VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

PVアクセスランキング にほんブログ村

カテゴリ: 小川糸

中毒といわれるくらい活字が好きで寝る前の読書がかかせない日々ですが、最近とみに読書量が減ってきています。


ピーク時は年間300冊ほど乱暴に読んでいたのが、150冊ほどにダウンしたのはいつ頃からか?


2週間毎に7~8冊借りて読みきっていたのが、読みきれず返すことが多くなりました。


自分の感覚にマッチしないのは最初の数行読んで返却することも。


読んだ中でブログにアップするのは半数強・・・感動無感動にかかわらず最後まで読了してなんとなくレビューを書こうと思ったものだけ。


読了しても充足感を味わえる作品はほんのわずか。



前評判を知って期待に胸を弾ませながら手に取れる作品も図書館本では限られています。


かといって増やしたくないのでなるべく購入は避けたいし・・・。


そんなこんなで躍るようなレビューが書けなくてつまらない読書録になっています。



拙いブログを見限らずご訪問くださっている皆様ほんとうにありがとうございます。


そんな私の心境を代わりに伝えてくださっている詩をひとつ。

他のひとがやってきて
この小包の紐 どうしたら
ほどけるかしらと言う

他のひとがやってきては
こんがらがった糸の束
なんとかしてよ と言う

鋏(はさみ)で切れいと進言するが
肯(がえん)じない
仕方なく手伝う もそもそと
生きているよしみに
こういうのが生きているってことの
おおよそか それにしてもあんまりな

まきこまれ
ふりまわされ
くたびれはてて

ある日 卒然と悟らされる
もしかしたら たぶんそう
沢山のやさしい手が 添えられたのだ

一人で処理してきたと思っている
わたくしの幾つかの結節点にも
今日までそれと気がつかせぬほどのさりげなさで

茨木のり子『知命』より



さて今日は小川糸氏著『ファミリーツリー』のレビューです。


「だって、ぼくたちはつながってる――長野県穂高の小さな旅館で生まれた弱虫な少年、流星は「いとこおば」にあたる同い年の少女リリーに恋をし、かけがえのないものに出会う。
料理上手のひいおばあさんや、ちょっと変わったおじさんなど、ユニークなおとなたちが見守るなか、ふたりは少しずつ大人になっていく。
命のきらめきを描き出す、渾身の一作」


小川糸氏の作品は『ツバキ文具店』を初め、数冊読んでいますが、著者ご自身のやわらかい雰囲気にマッチした文体の優しさに惹かれるものがあり手に取った作品。


結論からいうと、行き当たりバッタリに紡いだ駄作という印象。


舞台は著者好みというか・・・安曇野・・・この設定にも必然性を感じませんでしたが。


風景も人物描写も表面的で上滑りな仕上がり。


主人公の少年の成長譚と読めないことはないのですが、少年期と青年期の視線が何ともお粗末。


信州の穂高で生まれ育った少年・流星と親戚の少女・リリーとを巡る〈家族〉の物語。


「ファミリーツリー」というタイトルに託して、安曇野を舞台に過去~未来へと繋がる命を描くというモチベーションが見え隠れしますが、主人公の生き方があまりにも行き当たりばったりでこれからの未来への希望に危うさを感じてしまうような作品になっているのは残念でした。


唯一光っているのはおばあさんの菊。

ファミリーツリーのトップにいる菊さんの描き方が出色です。

温泉好きの夫に誘われて湯郷温泉に行った帰り道、奈義町の中心部にあるシンボルロード沿い約16.5haの圃場の菜の花畑に回り道して行ってきました。

9c354d0e.jpg

春陽が大地を溶かすと見るまでに那岐の麓を菜の花覆ふ

8c9c853b.jpg



903aadd1.jpg

一瞬のまばたきの間に消えゆけるミラージュのやうな奈義の菜の花


那岐山へと続くまっすぐな道「シンボルロード」の両側に広大な菜の花畑が広がっていて息を飲むほど見事です。


町主催の菜の花まつりはもう少し先のようでしたが、ほぼ8分咲きで、ほとんど観光客もいず、ゆっくり堪能できました。

前日に泊まった旅館で夫と退屈しのぎの花札・・・わたしが勝ちました(^.^)

e61908fc.jpg
 









さて本日は小川糸氏著『ツバキ文具店』のレビューを少し。

「言いたかった ありがとう。
言えなかった ごめんなさい。
伝えられなかった大切な人ヘの想い。
あなたに代わって、お届けします。
家族、親友、恋人⋯⋯。
大切に想ってっているからこそ、伝わらない、伝えられなかった想いがある。
鎌倉の山のふもとにある、小さな古い文房具屋さん「ツバキ文具店」。
店先では、主人の鳩子が、手紙の代書を請け負います。
和食屋のお品書きから、祝儀袋の名前書き、離婚の報告、絶縁状、借金のお断りの手紙まで。
文字に関すること、なんでも承り〼。
ベストセラー『食堂かたつむり』の著者が描く、鎌倉を舞台した心温まる物語」


手書きの年賀状を作らなくなってどれくらいになるだろう。


年賀状だけでなく、ともすれば手紙もハガキもワードでプリントアウトしたり・・・。


白い紙に直接ペンで字を乗せていくということが一大作業のような重さになって久しくなります。


お礼状やお見舞いの言葉も親しい人には電話やメール。



そんな中、私が習っている水彩画の先生から絵はがきが届きました。

ほんの些細な気配りに対するお礼状。

4ab78728.jpg

若いのにすごいな~~~見習わなければ。


さて本書に戻ります。

鎌倉にある小さな文具店が舞台。

主人公はそこで文具店主としての仕事のほかに手紙の代書をしている雨宮鳩子。

母親代わりに鳩子を育ててくれた祖母に倣って代書屋という仕事を継いだ鳩子。


そこに至るまで紆余曲折があったものの、一件一件の依頼に心を込めて代書する鳩子の人となりと歴史のある古都・鎌倉のたたずまいが丁寧に描かれていてしっとりとした作品に仕上がっています。

小川糸氏ワールド満載!

鎌倉の四季を背景に鳩子を取り巻く登場人物たちの素朴で正直な生き方が胸を打ちます。


字を書けない人が少なくなった現代、代書というと印刷屋に任せる年賀状や喪中はがき、結婚式案内状などしか思い浮かびませんが、ここでは離婚の挨拶文や絶縁状など人生の途上のさまざまな事柄を偲ばせる内容が舞い込みます。

そんな想いを込めて依頼したいという手紙・・・自分で書けばいいのに、というツッコミはさておいて・・・。


これらの依頼に、依頼主の想いを汲み取りながら丁寧に丁寧に仕上げていく手紙。


本書に時々登場する鳩子直筆の代書の手紙の筆跡のやわらかさが目に沁みます。


よかったらどうぞ!

このところ徐々に徐々に倦怠感が戻ったような・・・。


昨年の9月より新薬の追加で炎症数値が少しずつダウンして、倦怠感が退いていたのにここ1ヶ月ほど微妙な体調の変化に戸惑っています。


今までの薬に追加して増薬した新薬は最初は1錠を投与して、しばらく様子を見て目立った副作用がなければ2錠にするものですが、製薬会社が出している死亡例の統計がかなりのものだったので怖くなり、6ヶ月強たった現在も1錠のままを医師にお願いしているんですけど。


来週、検査結果如何によっては2錠にされるかも。



今月末にずっとずっと行きたかった鹿児島・知覧行きを控えているので、それまでどうぞこれ以上倦怠感が酷くならないよう祈っているのですけど。



さて本日の作品にちなんで・・・みなさんにも今までたくさんの「思い出ごはん」があると思いますが、やはりダントツなのは母が作ってくれた思い出ごはんではないでしょうか。


母は特別料理が得意な人ではありませんでしたが、それでもいくつかの思い出ごはんがあります。


その1つがバラ寿司。


当地には祭寿司という豪華なバラ寿司がありますが、たくさんの魚介類がきらびやかにのったそんなバラ寿司ではなくて、そのときどきの材料を混ぜ合わせたごくごく普通のバラ寿司。

でもその酢飯の味加減がとてもおいしくて大好きでした。


1年ほどの新婚時代を当地で過ごしていたとき、電話のなかった私の新婚家庭に定期的に電報が来ていました。

「スシデキタ、オイデコウ」


懐かしい私の思い出ごはんです。



小川糸氏著『あつあつを召し上がれ』


「この味を忘れることは、決してないだろう――。
10年以上つきあった恋人との、能登へのお別れ旅行で味わった最高の朝食。
幼い頃に、今は亡き母から伝授された、おいしいおみそ汁のつくり方。
何年か前に家族みんなで並んでやっとありついた、天然氷でつくった富士山みたいなかき氷……。
ときにはほろ苦く、ときには甘く優しく、身も心も温めてくれる、食卓をめぐる7つの感動の物語」


食べ物にまつわる20ページ程度の短編7篇。

7篇に共通するのはそれぞれのシーンでの何らかの「最後」の食事。

最後の命の灯が消える前の祖母の口に運んだかき氷、共棲していた恋人との別れの食事、嫁ぐ娘と父の最後の晩ご飯など。

「食べる」という行為がただ生きるためではなく、そのときどきの思いと深く繋がっていて切ない物語を紡いでいますが、中にはちょっと共感できないような独特のストーリーもあり、タイトルと著者・小川糸氏を通して抱いていたイメージとはすこし違うな、という感想。


『食堂かたつむり』がじんわりとしたとてもよい作品だったので勝手にイメージを作っていたのかもしれません。


作為的な雰囲気が否めないものや、落ち着きどころがないもの、表面だけなぞったようなリアリティ感のないものなど。


そんな中、「こーちゃんのおみそ汁」は小学校に上がる頃に亡くなったお母さんが幼い娘に将来困らないように料理の手ほどきをして亡くなったことを、嫁ぐ日に娘が思いだす物語。

結婚するときにお父さんと交わした「毎日おみそ汁を作る」という約束を娘に託したかったというお母さんの本当の気持ちにやっと気づいた娘の回想で、じんわりとした切なさがある作品でした。

どこかでどこかで読んだことのあるストーリーだなと・・・「はなちゃんのみそ汁」でした。


どちらが先かなと奥付を見たら本書が先でした・・・余談ですけど。

↑このページのトップヘ