴らし方」「おいしい日本茶の淹れ方」「鶴の折り紙」


「一列に並んだピアスが気にいらん」と夫。

「悔しかったら鶴折ってみて」と私。


日本中の男性を敵に回すほどすべての礼儀を弁えたGACKTさんでした。






乃南アサ氏著『それは秘密の』 

「恋すれど。
恋なくば。
恋ゆえに。
恋という厄介きわまる心情が綾なす男と女の“化学反応”を名手が描破する!
〈恋ごころ〉という厄介きわまるものを抱えた男たち女たちのミステリアスな心情と希望を描く、作者会心の珠玉短篇集」

9編が収められた短編集。

1「ハズバンズ」 、2「 ピンポン 」、3「僕が受験に成功したわけ」 、4 「内緒」、5「アンバランス」 、6 「早朝の散歩」
7「キープ」 、8 「三年目」 、9「それは秘密の」


乃南アサというだけで無意識に手が伸びて借りてしまいましたが、最近は琴線に触れるものが少なくなっています。


本書も読了後ほとんど鮮明に記憶に留めないという予感がある作品。


2、3ページを割いただけのショートショートのような小品もあれば、中篇と呼べるような作品もあり・・・。


唯一心に残ったのはタイトルにもなっている「それは秘密の」。


台風の影響で土砂崩れに巻き込まれたまったく知らない同士の男女が不安の中、明かした一夜の物語。

着地を意識した物語の構築に予定調和的なものを感じましたがちょっといい話。


短編集という性格上読みやすさはあるものの★★・・・かな。


直木賞を受賞した『凍える牙』を筆頭の女刑事・音道貴子シリーズの復活を望んでいるのですけど。

先日の赤穂に行ったときの続き。

刑事さんの初の取調べがあまりにも鮮烈だったので、そのあとの赤穂城跡と大石神社への参拝の印象が霞んでしまいましたが、記録のために記しておきます。


赤穂といえば忠臣蔵、というほど日本人ならだれでも知っている有名な地。

その赤穂浅野家の家督を継ぎ、9歳で播磨赤穂藩の第3代藩主となった浅野長矩、呼称浅野内匠頭。

元禄14年(1701年)3月14日、その浅野内匠頭が江戸城・松の廊下で吉良上野介に遺恨をもって斬りつけるという刃傷沙汰を起こし、その日の夕刻に預けられていた奏者番の陸奥一関藩主・田村建顕の屋敷の庭先で切腹させられたという事件。

風さそふ花よりもなほ我はまた春の名残をいかにとかせん
上記の辞世の句を残した浅野内匠頭享年35歳。


当時の武士社会の慣習法では、喧嘩は双方とも罰せられることになっていましたが、時の将軍徳川綱吉は吉良上野介を無罪とし、一方浅野内匠頭はその日のうちに切腹を命じられたことを発端として、浅野家の筆頭家老・大石内蔵助を首領とする47人の家来たちは、翌年の元禄15年(1702年)12月14日、吉良上野介を討ち、うち足軽1名を除き自首して切腹したのでした。


事件を題材にした小説や映画、舞台は数多く残されていて、仇討ちのあった12月14日前後になると必ずといっていいほど、テレビでも赤穂浪士にまつわる作品が上映されています。


浅野長矩が刃傷に及んだ理由ははっきりとしておらず、長矩自身も多門重共の取調べに「遺恨あり」としか答えておらず、それらの作品それぞれが人々の琴線に触れるような独自の解釈をしています。

刃傷沙汰に及んだ原因を挙げると・・・

◆院使御馳走人の伊予吉田藩主・伊達宗春より進物が少なかった。
◆勅使御馳走の予算を浅野家が出し惜しみした。
◆長矩夫人の阿久里に吉良が横恋慕した。
◆吉良が皇位継承問題に介入したため、尊皇家・山鹿素行の門下である長矩が怒った。
◆長矩の美少年な児小姓を吉良が望んだが、長矩が断った。
◆浅野家秘蔵の茶器を吉良が望んだが、長矩が断った。
◆ある茶会で披露された書画について吉良は「一休宗純の真筆」と鑑定したが、長矩が「贋作だ」と述べた。
◆悪名高い吉良に長矩が天誅を下そうと思った。 (以上Wikipediaより)


いずれにしても弟の浅野長広などへの聞き取りによれば「内匠頭は性格が甚だ急な人であり、吉良に賄賂を贈るべしと家臣にすすめられたときには、内匠頭は『武士たる者、追従をもって賄賂を贈り、人の陰を持って公用を勤めることはできない』と述べた」とあり、事件前からその剛直さと短気さが各方面から指摘されていたようです。


赤穂から帰って、ちょうどビデオデッキの中に田村正和主演の『忠臣蔵~その男、大石内蔵助』があると夫が言うので観ました。

藩主への忠誠を武士道の規範のように謳った作品、涙なしには観られませんが・・・

あら楽し思ひは晴るる身は捨つる浮世の月にかかる雲なし

あふ時はかたりつくすとおもへども 別れとなればのこる言の葉

一首目は大石内蔵助良雄(享年45歳)、二首目は大石主税良金(享年16歳)の辞世の句です。


足軽を含め300名ほどの家臣がいたといわれる赤穂藩。

その家臣たちとその家族や縁故の人々すべてを犠牲にしてまでの刃傷沙汰の因とはなんだったのだろうか、と思うとき、トップに立つ人の影響の恐ろしさを思わずにはいられません。


明治時代前期に城内の建物は破却され石垣と堀のみが残っていたそうですが、昭和中期から平成にかけて櫓・門・塀・庭園が徐々に再建され、現在も二の丸庭園の再建が進められているそうです。





赤穂城は1971年(昭和46年)に国の史跡に指定されました。

約19.1haの城跡公園には大石神社や本丸庭園などがあり、大石神社も国の史跡に指定されています。

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春荒れの大石神社の参道に「大願成就」の幟はためく

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さて本日は乃南アサ氏著『最後の花束 乃南アサ短編傑作選』のご紹介です。


「色恋をめぐる狂気は、その女たちを少しずつ蝕み、少しずつ壊していった…。
ある女は大阪に引っ越してまで愛人を追いかけ、またある女は親友の婚約者を欲しがる。
職人の夫の浮気を疑った妻は夫の作る提灯に火を仕込み、OLは見る間に垢抜けた同僚への嫉妬に狂う…。
サスペンス・ミステリーの名手による短編を、単行本未収録作品を加えて精選したベスト・オブ・ベスト第一弾!」


本書には11編の短篇が収録されています。


乃南ファンの方はどこかで読まれた記憶のある作品が多いと思われたのではないでしょうか、再録作品という印象は免れません。


11編のうち2編をのぞいて、恋に取り込まれた若い女性の狂気を描いたダークな雰囲気の短篇ばかり、甚だ読後感の悪い短編集です。


嫉妬や裏切りへの復讐心をさまざまな角度から描いています。

女性の辛抱強さもこれほどまでにマイナス要因になればあっぱれという感じ。


どの感情からも遠い私ですが、それぞれが読み切りの短篇なのが寝る前読書には適していました。



長期にわたる避難生活で心身を崩す被災者が増えているそうです。


阪神大震災でも被災直後よりずっとあとになって出てくる心的外傷後ストレス障害(PTSD)の子どもたちのことがクローズアップされていました。


家や家財道具、思い出の品々すべてを失った上、昨日まで共に笑っていた愛する人を一瞬で失った人々に向かって希望を持って立ち上がってほしいという言葉を掛けることすら躊躇してしまいます。



外務省医務官としてスーダンで勤務していた2006年に外務省を辞職、NPO法人・ロシナンテスを立ち上げ貧しいスーダンで医療活動を中心に活動されている川原尚行医師が福島を訪れて被災者のケアをされている様子がテレビで放映されていました。


見るからに包容力豊かな金太郎さんのような大らかな風貌と相まって、このような人がそばにいてくれることで安心感が広がる大海のような雰囲気を持たれた方です。


その川原医師が語られていた言葉が印象的でした。


スーダンでもいつも問いかけられる「いつまでいてくれるのですか?」という言葉がここ被災地でも頻繁に聞かれるそうです。


「みんなが元気になるまでいます」と答えるといわれる川原氏。


患者や被災者には安心感を与えることがなにより心のケアにつながるといいます。



前代未聞の悲劇的な惨状によってPTSDを受けた人々へのケアは10年、20年単位の長期戦で臨むという覚悟のもと、気長い支援や気持ちの上でもずっと寄り添って安心感を感じられる関係を築くことが何より大切なんだと痛感しました。





さて今日は乃南アサ氏著『禁猟区』をご紹介します。


小説新潮に掲載された4つの短編をハードカバーにまとめたものです。



「捜査情報が漏れている!? 
刑事が立場を利用して金を動かしている!? 
警察内部の犯罪を追う監察官はあくまで陰の存在。
隠密行動を貫いて密猟者を狩り出してゆく。
尾行される刑事は意外にも無防備。獣道に沿ってプロが陥る罠が仕掛けてあることも知らずに……。
本邦初の警察インテリジェンス小説、ここに誕生!」


警察官の不祥事を摘発する警視庁警務部人事一課の監察チームによる隠密活動を描いた4話の連作集となっています。


主人公は一応監察チームに抜擢されたばかりの若く未熟な女性警官となっていますが、摘発される側の警察官のキャラクターが濃いため、主人公というより脇役的な存在で作品全体の雰囲気を和らげています。


さほど期待せず手に取りましたが、刑事というよりだれしも持っていると思われる人間の暗部を巧みな筆致で抉った興味深い内容。


生活安全課の主任であり教員の夫と2人の娘と暮らす幸せな主婦である若山直子の転落を描いた表題作「禁猟区」を初め、一般人よりはるかに陥りやすい禁猟区の範囲内で行動している警察官の心の隙間に入り込んださまざまなスキの果ての犯罪を描いて善悪の境界線の危うさを問いかける秀作となっています。


警察モノに興味ある方はどうぞ!

今まで読みっぱなしだった本の記録をと思い立ちHPを始めて6年、ブログに移行して5年になりました。


スタート時は1日10にも満たなかったアクセスが今では毎日100以上のアクセス、多くの方々にご訪問いただけるようになりました。


皆様に見ていただくのを目的としてではないスタートでしたが、皆様のご訪問は私にとって続けることへの大きな励みになっています。


いつも温かく見てくださっている方々、コメントも含め本当にありがとうございます。


読書ブログという性格上、読んだ本の感想を気ままにアップしたり、また気が乗らなければレビューを見送る本もたくさんありますが、縁を結ばせていただいているブログ友の日記を拝見していると毎日アップしていらっしゃる方が何人もいらして本当に頭が下がります。


日々アップすることの大変さは想像を超えるものがあり感服します。



長い人生、照る日曇る日に連動して押しつぶされそうな環境にいることも多々あり、心身が不調になったり逆に前向きになったりの繰り返しの凡人を絵に描いたような日々ですが、これからもあまり思い入れずに自然体でいきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。



以前ブログ友の紫苑さんが当サイトのブログの書籍化というコーナーをご紹介くださったことがあります。 546e9a5a.jpg



このブログは書きっぱなしでプリントアウトしたものを保存したこともなかったのでしばらく逡巡していましたが、記念にと思いきって製本してもらいました。


自分の書いたものが活字になるのを見ると何だか面映く正視に耐えられずパラパラと雑に捲っただけで仕舞ってしまいました。


ただの自己満足に過ぎないというのを確認したので自分が消滅するとき一緒に焼いてもらいたいと思っています。





さて本日は乃南ア&園田寿氏著『犯意―その罪の読み取り方』をご紹介します。


「マスコミは報じない犯人の心理に至るまで、ミステリーの名手がこの上なくリアルに描く12の短編小説。
じっくり読んで事件を追体験した後は、熟達の法律家が裁判のポイントをわかりやすく解説する。
証拠は十分?過去の判例はどうなってる?
裁判員制度に備える最強のコラボレーション」



本書は裁判員制度が始まる前に刊行された12篇からなる短編集、来る裁判員制度に備えての啓蒙書のような役割を備えた一風変わったミステリとなっています。



乃南氏のミステリとして期待して手に取ると少々肩透かし的な仕上がり、新聞や週刊誌の三面記事に掲載されるような事件を犯人や関係者側から事件が起こるまで時系列で描写され、いったん事件が起こった段階で共著者である弁護士・園田寿氏へとバトンタッチするという構成。



その弁護士の方の解説が門外漢の私にはけっこう遠回りというかまず一般論ありきで最後に取り上げた事件を法律で裁いたら・・・という仮定の下に刑罰の罪状などの詳細が語られるというもの。


乃南氏の提供する物語には結末はなく、まず尻切れトンボのような感じを受け、そのあとの専門家の解説が核心に触れるまであまりにも回りくどいという感じで、正直とばして読んでしまうほど。


扱っている事件にはひょんなことから殺人犯へと突き進むことになった若者たちや、児童虐待、偽札製造ありと犯罪に関わる過程の人間の心理が巧みに描写されていてさすが乃南氏の作話の手腕だと感じ入りましたが、上述の理由から裁判員制度への予行演習的な啓蒙書として割り切って読めば巻末の「用語索引&法律のツボ」も含めたいへん勉強になる作品ではないでしょうか。

「ビーズ・オブ・カレッジ」という運動をご存知でしょうか。


日本語では「勇気のビーズ」と訳すようですが、2005年ごろに米国の医療現場で始まり、日本には2009年に小児がんなどの子どもたちを支援するタイラー基金を通して伝えられたそうです。


現在日本国内では大阪と茨城の2病院で実施、これから新たに5ヶ所の病院で始まる予定だということです。


白血病などで長い闘病生活を余儀なくされる子どもたちをカラフルなビーズで勇気づける取り組み。


手術や検査、放射線などの厳しい治療を1つ乗り越えるたびに色や形が違うビーズを患者である子ども自身がひもに通していきます。


がんばった記録が形に残り、治療に前向きに取り込むことができるそうです。



そういえば昨年孫の明日香がRSウィルスによる肺炎で入院したとき、とっさに思いついて家にあった色とりどりのビーズとテグスなどの部品一式を持って駆けつけたことがあります。  


子ども病棟は原則的に夜間の付き添い禁止なので面会時間が終わったあとや午後の面会時間までの長いひとりの時間に随分ビーズが助けになったようです。


片方点滴に繋がれた手で苦労してテグスに自分の好きな色のビーズをつなげていくつもネックレスや指輪を作ったり・・・1週間の入院中にたくさんのアクセサリーができました。   


明日香のはお遊びでしたが、ビーズが病気に立ち向かう心の支えになるなんてすばらしいですね。



写真は一時期凝っていたビーズワークのほんの一部と山のようなビーズ。
  

作り方を忘れるくらい数年ご無沙汰ですがストックしている材料を無駄にしないためにも何か作らなくちゃとは思っているんですけどね。





さて本日は乃南アサ氏著『自白 刑事・土門功太朗』をご紹介します。 


「事件解決の鍵は刑事の情熱と勘と経験だ。
地道な捜査で容疑者を追い詰める男の迫真の事件簿。
まだ科学捜査も動機なき犯罪もなかった時代、『鬼』と呼ばれた伝説の名刑事がいた。
懐かしい昭和の風景がよみがえる刑事事件簿。
刑事小説の名手、乃南アサによる新シリーズ」


著者の刑事モノといえば大好きな「音道貴子シリーズ」がすぐ思い浮かびますが、本書は2010年3月刊行の刑事モノの新シリーズというので期待感を持って読みました。




「音道シリーズ」のレビューは以下です。

   『風の墓碑銘』

   『嗤う闇』

   『鎖』



昭和50年代を背景にそれぞれ愛人殺し、夫殺し、窃盗犯、タクシー運転手殺しの犯人を追い詰めて自白に導くまでの4篇からなる短編集となっています。


現代では当たり前のパソコンや携帯電話もなく、DNA鑑定などの科学を駆使した捜査もない時代の地道に足で証拠を稼ぐという典型的な刑事の姿が描かれていて地味ながらいぶし銀のような作品に仕上がっています。


主人公・土門刑事の捜査と並行して、大阪万博や東京ディズニーランドの開園、ホテルニュージャパンの火災、日航機羽田沖墜落事故、よど号ハイジャック事件、三島由紀夫の割腹自殺など当時の世間を賑わした事件が会話などに頻繁に登場しレトロな感じをかもし出すのに一役買っています。


私を含め音道シリーズの読者としてはハラハラ感や躍動感のないところ、少々物足りない感じは拭えませんでしたが、科学捜査に頼って犯人を追い詰める現代とは一味違った時代の犯人を自白に導く過程が丁寧に描かれていて読ませます。


ゴミのような小さな手がかりをジグソーパズルのようにつなぎ合わせ、一個の人間として容疑者に対峙し、自白に導く手腕を描いて妙。


主人公・土門功太朗もさることながら彼を取り巻く刑事たちも今どきの刑事モノのような際立った個性もなく盛り上がりに欠けますが、淡々と描くという著者の意図が見えてくるような作品でした。

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