VINのらんどくダイアリー

ご訪問ありがとうございます。 「一日一生」を銘にさまざまな人生を読書というツールを通して味わっていきたいと思っています。 響きこし言葉に貼れるさみどりの付箋そよぎて林となりぬ

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カテゴリ: 森沢明夫

IMG_3700一昨日は夫の誕生日。

お互いの誕生日には朝から夜寝るまで相手の喜ぶことをするというのが夫がリタイアしてからの我が家の掟。

「おはよう」のあと朝食後、以前からヘッドホンで練習していた夫へのプレゼント曲を電子ピアノで弾きましたが、夫が横に立っているだけで1000hPaくらいの圧力を感じてボロボロな演奏・・・演奏というよりただの指押しという表現が似つかわしいような(ーー;)


もちろん誉め言葉はなく・・・

 

そのあと外出の予定あり・・・奉仕はしばらくお休み・・・ほっ。


 

夕食は数日前から予約しておいたお肉の専門店。      

 

ステーキ大好きですが、ほんの少しのグラムでいい夫。

 

100gの鹿児島黒毛和牛のサーロインの溶岩焼。

 

ほんとは80gでもいいくらいなんですけどね。

 

堪能してもらえてよかった!

 

「ありがとう! おいしかった!」


「どういたしまして(私が作ったんじゃないけどね)・・・

これで今年の誕生日の奉仕は終わりね」

 
「いやいや・・・まだ12時まで3時間あるから気を抜かないでな」


 という夫の言葉を無視して早々にベッドルームで読書にこもったのでした。

 

 


51D7nfyOi8L._SL500_[1]さて本日は森沢明夫氏著『たまちゃんのおつかい便』のレビューです。



移動販売で「買い物弱者」に元気を届けたい!!
心にエネルギーが満ちる、癒しの感動長編 
過疎化と高齢化が深刻な田舎町で「買い物弱者」を救うため、学を中退したたまちゃんは、移動販売の「おつかい便」をはじめる。
しかし、悩みやトラブルは尽きない。                              外国人の義母・シャーリーンとのいさかい、救いきれない独居老人、大切な人との別れ……。
それでも、誰かを応援し、誰かに支えられ、にっこり笑顔で進んでいく。
心があったまって、泣ける、お仕事成長小説

 

高齢者ドライバーの悲惨な事故が後を絶たない昨今。



では運転免許証を思い切って手放せばどうなるか・・・

 

子どもたちとの同居という形態が少なくなり、独り住まいの高齢者も少なくない中、電車やバスなど公共の交通網も行き届かない地区にいて、通院や買い物、習い事などという日常にたちまち不便を来たす・・・という懸念が運転を辞めるという英断を鈍らせる要因になっています。

 

恃みのバスも採算が取れない路線は廃止する傾向だし、だいたい足の悪い高齢者はローステップ以外の乗車口から上がることが困難な人も多く、そうなるとつい家に籠もりがちになり、寝たきり終末へまっしくらというステップ。

 

そして高齢者世代はタクシーがウルトラ贅沢だという感覚を持っている方が多い。

 

亡くなった母も足が悪くてもタクシーには乗らなかった人。

 

かくいう私も贅沢だという発想からなかなか抜け切れません。

 

私の住まいは市街地なのでまだいろんな手段がありますが、バスの便の悪い開拓地の団地住まいの友人は車がなくなったらという不安をいつも抱えています。

 

「買い物弱者」

 

この言葉がぴったりの状況がじわじわ広がっているのが現状。

 

中学時代に母を交通事故で亡くし、その後フィリピン人シャーリンと再婚した父を持つ主人公のたまちゃんこと葉山珠美。

 

近くに住む大好きな亡母方の祖母・静子ばあちゃんを通して高齢者の「買い物難民」の窮状を知っておつかい便の起業を思いつきます。

 

大学を中退して故郷に帰り、父やシャーリーン、幼馴染の同級生たちの助けを借りて、保冷車や材料を調達、父の知り合いの移動販売の先輩・古館に弟子入りしてノウハウを学び始めたおつかい便。

 

周りの高齢者たちにも受け入れられて。おつかい便も軌道に乗っていた矢先、静子ばあちゃんが急死します。

 

その知らせに動転し自損事故を起こし、大破してしまった販売車。

 

失意の底にいたたまちゃんに手をさしのべた師匠の古館のはからいのかっこよさには脱帽・・・これぞまさに「陰徳」っていうこと・・・読んでもらえばわかる言葉。

 


人はひとりでは生きていけない

 

支えたり支えられたりしながら生きていく人生。

 

森沢作品にはたいていいい人ばかりが登場しますが、本書でも悪意のある人は皆無。

 

特に静子ばあちゃんや父の人柄がすばらしい、亡くなった母も、そしてシャーリーンも。

 

「人生に『失敗』はない。

あるのは『成功』と『学び』だけ」

 

 

「人生っていうのは、たった一度っきりの命をかけた遊びだから、何でも好きなことやったもんの勝ちだ」

 

 

「人は人に喜ばれたときに一番いい気分になれる。

幸せの極意って、いつもいい気分でいること」

 


人は、人に「ありがとう」と言ってもらえたときにこそ、いちばんピュアな幸福感を味わえる

 

優しさのいっぱい詰まった言葉が散りばめられています。

 

 

V・A・C・A・T・I・O・N 楽しいな♪

 

青羽町の海沿いをコニー・フランシスの〈ヴァケイション〉が流れたらたまちゃんのおつかい便の合図。

 

 

私もたまちゃんから日用品を買って、付属の会話をうんと楽しんでみたい。

 

 

 

「自分に期待、人に感謝」

 

 

この言葉もしっかり受取りたい。

 

 

あとがきによると、三重県の紀北町で「移動販売」を起業し、集落の買い物弱者たちを救っているという東真央さんがモデルだそうです。

 

 

あったかい気持ちになることうけあいです。

 


ぜひどうぞ

以前、ブロ友いちさんのブログでご自身の過去の忘れ物についておもしろく振り返っていらっしゃったのを拝見して、そういえば・・・忘れ物に関しては超級のエピソードを持っている我が家、というか夫の忘れ物事件を思い出して・・・記録のために記しておきます(何のための記録??)


転勤が多かった我が家。

神戸から東京への転勤時。

引越し業者のトラックを見送って家中を点検、印鑑とか通帳、株券など業者さんに任せられない大切なものをバッグに詰め、最寄の摂津本山駅からJR神戸線に乗って、途中もらいもののお仕立券つきカッターシャツのオーダーをするため大阪で下車、阪急デパートに寄ったところまでは予定通り。

その後、新幹線で新横浜まで行き、新横浜のホテルに一泊、翌日トラックを迎えるという予定。


ところがデパートの紳士服売り場で仕立て券つきカッターシャツを出そうとした夫が・・・。

手ぶらなのに気づいて驚愕!


電車に乗れば、どんな荷物も網棚に置くという夫の習性で何度も失敗しているのでしばしば注意していたのですが、今回もやらかしたのでした(――;)


しかも今回の中身は我が家の全財産、さすがの夫もオーダーメイドどころではなく、2人で大阪駅へ走り、駅員さんにしどろもどろになりながら説明して、神戸線の車内の乗務員さんと連絡を取ってもらいました。

あった!

無事ありました!という報告(^.^)


その電車が折り返すのを待って京都で受け取ってください、とのこと。


ほっとして力が抜けてその場にしゃがみ込みそうでした~。


早速その夜宿泊予定の新横浜のホテルをキャンセルして、新幹線の乗車券を変更、そして京都に泊まりました。


そのとき私が思ったこと・・・バッグを持っていたのが私でなくてよかった!!



その他にも夫の忘れ物には枚挙の暇がないほど。


いつも用意周到を自認して、私の不備を責める人なんですけどね(――;)





さて今回は森沢明夫氏著『大事なことほど小声でささやく』をご紹介します。


「身長2メートル超のマッチョなオカマ・ゴンママ。
昼はジムで体を鍛え、夜はジム仲間が通うスナックを営む。
名物は悩みに合わせた特別なカクテル。
励ましの言葉を添えることも忘れない。
いつもは明るいゴンママだが、突如独りで生きる不安に襲われる。
その時、ゴンママを救ったのは、過去に人を励ました際の自分の言葉だった。
笑って泣ける人情小説」


以前高倉健最後の主演映画で話題になった『あなたへ』の原作を読んで以来の著者の作品。


筋立てに人生の哀しみを盛り込んだ甘さがあったので、ちょっと敬遠気味でしたが、図書館の新刊本棚にあったので。

タイトルのつけ方も何だか人生訓的^_^;


本書にも甘さは漂っていましたが、意外にその甘さに惹きつけられて読了。


というのも著者が主人公に据えたユニークな人物が醸し出す味がなんともいえずよかったから。



2m超マッチョな巨漢、スキンヘッドで口ひげのおネェ、権田鉄雄ことゴンママが主人公!


マツコデラックスを男版にしたような外見がチラホラ。


彼(といっていいのか彼女といっていいのか)を中心に、彼が通っているスポーツクラブSABのジム仲間6人の連作短編。


ゴンママが経営する場末の「スナックひばり」に集まるジム仲間たち。


それぞれの人生に問題を抱えながら、毎週金曜日の「筋曜日の会」に集まってはぐだぐだ。


「人生に大切なのは何が起こったかではなくて起こった事に対して自分が何を出来るかよ。
ピンチはチャンスよ」

「あなたが生きられるのは今この瞬間だけなのよ。
過去と未来を思い煩っても、それは無駄なだけ」

「辛い過去に囚われないで、未来の不安も全部忘れて、今この瞬間だけをしっかり味わって生きるのが、禅の幸せに生きる極意なのよ」

「阿吽の阿は、五十音のはじまりの『あ』で、吽は終わりの『ん』のことで、つまり阿吽はこの世のすべてを表す禅の言葉なんだって。
転じて、この世のすべては、阿と吽のあいだの一瞬のいまにしか存在しなくて、あなたが生きられるのも、いまこの瞬間だけなのよ」



ほんとうにそうなんだ・・・過去のある時点での選択に対する後悔、見えない未来への不安。

そういうもやもやに捉われている自分を振りかえりました。


大切なのはいまを全力で生きることだけなのに、どうしても拘泥や憂鬱、後悔といった心の暗雲を振り切れないで、結果今の幸せを半減させているような・・・。


ゴンママの何気ない言葉のひとつひとつが心に沁みる、そんな作品でした。

娘が年末に帰省したときプレゼントしてくれていたチケットで「東京家族」を観にいきました。


故・小津安二郎監督の「東京物語」のリメイク版とは聞いていましたが、家族であるゆえの危うさや儚さを描いた「東京物語」の時代から60数年を越えて一段と厳しくなった現代の高齢者核家族社会の問題点を突きつけられて何だか近い将来の自分に置き換えて…身につまされました^_^;


子どもたちが全員東京という物語の家族構成が我が家とそっくり、しかも老夫婦の住まいが当地の隣の県の小さな島という設定。


夫の勤務の都合で各地に何年かおきに移転を繰り返していたので、物語の老夫婦のようにずっと同じ土地で過ごしていらっしゃる方々よりは気軽に移動できるスタンスは持っているんですけど、できれば当地で余生を過ごしたいというのが本音。


周りでも子どもたちと距離的に離れて暮らすご夫婦が多く、一昔前の大家族は夢のまた夢となっています。


昨年亡くなった母も父亡き後の長い1人暮らしの間に、何度か転勤先での同居を提案しましたが、自分の家を離れたくない気持ちがとても強く最期まで貫きました。


長年住み慣れた場所での1人暮らしの自由と引き換えに不安と孤独に苛まれる日々だったと想像すると今も胸が詰まります。


神戸や東京にいた頃は毎月1度の帰省が負担になったこともありましたが、今は懐かしい思い出です。


故人になった身近な人々が何だか懐かしい夜です。




さて本日は森沢明夫氏著『あなたへ』のレビューです。



「富山の刑務所で作業技官として働く倉島英二。
ある日、亡き妻から一通の手紙が届く。
そこには遺骨を故郷の海に撤いてほしいと書かれており、長崎の郵便局留めでもう一通手紙があることを知る。
手紙の受け取り期限は十二日間。
妻の気持ちを知るため、自家製キャンピングカーで旅に出た倉島を待っていたのは。
夫婦の愛と絆を綴った感涙の長編小説」



先日の『ビブリア古書堂の事件手帖2』にいただいたコメントで原作と映像化とのギャップについて話題になりましたが、本書も高倉健さん主演の映画が一足も二足も先行して話題になった作品ですが、本書は映画の脚本がオリジナルで、東宝から依頼を受けた森沢氏が脚本を基に大幅な加筆を行って小説にしたという珍しい逆バージョンだそうです。



例によって映画は観ていませんが、小説化した作品という目で見てもしっかりした構成のいい作品に仕上がっています。



前半部分で、場所も年齢もバラバラの共通項のない人物の人生の小さな断片が描かれていて、どのようにまとまるのかという興味を持って読んでいくうち、後半部分で次々と主人公と交差し、最終的にそれぞれの登場人物の像がくっきりと浮き上がって物語に陰影をつけて効果的に仕上がっていることに気づきます。



主人公・倉島英二が亡き妻・洋子の生前の願いを聞き届けるために妻の故郷・長崎までの長い車での旅の途上に知り合った人々との交流を通して、洋子との決別やこれからの生き方の模索をするというのが本書の骨子。


従って悲しみの物語というよりこれからの人生に一筋の光明を見出す希望の物語るのではないでしょうか。


途上に縁を結んだ人の愛読する種田山頭火の自由律の俳句の数々が人生の哀歌のような雰囲気を醸し出すなど、いろいろな仕掛けが見られて思いのほか読後感のいい作品でした。



「他人と過去は変えられないけれど、自分と未来は変えられる」

「人生には賞味期限がない」

「命とは時間のことだと。だから、私は残された時間を大切にする。時間を大切にすることは、命を大切にすることなのだ」


これらは生前の洋子の言葉だったり倉島自身の言葉だったりですが、私自身も胸に響いた言葉でした。

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