VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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カテゴリ: 百田尚樹

このところ旅行ラッシュです。


先月の青森旅行に続いて今回は黒部ダムを中心に立山周辺を旅してきました。


以前このブログでも書きましたが、次男が高校の頃自立したら黒部を旅しようとの約束が10数年を経て実行されました。

私の病気やサラリーマンになった次男の多忙などを理由に延び延びになっていた旅行。

一生で最初で最後の次男との2人旅・・・多分。


事前に吉村昭氏の『高熱隧道』を読んでいたので興味が深まっていました。


一般的に呼ばれている「黒部ダム」は映画「黒部の太陽」の舞台となった黒四ダム、『高熱隧道』の舞台となった黒三ダムとは異なっていて、今回の旅も黒四を中心の旅でしたが、二日目に宇奈月駅から欅平駅までの黒部渓谷トロッコ電車での経路が黒三への道となっていたので不十分ながら雰囲気を味わうことができました。


旅の記録のために行程表を記しておきます。

[一日目]
    特急あずさ        バス   関電ンネルトロリーバス   徒歩 
 新宿 ―――― 信濃大町 ―― 扇沢 ――――― 黒部ダム ―― 黒部湖駅
 
黒部ケーブルカー   立山ロープウェイ    立山トンネルトロリーバス
 ――――ーー 黒部平 ――――ーー 大観峰 ――――― 室堂

[二日目]
 高原バス      立山ケーブルカー  電車      電車
 室堂 ―――― 美女平 ―――― 立山駅 ――ー 寺田 ―― 宇奈月駅
                         
黒部渓谷トロッコ電車   黒部渓谷トロッコ電車
 ―――――ーー 欅平駅 ―――――ーー 宇奈月駅

[三日目]
  宇奈月駅 ―― 新魚津-魚津 ―― 金沢 ―― 京都 ―― 岡山


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今年は黒部ダム完成50周年ということで放水時期が終わっても観光客で賑わっていました。

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昭和31年10月からスタートしたトンネル工事は5月になって破砕帯に突き当たり、難工事の末7ヶ月かけて突破、8月に運転開始となったそうです。


破砕帯とは断層に沿って岩石が破壊された帯状の部分、大町トンネルの2600mの地点から約80mの部分で毎秒600リットルの地下水と大量の土砂が噴出したため掘削工事が困難を極め、結果的に171名の殉職者を出したという難工事が余儀なくされたという場所。

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黒四では「破砕帯」でしたが、黒三では有数の温泉地帯による「高熱」という自然の脅威との戦い、結果的にはどちらも尊い犠牲者を多数出しながら人間の知力・技術力が自然を制覇したということでしたが、現実には人間の力ではどうにもならない天災のニュースが流れない日がありません。


現に今もフィリピンの台風被害のすさまじい映像に胸が詰まります。



次男が高校を卒業した時点で離れて暮らして12年、このように一日中2人きりで過ごしたのは12年ぶり。


長期休みもほとんどなく働き蜂と化している次男の現在の姿と中高時代の姿が中々重なりませんが、家庭で躾けられなかったさまざまな社会の決め事が足らないなりにも身についている様子を見て、会社の上司の方々や先輩、同僚の方々の並ならぬ温かいご指導やご尽力があったこと感謝の気持ちでいっぱいです。


日頃の睡眠不足を補うためか暇さえあればどこでも居眠りしていましたが、旅行の間中荷物持ちや細かな気遣いをもらって楽しい旅行になりました、もちろん費用も彼持ち。


続きは次のブログで記したいと思います。




さて百田尚樹氏著『モンスター』のご紹介です。

「田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。
彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。
周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。
思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。
そのとき亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だったー」


新聞紙上や書店の店頭での積上げ本としての華々しい宣伝についつい負けて購入しました。


旅行用にもってこいの太さ(速読なので薄すぎるとすぐ読み終えてしまいます)なので東京行きの電車に持参。


『永遠の0』や『海賊と呼ばれた男』などで評価を得ていらっしゃる著者の作品ということで楽しみに読み始めましたが、あまりにも通俗的で内容が薄く、飛ばし読みを繰り返して車中で読了したあと、著者に失礼とは思いましたが処分してしまいました。


確かに人間の心理を抉った作品、美容整形業界に関しては著者の取材力を生かしたキメ細かな取材の跡が見られる作品ではありました。


表面的な美醜に特化してここまでデフォルメして描かれた勇気には頭が下がりますが、醜いがゆえの世間や両親からの疎まれ方のすさまじさがいかにも作為的すぎて読み手としては興ざめするほどでした。


若い女性の心に潜む美への追求はさまざまな媒体を通してある程度の理解はありますが、主人公の渇望のすごさを何と表現していいか。。。


彼女の視点を通してみる周囲の負の人間模様をこれでもかと描いて興味深いといえばいえなくもないでしょうけど、後味の悪い作品でした。

今日は高校野球準決勝の日。


地元の関西高校が初めて4強で残っていて我が家では朝から試合開始と外出との兼ねあいに悩むほど盛り上がっていましたが、応援虚しく惜しくも日大三校に敗れました^^;

でもここまでよく勝ち進みました!



夜は国立競技場でのなでしこジャパンとなでしこ選抜リーグとの試合。


前半で早くも3点先取し、さすが世界のなでしこという感じでしたが後半戦で少しパス回しに精彩を欠いたように見えたのに反比例して2点入れた選抜の頑張りがすごかったです。


このあとなでしこジャパンは8月22日から我が郷土・湯郷で1週間の強化合宿をする予定になっています。


湯郷は宮間選手や福元選手所属の湯郷Belleの本拠地でもあり、岡山から車で1時間ほどの距離なので行ってみたいミーハー心がありますがすごい混雑だろうなと想像してまあテレビで我慢することにします。


オリンピック予選に向けてがんばれなでしこジャパン!






さて本日は百田尚樹氏著『永遠の0』のご紹介です。



「日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた…。
人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。
祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。
元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった。
凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗り―それが祖父だった。『生きて帰る』という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻を志願したのか?
健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。
はるかなる時を超えて結実した過酷にして清冽なる愛の物語」



新聞やTV、ネット上で話題になった作品なので読まれた方も多いと思います。



著者・百田氏の実質上のデビュー作ということですが、本書を読む前に著書の2作目のファンタスティックな短編集『輝く夜に』を読んでいたのであまりの雰囲気の違いに正直同じ作家の筆かと驚きました。



本書は終戦間際に特攻で亡くなった宮部久蔵というパイロットの記憶を孫たちの求めに応じて戦争に関与した元軍人たちがそれぞれの立場で語っていく物語。


60年前の戦争で辛うじて戦地から生き残ったほんの一握りの元軍人たち・・・凄惨な記憶を封じ込めて長い戦後をひっそりと生きてきた彼らの口をついて出る言葉の重みがこの作品の核をなしています。



今でこそ「生きて帰還する」ことの尊さに共感できますが、すべての欲望を封じ込めたあの時代だからこそ「生きて家族のもとに帰る」ことを第一義と公言することは自ら愛国者を放擲するに等しく、現に周囲から「臆病者」と軽蔑されていた宮部少尉。


周囲も驚くほどの慎重且つ卓越した操縦技術を磨くことの目的はただ1つ、「生きて家族の元に帰ること」。


にもかかわらず終戦直前に自ら特攻を志願して帰らぬ人となるまでの足跡を膨大な戦いの資料を駆使して迫っています。



作中に登場する現代の新聞記者が戦争を分析して語っている内容―神風特攻隊と現代のイスラム過激派の自爆テロリストとの同一視―は論理上は正しくもまったくもって真実に迫りえない環境の現代に生きる評論家の弁として私たちも心しなければならない多くのものを含んでいるのではないでしょうか。


「戦争の特集の中でも、カミカゼアタックは是非総括しなければならないテーマだと思っています・・・
カミカゼは決して過去の問題ではありません・・・
9・11のテロを見てもわかるように、今かつてのカミカゼと同じ自爆テロが世界を覆っています・・・
特攻隊員の手記を読みますと、多くの隊員が宗教的な殉教精神で自らの生命を捧げていったのが読み取れます。 
出撃の日を、大いなる喜びの日と書いた隊員もいます。 
でも、これは別に驚くに値しないことです。戦前の日本は現人神の支配する神国でしたから、若者の多くが国に殉じる喜びを感じていたのは当然かもしれません。
これははっきり言って殉教精神です。 
そして彼らの殉教精神こそ現代のイスラム過激派の自爆テロを共通するものに他ならないのです。
私はカミカゼアタックの人たちは国家と天皇の為に命を捧げる狂信的な愛国主義者と思っています」


本書の読みどころは先にあげた元軍人たちの重い体験から発する言葉とこの新聞記者を代表とする戦争体験のない人々が理屈で考えて発する言葉との対比にあると思います。


イスラムの自爆テロとカミカゼの同一視の根本には「洗脳」という言葉があることは想像できますし、一部には真実であろうと思いますが、本書での元軍人たちの証言や勇ましく散った特攻隊の遺した遺書などを通してオウムのように軍国主義に洗脳された狂信ロボットのような青年たちではなかったということを私たちは知る必要があります。



負け戦と知りながら命を投げ出さなければならなかった心情、もしくは逃げ出したかった心情に後年の解説は不要という気がしました。



事実に基づいていると思われる戦争に関する事柄をたくさん挿入しながら著者はラストに読者の心を掴む大きな仕掛けを用意しています。



感動を呼ぶそんな仕掛けは別としても戦争を体験したことのない私たちに戦争という怪物の聞きしに勝るすさまじさも含め、戦中から戦後にかけてのあまりに見事な思想の転換によって「鬼畜米英」から「民主主義万歳」となる過程や戦争に従軍した人々が「英雄」から「戦犯」となる過程の残酷なほどの素早さを知る機会を与えてくれる力作でした。

CHEMISTRYの歌に「輝く夜に」というのがあります。

♪あきらめない つまりそれが未来
♪あざやかな 足跡を遺して
♪夢をこの手に つかむんだ

♪You know that you’ll make it!
♪I know you can take it!
♪輝く夜に この歌を



あきらめないで夢を掴む努力をする年齢はとっくに過ぎたと思っていますが、最近92歳で詩を作りはじめ98歳で詩集『くじけないで』を出版、詩集としての発行部数として異例の100万部突破を果たした柴田トヨさんのことを知って自分の不甲斐なさを思い知ったことでした。


ねえ 不幸だなんて 
溜息をつかないで
陽射しやそよ風は 
えこひいきしない
夢は
平等に見られるのよ    
私 
辛いことが 
あったけれど
生きていてよかった
あなたもくじけずに
  (トヨさん 96歳のとき)


私ね 人から
やさしさを貰ったら
心に貯金しておくの
さびしくなった時は
それを引き出して
元気になる
あなたも 今から積んでおきなさい
年金より
いいわよ
  (トヨさん 97歳のとき)



大波小波が押し寄せるとすぐくじけそうになる私ですが見習わなくては!



さて上述のCHEMISTRYの歌詞から採ったわけではないでしょうが、『永遠の0』でベストセラー作家の仲間入りをした百田尚樹氏の第二作目『輝く夜』をご紹介します。


百田尚樹氏著『輝く夜』


昨年12月、新幹線異動のお供にとキオスクで求めたもの、著者がクリスマス向けに書かれた5篇の短篇集です。


「クリスマス・イブの5つの奇蹟」


5篇の主人公はすべて何かしらの不幸を背負った女性。


◆7年間勤めた会社を突然リストラされたうえに、弟の倒産寸前の会社のためになけなしの貯金をはたいてしまった恵子

◆妻子ある男性に捨てられ自暴自棄になっていた夜拾った片目の猫と暮らす雅子

◆20歳という若さで癌のため死に向かおうとしている真理子

◆小さな見栄のため嘘をついてしまったことから愛する人と別れた依子

◆交通事故で死んだ愛する人の子どもをお腹に宿し死に場所を求めた和子


この5人の女性の身に現実にはありえないような奇蹟が起こるという物語ですが感動するには人生を知りすぎた年齢になった自分を感じてしまいました。


登場人物たちがあまりにも一途で、その身に起こることもあまりに現実感が薄くファンタジーとして読めば楽しめる作品ということでしょうか。


余談ですが全体としてはオー・ヘンリーの短編集に似通った雰囲気、『最後の一葉』や『賢者の贈り物』を思い出したことでした。

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