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ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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カテゴリ: 高杉良

NHKの受信料、払っておられないご家庭もあるということが度々話題になっています。

ちなみに我が家ではBS受信料とともに年間契約で引き落としをしていますが、かなりの金額。


会長になられた籾井氏の政府寄りの暴言が度々俎上に上げられていることなども含め、権威にアレルギーのある夫も私も本音は払いたくない受信料。

でもけっこうBS観るんですよね、夫は特に。


そんな籾井氏が月額50円の受信料値下げ提案をしておられるというニュース。

値下げ自体はウエルカムですが、どうもそれが二期続投への意欲の表れと見るむきが多いとか。


就任以来権力を駆使して粛清人事と称する降格人事を乱発しておられるというのも耳にしています。


続投はしてほしくない、トランプ氏には勝利してほしくない、などなどの昨今の私の願いは悉く叶わないので、これからどうなることか。


なんだか心細い秋の夕暮れです。





さて本日は高杉良氏著『人事の嵐』のレビューです。 


「入院中の社長の阿部は、後任を江口と定めたが、江口は固辞して一期下の大谷を推した。「後任人事決定前に阿部は没した。
江口は社長の遺志だと大谷を口説くのだが(「社長の遺志」)。
会社更生法の申請をした商事会社で四十五歳の取締役が誕生した。
人事部長兼務である。
しかし、使命は減員計画の推進であった(「人事部長の進退」)。
リアルな筆致で人事という心理戦を描いた傑作八編」


本書は今からほぼ30年ほど前の日本のトップ企業内の人事の物語。


女性の姿がほぼ見えないことも含め全体的に古さは否めませんが、大筋ではこんなものかな、と思えるリアリティのある内容です。


押しも押されもしない主婦代表ですが、けっこう企業系の作品に惹かれます。


自分の知らない世界を垣間見ることができる小説の世界。


そういった意味で池井戸潤氏の一連の銀行系の作品も大好き。


四十数年にわたってサラリーマン生活を送った夫の、企業内の人事に翻弄されて浮き上がったり、沈みそうになったりの日常をそばで見てきたこともあり、本書はとても興味深かったです。


本書には8編の短篇が収録されていますが、トップになることの切磋琢磨ぶりを男らしいとみるか、女々しいとみるかで評価は分かれるとは思います。


しかし一度権力の味を知ると、人間はこうまで執着するのか・・・驚くばかりの主人公がいたり、反して潔い退却のトップがいたり。


ちなみに夫の引き際は私の目から見てあまりにも唐突だったので、そのときは鬱々としましたが、今では唯一と言っていいくらい夫の潔さを利点と見直しています。

ただ単に働くのがいやだったという説もありますけど。


でも大半が往生際の悪い、と思われる人ばかり。

籾井氏もオリンピックの森氏も、東京都議の内田氏も・・・。


権力と富を手に入れたらこうなるのか・・・私も一度手にしていたら考え方が変わったかも。

「日本国憲法は前文からはじまり 特に第9条により 徹底した戦争の放棄を定めた国際平和主義の憲法です。
日本国憲法は、基本的人権の尊重・国民主権(主権在民)・平和主義(戦争の放棄)が特徴です。特に 第9条は、 戦後日本国が戦争できないように日本国政府に歯止めをかける大切な働きをしています。
そして、この日本国憲法第9条の存在は、日本のみならず、世界平和実現の希望です。
しかし、今、この日本国憲法が改憲の危機にさらされています。
どうか、この尊い戦争の放棄を定め、世界平和を希求している日本国憲法 第9条にノーベル平和賞を授与してください。
もし個人や団体しか授与できない場合は、どうかこの尊い平和主義の日本国憲法 特に 第9条を今まで保持してきている日本国民に授与してください」

神奈川県の2人の子どもを持つ主婦・鷹巣直美さんによって始まった「世界各国に平和憲法を広めるために、日本国憲法、特に第9条、を保持している日本国民にノーベル平和賞を授与してください」運動は直後から静かな広がりを見せ、多くの賛同者を得て「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会が設立され、昨年12月29日に戦争しない平和憲法を70年近く保持している「日本国民」 ノーベル平和賞の候補にノミネートされることが正式に決定しました!!

その後更なる広がりの中各界からの賛同も増え続け、懸命に署名活動をしています。

「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会はこちら → 

署名サイトはこちら → http://chn.ge/1dSWvo1

私も署名しました。

一主婦の途方もない夢から始まったこの活動、8月の提出に向けて1人でも多くの人の賛同署名が集まり、委員会の心を動かし、授与に向けて開かれることを心から祈っています。

「人類の叡知である平和憲法を守りましょう。
『再び戦争をしない』という約束をつなぎ,『強い日本』より,『信頼される日本』こそ私たちのしあわせ。
子どもたちに戦争のない地球を守り伝える憲法9条」


一国を率ゐる人よ願はくば戦ひの野の前線に立て

 



さて本日は高杉良氏著『社長の器』をご紹介します。

「兄は、冷酷非情な多国籍企業の総帥、弟は、従業員の幸福を第一に考える中小企業の経営者。
血を分けた兄弟でありながら、器量も経営理念もまったく異なる二人の確執は、弟の政界進出によって、決定的なものになった。
そして、弟の路半ばにしての急逝――。
その凄絶な闘いのドラマと、胸を打つ家族愛を描いて、真に理想の経営者像に迫った、高杉経済小説の白眉!」


著者お得意のノンフィクション的経済小説。

ミネベアの前社長・高橋高見氏とその弟で中小企業社長かつ民社党衆議院議員・高橋高望氏の確執を鋭く描いた作品となっています。

従業員数十人規模の日本ミネチュアベアリング(現ミネベア)を上場企業に成長させた辣腕で知られる兄・高見氏と従業員を大切にし福利厚生に力を入れる中小企業の社長である弟・高望氏の対照的な性格と経営に対する考え方の違いを際立たせて、さらには「社長の器」に適しているのはどちらかという命題を読者につきつけている作品です。

とはいえ、著者・高杉氏は判官贔屓的な視点で人情の篤い弟の側に立って描いているのは一目瞭然であるといえます。

方や兄はこれほどの冷血な人間がいるのかという描写すさまじく、果たしてこのような非人間的な経営者が小さな企業を大企業に育てることができるのかという素朴な疑問を持ちました。

本書は弟の視点で描かれた作品であるがゆえの感想ですが、これが兄の視点で描かれていたらどんな作品になっていたか興味深いところです。

もう一つ、企業小説とはいえ、兄弟とも仕事に関わる細かな描写がほとんどなく、兄弟の確執に全ページを費やしていて、特に兄の執拗なまでの弟一家を追い詰めるやり方の描写に重きを置いているのがとても読み辛かったという読後感を持ちました。

親しい仲間8人で仏像界のイケメン・阿修羅立像に会いに興福寺に行ってきました。
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創建1300年、今回は現在再建中の中金堂の北側の仮金堂の特別開扉ということで、本尊・釈迦如来像や左右の脇侍の薬王・薬上の両兄弟菩薩立像など間近でじっくり見ることができました。
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そして心は国宝館に急いで・・・いよいよあこがれの阿修羅像。

逸る気持ちを鎮めながら、静かな威厳の立ち姿の美しい像高520.5cmの千手観音菩薩像に圧倒され、個性豊かな十大弟子像に対面して、やっとやっと八部衆に。

目当ての阿修羅像は中ほど右よりにすっきりと立っていらっしゃいました。
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本来の古代インド神話の阿修羅王は帝釈天を敵に合戦を繰り返した荒々しい悪神といわれ、その容姿も醜悪な鬼神だったそうです。

興福寺のこの阿修羅像は、この悪神が釈迦の教えによって仏法の守護神となった姿で、眉根を寄せた苦悩の表情は、元の荒々しい醜悪な心が仏によって目ざめ愁眉を開きつつある顔だといわれているそうです。

男性とも女性とも特定されていませんが、私には少年期から青年期に至る途上の清冽な憂いを含んだ表情に見えました。

三面六臂の3つの顔はそれぞれ特徴がありますが、やはり中央の眉根を寄せ正面を見据えた顔が特に好きです。


写真は興福寺に行く前に食べたランチ。
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今回の奈良行きを計画してくれた友人がネットで評判の店を検索してくれて決めましたが、開店前から大勢の人が並んで待っているような人気店、運よく直前の予約で入れました。

他に数品写真を撮り損ないましたが、野菜オンリーの店。


ランチの後、猿沢の池を散策しながら興福寺までブラブラ歩いて行きました。
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散策日和のいい一日でした(*^。^*)






さて今日は高杉良氏著『小説 ザ・外資』をご紹介したいと思います。


先日土日一泊で帰省していた次男と図書館に行ったとき、チョイスしてくれた作品。


池井戸氏の作品で銀行系経済小説を読み漁って以来、経済小説の面白さに嵌っているので、証券系で興味深い作品がある?と証券会社に勤務する次男に聞いたところ、本書と『ハゲタカ』を紹介してくれたのでした。



どちらも外資系証券界を中心に描いた本で私の興味の対象とは少し外れますが、面白く読みました。




「東邦長期信用銀行を辞め、外資系金融機関に飛び込んだ西田健雄は信じられない不正の数々を目の当たりにする。合併の大型案件で他人のアイデアを横取りするのは序の口、違法なリベートや詐欺的商法まで横行する。強大な力の前には不良債権に喘ぐ邦銀などひとたまりもなく―。圧倒的な迫力が光る経済小説」



旧日本長期信用銀行と米系投資銀行のゴールドマン・サックスをイメージして書かれている本書。



小説仕立てとはいえ、綿密な取材の上での作品は著者ならではと思えるリアリティに溢れた作品。



現在は新生銀行となっている日本長期信用銀行が破綻してから再生する過程で登場したゴールドマン・サックスのあくどさがこれでもかと描かれていて、著者の外資嫌いがうなずける作品となっています。



本書は大きく分けて三部仕立てとなっています。


上述の新生銀行誕生物語はその第三部で詳しく描かれていますが、第一部は本書の主人公・西野健雄が破綻寸前の長銀からトラバーユした米国のダイアモンド・ブラザース(DB)で苦労して練り上げた合併話のトロフィーディール(大型案件)を上司とそのゴマすり部下に横取りされる話と、偶然早朝のセントラルパークでのジョギングで知り合ったグレース証券会長のマイケル・パターソンにグレース証券東京支社への入社を熱心に請われる話が並行して描かれています。



第二部は、請われて役員として入社した東京支店で扱っている「ヴィクトリア債」というものが、ハイリスク・ハイリターンのデリバティブの私募債であるにも関わらず、元本保証として大々的に売り出して日本企業から巨額の資金を集めていることを知った主人公が入社10日後同社を退職するまでの顛末。

その9ヶ月後にこのヴィクトリア債券が破綻し日本企業約70社、約1300億円の損失をもたらして経済界に混乱を巻き起こすことになります。



著者の筆を通して、拝金主義を貫くための強引な手法によって日本企業を傘下に入れるという外資、特にインベストメント・バンクのやり口が日本企業にとってハゲタカのような存在として描かれていますが、多分に著者の外資に対する感覚が描かせている感が窺えるものの大部分は事実なのではないでしょうか。


例えば長銀の再生のために外資が出した条件の1つ「瑕疵担保条項」に関して。

譲渡時以降に、貸出債権が20%以上不良債権化したら簿価で預金保険機構が買い取るというものだそうですが、現実にデパートのそごうが債権放棄を依頼して再起を図ったとき、この新生銀行のみが不良債権として簿価による買取を要求したそうですが、約1000億円という巨額のために世論に受け入れられず、結果的にそごうは民事再生法による再生に切り替えたといういきさつがあるそうです。


義理人情に裏打ちされた終身雇用制の日本企業もどんどんそういった情緒的志向の体制から脱却して現在に至っているようですが、まだまだ外資には及ばないのは私のような甘い人間が感じるに、あながち悪いとは言い切れないものがあるような気がします。


夫は終身雇用制のザ・日本企業に在籍していたので外資の苦労を知りませんが、外資系IT企業にいる娘を通してトップのアメリカ人役員たちの締め上げの厳しさを耳にするたび現在の働き盛りの人たちの苦労が偲ばれます。


どんな事象にも表裏があるという典型ではないでしょうか。

新聞を開く度に目に飛び込んでくる虐待やいじめの記事。 


これほど連日のように事件として報道されているのに反省の糧にするどころか追い討ちをかけるように次々悲惨な事件が後を絶たないのはどういうわけでしょうか。



そんな中、上野動物園のジャイアントパンダのシンシンが赤ちゃんを胸に抱いて授乳している初画像が公開されました。

記事によると赤ちゃんは体調15cm、体重150kgという小ささ!


巨漢の母親の下敷きにならないか心配なくらいですが、シンシンは出産後エサも水も口にしないまま赤ちゃんの鳴き声で15分おきに起きて授乳しているそうです。


何という母性!

野生動物にもこれほどの母性が備わっているのに。


新聞紙上を賑わしている現代の一部のヒト科の母に学んでほしいものです。



現在29歳になる次男がちょうど1歳を迎える直前、前日から風邪のため発熱していたものの平素と同じように寝付いたのを確かめて私も熟睡していた夜中2時過ぎ、泣き声も激しい動きもなかったにもかかわらず、ただならぬ異変を感じて飛び起きたところ、激しい熱性けいれんを起こしていました。



傍らの夫を起こして救急車を呼んでもらったものの夫も現住所を満足に伝えることができないほど動転、救急車が来るのが待ちきれずバスタオルにくるんで家の外まで出ましたが、その到着の遅かったこと!



やっと救急車に乗って救急病院に向かう車中もずっとけいれんが治まらず、「こんなに長く続いていたら障害が残る可能性がある」といわれた救急隊員の方の言葉に震え上がりました。


どんなに長く感じてもせいぜい1分か2分止まりといわれているけいれん発作が病院に到着して相応の処置をしてもらってやっと治まりました。



後日大学病院の脳神経外科で脳波を調べてもらって異常なしということがわかった時には脱力してしまいました。


あまりにも発作が長かったということで5歳まで発作止めの薬を飲みましたが、以後何の問題もなく成長したのは僥倖といえるかもしれません。



発熱が原因の熱性けいれんといえど、私がそのまま何の気づきもなく眠っていたなら障害が残った可能性大と言われました。



自分ではそれほど母性豊かであるという意識はありませんでしたが、そのとき夫に「よく気づいたな~」と驚嘆されたことが今も記憶に残っています。



現在は多忙のサラリーマンとしてあまり音沙汰なしの次男ですが、元気でいてくれるのが親の最大の願いです。




さて本日は高杉良氏著『勇気凛々』をご紹介したいと思います。


「放送局に入社した武田光司は、型破りの伝説的な営業マンとして実績を上げた。
だが、サラリーマン生活にあきたらず、友人の勧めで独立を果たし、自転車の輸入販売を始める。
当初は失敗が続いて苦悩するが、持ち前の明るさと根性で踏ん張り、たび重なる困難を乗り越えていく。
やがて販路として開拓したイトーヨーカ堂の信用を得て、その成長と共に事業を拡大、ベンチャー企業を見事に育て上げる。
夢の実現に全力で立ち向かう男のロマンと、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊会長をはじめ、人との得難い出会いを描いた力作長編」



自転車製造販売で有名な「ホダカ」の創業物語、実名小説となっています。


物語は高度成長期に当たる昭和41年からスタート、ラジオ放送局の敏腕営業マンだった主人公・武田光司が10年間働いた放送局を退社し、新参者として自転車業界で独立して悪戦苦闘しながら自転車の開発・輸入・販売業のホダカを大きくしていく姿を描いています。


簡単に「ホダカ」について説明すると、埼玉県の越谷流通団地に本拠を置き、ブリジストンやパナソニックなど完成品メーカーとは異なり、中堅自転車メーカから仕入れた自転車を高度成長期のイトーヨーカ堂と提携して販売するという商社的機能から始まった会社だそうです。



将来を期待していた社員の突然の退職や取引先の倒産、アパレル事業の失敗など決して順風満帆とはいえない多々の困難をその都度持ち前のガッツで乗り越えた陰には再婚で得た妻の並々ならぬ献身とともにワンマンながら義理人情に篤い主人公の人柄、そしてイトーヨーカ堂の伊藤雅俊会長を初めとするすばらしい人々との出会いに期するところが大というところでしょうか。



周囲が反対する中無謀ともいえる放送局退職を果たした際に常務から送られた葉書はその後宝物として額に入れ主人公の心の支えにしてきたといいます。


「新天地を求めて縦横の活躍に入った由、大賀の至り、君は社長たることに宿命を背負った男だ。
もっと大成すると信じている。
頭が良くてユーモアがあって、根性が据わっており、適当にズルく、適当に押しが強く、しかも根本に誠意がある。
存分にやってくれ、
始めは我がために、やがて社会公共の為に。
武田光司は男でござる」



多々の説明を重ねずとも主人公の男気が伝わってくる葉書ですね。


ホテルや旅館に泊まるとサービスの一環として翌朝新聞をドアのところに挟んでくれるところがあります。3f104b50.jpg



地元紙か毎日新聞、読売新聞がほとんどですが、先日泊まった外資系のホテルでは珍しいことに日経新聞が入っていました。


夫が現役の頃は代々取っている朝日新聞に加えて日本経済新聞を購読していましたが、家庭&文化欄が極端に少ない日経は主婦の私には不満でしたが、その中でも各界の著名人の半生を描いた「私の履歴書」は毎朝読むのを楽しみにしていて、興味ある人物の履歴書は切り抜いて保存していました。



1956年にスタートしたそうですから、半世紀以上続いている目玉記事といえますが、ここに登場することは功なり名を遂げた著名人にとって輝かしいステイタスであるのは想像に難くありません。



自薦他薦で登場する方々が多い中、日経から登場を繰り返し促されても「自分はそんな分ではない」と固辞された著名人が何人かいらっしゃったという裏話を知ったのは本日ご紹介する作品によってです。



高杉良氏著『乱気流』


週刊現代に連載後2004年に刊行された作品。


舞台になっているのは東京経済産業新聞社という名を借りた日本経済新聞社。


登場人物や企業名はすべて本名は避けていますが、一読で実在の企業や人物とわかります。


当時注目を浴びたリクルート事件や日経新聞100%子会社のTCW社の架空工事による不正経理を巡る事件などに対する内部告発による社内の混乱の様子が経済新聞の中では神格化されたような存在の日本経済新聞社の一記者の目を通して語られていて大変興味深い内容の作品でした。


この作品に関しては内容に名誉を傷つけられたとして当時の日本経済新聞社の鶴田卓彦元社長と島田昌幸常務が版元である講談社と高杉氏に出版差し止めと計7400万円の賠償などを求め、東京地裁に提訴したという後日談があります。


訴状では鶴田氏側は「裏金作りのために子会社を設立」や「社長が赤坂のクラブ経営者を愛人にしていた」などは事実無根であると主張し、結果、東京地方裁判所から高杉氏に賠償命令が下され、一見鶴田氏側の勝利のように見受けられるものの、賠償金は470万円と減額され、裁判費用の負担割合も鶴田氏側と高杉氏が19対1という結果に終わったそうです。



あとがきによると、この裁判後も高杉氏は信念と創作に向かう姿勢はいささかも揺らぐことはない、以後の作品に対する姿勢について語られたそうです。



社会の良識が厳しく求められる新聞社で、重責にある立場の社長ほかのモラルの欠片もない公私混同ぶりや、スキャンダルの大元締めが自らの潔い進退を決断するどころか、社長や会長という役職にしがみつくその執着には驚くばかりです。



世の中、正義がすべての上に立つとは思いませんが、あまりにもどろどろの人間関係の癒着ぶりにただ呆れます。



バブルが弾けて久しい現在でもなお政財界、官僚、電力会社などの持ちつ持たれつの腐れ縁に国民が振り回されている図式は作品の内容と似たり寄ったりではないでしょうか。



「良心」の必要性を強く感じた作品でした。

「コンプガチャ」という携帯ゲームに規制が入ったのを受けて提供側からの廃止が決まりましたね。d78a1625.jpg



1回数百円を使って「ガチャ」と呼ばれるくじを引くとゲームで使える絵柄入りカードが当り、組み合わせ絵柄を揃えるとより強力な武器など貴重なアイテムが手に入るという仕組みだそうです。


月に数十万円使う子どもが出てくるなどトラブルが相次いだのが規制へのきっかけだそう。



「カード合わせ商法」というのは古くは野球選手カード、次男が小学生の頃はビックリマンチョコ全盛期だったし、遡って私が子どもだった頃からあったと記憶します。



小学生の頃、今は亡き弟とガムについている絵柄を合わせたら外車がもらえる、という夢のような話に競って夢中になり、誕生日やクリスマスなどのプレゼントはすべてガムにしてもらい、お年玉はカートンでガムを買うという暴挙に出るバカな一時期がありました。



冷静に振り返ると当たるはずもなくよしんばスーパーカーが当たったとしても小学生がどうするの??という話、お金を溝に捨てるおバカな行為でしたが、子どもって簡単にそんなカード合わせに夢中になるんですよね。



高い授業料を払って残ったのは食べきれないガムの山と、車にまったく興味も知識もないのに、ランボルギーニ・カウンタックLP400やフェラーリ250SWBなど世界の名だたるスーパーカーの名前がいまだにスラスラ出てくること!



現在の私は宝くじもほとんど買いません。






さて本日は高杉良氏著『新・燃ゆるとき』をご紹介したいと思います。


本書は1990年にハードカバーで刊行された『燃ゆるとき』の続編に当たり、また2005年に角川文庫より刊行された『ザ エクセレント カンパニー 新・燃ゆるとき』を主要人物名を実名に替え改題したものです。


「東洋水産の米国法人は、長年の赤字から脱却して米大陸の即席麺のシェアでトップを達成。
経営スタイルがまったく異なる米国で文化摩擦に正面から取り組み、日本型経営を貫いた企業を描いた傑作経済小説」



創業者・森和夫が1953年に築地魚市場の片隅でわずか4人の従業員と起業したスタート時から商社の横暴、ライバル企業との特許抗争、米国進出時の苦難などを中心に書かれた『燃ゆるとき』以後、幾多の苦難を乗り越え、米国で即席めんトップシェアを目指して奮闘するUSAのトップ・深川清司以下部下たちの血みどろの熱き死闘の日々を描いて男性ならずとも深い感銘を与えられる作品になっています。



東洋水産の名には疎くとも武田鉄矢さんを起用した「赤いきつね」と「緑のたぬき」のCMを知らない人はいないだろうと思うほどマルちゃんブランドで有名になった東洋水産ですが、現在の大企業としての確立した地位を築くまでの「運命共同体」を経営理念にした経営者のぶれない情熱に呼応して従った社員たちのひたむきさもさることながら、それを長年にわたって追い続けた著者の取材力の確かさにも脱帽です。 



本書は子会社・マルチャンINCの社長・深川清司が当時まだ存命だった会長・森和夫の再三の求めで東洋水産の代表権のある会長職を受けることになった件を描いてペンを置いています。



余談ですが、その後昨年、創業者・森和夫が逝去してのち、東洋水産の人事はどのようになっているのかという興味で四季報を見てみると、今年深川が退き、社長を務めていた堤殷が深川の後任の会長職となっての安定経営が続いているようです。



ともあれ日本とアメリカのビジネスに対する認識の違いから派生する様々な苦難を克服する真摯な取り組みを通してアメリカ人ほか外国従業員の意識を徐々に変えていく様子を人間を中心に描いているところが本書の最大の見どころといえるでしょう。



マルチャンのアドバイザーになったウイリアムメリー大学の浜田とも子教授をして「マルチャンこそがエクセレント・カンパニーなんです。 資本力が大きいとか、会社の規模や知名度がどうとかではなく、いちばん底から叩き上げてきていまがあるマルチャンは、まさしくエクセレントだと思います」と言わしめた社員一丸となってのひたむきな努力には胸を打たれます。



もう1つ大変興味深かったのは本書後半で、堅実経営を誇る東洋水産が、米系大手証券日本支社が勧めたモーゲージローン(住宅ローン債権を中心とした譲渡可能証券)に60億円も投資し、48億円の損失をするという場面でした。

投資銀行のいかがわしさと2008年に起きたリーマンショックをそっくり先取りしたような描写に驚いたことを付け加えて終わります。

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